麦わらの姉   作:imuka

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とってもお久しぶりです。

忙しくはありましたが生きてました。








二十二話 スカイピアとエネル

 

 

 空島がノーランドの言っていた黄金郷と分かった一向は黄金探しのため、二手に分かれる。G・メリー号が修理されていたことやウソップが夜に見たという謎の人物、という不思議こそあったものの一時それは置いておき各自準備を進めた。

 ルフィ、ゾロ、チョッパー、ロビンに黄金卿の探索を任せ、脱出ルート確保にフィルナ、ナミ、ウソップ、サンジ、怪我人のガン・フォールとピエールを連れ船を動かしていた。

 

 

「この国の……歴史を…少し語ろうか。」

 

 そうガン・フォールが言葉を発するとフィルナたちはそれを聞くように口を塞いだ。

 

「吾輩は…6年前まで”神”であった。」

 

「おっさん、頭打ったか?」

 

 ウソップのツッコミにピエールが噛みつく。

 

「この神の島(アッパーヤード)がこの国に来たのはおぬしら知っている通り400年前だと聞いている。

―――それまでのスカイピアはたまに青海からやってくる物資を重宝しながら生活していた。そんなある日、”奇跡”が起きた。」

 

(ジャヤ)がここに来たのね?」

 

 フィルナの質問にガン・フォールは肯く。

 

「空の物たちはそれを聖地として崇め、喜んだ。――しかし大地(ヴァ―ス)には先住民がいて、戦いが起きた。そのもの達こそが”シャンディア”。」

 

「ゲリラのことか。」

 

「じゃあ彼らは故郷を取り戻そうとして戦っているだけ?」

 

「うむ。」

 

「「じゃあおめーらがわりぃんじゃねぇか!!」」

 

 サンジとウソップが言うとピエールが再び噛みついたがガン・フォールは悲しむようにそれの言葉を肯定した。

 

「おぬしらの言うことに間違いない。――――ああ、すまん。少し薬をもらおう。」

 

「―――神・エネルは?あれは何なの?」

 

「わしがまだ神であったとき、どこぞの空島から軍団を引き連れてわしの率いていた神隊とシャンディアに大打撃を与え、神に君臨した…。6年前のことだ。」

 

「シャンディアにとっては誰が君臨していようと関係ないから故郷を取り戻すためにエネルと戦うってわけね。」

 

「うむ。――その後、わしは国を追放され、神隊は労働力として連れていかれた。今、神隊が何をしているかはわしにはわからん。」

 

「楽園のつもりできたのに、まったく。黄金卿はとんでもないところにきっちゃってたのね。」

 

「おお、そうだ。お主らが昨日から話しているオーゴンとはなんだ?」

 

「「「え?」」」

 

「ヤハハハ。だからお前たちは馬鹿なのだ、ガン・フォール。」

 

 突然、男が甲板に現れた。ガン・フォールが男の姿見て叫ぶ。

 

「エネル!!」

 

「こいつが…?」

 

 全員が体勢を整え、戦闘準備をする。

 

「そう構えるな。静かにしていれば別に危害は加えん。」

 

「いきなり敵の大将が来て、はいそうですかと肯けるかよ!!」

 

「待って!!サンジ!!」

 

 フィルナの制止も聞かずサンジはエネルに蹴りを入れるが蹴りがエネルに当たった途端、サンジが光を放ち黒こげになった。

 

「ッ!?今のはッ!」

 

「馬鹿な男だ。危害は加えないと言っているのに。」

 

 エネルは笑いながら持っている金棒をクルクルと回す。フィルナの後ろではウソップが大騒ぎしていたが、エネルが黙らせた。

 

「騒がしいぞ。」

 

 エネルの人差し指がウソップに触れると先ほどサンジが受けたように黒こげになる。

 

「静かにしていれば危害は加えない。いいな?」

 

 エネルのその言葉にナミは口を押えながらコクコクと肯き、フィルナは構えたまま黙っていた。

”動きに反応できなかった。どうやって今後ろに回られた?……悪魔の実、それも【ピカピカ】に近い速度で動く…。サンジに蹴りが通らなかったところを見ると自然系か。”

 エネルが淡々とガン・フォールに話す中、フィルナはエネルに対する打開策を模索する。

 エネルは話を終えると来たときと同じように消えた。そして入れ替わるように男が2人乗り込んでくる。

 

「「ほっほーう。神について考える必要はない!!ここで死ぬのだからな!!」」

 

「あーもー次から次へと…ッ!――ナミ!!2人を部屋の中に!!」

 

 ナミに指示を出しつつ、乗り込んできた丸い男2人を睨みつける。

 

「逃がすか!!そいつらは兄貴の憎き仇!!」

 

「貴方たちの相手は私。」

 

 フィルナは男たちの前に立ちはだかると夜一を抜刀する。

 

「女1人で俺たちを止められるかぁ!!!」

 

「そう思うなら私を倒してみなさい。」

 

 回転しながら向ってくる2人の片方の顔面に容赦なく蹴りを入れた。それを食らったコトリは先ほどとは逆回転になりながら船から落ちる。

 

「コトリィ!?」

 

「やっぱり大したことないわね。」

 

 驚き、余所見をした男をフィルナは夜一で斬りつけそのまま船から放り投げた。

 

「見聞色に頼り過ぎな上に、心を乱しすぎね。」

 

 敵の排除を完了したフィルナは夜一を納刀し、唖然としているガン・フォールを覗き込んだ。

 ガン・フォールが驚いているのはその実力にだった。乗り込んできた丸い男たち。ホトリとコトリは副神兵長である。スカイピア神官の雑兵ではない。それを瞬く間に倒してしまういう実力に。

 

「――おじいさん大丈夫?」

 

 ガン・フォールは目の前で手を振られ、ハッとする。

 

「こうしてはいられん!!さっきのエネルの言葉も気になる。すまんがわしは行く!!」

 

「その怪我じゃ――!」

 

 さっとピエールに乗り、瞬く間に船から離れたガン・フォールをフィルナは止めることができなかった。

 止められなかった自分と制止も聞かず飛び出したガン・フォールに軽くため息を吐くと、サンジたちの治療をナミに任せ、島の状況を図るために目を瞑る。

 

”4人は…――これはきっとバラバラね。ルフィ、何か感じづらいけど…なんだろ。弱ってるとかそういう感じじゃないのに。――ずいぶんと変な動きしてるけどこっちには近づいてきてる。

 ――おじいさんが目指しているのが言っていた社かな?幸いこっちには人は固まっていない。社が向こう側ってことだからか。エネルの動きが感知し辛い。居る感じはあるけど的確な場所がわからない感じがする。”

 

 フィルナは目を開くと船内に入り、ナミに声をかけた。

 

「ナミ、船を任せるわ。幸いこっち側には人はほとんど居ないみたいだし、ルフィが孤立して動いてるみたいだからきっと向こうのチームはバラバラだわ。」

 

「え”私を独りにしないでよ!?」

 

「こっちには大きな戦闘は起きてないから大丈夫だよ。それにバラバラの皆集めないと。特にゾロは極度の方向音痴だから、ね。」

 

「………ほんとうに大丈夫なんでしょうね?」

 

「私が感知できる範囲では、ね。

――ガン・フォールのおじいさんが向かった方角が神の社ならこっち側にはゲリラたちはいないはず。神官たちもそれの防衛に入っているはずだからこっちには無理に広げないと思う。」

 

「はぁ…。わかったわ。ゾロのあれは筋金入りだもんね。――あんまり遅くならないでよ?」

 

 呆れ顔のナミに少し苦笑いを返しつつ”わかったわ”とフィルナは返事をすると船から大樹の枝へと飛び移っていった。

 

「ルフィは気配を感じ取れるから後回し、ね。――ロビンやチョッパーはちゃんと方角がわかるはずだし…やっぱりゾロからかな。」

 

 枝から枝へと次々に飛び移りつつ呟くと、ひとまず最初に分かれた場所へと足を速めた。

 

 

* * *

 

 

「居た――ってなんでゾロ、空に飛んでる、の、か、な!!」

 

 攻撃をしてきた神官に反撃をしながら漸く見つけた仲間の気配が上空にあり、驚く。

 神官を片付け、集中するように目を瞑るとゾロへと意識を向ける。

 

「なるほどね。サウスバードに掴まっているのか。――方角はあっているみたいだしもう放置でいいか。ハァ…。」

 

 無駄手間を踏んだフィルナは盛大にため息を吐つつも皆と合流するために移動しようとしたその時、エネルの気配を感じ、足を止める。

 

「ヤハハハ。その動き、お前、心綱を習得しているな?」

 

 自分の存在に気が付いたのがうれしいのかエネルは楽しそうに笑い、金棒をクルクルと回しながら姿を現した。

 

「ゲーム終了まで時間がある。シュラを倒し、心綱が使えるお前は見所がある。私の存在にも気が付いた。少しお前と遊ぼうか。」

 

「遊びと言わずここで落ちなさい。」

 

「ヤハハハ!不届き!!」

 

 大口を開けるエネルの後ろを取り、夜一を振る。エネルが金棒でそれを防ぐと凄まじい音を立てた。

 

「その身形の割には重い攻撃をするな!女!!」

 

 エネルの言葉には返事もせず、真影も抜刀し、エネルに斬りかかる。攻撃を受けることにどこか危機感を覚えたエネルはそれを避け、距離を取った。

 

「強い。お前は間違いなくこの島で私の次に強い。少し残念だが、お前は危険だと私の身体警告している。ここで摘むとしよう。―――3000万V雷鳥!!!」

 

「武装色・(ながれ)。」

 

 エネルが雷の鳥を出すとフィルナは納刀し、武装色を手に纏う。そしてそのまま雷の鳥を両手で受け止め、横へと流した。

 

「?――貴様何をした?」

 

「やっぱり武装色は知らないんだね。」

 

「ぶそうしょく?」

 

 首をかしげたエネルを無視し、今度は抜刀せずエネルの前に接近、拳を振る。

 

「発勁・(とおし)。」

 

 ドゥン!!と大きな音を立てエネルが宙に浮く。

 

「がはぁ!?!?!?!?――貴様!?」

 

 エネルはその威力よりも自身が物理攻撃を受けたことに驚いた。

 フィルナは驚愕した顔を浮かべているエネルを無視し追撃をかける。

 

「抜刀術・迅。」

 

 宙に浮いたエネルの後ろから夜一を振ったが、エネルはそれを間一髪のところで体を雷に大樹の上へ避けた。

 が、フィルナの攻撃は止まらない。

 

「一閃。」

 

 夜一を縦に振ると大樹が斬れ、倒れる。エネルは再び雷となり隣の大樹へと移動する。

 

「舐めるなよ!!女ぁ!!」

 

 エネルが叫び、雷を出そうとするがフィルナはそれよりも早く、エネルの後ろを取る。

 

「ちぃ!!」

 

 金棒と夜一がぶつかり合う。

 

「一億V放電!!」

 

 放電したエネルにフィルナは距離を取る。

 

「ヤハハハ。どういう原理で雷鳥を流したかわからんが出力を上げれば流すことはできんわけだ。そして接近されなければ攻撃は避けれる。

――驚きはしたが種が分かれば大したことはない。一億V雷獣・極!!」

 

 狼の姿に変化した雷撃がフィルナに向かってくる。

 

「その速度じゃ私は捉えられない。」

 

 フィルナは狼を避けるとエネルへ夜一を振る。

 

「無駄だ。放電!!」

 

 再び放電したエネルにフィルナは距離を取り、手を止めた。

 

「このままじゃ埒が明かない。」

 

「まったくだ。―――だが、いい時間になってきた。女。私を倒したかったらジャイアントジャックまで来るがいい。」

 

 エネルはそういうと雷となり、その場を離れていった。

 

「ああなると追える速度じゃない、か。”ゴロゴロの実”、結構厄介だね。」

 

 フィルナは一息吐きながら夜一を納刀すると仲間の元へと駆けた。

 

 

 

 

 




あと2話くらいで空島編も終わりです。
書き溜めが出来てきたので次回はそんなに遅くならない予定です。


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