かなり久しぶりの投稿になってしまいました……。
読んでくれた方、ありがとうございます!
亀更新ですが、すこしでも楽しんでいただければ幸いです。
とろとろと微睡みに誘うような、そんな、心地のよさだ。
すべてがどうでもよくなっていく。
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「なあ、獄寺」
「…んだよ」
獄寺は不機嫌そうに返した。山本は、話しかけたはいいものの、なんとなく、その次が浮かばなかった。
あの後。
綱吉が雲雀に付いて行ってしまい取り残された2人は、呆然としてその場から暫く動けないでいた。ようやく2人が足を動かし始めたのは、綱吉と雲雀が去ってから5分はたっていた頃だ。それから、なんとはなしに2人とも教室に向かっているが、特に帰ろうという気は起きなかった。
2人ともずっと無言のままだ。
獄寺なんかはわかりやすく気がたっていた。その証拠に、先程からいつもより深く眉根を寄せたまま、山本の問いかけに適当に返している。
山本も山本で、獄寺に話しかけるものの話の内容は要領を得ず、話も「なぁ」とか「あのさ」で終わってしまっている。
2人とも、先程の綱吉の言葉が耳に残っているのだ。
「……なぁ、」
「……」
「…ツナ、なんかさ」
ぽつり。
ようやく山本が話らしい話を切り出した。
しかし、獄寺は聞きたくないというふうに話を終わらせてしまう。
「雲雀に脅されてるだけだ」
そうでなければありえないとでもいうような口調だ。
しかし、山本はその声が震えてることに気づいた。
わかっている。
自分も多分、獄寺と同じ気持ちだ。
けれど、と山本は思った。
「けどさ、ツナがあんだけ言うってことは…」
きっと、と続けようとしたところで、誰かが走る足音が聞こえた。
「__武くん、獄寺くん!」
どうやら2人がいる場所に向かっていたようで、聞こえたのは鈴を鳴らすような可愛らしい声だった。
2人はその声に揃って振り返る。
「吉野!」
「金崎」
2人とも!と、走ってきたのか呼吸が少し乱れている金崎が駆け寄ってくる。ふわり、と甘い香りがした。
その顔は心配そうだった。
「あ、あの、…だ、大丈夫だった…?えっと、雲雀さんに…」
その、と言いよどむ金崎。その様子から、明らかに動揺しているのがわかった。当然だろう。
2人は顔を見合わせた。今話していたことを金崎の耳に入れてしまったら彼女はまた傷ついてしまうだろう。
一時止めだ。お互いに頷いた。
「え、えっと、何かあったの……?」
黙り込んでしまった2人に金崎が心配して声をかける。
そんな金崎に向かってニカっ、と山本が笑いかけた。
「だーいじょうぶだって!なんともなかったぜ?なぁ、獄寺!」
「…あぁ、別に怪我もなんもしてねぇしな」
「そ、そっか」
それならよかったよ。と安心したように笑う金崎は愛らしい。
それと同時に、2人は金崎を襲った雲雀のことを思う。
なぜ、雲雀はこんなにも愛らしい金崎を襲ったのか。
なぜ、こんなにもか弱い女の子に手を出したのか。
なぜ、嫌われるようなことを、傷つけるようなことをしてしまったのか。好きではないのか。ならば何故……。
今まで仲が良いとは言わないまでも、それなりに良い関係を築けていたと思っていただけに、今回のことは本当に衝撃的であった。
それも犯人は、あの雲雀である。
あの、老若男女関係なく自分のルールに反する者は咬み殺し、特定の他人以外におよそ興味らしい興味を向けなかった、あの、雲雀恭弥が。
しかし、どうやらその評価は間違っていたらしい。知った時は、絶望にも似た気持ちになった。
2人は心配そうにしている金崎を見つめ、そう思った。
「大丈夫だぜ、吉乃」
「心配することはねぇ」
「……うん、ありがとう。2人とも」
にこっ、と控えめに金崎が笑う。ふわり、と周りの空気が緊張していたものから溶けて甘くなった。
2人は確信する。
やはり、雲雀が間違っていたのだと。
金崎が、金崎こそが被害者で、自分たちは金崎を守らなければならないのだと。
「じゃ、帰ろーぜ!」
そうして頬を緩める2人の頭には、先ほど綱吉が言った言葉など残ってはいなかった。
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3人が去っていった後の廊下。
既に日は傾いていて、部活動に励む生徒の声がグラウンドから響いている。
誰もいない廊下。
橙色に染まる廊下で、誰もいないはずなのに、かすかに息遣いが聞こえる。
「…………」
ざぁ、という音。
廊下の一部がぐにゃりと歪んだ。
それから、すぅぅ、と歪んだところから影が生まれた。ぽっかりとそこだけ穴が空いたように。
「…………」
影が揺らめいて、カン、と音がする。
すると、もう影は完全に人の形になっていた。
「…………なに、あれ」
ぽつり。
眉根を寄せて呟いたのは、クローム髑髏であった。
クロームは、ぎゅっと手にしていた三叉槍を握って3人が歩いて言った方向を、じっと見据えていた。
「骸様に報告しないと」
こんなことになっているなんて。
知らなかった。クロームは愕然とした。だって、自分たちは何も聞いていないのだ。
とにかくこれはかなりまずい状況ではないのだろうか。クロームはそう思って、踵を返した。
……あぁ、でも。
ぴたりと足を止めて、ふと、思う。
自分をここに寄越した彼なら、もうこのことは知っているのだろうか。
「……何が起きてるの?骸様」
早く、彼に報告をしなければ。
帰り道。無性に綱吉に会いたくなった。