神代凌牙はデュエルをしない   作:さらさ

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ミラフォが仕事した……だと?
といか散々ひっぱった最強カードがミラフォで草
まぁ、実際決まればミラフォは強いけどね!


4、神代凌牙の選ぶ道
63/神代凌牙VS蝶野さなぎ~可愛いモンスター対決(?)~


ぴっぴっぴっと電子音が規則的に響く

病院のベットには死んだように眠る璃緒がいた

あの遺跡の出来事以来、璃緒は目を覚ましていない

 

「……俺が1年寝てた時、璃緒はこんな気持ちだったんかなぁ」

 

『凌牙……』

 

遊馬やアストラル、バイロンさんにカイトに診てもらったけど、原因はわかっていない

原因はわからないけど、きっかけはあの遺跡の出来事に間違いない

俺はカードケースからカードを取り出す

No.73激瀧神アビス・スプラッシュ、俺の化身のNo.

理由はわからないが、アビスはアビス自身が使っていた時と、俺がアビスを手に入れた時じゃ全く効果が変わっている

No.96ブラック・ミストもカード効果が変わってたってブラック・ミストが言ってたし、もしかして転生者……この次元とは違う魂である俺が持つことによってカードが変質した……のか?

わからん

というか考える事が多すぎて頭がパンクしそうだ

7枚の遺跡のNo.は回収し終えた(1枚はバリアンに回収されたけど)が、この後どう動くべくか

バリアン側の動向も気になるし、璃緒の事もどうにかしないといけない

それに……俺が一体、なんなのか

俺は”神代凌牙”であり、私は”武藤マナミ”だ

それは俺自身がよくわかってるし、それは何があろうと変えられない真実だ

でも、あの遺跡の記憶は俺の知らない俺の記憶

 

「あーもー……脳みそ死んじまいそうだよー……」

 

『お前、本当に大丈夫かよ?』

 

「もうだめかもわからんね」

 

アビスはあの時確かに言った、俺の記憶を呼び覚ませと、そしてそれは俺の命令だと

アビスの言った事が本当だとすると、俺は何等かの事情で記憶を失ったか、又は死ぬときにアビスに俺の記憶を取りもどうすように頼んだという事だろう

基本的にNo.の遺跡はバリアン七皇が人間だった時の記憶が眠る場所だ

あの記憶が本当に俺の知らない俺の記憶なら、俺は、バリアンということになる

それが本当なら、俺は……俺達は、遊馬達の敵だ

確かに俺は今まで真面目に生きて来たと胸を張っては言えない

璃緒を守るために男を殴り飛ばしたりしたし、俺の半身である璃緒にも、ハルト君とオービタル君にバレなければ前世の記憶を話そうとは思わなかっただろう

でも、だけど地獄に落ちるような悪いこともしていない

なのになんだよこの仕打ち

本当に俺がバリアンだったら、俺は選択しなければいけない……

遊馬達の味方になるか、それとも敵になるか

 

「……」

 

敵か味方と言われたら、俺はもちろん遊馬達の味方だ

だけど、俺達は遊馬達の敵であるバリアンかもしれないのだ

いくら味方だ味方だと言っても、俺達自身は敵と同じバリアンだったら……信用してはもらえないだろう

 

『璃緒、目が覚めないな』

 

「せやなー……」

 

ブラック・ミストには全部話してある

というかブラック・ミストも遺跡の記憶に入り込んだらしく、俺に話を聞いてきたのだ

俺とブラック・ミストはある意味運命共同体で、俺の相棒

だから散々迷って、そしてブラック・ミストに伝えた

俺の話を黙って聞いて、ブラック・ミストは言った『俺はお前についていく』と

『結局俺は、凌牙が永遠の孤独を味わうことになろうとも戦うという決意を曲げることは出来なかった、だからせめて凌牙の最後を全部見届ける』と

本当に、俺にはもったいない相棒やでぇ……

 

「ちょっとさ、お散歩行こうか」

 

『あいよ』

 

ちょっと色々考えすぎて頭の中がぐちょぐちょになったので、とりあえず外に出て気分転換を図る

とりあえず公園にあるホットドック屋さんにでも行こうかな

ちなみにホットドック屋さんと言っても草薙さんはいません、畜生!

無事ブラック・ミストの分も含めて2つ買い、公園の隅の方に移動する

この辺、実は人が全く来ない穴場なんですよ!

よくトーマスと会うのにこの場所使ってたっけなー

 

「やぁシャークちゃん、それにカードの精霊さん!久しぶりだね!」

 

「ふぁっ!?」

 

『ん!?』

 

いきなり後ろから声をかけられ、肩をビクつかせる

後ろを振り向くと、いつもの衣装とは違いスポーティーな服を着たさなぎちゃんがいた

 

「……ドーモ、さなぎ=チャン、神代凌牙です」

 

『ドーモ、蝶野さなぎ=サン、No.96ブラック・ミストです』

 

「ドーモ!シャーク=チャン、カードの精霊改めNo.96ブラック・ミスト=サン!蝶野さなぎです!」

 

>>突然の忍殺語<<

……じゃないや、なんでさなぎちゃんがここにいるん?

それにあの白紙のカードの事も聞かないと……あーもー聞きたい事多すぎ!

なんで気分転換にお散歩してるのに、また考え事が増えなあかんねん(憤怒)

 

「ん?ブラック・ミスト君、やけにあっさり正体バラすんだね?てっきりしらばっくれると思ったんだけどなー?」

 

『あの白紙のカード渡されたり、そのカードがNo.になったらそら正体隠す気無くなるだろ』

 

「そっかぁ!」

 

さなぎちゃんフレンドリーすぎぃ!

何というか、うん、さなぎちゃんが元気そうで何よりです

 

「んー、とりあえず挨拶もそこそこに聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

 

「大丈夫だよ!というか、多分シャークちゃんが聞きたい事を教える単にさなぎはここに来たんだ」

 

教えてくれるんだったら、遠慮はいらないかな?

俺はブラック・ミストに目くばせ、さなぎちゃんに再度目を向ける

そんな俺とブラック・ミストの事をニコニコとさなぎちゃんは見つめている

 

「あー……色々聞きたい事はあるんだけど……

 とりあえず、さなぎちゃんは一体何者なん?まさかあんなカード渡しといてただのアイドルです、なんていうわけないよね?」

 

「さなぎ自身はただのアイドルなんだけどねぇ

 あのカードはね、さなぎの師匠からシャークちゃんに渡してって頼まれたんだよ」

 

『師匠?』

 

うーん、じゃぁその師匠とやらに何かあるって事なんかな?

でもだからと言ってさなぎちゃんがただのアイドルとは思えないんだよなぁ……

 

『その師匠は誰だ?なんで直接白紙のカードを渡してこない?』

 

「ねー、さなぎも師匠が渡した方がいいって言ってるのに、師匠が全然頷いてくれないの、”まだその時じゃない”って」

 

『……その時じゃないっつー事は、いずれ顔を合わせる時が来るって事か?』

 

「うん、師匠もシャークちゃんに会いたがってたみたいだし」

 

んー……とりあえず、さなぎちゃんと”師匠”は俺達に対して友好的ってことでいいのかな?

今のところこっちに敵対するような言動は見られないし

 

「んー、もうちょっと”師匠”について詳しく教えてくれない?」

 

「師匠について?師匠はね、すっごい無口!あんまりおしゃべりとかしないんだよね

 後ね、デュエルがすっごい強いよ!色々なデッキを使ってて、さなぎもまだ片手で数えるほどしか勝ったこと無いんだー」

 

……え?まじで?

TVのデュエル番組によく出るさなぎちゃんのデュエルを見ている俺ならわかる、さなぎちゃんが片手で数えるほどしか勝てないってよっぽどやで

さなぎちゃんは滅茶苦茶強い、よく某笑顔動画のタグに【限りなくアイドルに近いデュエリスト】【もしかして:アイドル】などの名誉(?)あるタグが付くほどの実力派デュエリストだ

そのさなぎちゃんがそこまで勝てないなんて……師匠とは一体何者なんだ

 

『……まぁ師匠とやらは今はいいか、お前、この白紙のカードは?なんか聞いてんのか?つーかなんでこれを凌牙に渡してきたんだ』

 

その言葉を聞いて、さなぎちゃんは初めて言葉を詰まらす

うーん、とさなぎちゃんは小首を傾げ、言葉を選ぶように話し始める

 

「これはね、人の心を、魂を写し取るカードだよ」

 

「人の心……?魂……?」

 

「さなぎもね、師匠からそこまで詳しく聞いてないから、うまく説明できないかもだけど……

 このカードは人の感情や力をそのままカードとして反映するんだって、まさかさなぎもNo.になるとは思わなかったけどねぇ……」

 

うーん、いまいち要領を得ないなぁ……

白紙のカードのもっと詳しい事は師匠とやらに聞かないとダメっぽいな

 

「さなぎがシャークちゃんに渡した理由は、もちろん師匠に頼まれたからなんだけど……

 そのカードが、シャークちゃんを救う切り札になるの」

 

俺を救う切り札……?

訳が分からないと考え込みんでいたからか、ブラック・ミストが抱いた疑問に俺はたどり着けなかった

 

『……ん?お前今、No.って言ったよな?』

 

「?うん、言ったよ?さなぎもNo.持ってるし」

 

『「ふぁっ!?』」

 

んんんんんんん?あれれー?俺の耳がおかしくなったのかなー?今さなぎちゃんNo.持ってるって言ったよねー?

ていうかNo.持ってるのに普通でいられるってどういうことなん!?

いや、璃緒見たいに自力でNo.をねじ伏せた(意味深)かもしれんし……

とかしてる場合じゃない!なんともないとはいえ、一応No.を回収しないと……

 

「それじゃぁ、デュエルしようか!」

 

『「ひょっ?』」

 

さなぎちゃんのいきなりの提案に俺とブラック・ミストはすっとんきょんな声を出してしまう

まさかさなぎちゃんから「おい、デュエルしろよ」される日が来るとは思わなんだ

というかなんでそんな話になったし

いや、No.を回収したい身としてはありがたいんだけどさぁ

なんて考えている間にさなぎちゃんはすでにDゲイザーとDディスクを装備して構えている

あの、準備早すぎね(困惑)

 

『……で、どうすんだよ?』

 

「受けるにきまっとるがな、リアリストよりとはいえ俺だってデュエリスト!

 勝負は受けなきゃ女が廃るってもんよ!そんなわけでさなぎちゃん、デュエルディスクなんて捨ててかかってこい!」

 

とりあえずデッキはこっちでいいか

さなぎちゃんもNo.を持ってるとはいえ、ペンデュラムやシンクロは知らんからなぁ

マイ混沌デッキ使ってうっかり召喚☆って事になったらシャレにならん

 

「Dディスク、セット!Dゲイザー、セット!デュエルターゲット、ロックオン!」

 

<ARヴィジョン、リンク完了>

 

「「デュエル!」」

 

 

蝶野さなぎLP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

神代凌牙LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

視界に0から9の数字が流れていき、ARが正常に作動したことが分かる

先行はさなぎちゃんみたいで、デッキトップに手を置いていた

 

「いっくよー!さなぎのターン、ドロー!

 さなぎは手札からフィールド魔法マドルチェ・シャトーを発動するよ!」

 

さなぎちゃんが1枚のカードをセットすると、あたりの景色が一気に塗り替えられる

緑の多い公園から、ケーキで出来てたお城などが出てくる、まさにお菓子の国と言っても過言ではない景色が広がっていた

 

「さなぎは手札からマドルチェ・マジョレーヌを召喚!

 そしてフィールド魔法マドルチェ・シャトーの効果を発動するよ!フィールドのマドルチェモンスターの攻撃力と防御力を500アップするね☆」

 

 

マドルチェ・マジョレーヌ

星4/地属性/魔法使い族/攻1400→1900

 

 

紫の魔女っ娘服を着た女の子がフィールドに現れる

やっぱりマドルチェモンスターは可愛いな

 

「マジョレーヌの効果発動!このカードが召喚に成功した時デッキからマドルチェモンスターを手札に加えるね、さなぎはマドルチェ・ピョコレートを手札に加えるよ!それでカードを3枚伏せてターンエンドするね」

 

マジョレーヌが自身の箒を振り、効果を発動させる

デッキから出て来たカードをさなぎちゃんは抜き取り、淀みない手さばきで手札に加えた

そしてカードを伏せ、エンド宣言をする

 

 

蝶野さなぎLP:4000 手札:3

【モンスター】

マドルチェ・マジョレーヌ/1900

【魔法・罠】

セット×3

【フィールド魔法】

マドルチェ・シャトー

 

神代凌牙LP:4000 手札:5

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

無し

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

手札は……っと

大量展開できるけど、ここは慎重になった方がいいかな

さなぎちゃんの使うマドルチェデッキは、戦闘・効果で破壊されたら墓地に行かないでデッキに戻るカテゴリだ

でも今発動してるフィール魔法は、デッキに戻るカードを手札に戻すことが出来る

まー、マドルチェ・チケットも発動してないだけよかったかな

そしてマドルチェのエースであるクイーン・ティアラミスはカードをデッキに戻すことが出来るのだ

ここは様子見して、出来るだけ被害を抑えて……あー、あの伏せカードも警戒せな……

……どうにかなるか!(思考停止)

 

「俺は手札からファーニマル・オウルを召喚!

 そしてオウルの効果発動!手札からの召喚に成功したので、デッキから融合を手札に加える!」

 

 

ファーニマル・オウル

星2/地属性/天使族/攻1000

 

 

「わぁ!可愛いー!」

 

さなぎちゃんが嬉しそうにオウルを見るけど、これの融合先を見たらさぞびっくりするだろうなぁ……

オウルはさなぎちゃんの可愛い発言に気分を良くしたのか、パタパタとさなぎちゃんにアピールしている

 

「オウルのもう1つの効果発動!ライフを500払ってデストーイモンスターを融合召喚する!

 フィールドのファーニマル・オウルと手札のエッジインプ・チェーンを融合!

 悪魔の鎖よ、英知の鳥よ!神秘の渦で1つとなりて、新たな形と姿を見せよ!融合召喚!現れでちゃえ、全てを封じる鎖の獣、デストーイ・チェーン・シープ!」

 

 

神代凌牙LP4000→3500

 

デストーイ・チェーン・シープ

星5/闇属性/悪魔族/攻2000

 

 

オウルの体が切り裂かれ、鎖が体中に巻き付いていく

口の間からぎらりと赤い目がさなぎちゃんを睨み付け、やってやんよと言わんばかりにチェーンソーの部分(?)がぎゅるんぎゅるんと唸る

 

「おおー!融合使う人少ないからびっくりしたよ!シャークちゃんも融合使うんだー」

 

「まー、ぶっちゃけ融合が1番好きだからねー」

 

GXは俺の青春でした、今はもう内容あんま覚えてないけど

 

「俺は融合素材となったエッジインプ・チェーンの効果発動!手札・フィールドから墓地に送られた時、デストーイカードを手札に加える!俺は魔玩具融合(デストーイ・フージョン)を手札に加え、そのまま発動!

 このカードはフィールド・墓地のモンスターを除外してデストーイモンスターを融合召喚する!俺はチェーンとオウルを除外して……」

 

「んー、その召喚は通さないよ☆

 さなぎはカウンター罠神の警告を発動するね!ライフを2000払ってその魔法カードの効果を無効にして破壊しまーす!」

 

「うげっ!」

 

 

蝶野さなぎLP4000→2000

 

 

光の渦がさなぎちゃんのフィールドに出て来た神に消される

出来るだけ小展開でティアラミスが出てくる前に、少しでもライフ削りたかったんだけどなー

最低でもマドルチェ・シャトーは破壊したかったわ……

 

「んじゃバトル!俺はデストーイ・チェーン・シープでマジョレーヌを攻撃!」

 

チェーン・シープがぎゅるぎゅるとチェーンソーをうならせ、マジョレーヌに突撃する

なんつーか、完全にトーマスのファンサービスです本当にありがとうございました

 

 

蝶野さなぎLP2000→1900

 

 

「さなぎはマドルチェ・シャトーの効果を発動するよ!マドルチェモンスターが墓地からデッキに戻る時、手札に戻すことが出来るよ!」

 

マジョレーヌは怯えた表情をして、さなぎちゃんの手札に戻っていく

ごめんね、このデッキのモンスターこんなんばっかなんや……

 

「ほんなら俺はカードを1枚セットしてターンエンドするわ」

 

カードを1枚Dディスクに差し込み、ターンをさなぎちゃんに渡す

神の警告で大幅にライフが削れたからよし、かなぁ?

俺はさなぎちゃんの挙動を見逃さないように、ただ静かにさなぎちゃんを見つめていた

 

 

蝶野さなぎLP:1900 手札:4

【モンスター】

無し

【魔法・罠】

セット×2

【フィールド魔法】

マドルチェ・シャトー

 

神代凌牙LP:3500 手札:4

【モンスター】

デストーイ・チェーン・シープ/攻2000

【魔法・罠】

セット×1


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