第一クトゥルフ神話『殺人犯だらけの毒入りスープ』   作:カロライナ

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Episode1-5 マチェーテ=ブレア

 マチェーテは頭を捻っていた。

 今回の件に関して、あのガン=スリンガーはどうでもよくはないが、今抱えている問題としてはどうでも良かった。

 

「ロジーナ=ブレア(53)・・・。」

 

 昨晩、奇妙な夢の中で自分が出会った人物。自分と比較した時の美しさは、劣ると言えない 謎の多いただの運転手の名前。

 

 

 

 

 

「ガン=スリンガァァァ!!!!」

 

 マチェーテは元の世界に帰ってきた直後。ガンを殺せなかった怒りと自分が選んだ行動による葛藤で、趣旨を変えて誘拐、監禁していた人質を鬱憤を晴らすがごとく鏖殺(おうさつ)(皆殺しに)した。正直、更なる罪が重なろうが多額の身代金が貰えようがどうでも良かった。1人は 監禁部屋に入った瞬間に首を撥ね飛ばし、1人は怯えているところに心臓をひと突き。最後の一人は、倒れた屍体から血のスープを作り出し それを人質自身に カエンダケの絞り汁も混ぜて飲ませた。そして、その人質が苦しみに苦しみもがいて、吐瀉を吐き出したところに足の腱をクラーレマチェットで切り裂き切断。痙攣と泡を吹きながら こと切れるのを眺め楽しんだ。そして呼吸をする者がマチェーテしかいなくなった今、心の中で気持ちの整理が少し調った。

 

 

 

 そして、ふと思い出すロジーナ=ブレアの姿。名前。無表情で何を考えているか全く分からなかった女。

 マチェーテが ガン=スリンガー以外に彼女に興味を持った理由は、その名前。特にラストネームが気になった。実のところ マチェーテにもラストネームはある。マチェーテの本名は マチェーテ=ブレア。ベトナムブレア家の長女にして 少ないベトナム種 ブレア家の人間。

 最初はロジーナのラストネームを聞いたときは、スペルの違いの可能性も考えた。しかし、どうしても他人には思えなかった。それを言ってしまえば、あの特殊性壁を持つジルドレも『それ』に該当してしまうのだが、とにかくマチェーテは何かをロジーナから感じ 察していた。

 そして是非とも一戦交える・・・・否、殺してみたいと思った。

 蒸し暑い地下牢がマチェーテと3つの屍体、嘔吐物を熱し なんとも言えない悪臭を充満させる。使えるものを回収すると拠点としていた山小屋の地下から出て行った。

 そして、バスルームに入ると少しでも身体に染み付いた臭いを落とすため 全裸になり身体を洗い始める。マチェーテは入浴の時間も決して嫌いではなかった。人肌程度のお湯を頭から被る。その感覚は粘着質ではない為 感覚が微妙に異なっていたが暖かさは人間の血液そのものに等しく とても愉快で心地よかった。汗で蒸れた箇所 家畜共の血液が飛沫した箇所を念入りに洗う。

 人の印象は、初対面の場合 第一印象でその後の関係が決まると言っても過言ではない。以前、臭う体臭のまま『狩り』に出かけたことがあった。結果はマチェーテの中で散々だった。『獲物』に近づけば臭いで異常を察知され、どんなに綺麗な顔で悪意のない表情を作り上げ、親しげに近付こうが 体臭がキツければ拒まれてしまう。結局、その獲物には一回逃げられたが追いかけて殺した。それ以来 体臭には気を使うようにした。

 風呂から上がり身体をバスタオルで適当に拭きあげると身体に 拭いたバスタオルを巻きつけ 山小屋のリビングに戻る。窓の外から聞こえる小鳥の声や、鮮やかな新緑は人の心を癒すであろう。マチェーテにとってその景色は自分の姿を隠す都合の良い環境でしかなかったが。そして、何か朝食を食べようと この世界で 普通の生活を送っている人のように 、人質が持っていた小型テレビを付け、登山バッグの中から 携帯食取り出し食べる。それはマチェーテのものでは なかったが、その持ち主自身にも もう必要のないものであった。

 ご機嫌な様子で竹を使った椅子に座り 飲み物と携帯食料を頬張る。

 

「ん〜〜っ‼︎ にゃーーっ‼ やっぱり朝の朝食は最高だにゃ‼」

 

 そして、今日は何処で誰を襲撃するか、警察官や軍人を久々に狩ろうか、それともその家族を狩り もっとスリルを楽しもうかと計画を練り悩んでいると小型のテレビがある映像を映し出す。

 それは、マチェーテに関するものが6点。そして国際ニュースが1点の内訳だった。久々にニュース犯罪ホットトピックを制覇できるかと心待ちにしていたマチェーテを軽々と裏切った。そして、どんな国際ニュースが流れるのかなと視線を傾ける。

 流れ出したのは、何かの幸運か、はたまた不幸か。ガン=スリンガーの情報だった。顔写真付きで流されるのを見て、思わず マチェーテは口に含んでいた飲み物を噴き出した。

 急いで机の上にメモを取る。国籍や最終目撃箇所、潜伏箇所、今後の足取り等。その机の痕跡を残すことで、ここに突入してくる警察官は自分のことをまた大々的に取り上げるだろう。そして大勢の仲間をつれてやってくることは明白だったが、彼女はそれでよかった。

 もしもマチェーテがアメリカの住所を書き残して、ベトナムから姿を消したという情報がアメリカにも渡ったら? 運よくその情報が何らかの形でガン=スリンガーに伝わったとしたら? ガン=スリンガーは焦るだろうな。そして毎晩眠れぬ夜を過ごすかもしれない。そう妄想を膨らませるだけで、マチェーテの股は濡れだした。興奮が抑えきれない。あの空間の中で平々凡々な顔つきのガンが怯え、自分に許しを請う姿を。いや、弱みを時々見せていたが、案外強気に立ち向かってくるかもしれない。マチェーテの妄想は広がり続ける。

 そして、ニュースが終わるのと同時に バスルームに戻り迅速に着替えを済ませ、壁にマチェットで『ゲームオーバー』と刻み付けると使えそうな荷物を手に 山小屋の外に飛び出していった。

 

 

 




【後書き】
これにて、『殺人犯だらけの毒入りスープ』の閑話は(一旦)終了です。
最後までお付き合いして頂いた方。誠にありがとうございました。

第二クトゥルフ神話『男の娘だらけのGo for broke!!』を投稿している間は
一度、休止させて頂きます。また【第二クトゥルフ神話】のお話が終わった後、
再開しようと思いますので、それまでの間、暫しオサラバです。


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