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なぜか回答中に免許の学科試験を思い出す。
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問題文の言い回しが気になって不安になる。
あるあるですよね?
装備を整えていた僕らは昼食に時間が近づくと、昼食後そのまま出発するため装備を身に着けたまま部室へ向かった。僕は64式小銃に9ミリ拳銃、ジャイアンは89式小銃にM9拳銃、110ミリ個人携帯対戦車弾、スネ夫はM4ライフルにM9拳銃となった。大体いつもと同じである。それに加え、隠密行動をするため、戦闘用に各自特殊警棒を装備した。街の警察官がよく腰に吊るしているアレだ。携帯時にはコンパクトだが、戦闘になれば一振りで取り回しのよいスチール製の鈍器となる。ゾンビが少数ならこれで対処できるはずだ。装甲車にはM2重機関銃を搭載してあるため、囲まれてしまった時も火力不足には陥らないだろう。それら武器に加え最低限のサバイバル物資―水や非常食、ライト、発煙筒、発火用具、各火器に対応した予備弾、メディカルキット―を詰め込んだバックパックを背負うと全身の総重量は20kgを超え、LAMを装備するジャイアンに至っては30kgを超える。僕もスネ夫も無理すれば50kgは運べるし、ジャイアンは70kgはいけるだろうが、時に全力疾走しなければならない状況もあるために、ある程度の軽量化を図った結果の荷物量だった。
「準備できたー?」
「おう。オッケーだよ」
生活部室に入るとすぐに返事が返ってきた。3人はすでに着席し、昼ご飯の準備を始めている。準備といってもテーブルかけだが。装備を見てみると、胡桃はいつも通り制服にプロテクターを付けたうえでシャベルを装備、肩から見覚えのある革製のベルトがスカートの中に伸びているため、その下には僕が渡したM37が入っているのだろう。スカートの中に装備したのか・・・。
若狭さんと先生、丈槍さんはいつも通りの恰好にリュックを背負い、丈槍さんだけ金属バットを持っている。
「先生と若狭さんは何か武器はないんですか?」
「これまで使ってたのはもうボロボロで。新しいのが部室棟にあるから下に降りるときに取りに行こうと思ったんだけど」
部室の壁にはボロボロになった木製バットが立てかけてあった。確かにこれを持って外に出るのは不安だろう。
「そうした方がいいですね・・・。金属バットはもうないんですか?」
「とっさに持ってきたのがこれだったから詳しくはわからないけど・・・」
「確か野球部の予算では木製バットの要求しかなかったはずですから、もしかしたら金属バットは使ってないのかもしれません」
とすると丈槍さんが持ってるのは数少ない金属バットのうち1本だったってことか。
「高校野球は木製バットも認めてるしここは金属バットあまり入れてないのかもしれねぇな」
「あ、そうかジャイアン野球部だったっけ」
「思い出した! 1年の時入部直後に月見台高校ジャイアンツとか勝手に改名してたよね」
「あの時はホントに調子乗ってたわ」
1年生の時にやらかしたジャイアンは散々先輩にしめられたそうだ。暴力に訴えた奴は学年にかかわりなく返り討ちにされたらしいが、根はまじめであるジャイアンはそれなりには反省していたらしい。反省していたのか・・・?
「まぁ銃が使いたかったら今度講習会開きますので今回はバットで我慢してください」
胡桃に渡したM37は初心者にも扱いやすいとはいえ1丁しか持っていないし、軍用の拳銃やライフルは思った以上に重いし反動が強い。今すぐ持たせても仲間に被害が出る可能性があった。そういえば僕が初めて実銃を持ったのは小学生の時、西部開拓時代に家出したときだったな・・・。ホルスターから抜いた時に重さで狙いがつけられなかったっけ。
「分かったわ。講習よろしくね。全日本チャンピオンさん」
「あれ、僕そんなこと話しましたっけ」
「俺たちが教えたんだよのび太。それより腹減ったから早く飯にしようぜ」
「あ、うん。そうだったね」
さて、今日のご飯は何にしようか。
昼食を食べ終わり、お腹が落ち着いたところで校庭のゾンビが少ない時を見計らい、部室棟でバットを手に入れると装甲車に乗り込んでまず暖気運転をする。校庭にいるゾンビは少ないし、装甲車の中にさえいれば襲われる心配もないからエンジン音に関しては問題ない。暖気中の燃料はもったいないが、冬場はバッテリーが上がりやすいのでそれは諦める。それに燃料は遠征の帰りに最寄りのガソリンスタンドで調達予定だった。以前給油したときはガソリンがほとんど無かったのに対して、軽油は半分以上残っていたため、今回も特に問題はないだろう。ディーゼル車が排出ガス規制によって減っていたことは僕らにとってプラスに働いたようだ。
「思ったより狭いのね」
車内の対面シートに座る若狭さんが物珍し気に車内を観察していた。女子高生が自衛隊車両に入ることなどオタクでもなければほぼありえないのだから当たり前といえばそうだ。
「まぁ軍用車だからね。大きく見えても大体エンジンと装甲のせいだよ」
一応完全武装の隊員が8人乗車できる設計ではあるのだが、いかんせん車格のわりに車内で直立することができないので圧迫されるような感覚に陥りやすいのだ。
念のため言っておくと、僕たちの臭いが染みついていた車内は昨日荷物を部室に上げたときに一緒に清掃され、午前中いっぱい全てのハッチを開けた状態にすることで完全に換気されていた。
「確かに狭いから96式だけだと何かと不便だよなぁ。拠点張っちゃったんだからそろそろ乗用車タイプの移動手段も欲しくない?」
「高機動車とかハンヴィーとか?」
「そうそう。軽装甲機動車も捨てがたいけど荷物あまり乗らないし」
「別に軍用車に限らなくてもいいんじゃ・・・?」
「「「そこは男のロマンだから」」」
「ご、ごめんなさい」
若狭さんごめん。ここまで揃えたら全部揃えなきゃ気が済まないんだ・・・。
「しばらくしたらまた駐屯地いってみようか。このあたりだと横浜駐屯地とか」
「横浜駐屯地とか輸送隊しかいないじゃん・・・」
「いや、高機目当てならそれで充分だろ。輸送隊でもある程度物資があるだろうし」
僕らが普段使っている装備は学校に派遣されていた部隊の遺品であったが、予備や物資として蓄えたそのほとんどが月見台から近い練馬駐屯地から拝借してきた物だ。どうやら首都東京は放棄されたらしく、僕らが駐屯地に到着した災害発生から7日目の時点で、主要な武器庫は空であったが、予備装備であろうものは残されたまま人っ子一人いない無人の駐屯地となっていた。車両が数多く残されていたことから、おそらく配属されていた部隊はヘリコプターで脱出したのだろう。
「まぁそれは学校の補強が終わってからだね。別に逼迫してるわけでもないし」
「結局持ってこれたのはほんの一部だけだったからなぁ」
それでも装甲車1両丸々占有するほどの量なのだからその膨大さは言わずとも知れよう。
「もし部隊が戻って武器を取りに来る計画があったとしたら俺たちとんでもないことをしでかしたのかもな・・・」
考えられることではあった。一旦貴重な戦闘訓練を積んだ人材を護衛艦や無人島、大規模な基地で保護し、少数精鋭の部隊が全国で放棄された基地の物資を回収しに大型輸送機や輸送ヘリで戻ってくる。数日に一度、偵察機の物と思われるジェットエンジン音を聞いていたのもそれならうなずける。リスクの少ない地域を選別しているのだとしたら。
「まぁ持ってきちゃったものは仕方ないし。・・・そろそろエンジン温まったんじゃない?」
「おっそうだな、行くか!」
「安全運転でお願いしますね」
「ジャイアンなら大丈夫ですよ・・・って」
「そういえば先生は車の免許持ってるんですか?」
「え、ええ。普通免許ですけど・・・」
「マニュアル車は?」
「それはAT限定ではありませんから一応経験はありますけど」
「・・・じゃあ例えばトラックって運転できます?」
「ええっ!? む、無理ですぅ!!」
「だいぶ大規模なショッピングモールだな」
リバーシティ・トロン・ショッピングモール。このあたりでは最も大きなショッピングモールであり、大手ホームセンターも併設されている。映画ではこのような災害が起きたとき、逃げ込んだ人々がショッピングモールに籠城する場面がよく見られるが、ここはどうなのだろうか。見たところ正面入り口はバリケードなどはないし、屋内には何体かのゾンビがうろついている。上階の一区画を安全区域としているのだろうか。
「多分駐車場入り口のあたりに搬入車用のドックがあるはずだけど・・・」
「・・・あそこか。お、ちょうどよさそうなトラックが止まってる」
「3トンかな・・・。先生本当にダメなんですか?」
「私はミニクーパーで限界なんですぅ!! のび太君はこの装甲車運転できるんでしょ!?」
「なんかめぐねぇ必至だね・・・」
「そんな運転下手なのかな・・・」
ああ、先生としての誇りが落ちていってますよ・・・。
「だって私最近までペーパードライバーだったんだもん・・・。トラックなんていきなり無理だもん・・・」
すっかりいじけてしまった先生。もうめぐねぇでいいや。
「まぁのび太なら出来るだろ。別にぶつけたっていいんだしへーきへーき。適当に運転すればダイジョブだって」
「簡単に言うなぁ・・・」
ブツブツいいながらも思っていたほど大きくないトラックを見て、これならなんとかなりそうかなと少し落ち着く。96式を見慣れてしまったからだろうか。
ジャイアンはなめらかな動きですでにトラックが停まっていたせいで狭くなった搬入口に装甲車を入れ、ヘッドライトで中を照らし車内から様子を伺うが、幸い一体もゾンビはいなかった。後部ランプを開いて念のためハンドガードにフラッシュライトを取り付けたライフルを構え、降車すると周囲の安全を再度確認する。どうやら本当に何もいないようだ。当然ながら電気が止まっているため店内に続く広い廊下は暗く、ライト無しでは危険だ。
「スネ夫、ヘッドライトとって」
僕らは防弾チョッキにもL字ライトをつけてあるのでそれで我慢し、他の4人に両手がフリーになる頭部装着型のライトをつけてもらう。予備を含めて駐屯地で拝借してきたものだ。軍用のため若干重いが、ここなら登山用の軽く使いやすいものが手に入ると思うので、しばらく我慢してほしい。暗視装置を使用すれば奴らの注意を引くこともなく店内までたどれるが、いかんせん予備が無いため、僕らしか使えない。薄暗く危険な場所に彼女たちを放り出すわけにはいかず、安全と確実をとることにした。
「全員ライトつけたね。とりあえずこれからの作戦だけど、まずは1階のホームセンターを制圧してここから通じるとこを残した入り口を潰したい。こことこことここだね」
搬入口に掛けられた店内見取り図の3か所を指して説明する。現在地は駐車場につながる南口のようだ。
「大きさ的にカートと持ってきたワイヤーを使えばすぐ封鎖できるだろうけど、問題は店内にいるだろうゾンビの数だ」
日本で感染爆発が起こったのは12月21日金曜日。昼まではまだ何事もなかったからここを奴らが襲撃したのもおそらく午後に入ってからだろう。となると平日とはいえホームセンターには少なくない人がいたと考えられる。
「基本的に銃は使わず鈍器で静かに制圧する。数が多ければケミカルライトで誘導して背後から始末すること。いいね?」
静かに全員うなずき、作戦を理解したことを確認する。
「よし、東口から順に封鎖していくぞ」
車両が奪われないように手動式だった搬入口のシャッターを閉め、本当の暗闇となった店内につながる廊下をジャイアンを先頭にして歩き始めた。
店内の封鎖は思った以上に簡単だった。
モール街から続く北口は襲撃時に誰かが操作したのか床から50cmほどまでシャッターが降りていて、一番小さな西口はゾンビが暴れたのか崩れた棚で埋まっていた。大通りに面した東口は店内の大型カートを繋げ、ワイヤーで柱に縛り付けることで胸より高い障害物を乗り越えることができないゾンビにとっては即席でも丈夫なバリケードとなった。
「一周した感じそんなに多くのゾンビはいないみたいだな」
「多くて20体ってとこか?」
「いや15体以下だろ」
「とりあえず知らぬまに周りを囲まれることはなさそうだ。いつも通り湧き潰しするぞ」
湧き潰しとは某有名クラフトゲームで敵キャラが出現しないよう区画全体を明るくする方法である。しかし当然店内すべてを明るくするだけの光源を持ってるわけでもないし、ゾンビはむしろ明かりに寄ってくる性質を持っているため、僕らはそれを利用した「ケミカルライトを離れた場所へ投げ、寄ってきたゾンビを潰す」という手法を湧き潰しと呼んでいた。1ヶ月近くの放浪生活で身に着けた物資回収の基本動作である。おもちゃに夢中の死体を背後から襲うだけの簡単な仕事のため詳細は割愛する。
結局ホームセンター内にいたゾンビは17体だった。スネ夫の予想が正解である。
「よし、全部倒したと思うけどもしかしたら隠れてたやつが出てくるかもしれない。必ず2人1組以上で行動して何かあったら無線を使うこと」
「「「「「はーい」」」」」「ラジャー!」
バリケード用資材はジャイアンたちに任せ、僕たちは電池やライト、保存食や車両整備用の工具、オイルを物色する。役に立ちそうなものを値段も気にせずカートの中に放り込んでいるとだんだん楽しくなってきた。これまで3人で放浪していたときは嗜好品を探してコンビニ程度にしか入らなかったため、安定した生活のために商品を物色するのは新鮮な体験だ。ちらりとDIYコーナーを見るとジャイアンとスネ夫はとりあえず目についたものを片っ端からカートに詰め込んでトラックに放り込み、また戻ってくるといった行動を繰り返しているようだ。どうやらあの二人の頭の中では【買い物のテーマ~全品100%off~】が流れているのだろう。ロケットランチャーはあるかな? 説明書を読めば撃てるはず。
そういえばジャイアンが持ってたな。
1時間後、特に制限を設けなかったせいで発電機二式とガスコンロ、ガス缶、バリケード用の加工木材、木工から電装工事まで可能な各種工具、ネジや釘、タッカーなどの部品、鉄パイプ、塩ビ管、ロープ、ワイヤー、携行ライト、シャツ、下着、飲料や乾パン、アルファ米、フリーズドライ等の保存食など、雑多な物資で3トントラックの荷台はいっぱいになった。装甲車には燃料携行缶が以前取り付けた鉄パイプを利用して8つ搭載され、一見しただけではERA(爆発反応装甲)のように見える。
「トラックはいっぱいだから今回はこれまでだな。装甲車は余裕あるけどそろそろ上行く?」
「正直モール街も見る必要あるかな・・・?」
「長期的な娯楽を手に入れるなら本屋が一番だと思うけど」
「ああ、娯楽か・・・。忘れてたよ。本屋は何階にある?」
「のび太が言い出したことなのに忘れるなよ・・・。確か3階だったかな」
「エスカレーター周辺はあいつらが多いだろうし非常階段で登るか」
「非常階段は・・・ここか。そんなに離れてないしそうしよう」
北口の壁に掛けられた館内見取り図の現在地と非常階段の位置は4ブロックしか離れていない。スネ夫が言った通り、外から見たエスカレーター周辺は奴らが多かったので回り込んだ方が安全だろう。
「僕が先に行くから合図したら来てくれ」
スネ夫が匍匐体制になり、しばらく外の様子を確認してから50cmほど開いた北口のシャッターを潜り抜けた。あたりを動き回る音が聞こえたが、しばらくすると、
『遠くに3、4体いるだけだ。大丈夫だぞ。クリア』
安全を伝える合図があった。
胡桃、ジャイアン、若狭さん、先生、丈槍さん、僕の順番でシャッターをくぐり、5階まで吹き抜けになったメイン通路に出た。途中若狭さんと先生の胸部装甲がつっかえるというアクシデントがあったが、もがいたことによる下着のチラ見せという犠牲を持って無事にくぐれたと言っておく。このことは彼女らには黙っていよう。スカートをはいて遠足に行く彼女たちが悪いのだ。
それからしばらく通路の端を歩き、ところどころ柱の陰に隠れ、ケミカルライトを投げて奴らの視界を誘導して非常階段に近づいていくが、直前の角を曲がったところで不味いものと出くわしてしまった。
「ストップ」
口には出さずハンドサインで後続に伝える。もしアレが感染済みの奴なら、気づかれた段階で俺たちは全滅する。どうかそのまま気づかないでいてくれ・・・。そのまま回れ右して後退の合図を出し、2ブロック前のアパレルショップのレジ裏にとりあえず避難した。もちろん安全確認は怠っていない。
嫌な汗が流れる額をぬぐい、息を吐くと何があったか表情で聞いてくる6人にこうつぶやいた。
「・・・犬がいた」
(コマンドーネタなんて)ないです。
価格を気にせず買い物したい。
あとホームセンターは勝手に併設させました。