なので自分で作ってみようとおもいました。
小説などいままで書いたことはないので違和感を感じるところもあると思いますがよろしくお願いします。
ところどころオリジナルですのでご了承ください。
薄暗い埃まみれの物置の一端、そこには一人の女の子が体を小さく丸めて座っていた。身にまとっているのは血痕のついた薄汚れている布切れ一枚、からだ中には見るに堪えない火傷の痕、乱れた白銀の髪の下に覗く瞳にもはや光はなかった。
私は奴隷、私は感情を持たない人形、私はご主人様の玩具。
誰も信用しちゃいけない。
なにも感じちゃいけない。
それが私にとって一番幸せな生き方。
希望なんて持っちゃダメ。期待なんてしない。だって・・・
私は奴隷。もう、裏切られて絶望を見るのは嫌だから。
ある日の早朝、私は馬車の荷車の中で道を走る音だけを聞いて揺られている。
これから新しいご主人様のもとへ行くらしい。以前お世話になっていたご主人様がお亡くなりになってから、遺産相続の一部として私はある商人の方のもとに預けられた。
行き先はわからないけどどこに行っても私の扱いは変わらない。私の生きがいはご主人様のために悲鳴をあげること。悲鳴をあげてご主人様に喜んでもらえさえすればご飯はもらえる。
そんなことを考えていると馬車が止まった。
「おい、降りろ」
商人の方の声が荷車の外から聞こえる。
「はい」
返事をし、奴隷の女の子は火傷の見える素足で荷車から地面へと降りる。久しぶりに浴びる太陽の光。今まで地下室で飼われていた彼女にはあまりにも眩しく、温かく思えた。
(光を浴びるなんていついらいかな・・・次、太陽の下に出られるときは私・・・生きてるのかな・・ふふ)
「お前はここで少し待ってろ」
商人のおじさんは奴隷の彼女にそう言い残し、目の前の少し古びた大きめの建物の中へと入っていった。
奴隷の少女は言われるがまま、建物の入り口手前でこれが最後と言わんばかりに太陽の光を一人堪能するのであった。
~数分前~
「え~と・・あの書類どこしまったっけ?まずい・・・実にまずいぞ・・・これは」
ある診療室で一人、医者である男は焦っていた。
名はベルト、歳は28と医者としては若く、身長は175cmと通常男性の背丈ほど。目は垂れていて常に眠そうな雰囲気を醸し出していた。生まれてこの方、女性と付き合うどころかまともに接したこともない。
「あ~ぁ・・・こんな町はずれの病院じゃ患者もそんなに集まらないし。親父の病院を継いだけど俺向いてないのかな」
ベルトはこの病院を継いで約5年、一人で切り盛りしていた。ベルトの父は五年前に流行りの病にかかり死亡している。それまでベルトに病院を継ぐ意思なんてものはこれっぽっちもなかった。それでも、ベルトの父が息を引き取る直前に絞り出して言った言葉
「俺の病院を・・頼むぞ」
こんなことを言われてしまっては息子として無下にするわけにはいかない。
それからというもの必死で医学を学び、毎晩父のレポートや書物を読み漁った。
彼のいる街に病院自体は少なく、この病院も指折りの病院だ。だがそれ以上に立地が悪い。お年寄りの患者や子供には少々荷が重いのだ。
「悪いな親父・・やっぱり俺だけじゃ荷が重いわ。少なくても血を分けた兄弟でもいてくれればなぁ」
なんて意味のない愚痴をもらしながらベルトが書類探しを再開しようとしたその時、受付のほうから呼び鈴を鳴らす音が聞こえてきた。
「ん?患者か?・・はーーい!少々お待ちください!!」
ベルトは小走りで受付まで向かう。病院自体以外に広い構造であり、返事をしてから十秒ほど待たせてしまった。
「申し訳ございません!大変お待たせいたしました!本日はどうなさいましたか?」
ベルトは自慢の営業スマイルをどこかで会ったことのあるような見覚えのある男性へと向けた。
「どうも、先生。覚えておいでですか?」
やはりどこかで会ったことがあるようだ。ベルトはここ最近の記憶から過去の記憶まで脳をフル回転で思い出そうとする。
「昔先生に命を拾ってもらったものですよ」
「あ、あのときの」
そういわれるとたしかに見覚えのある顔だ。およそ一年前くらいに街中で倒れていた男性を治療したことがあった。あきらかに関わってはいけないトラブルだとは思ったが彼は医者だ。怪我人を前に見て見ぬふりなんてできない。
「あの時はろくにお礼もできずに去ってしまって、申し訳ありませんでした。偶然近くの街に用事がありましたのでお礼に参ったのです」
「いえいえ、元気そうでなによりです。もしよければお茶でも」
少し怪しい臭いのする男だがわざわざお礼に来たのだから、悪い人ではないのだろう。
「いえ、長居するつもりはありませんのでお構いなく。それよりこれを・・」
男から渡されたのは厚めの封筒だ。中身を除くと明らかに治療費より多めに用意されている札束であった。
「い、いや、こんなに・・受け取れませんよ」
「支払いが遅れてしまったほんのお詫びです」
「お、お詫びって・・」
さすがのベルトも急な大金に免疫はなく情けない声を出してしまう。そんなベルトをよそに男は続ける。
「あともう一つ、持ってきたものがあるのです。おい、入れ」
男の声の後に視界へ入ってきたのは一人の女の子であった。彼女はベルトと目を合わせることもなくお辞儀をする。背丈も小さくおそらくまだ十代であろう。それらの情報より先に目に映ったのは痛々しいほどの火傷の痕。
「まぁ詳しい話は後にしてどうですか、先生。余計なお世話でしょうが先生は今もおひとりで暮らしているご様子。ここは一人でも奴隷を引き取ってみてはいかがでしょう?」
まさに開いた口が閉まらないとはこのことだ。
(奴隷!?え!?この男は何を言ってるんだ・・こんな小さくてか弱そうな女の子が奴隷?じゃぁこの子の傷は意図的につけられたものなのか?)
「も、もし俺が引き取らなかった場合この子は?・・・」
聞きたいことがたくさんある中、一番この質問の答えがひっかかった。その質問に男は
「そうですねぇ、残念ですが処分でしょうかね」
体の底から湧き上がるような憎悪、怒り、さまざま感情があふれ出てきた。いつの間にか握りしめていた両手には滴るほどの手汗が握られていた。
(なんでこんな簡単に処分なんて言葉が出てくるんだ!?処分ってあれだろ・・殺すってことだろ)
「どうしますか?先生」
男のその質問に対するベルトの答えはもう決まっていた。いや、人間であるならこの質問自体おかしい。
「うちで・・・引き取りましょう」
ベルトのその答えに男は怪しげな笑みを返し、彼女をおいて去っていくのであった。
最後までお疲れ様でした。