黒色の、その瞳   作:實近はづみ

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ツナ君スレ気味。


第2話 共有

 

 

雲雀恭弥

 

 

並盛中学校を、ひいては並盛町をも恐怖で手中におさめる支配者である。

雲雀の前で群れたが最後。咬み殺すの口癖とともに彼の愛器であるトンファーがその猛威をふるう。老若男女問わず、彼は畏怖の対象として恐怖を与えるのだ。

 

そんな雲雀にも、秘密があった。

 

 

 

 

彼____いや、彼女は正真正銘、女なのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じょ、情報源って!?記憶吹っ飛ばされるほど咬み殺されるの!?俺!!」

「あぁ。心配しないでいいよ。君は特別に半殺しにしてあげる」

 

特別に、ね。

 

「そんな特別いらねぇぇぇええええええっ!!」

 

チャキ、と。

無慈悲にも雲雀の愛器であるトンファーが構えられた。

 

「覚悟はいいかい?…沢田綱吉」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雲雀恭弥には秘密がある。

女である彼女は周りからどういう目で見られるか知っている。

 

だから、並盛を掌握するために。

そして、勘違いして群がる者を少しでも減らすために。

彼女は男になった。

 

そしてそれは効果的にその力を発揮している。____主に畏怖の対象として。

だから、周りは雲雀をちゃんと見ない。いや、怖くて見れない。風紀委員でさえ。

彼女は満足していた。

彼女は、男として見られていた。いや、見られているはずだ。

これから年を重ねるとどうしようもないかもしれない。

けれど、今はまだ周りにとって雲雀は男だ。

 

だから、

 

気づかれているなんて思ってなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと待ってください!俺なんで咬み殺されようとしてるんですか!?」

「わからないの?僕が女だと知ってしまったからだよ。さて、誰に聞いたの?君は」

 

クイ、とトンファーで綱吉の顎を上げる。

あ、これ今流行りのアゴクイだなー、なんて綱吉が暢気に現実逃避をする。

しかし、遠くに行きかけて、あれ?と首を傾げる。

 

「ちょっと、惚けてないで早く言いな」

「……あ、あの、もしかして、その、隠してたんですか?女の人だってこと」

 

え、そしたら、あの、すみません。

と、青い顔をして申し訳なさそうに謝る綱吉に

 

「…………………………………………何言ってるの君」

 

雲雀の思考が一瞬停止した。

思わずトンファーを綱吉から離してしまった。

しかし、構わず綱吉が喋る。

 

「あの、俺、雲雀さんが女の人だってこと隠してるの知らなくて……。あ、でも悪気はなかったんです」

 

当たり前だ。

悪気なんてあったら今頃綱吉はぐちゃぐちゃになっている。

 

「だから、あのっ、すみません!」

 

ガバッと勢いをつけて謝る綱吉に、雲雀は今度こそ何も言えなくなった。

 

「……ちょっと待って、君は誰かに僕のこと聞いたんじゃないの」

「……へ?誰かって誰ですか?」

「それを聞いてるんだけど」

 

キョトンとする綱吉に、何なんだと雲雀は内心頭を抱える。

調子を狂わされている自分に嘆息しながら改めて彼に向き直った。

彼のペースに乗せられてはいけない。

と、雲雀が思うと同時に、綱吉があぁ!と声を上げた。

 

「だから情報源がどうとか言ってたんですね!」

 

……。

そこからか。

 

早速乗せられている自分に舌打ちした。

 

「そうだよ……。」

「なら、心配ないです。俺誰かから聞いたわけじゃないです」

 

きっぱり。

いつものおどおどしている綱吉とは違い、きっぱりと言い切った。

それに、そう。と頷きかけて、目を見張る。

 

「は?」

 

何て?

彼はなんて言った?

誰かから聞いたわけじゃない?じゃあ、なんで彼は、

 

「じゃあなんで僕が女だって知ってるのさ」

 

そう返すと、彼は目をきょとんとさせて

 

「雲雀さんを見たから……?」

 

と真面目に返された。

____僕を見たから?

 

「なんで疑問形なの。ていうか、意味わかんないんだけど」

「ですから……って、あぁ」

 

ひとりで頷く綱吉。そっか、と。

そして怪訝な顔をする雲雀に気づくと、えーとですね、と前置きして話した。

 

「つまり、俺、雲雀さんが男の人に見えなかったんです。だから、知ってたとは違うんですけど…」

 

そういうことです。

と言った綱吉に、雲雀の目が見開かれた。

 

「……」

 

まさか。

まさか、気づく者がいるとは思わなかった。

確かに前述したとおり、あと数年もすれば女の身体になるだろう。そうしたら隠しておけない。

 

……しかし。

 

しかし、まだ、大丈夫だと思ったのだ。

実際知っているものは少ないし、初対面で気づくのなんて皆無だと思っていた。

 

思っていた、のに。

 

「それで、その、提案なんですけど」

「……何?」

 

彼らしくない顔で雲雀に向き直る。

そして語られる、その提案の内容。

 

「君、本気?」

 

驚いた。

と同時に、やはり面白い。

そう感じた。

 

「いいよ。乗ってあげる」

 

但し貸しね。という返事に、はい。なんでもしますよ。と、笑った。

 

彼は本当に飽きない。

いっそ自分のモノにしてしまおうか……?

 

目が離せない綱吉に、雲雀は本気でそんなことを思った。

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