柊、本当にわからんやつだ
3回戦は悲しきかな劣勢に立たされることとなった
柊の裏切りにより
「未来予知同士の戦いというものは本当に難しいね」
「口調がコロコロ変わるのやめてくれないかな、頭おかしいのか?最初からか」
金属音が鳴り響く
相変わらず奇襲がしやすいグラウンドなことで
死角だらけでどうにもこうにも銃では戦いづらい
ちなみにフィールドは廃ビルのようなところだ
事前説明が行われなかったがどうやらフィールドをイルマが出現させているらしい
なにしてんだあのクソじじい
ヒュッ
風を切る音が伴いながら敵が迫る
敵の位置を考えず背後を見せて走り出した
数秒後には首を刎ねられる未来だ
なら首の位置を変えよう
前方には壁、思いっきり蹴り、飛ぶ
待ってましたと柊は鎌を振るう
ここまでが読んでいた未来だ
普通危険を前方に察知すると後ろへ逃げたら止まるだろう
前に逃げたら助かる?
そんなわけないし上にも下にもいけない
詰みだ
柊の後ろに人影がある、残った方とチームを組むつもりなのだろう
だから会えて死ぬことにした
助からない前方へ、ひたすらに
柊がサイドステップで避けたと同時に俺の首の前に刃が迫る
「あーこりゃ死んだな」
ゲームをしてる人間のように達観していた
目が覚めた時にはベッドの上…ではない、グラウンドに横たわっていた
「おめでとうございます、利用価値がまだありそうですね」
どうやら勝ったらしい
どう足掻いても柊はチームだ、ならチーム内で争うより敵を倒すべきだ
本当に何故今まで負けたんだろう
「チームと相手が悪い」
能力故の回答である
鎌の使い勝手も悪く相当鍛えたらしい
しかし本当に俺は敵にとどめをさせたのか?
それが謎だった
ふっと笑われた
「首を刎ねられたのに突進するとは思ってませんでしたね」
「は?首なし騎士かよ」
「落ち武者かな?」
「カタナだしな」
「3.4秒くらいまだ目が瞬きをしてたから生きてる判定で通りました、相手は二人とも即死です」
なんとも運のよろしいことで
「まあ、いいか」
「ところで次のお相手ですが」
「もう次が決まったのか」
「御妹さんですよ」
「あ、殺せばいいのね、畏まり」
メインイベントが始まるわけだ
----------------------キリトリセン----------------------
で?どうなるのかって?
敵の人数が一人しかいないのだ
「オイオイオイオイステルス迷彩か?え?」
「残念なことに事故死です、これませんね」
「は、悲しすぎんだろwww」
目の前の相手を煽る煽る、泣きそうなんじゃないのあれ
「今回は2vs1で戦いを始める」
「マジかー、さすがに余裕綽々じゃな」
「かわいそうだしあの子と組みたいなー」
「フザケンナコラ」
なにも言わずに睨まれる
実力を示せばいい
それだけ
それだけの事なのだ
「始めッ」
フィールドは変化しない
これは互いの能力を最大限いかせるんじゃないだろうか
武器を構えた時には敵はそこにいなかった
「嘘だろ…」
時速300キロで炎が舞う
熱風が吹き付けてきた
やつは本気など微塵も出してなかった
そしてここで俺たちを確実に殺すだろう
「…弾丸の速度の方がまあ早いが…いや、いいや、考えるのはめんどくせー…」
「私向こう行きたいなー」
「やめとけ、二人とも殺す気だ、感情の操り方をマスターしてる」
自分の発言に違和感を覚えた
しかし焦りにそれは掻き消された
目の前を走り回って挑発される
弾丸は虚しく居た場所を通り過ぎる
予測して撃つなんて意味がない
くるりと身体を翻しかわされる
「ねぇ」
コンタクトを取ってきた、原始人なのに
「動くのが時速300kmらしいんだ…けど手を振るとどれくらい早いのかな」
「あ、あー、そういうこと言う」
考えたくなかったやつだ」
「試してみる?」
「その手に乗るわけないじゃん」
ここで柊が動き始める
少し早いがこれは誤差程度、使いこなせないのだろう
スパッと左手を切り落とされた
全く見えない動きだ
「順番に…殺す」
柊がブロック状に刻まれる未来が見えた
未来が見えないものに未来を変える術はない
しかし未来が見えれば別だ
ギャギャガガ
透明な何かに剣が弾かれ通らない
なるほど、二つめの方をコピーして自分を守ったか
しかし誰も喋らない
いや…
「……!…………!」
コヒューコヒューと音がなるだけだ
やはり声帯を切られている
喉から流れる血が熱で乾燥している
「……」
おっそろしいやつ
「なるほど、コピーかー……」
相当狂ってる、どうするか……向こうさんに勝つことは容易じゃないらしい
シャーーッ
何かが滑る音がした
鎌が回転しながら飛んでいる
いや、透明な棒を滑っているのだ
このままではならぬ
アサルトライフルを持ち射撃を始める
発砲音はするが着弾はしなかった
静かに、切り落とされるのだ
しかし射撃はやめない
あと2秒あれば奴の首は刎ねられるギィン
金属音と共に鎌が跳ね除けられる気づかないわけがない
だが勝利への望みが絶たれた瞬間だ
ズドッ
柊が血を吐き倒れる
心臓部から血が溢れ出す
弾丸を弾いて当てたのだろう
「次は……兄さんかな?」
炎で何も見えなくなる
いや、未来は見えた
勝利の未来だ
相手がいくら早くても相手がいくら上手でもくる方向がわかった今
これを使えば勝てる
ハンドガンを握り火に迫る向けた先に眉間が現れると同時に発砲
接射だ、どう足掻いてもかわしようがない
にゃぁ
そしてズタズタに切り刻まれる
リスポーン位置が死んだ場所なのだ次の攻撃はかわせないな
ふっと手放した意識は痛みによって覚醒する
まだ斬られている
同じ場所に復活させてまだ攻撃しているのか
「がふっ」
血が奴の顔に吹きかかる
ホイッスルが鳴る
そこからは復活を待つばかりだった
「……酷い痛みだった……」
敗退かと思われた試合だったが柊一人の脱落になり
アミのチームに加わることとなった
「まだ足りない?」
「十分過ぎるわ」
あれだけの痛みを受けたのだ
正直恐怖が芽生えた
しかし……
アミは気づいたのだろうか
ネコが殺意のみを前に出させていることに
いや、気づくわけがない
こんなノーテンキなやつに気付けるわけがないのだ
このままではこちらも死ぬだろう
最後の句はどうしたものか