「ボクも、あなたみたいに社会を正す人間になれますか!?」
ボクの中で燻り続けていた“ナニカ”。
その答えを体現した彼に、思わず投げかけたその言葉に――
「なにかと思えば……ハァ……勘違いした子どもの戯言か」
鋭い刃物の一閃。
飛び散る血液。
彼の返事は、明確な拒絶だった。
彼の“個性”なのか、身体が動かなくなって倒れ伏す。
視界の半分が地面で埋まる中で、彼が遠ざかっていくのを感じた。
どうして?
拒絶された理由を知りたくて、ボクは個性を使って彼の心を読み取った。
『俺のことがヒーローにでも見えたか……』
違う、あなたは
『ハァ……こいつみたいに、偽善と虚栄にまみれた贋物を
知ってるんだ! ボクも世の中のヒーローが理想とかけ離れていることを!!
『この歪な社会を正さねば……
その手伝いをボクもさせて欲しいんだ!!
彼の思いに対して言いたいことはいくらでもあるはずなのに、言葉が出てこない。
なんて言えばいい?
どう伝えれば、このボクの気持ちは伝わるんだ?
まずは、誤解を解いて……
いや、いったい何を誤解してるのか説明できるのか?
ボクの個性のことを伝えて、「あなたの思想に共感した」とでも言えばいい?
心を読むなんて、ただ警戒されるだけになるんじゃないのか?
そう考えているうちにも彼は少しずつ遠ざかっていく。
あぁ、もどかしい。
心を読めるのに、こうも自分の気持ちを伝えられないなんて……
悔しさに唇をかみしめていると、彼の言葉が耳に届いた。
「身体はしばらくしたら……ハァ……動けるようになる。
そうしたら、憧れのヒーローを名乗るヤツらにでも助けてもらえ……」
こちらに興味なさげに言われたその一言。
それを聞いた瞬間、ボクの心で燻っていた火が大きく燃え上がった。
“憧れのヒーローに助けてもらう”だって?
ハハッ、何を言っているんだ。
「憧れの……ヒーローなんて、どこにも……いないじゃないか!」
「ハァ……、なんだ?」
叫ぶボクの声に彼が振り返る。
「金のためにヒーローやっているやつばっかりだ!
名声が欲しくて、有名になりたくて、ちやほやされたくて、そんな自分のために動いているヤツらばっかりだ!
表面上はきれいごと言ってても、心の中じゃ私欲にまみれた醜いヤツらばっかりだ!」
叫ぶ。
「嘘・ウソ・嘘・ウソ・嘘・ウソ・嘘・ウソ――――
誰もかれも醜い本心を抱えていて、本当の“正義のヒーロー”なんて“幻想”で!
穢されているんだ! 壊されているんだ! 歪められてるんだ!
ボクの
叫ぶ。
「だから、正すんだ! 直すんだ! 取り戻すんだ!
ボクの……
力の限り叫んだボクの顔に影が差す。
あぁ、よかった。
彼が戻って来てくれたんだ。
「ハァ……お前は、俺と同じく、この歪な社会に気が付いているようだ」
動かなかった身体が動く。
顔を上げればすぐそこに彼がいた。
「ならば、為すべきことを為せ。
正しき、社会のために」
そしてボクは、差し出された彼の手をしっかりとつかみ取った。
これがボクが
反応なんて来ないだろうと思っていたら、感想やお気に入りがちらほら出てきたので思わず続きを書きました。
ほとんどプロローグみたいなもんなんですけど。
プロットも全然作ってないので基本的にノリと思いつきです(汗)
この小説でステイン様のファンが増えると嬉しいです(笑)
ご指摘・ご感想等お待ちしております。