少女はお辞儀することにした   作:ウンバボ族の強襲

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コドモドラゴン

 クリスマス休暇終了。

 ホグワーツに戻ってきたベス。

 

「ん? 何かドラゴン臭いぞ? 誰かドラゴンでも入れたのかしら?」

 

 そんなこと思ったけどベスはスルーした。

 

「……フォ?」

 

 マルフォイはスルーしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「祝!! グリフィンドール大減点!! いぇえああああああああああ!!!!」

 

 

「ヒュゥーーーーーー!!」

「おっしゃああああああああ!!」

「減ったあああああああああああ!」

「……1wwwwwww5wwwwwwwww0wwwwwww」

「150! 150!! 150!!」

 

 スリザリン寮は浮かれていた。

 それはもう、床は抜け、天井は突き破れ、杖の先から迸った火花で巨大イカですら丸焼きになる程の浮かれっぷりだった。

 マルフォイがあることないことをフィルチにチクった結果、グリフィンドールからあの3人組で合計150点ほどマイナスされたようだった。

 ちなみにマルフォイもとばっちりで20点引かれていたりする。

 けど、そんなこと誰も気にしない。

 

 

 

「おっしゃこれで優勝キターーー!」

「最優秀寮杯が見えてきたーーー!」

「おあああああああああ!!」

「いえああああああ!」

「カボチャジュースのじゃああああああい!!」

「今夜は飲むぞーーー!」

 

 スリザリン生はやっぱり浮かれていた。

 

「ドラコ様に祝杯をぉおお!」

「ドラコ様ーー! よくやったぜドラコ様ーー!」

「……ドラコ様最高」(嘲笑)

「はっはははははは! 君たちこれしきのことで浮かれるなんてやめろよな! 品性が疑われるね! 全く下品極まりないよ。僕たちは純血なんだからもっと誇り高くあるべきじゃないかい? 君もそう思うだろラドフォード?」

「せやな」

「そ、そうだろう! ほ、ほらそうだろう!?」

「イカうめぇ」

「ベスちゃんイカの丸かじり似合うねーー」

「その意気や良し」

「イカ……イカ……ウマイ……ウマイ……」

「イカ、ウマイ、ドラコ、喰う」

 

 やっぱりスリザリン生は浮かれていた。

 

「ん? あれ? こんな時に祝いたいハズのスリザリンのクィディッチ、シーカー、テレンス先輩の姿が見えないわ。キャプテーン? テレンスはー?」

「『風が俺を呼んでいる……』らしい」

「理解した」

 

 スリザリンシーカーのテレンス・ヒッグスは、独り罪悪感を感じていた。

 シーカー、それは孤高の存在。

 勝てば英雄、負ければ戦犯。

 

 勝利すれば寮からの尊敬を全て浴するという美味しいポジションだが、敗北すればヘイトが一気に向く。

 最早シーカー歴も短くないテレンスはそのことをよく分かっていた。

 だからこそ、次の試合こそスニッチを掴まなくてはならない――そのプレッシャーを乗り切るために、独り校庭の使用許可を貰い、低速調整したスニッチと駆け回る訓練に明け暮れていたのだ。

 

「フッ……世界は俺の速さについてこれるか……!?」

 

 刻むぜ、クイーンスリープのビート……! という声と共にテレンスは縦横無尽に夜空を駆け巡る。

 星も月もない、曇天の夜空。

 やがて疲れ切り、汗だくになったテレンスが更衣室に向かうと……そこには。

 

 

 カボチャジュースとお菓子の山。そしてイカの丸焼きという謎のラインナップが置いてあった。

 傍にはカード。

『祝! グリフィンドール150点減点記念!』

 そして傍らには疲労回復に抜群の効果があるという魔法薬も置いてあった。

 調合難易度のかなり高い魔法薬――恐らくは、最高学年の生徒ですら失敗するかもしれない薬だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハグリッドです。ドラゴンの卵を発見しました超嬉しい、生きててよかった」

 

「あっそ」「マジで」「なぁ知ってるか? それ……ハンガリー・ホーンテイルなんだぜ」

 

「生まれるぅうううう!」

 

「ここ木の小屋なのよ?」「ヤバい」「ひっひっふー! ひっひっふー!」

 

『ギャー!!』(どうもこんにちわ、ハンガリー・ホーンテイルです)

 

「はっははははー! どうだ、美しかろう……え?」

 

『ギャーーーーー!』(わぁ、折角この世に生まれ出て、ちょっとドジっ子なドラゴンマミーに会えると思ったら目の前に居たのは毛むくじゃらの下等生物でした。世界に絶望しました、死にます。短いドラゴン生でした)

 

「よく吠えるわね」

「駄目だよそんなこと言ったら! 君は尊い、命は存在するだけで美しい。ほら世界はこんなにも輝いてる!」

「ハリー君突然何マー髭チックなこと言いだすんだい?」

「何か僕、昔から爬虫類の言ってることが何となく分かるんだ」

 

『ギャー!!』(勇気貰った。。。自殺やめます)

 

「何か元気になったわ」

「さっさと森に帰そうハグリッド」

「(´・ω・`)」←※ハグリッド

「じゃあそうゆう訳で兄ちゃんに手紙書くわ」

 

『一番高い塔に来てbyちゃーりー』

 

「「「塔の上までドラゴンを運搬します」」」

 

「ギャー!!」(よっしゃ大空に向かって羽ばたくでーー! じゃあの!! 下等生物共!!)

 

 その光景を見つめるマルフォイが居たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「お疲れさまです!! ポッターさん!!」」」

「あなたのお蔭で最優秀寮にノミネートされました!まさに救世主ですありがとうございます!」

「おらスリザリン! 今回の150点祭の功労者たるポッター様がお通りになるぞ道開けろゴルァ!」

「流石ポッターさん! 俺たちに出来ないコトを平然とやってのけるッ!そこに痺れる憧れるゥ!」

 

 スリザリン生はハリーを会うたびに基本的に土下座してエクストリームお辞儀を各自疲労困憊しながら披露していた。

 ハリーたちは基本的にはスルー。

 というか、グリフィンドールでかなり肩身の狭い思いをしているようだった。

 

 

 コツコツと皆で必死こいて積み上げた得点一気に削られたのだから当たり前と言えば当たり前だが、ぶっちゃけ11歳の子供にその対応はどうかと思うのがホグワーツ。ウワサとか風評被害で人のことを勝手にハブったりするのがホグワーツ。ついでに掌が頑丈なので以外とすぐに忘れたりもするのがホグワーツ。

 素晴らしい、皆小さいが立派な英国紳士になる素質を備えておる。

 

 

 そんな感じで学期末試験が終了した時だった。

 

 

 

 

 

「ベス、一緒に来てほしい場所があるんだ」

「こんにちわスリザリンの救世主ポッターさん……え?」

「ベス、一緒に来てほしい場所があるんだ」

「マジすか……何処? 今から?」

「4階の廊下」

「マジすか……ヤバいっすね……私死ぬんじゃね?」

「ベス、お願い」

「えー……えー……。……えー……」

 

 

 

 

「今度一緒にトイレ磨いてあげるからお願い」

 

「よっしゃ乗ったわ! 逝きましょう!!」

 

 

 

 

 

 







お気に入りが3桁言ったら秘密の部屋編もやろっかなーとか考えてます。

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