スターウォーズ短編   作:トッキー

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八月中に書いてた短編を発掘しましたので、投稿します。

このゲームって…結構怖いよね?


スターウォーズ短編~死の宇宙編~

<行方不明となっている調査船『スローカム』号及び、それに関する報告書>

 

 ・10日前に通商連合の海域内に突如現れた不審船―――残されたデータから、不審船は『ISHIMURA』という名である事が判明した―――の調査に向かったプロヴィデンス級キャリアー/デストロイヤー『スローカム』号及び、独立星系連合の将軍TO-KK1に関して

 

 上記の戦艦に座乗していたTO-KK1は、艦長であるグリャーゴ提督の指揮の下、突如現れた採掘船と思われる『ISHIMURA』から発せられた、救難信号の細やかな調査に向かう。

 先行していたミュニファスント級スター・フリゲート『3987』に同行し、目的のISIMURAに到着。

 

 しかし、この際にトラブルが発生した。

 同行したフリゲート艦『3987』が突如爆発。通信記録及び航行記録によると、突如操縦系統が異常をきたし、『ISHIMURA』と衝突した事が判明。

 艦は完全に破壊され、『スローカム』の為に用意されていた支援物資の多くが、宇宙の藻屑となってしまった。

 

 単艦となり、また爆発した支援船の影響でエンジン系統を損傷した『スローカム』は、残った装備でも調査は可能と判断。

 『スローカム』の搭乗員は、生き残っていた宇宙船のクルー、ザック・ハモンド、ケンドラ・ダニエル、アイザック・クラークと協力しISIMURAの調査、及び『スローカム』の修理を開始。

 捜索隊はアイザック・クラークと共に行動、『ISHIMURA』内部の探索を行う。

 

 しかし捜索隊が海域に向かってから6日目、『スローカム』からの定時連絡が途絶えた為、新たに戦艦12隻からなる58支援艦隊を派遣。

 ISIMURA付近の宙域に、調査に向かった『スローカム』の信号を捉えた。

 その近辺には一体のアストロメク・ドロイド――『スローカム』に搭乗していたR3-D12と判明――が乗った『スローカム』の脱出ポッドがあり、ドロイドと共に中に残されていた緊急信号を発する保存用ボックスが回収された。

 内部にはメッセージが入ったデータディスクと、調査に関する一連の動画が残されていた。

 データディスクが閉じられていたボックスの表面には、『「ISIMURA」と「スローカム」に近づいてはならない。もう手遅れだ。完全に手遅れだ!全て破壊しろ!!』と書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コレカラココデ起キタコトヲ記録スル」

 

「我々『スローカム』のクルーハ、採掘船『ISIMURA』ノ調査ニ来タ」

 

「ダガ到着シタ際、支援船『3987』ハ、ISIMURAニ近付イタ為ニ重力ニ引カレ、ISIMURAニ衝突、完全ニ破壊サレタ」

 

「支援物資ノ多クヲ喪失シタガ、『スローカム』ニ残サレタ物資デモ調査可能ト判断シ、調査隊ト生キ残ッタ宇宙船ノ乗組員デ、『ISHIMURA』ノ調査、『スローカム』ノ修理ヲ並行シテ行ウ事ニシタ」

 

「接舷ノ折ニ、混乱シタ乗組員ト小競合イガ起キタガ、スグニ和解シタ」

 

「ソシテ自分ハ二個小隊ト、技師ノアイザック・クラークト共ニ、『ISHIMURA』内部ノ調査、修理ニ使エソウナ部品ヲ集メニ行ッタ」

 

「ダガシバラクシテISIMURAノ船内デ『アレ』ガ…『ネクロモーブ』ガ現レタ」

 

「ネクロモーブガ突然現レ、襲撃ヲ受ケタ我々ハ、一先ズ『ISHIMURA』ノ奥ニ逃ゲタ」

 

「ダガ、ISIMURAノ中ハ、『奴等』…ネクロモーブシカイナカッタ…」

 

「我々ハ、何トカネクロモーブヲ撃退シツツ調査ヲ続ケタ…シカシ、シバラクシテグリャーゴ提督ガ、『幻覚』ヲ見始メタ…」

 

「提督ガ言ウニハ、死ンダ母上ガ見エルト…ソシテ手招キシテクルソウダ」

 

「始メハ単ナル見間違イダロウト考エテイタラシイ…シカシ次第ニ提督ノ行動ガオカシクナリ始メタ」

 

「様々ナ場所デ、母上ヤ父上ガ現レ…手招キシテ、声ヲ掛ケテクルヨウニナッタトイウ」

 

「提督モ、次第ニ声ガスルトイウ方向ニ行キソウニナリ、我々ニ何度モ止メラレタ…」

 

「何度モソウシテイル内、提督ハ発狂シタカノヨウニ暴レ、ソシテ制止シヨウトシタバトル・ドロイドノ数体ヲ破壊シ、暗闇ノ通路ノ奥ニ消エタ…直後ニ提督ノ悲鳴ガ聞コエタガ、生体シグナルガ消エタ為、生キテハイナイダロウト判断シタ」

 

「コノ船ニ、アノ化ケ物ガ跋扈シテイル原因ハ不明デアル。ダガ『ISHIMURA』内部ニ遺サレタデータヲ解析シタ結果、コノ船――『ISHIMURA』ヲ訪レタ人間ハ、全員ガ認知症ニ似タ症状ヲ起コシテイル」

 

「主ナ症状ハ幻覚、ウワ言ノ繰リ返シ、発汗、不眠、攻撃性ノ向上ナドガ挙ゲラレル」

 

「ソシテISIMURA内部ヲ探索スル内、『印』ト呼バレルモノガアル事ガ判明シタ。正直、コノ『印』ガ何ヲ指シテイルカハ、モウ分カラナイ。ダガコノ『ISHIMURA』デ起キタコトト、何カノ関係ガアル事ハ確カダロウ」

 

「アイザック氏トハ途中デ逸レ、通信機モ全てネクロモーブニ破壊サレタ…何トカ我々ハ『スローカム』ニ戻ッタガ…艦ハヤツラニ占拠サレテイタ。修理部隊ノ姿ガ見エズ、船内ノ通信装置ニモ応答ガナイ事カラ、警備部隊諸共全滅シタノダロウ。三個師団程イタ部隊ハモウオラズ、残ッタノハ自分ヲ含メ、二個小隊程ダ」

 

「モウ我々ニ出来ル事ハ…」

 

 

 

「更ニ、興味深イ事ガ判命シタ」

 

「残サレタデータノ中ニモ、幻覚ニツイテノ内容ガ幾ツカ残サレテイタガ、ヤハリ認知症ラシキ症状ヲ患ッタ者ハ、全員ガ関ワリノ深イ、既ニ死亡シタ人間ノ幻覚ガ見エルラシイ」

 

「『ISHIMURA』デ起キタ認知症ハ、決シテ認知症デハナイ。恐ラクモット別ノ『何カ』ガコノ症状ヲ引キ起コシタノダト推測出来ル」

 

「ソシテ『ISHIMURA』ノ内部、オヨビ『スローカム』ニ巣クッテイルネクロモーブニツイテダガ、『ISHIMURA』ヲ襲撃シタノハ間違イナク、ネクロモーブダロウ」

 

「ネクロモーブハ、死体ダガ、正シクハ死体ニ寄生シタエイリアンダト思ワレル」

 

「『ISHIMURA』ニ侵入シタネクロモーブガ、『ISHIMURA』ヲ襲撃シ、クルーヲ次々ニ殺シ、新タナネクロモーブヲ作リ出シテイタラシイ」

 

「何故コノ星域ニ『ISHIMURA』ガ現レタノカハ、全クノ不明デアル」

 

「ダガソノ中デ、辛ウジテ生キ残ッタクルーガ救難信号ヲ発信、今回ノコノ調査ノ切ッ掛ケトナッタ」

 

「シカシ既ニ、『ISHIMURA』ニ足ヲ踏ミ入レタ時ニ…我々ハモウ終ワリダッタ…」

 

「今我々ニ残サレタ事ハ、脱出デハナイ。ソンナ事ハ不可能ニ等シイ…シカシ、コノISIMURAト『スローカム』デ起キタ事ハ、伝エル事ハ出来ルハズダ」

 

「コレカラ保存用ノボックスニ、今現在録画シテイルコノメッセージ、ソシテ『ISHIMURA』ト『スローカム』デ起キタ事ノ全テヲ記録シタデータヲ、運良ク生キ残ッタR3-D12ニ託ス」

 

「我々ハモウココヲ出ル事ハ叶ワナイ。私モ脚部ヲ破壊サレ、動ク事ハ出来ナイ。シカシコノアストロメク・ドロイドナラバ、我々ニ起キタ事ヲ伝エテクレルト信ジテイル」

 

 

 

「最後ニ頼ミガアル」

 

「モシコノメッセージヲ拾ッタノガ、味方デ、自分ノ指揮権ガマダアルナラバ、最後ノ命令ヲ送ル。『ISHIMURA』ト『スローカム』ヲ跡形モナク破壊セヨ。完全ニ破壊シロ。欠片モ残サズニダ!!」

 

「『スローカム』モ、『ISHIMURA』モ…モウダメダ。モウ両船ニ生存者ハ、イナイ…我々ヲ除イテ」

 

「コレデメッセージハ以上ダ。分離主義ニ栄光ヲ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 行方不明になっている『スローカム』の搭乗員の捜索、及びそれに関する報告書

 

 確認されたメッセージ、そして同時に中に入っていたログデータとR3-D12に残された記録装置。

 保存ボックスに残されていたデータから、メッセージに現れた戦術ドロイドは、画面に映っていた製造番号から、TO-KK1と確認された。

 ログデータに遺された情報から、調査船『スローカム』と支援船「3987」の行方、そして採掘船『ISHIMURA』の内部で発生した事件の詳細が判明。

 

 派遣されていた58支援艦隊にその事件のデータが送信され、艦砲射撃及びプロトン魚雷による雷撃によって、採掘船『ISHIMURA』及び『スローカム』の完全な破壊が確認された。

 

 尚、ログデータから今回の事件には、共和国や分離主義勢力の手が届かないような場所の星系に、今回の事件との関連が疑われる宗教団体の存在が発覚した。

 早急にこの星系に艦隊を派遣し、今回の事件との関連性を明らかにする必要がある。

 

 調査船『スローカム』艦長、グリャーゴ提督は二階級特進。

 同様に、極めて異例だがTO-KK1の二階級特進も認められた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・追記

 遺されたメッセージやログデータの繰り返し再生してみると、所々でなにやら合成じみた、女性の歌声と思われる音声が記録されていた。

『スローカム』号には女性の搭乗者はおらず、その問題の音声を照合記録にかけてみた。

 その結果、「あの音声は『ISHIMURA』に派遣されたケンドラ・ダニエルズという女性調査員ではなく、ニコール・ブレナンという『ISHIMURA』にいた女性クルーである事が極めて高い」という結果が出た。

 

 しかし不可解な事に、その記録されていた日時に『ISHIMURA』船内には、女性の生存者は誰一人として存在していないことが判明。

 またそのニコール・ブレナンなる女性クルーは、技師のアイザック・クラークを含む調査員達が、『ISHIMURA』に到着するわずか数日前に自殺していたことも判明した。

 

 この事から、結局あの歌声が誰のものなのか全くの不明であり、結論として機械の不調によって誤って録音されたものと位置付けられた。

 

 

 

 

<独立星系連合に提示された報告書より抜粋 >


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