次話からストーリーの中盤になります。
……………………今何と言った。
『生まなきゃ良かったなあ』
「なぜそんな事が言えるの?……母親でしょ……」
真姫の声は聞こえるわけもなく、更に……その母親はかん高い声であすかに対しての罵倒とも思える言動を止めない。
言われているのは真姫ではなくて……あすかだ……。
なのに、赤髪の少女は母親の言葉に哀しみの涙を流した。
『本当に何をやっても駄目ねぇ』
『少しはお兄ちゃんの直人君を見習うべきよ』
『何ひとつ良いことが無いんだもの』
夜は過ぎていく………………
翌朝
あすかが泣きはらした顔で無言で食事をしていても、母親は何も言わなかった。
あすかは何か言いたげな表情で母親を見つめているが、あすかの視線を感じても、気にも止めかった。
「あすかちゃん……」
逃げるかのようにあすかは赤いランドセルを背負い学校に向かった。
母親と兄もそれぞれ高校と仕事に向かい、真姫一人となる。
「小学5年生くらいの子が、あんなに辛そうな顔して……そしてそんなに辛そうな我が子に何も行動を取らないなんて!」
「かなり怒ってるね」
「クロフォード……現れるのが少し遅いんじゃ無い?」
「真姫がさ……どんな反応するか見たかったんだよね……あの子に……この家族に……ね」
「……言ってあげる。あの母親は最低だわ!我が子があんなに辛そうな顔をしているのに自分はまるで何も責任が無いような振る舞いをしている!」
「よかった!……聞きたかったよその台詞」
パチン
「……………………」
自室に戻った。
時計を見るとさっきの時間と全く変わっていない。
「此れから貴女にはまた小学校生活をしてもらう事になります。」
ーあの子が居た世界ででしょ?
「そうだよ、今、現在、貴女とあすかちゃんに起きている現象……私達(別世界の人間)は『悲劇の共鳴』と呼んでいるの……悲劇はたまに色んな世界線、時間軸を越え、その世界とは全く他世界の人間に影響することがある。私は主にそう言う現象を監視及び取り除くのが仕事なんだ。」
ー……あんたが、普通の人間とは一線を越す存在なんだと言う事は分かったわ。
それで今すぐ私を、あすかちゃんの世界に送り込むわけ?
「うん、ただ少し時間が過ぎた後だけどね。あの後、藤原あすかは、自分の兄……藤原直人の『思いを込めた』指示を聞き、宇都宮の祖父母の元に行く……」
ー直人って、人は心変わりでもしたのかしら?母親と一緒に馬鹿にしていたように見えたけど?
「していたね、貴女があすかの部屋に移動する数時間前……自身の誕生日を母親に祝って貰うことを期待していたあすかに対して……『お前、生まれてこなきゃよかったな。』と言ったり、小馬鹿にして実の妹、あすかが動揺する様子を楽しんでいた……」
ーその後にあの子は声を失った……
「だけど、直人はこの後……自分が発した言葉に後悔を覚えた。本人は何気無いからかいのつもりだったのだけれど、言葉の持つ重さの意味を初めて知った」
ーそう………
「今から貴女が成るものは祖父母によって『心』と『声』を取り戻したあすかが自宅の横浜に戻り転校した小学校の同級生よ。」
ーあの子には声が戻ったけど……私に戻るのはまだと言う事ね……
「次の誕生日まであすかと一緒に過ごせば、貴女の声は戻る。その誕生日が原因であの子は声を失ったのだから……色々な事が壁となるでしょうけど真姫とあすかなら乗り越えられると信じているわ。あと、あっちの世界でも貴女の家族、家は場所が移動してあるだけで何も変わっていないから迷子に成ることは無いから。」
ーありがとう。
「あまり『声』の事ばかり考えないでね、其れよりももう一度の小学校生活を楽しんで!」
ーふふ、分かったわ。
「行ってらっしゃっい、真姫。」
真姫は急に眠くなり意識が吸い込まれていった。
小学校時代って学年が進むにつれて段々つまらなくなっていった記憶が有ります(笑)