ハイスクールD×D その身に背負う物  一時停止   作:ケツアゴ

6 / 8
今回は筆が乗らなかった


第五話

 直径十メートル程の四角い部屋の中、俺に向かって魔力の弾が迫る。大きさはソフトボール程度だが、その速度はプロボクサーのパンチの速度を越えていて、俺が体を右に傾けると顔スレスレを通り過ぎていった。今、頬に微かに掠ったぞっ!

 

「……ぬぅぅぅぅ!」

 

 相変わらず怖い唸るような声を出しながら忠勝が自分の身長程もある大槍を振るうと床から迫ってきた刃状の魔力が砕け散る。だが、砕け散った破片が無数の矢尻の様になって俺達に襲いかかった。

 

「うおっ!」

 

 俺は足に力を入れると前方にダイブして避け、至近距離で回避が間に合わないと判断した忠勝は槍を回転させて全て叩き落とす。舞い上がった風の音は木々を激しく揺らす程の強風のようで、その勢いの凄まじさが俺にも感じ取れた。

 

「ま、まだ時間は来ないのかよ」

 

 壁から突き出た槍を避けた拍子に俺は体勢を崩し、天井から吹き出した炎に焼かれそうになるのをゴロゴロ転がって逃れる。少し熱で皮膚がチリチリするけど何とか避け切ったぜ。その場で直ぐに立ち上がって時計を見ると終了時間まであと五分。こうなったらとことんやってやる!

 

 

 え? 俺達は何をやってるのかって? 修行だよ、修行。俺達は今、魔境探索部隊の養成施設に来ているんだ。

 

 

 

 

 

 

「此処に来るのも久しぶりでござるなぁ」

 

 レーティングゲームを行う事を聞かされた其の日、俺達は転移で大きな建物に来ていた。堅牢さを感じさせる建物で、何処からか訓練を行う音が聞こえてきている。まだどういう所か聞かされていない俺と違い、ハムスケは懐かしそうに呟きながら鼻をヒクヒクと動かしていた。

 

「あっ、一誠とアーシアは知らなかったね。此処は魔境を探索したり、魔境から出てきた魔獣を討伐する為の部隊を育てる学校なんだ」

 

 レラジュ様はそう言いながらホワイトボードを出現させ、簡単に説明を始めた。

 

 

 

 

 

「っと言う様に、この施設はレラィエ領とバルバトス領を横断するように存在する魔境に出向く人材を育てる所で、両家がお金を出し合っているんだ。でもまぁ、魔境で毎回の様に新発見される物のお陰で莫大な収益を得ているんだけどね」

 

 ちなみにバルバトス家の当主は僕の母方のお祖父様……何だけど、父様や姉様が死んで直ぐに重役や叔父様達も事故や病気で死んじゃって、お祖父様は面会謝絶になる程の病気で療養中なんだ。お祖父様と僕以外にバルバトス家の血を引く悪魔は居ないし、その縁でバルバトス領の運営もウチが代行している。

 

 ……でも、エミヤもデミウルゴスもお祖父様の話題はしたがらないのはどうしてだろう? 嫌っているって言うよりは……憎んでいる?

 

 

「では私は一誠と忠勝を連れて回避訓練室へと向かう。エミヤ、残りは頼んだぞ」

 

「……え? 彼処に行くの?」

 

 思わず出してしまった不安そうな声に一誠は顔を青褪める。スカサハが言った回避練習室って言うのは魔力を通しやすい金属(魔境で発見し、博士達が人工的に再現を完成)を使ったプレハブ小屋みたいな所で、入った人は外から時間終了まで打ち込まれる魔力を避けたり防いだりし続けるって物なんだ。

 

 ……あれ、怖いんだよね。僕も一度やったけど、偶に夢で見るもん……。

 

 

 

 

「えーい!」

 

 運動場では無数に浮かぶ的に向かってアーシアが走りながらボールを投げている。元々運動神経が良くない上に走りながらなので的には掠りもしない。

 

「何処を狙っているんだい? 五十回連続で当てろって僕は言ったよね?」

 

「は、はい!」

 

 アーシアはルゥリッヒの指導を受けている。ルゥリッヒは教官をやってくれているけれどスパルタだからなぁ。おっと、僕も自分の修行に集中しなきゃね。

 

「それじゃ開始するでありんすよ」

 

 シャルティアの合図と共に僕の周囲に無数の気配が発生する。影から作り出した吸血鬼の眷属達だ。草むらの影や木々の間、高速で動きながら僕へ飛びかかる隙を伺っている。それに対し僕は魔力で弓を作り出した。ギリシャ神話ではケイローンを象徴する射手座だけど、聖書の勢力は僕の一族、レラィエ家を象徴している。

 

「……全て射抜く」

 

 じゃあ、気合入れて行こう。

 

 

 

 

「へー。忠勝って京都の出身なんだ」

 

 数日後、僕達はゲームの相手であるフェニックス家の屋敷に向かっていた。転移で向かえば楽だけど、貴族間の礼儀とかそういう関係で龍車で向かっているんだけど、一誠達は忠勝と仲良さそうに話している。

 

『ああ、そうだ。レラィエ家は冥界の住人以外にも異能力者や組織に属していない人外もスカウトしていてるんだが、俺は先祖に鬼の血が入ってたらしくってな。そりゃまぁ、親父達はビックリこいたんだぜ、HAHAHA! まぁ、そーんな訳で疎まれててな。懇意にしてる組織を通じて保護されたって訳だ』

 

「苦労なさってるんですね」

 

『気ーにすんな! 俺は俺の人生に満足してるからな。この巨体を奇異な目で見られながら生きるよりも、今のドキドキハラハラな人生の方が楽しいだろ、JK』

 

 三人は随分と仲良くなったなぁ。まぁ忠勝は相変わらず口下手でメールで話してるけどさ。

 

「そろそろ着く様だ。ほら、髪を整えよう」

 

 エミヤは櫛を出して僕の髪を整え、服にブラシをかけていく。相変わらず万能な執事っぷりだなぁ。見えてきたのは大きい屋敷。一誠達も感嘆の声を漏らしていた。

 

「はぅぅ〜。凄く大きいです」

 

「金持ちって聞いてたけどスゲェ!」

 

 フェニックス家については座学の授業でちゃんと教えている。どんな傷を受けても直ぐに回復する不死の特性と、とてつもない効果の回復薬である『フェニックスの涙』。レーティングゲームが流行りだし、その恐ろしさが改めて認識されたんだ。

 

 そして龍車は全くの衝撃なしに着地し、庭へと続く門の前で止まる。先に降りたのはエミヤ。続いて僕が手を取られて降りた。

 

 僕は先頭に立って屋敷へと向かっていく。門の前には既に彼女が待ってくれていた。

 

 

 

 

「お待ちしておりましたわ、レラジュ」

 

「お久しぶりです、レイヴェル嬢」

 

 レイヴェルさんはスカートの端を摘み、優雅にお辞儀をする。僕もエミヤに教わった通りにお辞儀をした。暫く互いにお辞儀をしたままの格好で動かず、やがて同時に笑い出した。

 

「ふふふふ。ちゃんとお勉強しているのね、レラジュ」

 

「うん。エミヤやデミウルゴスが厳しく教えてくれるからね」

 

 レイヴェルさんは何時もの様に僕を抱き寄せる。それは嬉しんだけど……少し恥ずかしいんだよね。




意見 感想 誤字指摘お待ちしています


アンケートは今日までっす
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。