ヒーロー殺しの継承者   作:知ったか豆腐

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短いです。
思いつきと勢いだけで書きました。


ヒーロー殺しの継承者:プロローグ

 世界総人口の約八割が何らかの“特異体質”である超人社会となった現在。

 かつて誰もが憧れたヒーローが現実で活躍し、一つの職業として成り立っている。

 

 でも、ボクはそんなヒーローたちに絶望していたんだ……

 

 

 

 

 ボクの名前は、胸内(ムネウチ) (サトル)。十五歳の中学三年生だ。

 “個性”は「感情察知」。

 周囲の人間の今の感情が何となく分かるという、あまり大したことのない没個性である。

 

 ――――と、周りには嘘を吐いている。

 

 ボクの本当の“個性”は「読心」。

 感情どころか周囲の心理を読み取る、それこそ集中すれば深層心理まで暴くことができる。

 ついでに言えば、恐怖心を煽ったり、特定のモノから意識を逸らしたりなど、簡単な心理誘導までできてしまう。

 ヒーローとヴィランで言えば、ヴィラン向きの個性だろうね。

 

 まぁ、そのことを抜きにしても心を自由に読んでくるヤツなんて、だれも相手にしようと思わないから秘密にしているのだけど。

 

 悪意、敵意、嫉妬、怒り、恨みetc……

 そんな少々、厄介な個性を持ってしまったボクは、小さいころから人間の醜い本心に触れてきた。

 だからこそ、幼いころは正義に満ち溢れ、清い心を持っているだろう、理想(ヒーロー)に憧れていたものだった。

 

 結局、理想はあくまで理想で、現実ではなかったわけなんだけどね。

 

 ボクの個性が出てから約十年。

 いろいろなヒーローを見てきたけれど、本当のヒーローと呼べる者には出会えなかった。

 

 地位、名声、名誉、栄光、金……

 

 彼らの誰もが表面は取り繕っても、心の中では私欲にまみれていたものだから、ボクが失望したのは当然だろ?

 

 

 “自らを顧みず他を救い、己のためではなく他人のために力を振るう”

 

 

 こんなボクの理想のヒーロー像はあっけなく粉々に砕け散ってしまったわけさ。

 

 こうして、理想のヒーローなんていやしないという社会の現実を突きつけられて以降は、諦観の思いと共に日々を過ごしてきていたわけである。

 胸の内に燻ったものを抱えながら、いつか折り合いをつけて生きていくんだろうなぁ、っと、思っていたんだ。

 

 

 彼と出会うまでは――

 

 

 

「ハァ……、どいつもこいつも贋物ばかり……まだまだ社会を正すには程遠い……」

 

 

 薄暗い路地裏に立つ、血のように赤い巻物と全身に刃物を携帯した禍々しい姿の男。

 その足元には派手なコスチュームを着たヒーローと思われる人物が血だまりを作りだしている。

 

 殺人現場だ。

 一刻も早くその場を去るか、すぐに警察を呼ぶべきなのにボクはその場から動くことができなかった。

 恐怖で動けなかったんじゃない。

 彼の思考に、いや、思想(・・)に共感して、感動したからだ。

 

 

 “贋物が蔓延るこの社会も、

 

 徒に力を振りまく犯罪者も粛清対象だ”

 

 “英雄(ヒーロー)”を取り戻すために、誰かが血に染まらねば”

 

 “正しき社会のために!”

 

 

 彼の考えは、ボクの中で燻っていたものに火を点けるのに十分だった。

 “贋物”ばかりなら、“贋物”を排除して“理想”のヒーローだけを残せばいいんだ。

 

 この思想は衝撃的で、鮮烈にボクの心に染み渡り、浸透していく。

 

「あの、すみません!」

「ハァ……、なんだ? ここは子供が立ち入っていいところじゃない」

 

 感情が高ぶるまま、彼に声をかける。

 彼は殺気を孕んだ視線を向けてくるが、ボクはそのギラつく視線にさらに興奮してしまった。

 だって、それには彼の静かに燃えているように感じてしまったのだから。

 彼の思想に共感して、憧れてしまったのだから。

 

 だから、ボクはこう彼に告げたんだ。

 

「ボクも、あなたみたいに社会を正す人間になれますか!?」

 

 

 “現実”を“理想”に。

 

 

 これはボクが最恐のヒーロー殺しになるまでの物語だ。




ヒロアカにはまり、つい書き上げてしまいました。
ヒーローに不満を感じている人間ほどステインには共感しそうな気がします。

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