アークスが鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮をとります。 作:ペスカトーレ
食堂 12:50
クリュウ「・・・赤城、少しの間頼む」
赤城 「私もご一緒しなくてよろしいのですか?」
クリュウ「すぐ終わる。皆と休憩しててくれ」
赤城 「わかりました。いってらっしゃいませ」ペコ
工廠妖精B「サァサァ-」左肩
工廠妖精A「ミテホシインダ」頭の上
工廠妖精C「…イコ?」右肩
クリュウ 「ああ」スタスタスタ
今日の秘書官である赤城と艦娘達との食事も終わり、一息ついていたとき、妖精たちがやってきた。
テレパイプの件についての進展があったようで、伝えたい事があるようである。
例にもよって、自分たちの特等席とばかりの位置に座り、クリュウを工廠に向かわせる妖精たち。
そんなクリュウの後ろ姿を、赤城達は微笑ましい様子で見送る。
天龍 「なんつーか、あの姿がしっくり来るようになってきてるな」
足を組み、背もたれに体重をかけ、クリュウの背中を見ながら笑う。
赤城 「妖精さんたちもあの位置が落ち着くようですよ」ふふ
クリュウの背中を見送り、席に着く。
島風 「連装砲ちゃんも私の頭に乗せてみようかなー」キュー
両手で連装砲ちゃんを抱え上げつつ連装砲ちゃんを見上げる。
連装砲ちゃんは少し困ったような顔と声を上げている。
龍田 「危ないからやめておいたほうがいいわよ~」
紅茶を優雅にかたむけ、吐息とともに一言。
金剛 「紅茶のおかわりはいかですカー?」
優先的に動き、皆に紅茶を注ぐ金剛。それぞれが自分の紅茶やお菓子を楽しんでいることが嬉しいようである。
電 「金剛さんありがとうなのです」
金剛 「Hi、スコーンもまだあるからネ」
雷 「砂糖は2つよね?はいっ」
電 「雷ちゃんありがとう」
金剛 「電は牛乳がすきみたいダカラ。Milk Teaにしてもいいネー」
電 「美味しそうです!。それじゃあ牛乳を取ってきますねっ」
電 「赤城さん、お茶のおかわりも持ってくるのです」
金剛の紅茶に舌鼓をうっていた赤城、緑茶も好きなようでそちらのほうがなくなりかけていた。
赤城 「大丈夫よ、電さん私が行きますから」ス
その言葉よりも早く電は厨房に小走りでかけていっていた。
雷 「私が一緒に行くから大丈夫!赤城さんは座ってて?も~っと私に頼っていいのよ?」
赤城 「・・・そうね。お願いしてもいいかしら?」
一瞬考え、せっかくの好意を無駄にするのも良くないと二人に任せることにした。
雷 「はーい。雷に任せて!」
八重歯を覗かせニッコリと笑う雷。
雷 「電~。わたしも手伝うわ!」
天龍 「きぃつけて持ってこいよー」
天龍もまた2人の好意を優先しているようだった。
金剛 「電達はいつも元気ネー」
島風 「私も速くて元気だよー!」
龍田 「そうね~。ふふ」
クリュウの離れた後、艦娘達も穏やかなTea Timeを過ごすのだった。
工廠
工廠妖精に急かされつつ足早に向かった。
そこでは明石もおり、少々緊張した表情だ。
クリュウ「(少し、表情が暗い気がするな)」
クリュウ「(妖精の雰囲気もここに来て少しかわった気がする)」
明石 「提督お待ちしてました」
クリュウ「ああ、テレパイプの件で話があるようだな」
明石 「はい、それに関しての詳しい説明があります」
その声を合図に妖精たちはそれぞれの位置から飛び降り、クリュウの前方明石の横にある作業机に並ぶ。
明石 「改良したテレパイプなんですが、自由に好きなところに行くようにするのは難しいようです・・・」
両腕を下げ、腹部の前で両指を絡ませ所在なさ気に視線を逸らす。
工廠妖精A「ザヒョウノトクテイナンカガムズカシクテナ」
右手を顎下にあて、口をへの字に曲げ心なしか悔しそうな声色を出す。
工廠妖精B「ソレデツカッチャウトヘンナトコロニトバサレチャウカモシレナインダ-」
Aの隣でBもまた、首を右に傾け残念そうな声を上げる。
工廠妖精C「…ウマクデカイリョウデキナクテ…」
Bの隣でCはうつむきながらつぶやく。
どうやら明石や妖精も完璧な結果が出せなかったことに落ち込んでいるようだ。
クリュウ「そうか。だが、自由移動できなくとも改良はできたんだろう?」
明石 「・・・はい。片道だけですが一度その場所に行って位置情報さえ登録してしまえば、その後は自由にテレパイプで移動できます」
先程と同じ姿勢と目線のまま答える。
クリュウ「(・・・行きは自分たちで向かうことになるか。特に問題はないな、それだけで十分すぎる成果だ)」
腕を組み、少しだけ重心を左足に向け思考にふける。
クリュウ「(座標が特定できない、というのもダーカーや幻創種に関係してるのかもしれないな)」
クリュウ「(アークス側でも調査がうまくいってないようだし、その中でよくやってくれていると思うが)」
クリュウ「・・・」
明石妖精 「・・・・・」
クリュウ「(・・明石たちはまだ気にしてるか)」
クリュウ「それでも十分な成果だ。気にすることはない」
気落ちした空気のまま、その言葉に明石と妖精は何か言おうと視線をクリュウに向けようとする。
しかしそれを遮るようにクリュウは言葉をつなげる。
クリュウ「ダーカーなどの影響もあるだろう。その中でよくやってくれた。これで今より調査が楽になる」
言葉をかけ、妖精たちの頭を指で撫でていく。
心地よさそうな表情を浮かべる妖精たち。先程の落ち込んだ気分は払えたようだった。
工廠妖精A「♪」
工廠妖精B「ンー♪」
工廠妖精C「…♪」
クリュウ「こちらとしても調査がうまくいってないこともある。色々と不便をかけるな」
明石 「・・・いえ、そんな!」
先程よりも幾分明るい表情になりこちらを見やる。
クリュウ「それよりも」
その後、何かを言おうとした明石の言葉よりも速くケフェウスを出し明石のもとに向かわせる。
明石 「は、はいっ」
何か言われるのかもしれないと思った明石は、自分に向けられたケフェウスに驚く。
明石 「提督・・・?」
クリュウ「最近、メンテナンスに出してなくてな。良かったらみてくれるか?明石なりに 色々 検査 もしてくれて構わない」
かけられた言葉の意味を、最初はわかっていなかったようだが、ケフェウスを胸に抱え、すぐに察し笑顔をクリュウへと向ける。
明石 「はいっ!明石におまかせください!提督、ありがとうございます!」
明石 「(提督・・・許してくれるんだ・・・。ケフェウスの事も覚えててくれて・・・)」
ケフェウスを大事そうに胸元に抱えながら、妖精に頼まれ再度頭を撫でているクリュウを見やる。
明石 「(妖精さん達、撫でられて気持ちよさそうだなぁ)」
優しい撫で方だなと明石は思った。あまり慣れてないのか、どう動かしていいのかわからないと言った感じもクリュウらしいと。
撫で終わり、元気を取り戻した妖精たちはいつもの場所に座る。
そのことにもう慣れてしまったのか、何事もなかったように明石の方にクリュウは振り向いた。
クリュウ「これで説明は終わりか?」
明石 「あ、はい。説明は以上です。テレパイプをお返ししますね」
クリュウ「ああ」
クリュウ「(・・・そうだ、明石と間宮、伊良湖にもアイス券を渡しておくか。今まで渡していなかったからな)」
アイテムパックからアイス券を出そうとする、それよりもはやく妖精が声をかけてきた。
工廠妖精A「テイトク」
クリュウ「どうした?」
工廠妖精B「アカシノアタマモナデテアゲテー」
明石 「え゛」
その言葉に撫でていたケフェウスを再度胸元に抱きしめ奇声を上げる。
今までより強くケフェウスを抱きしめてたせいで胸が押されている。
工廠妖精C「ナデテホシソウニシテタカラ」
明石 「(い、いつの間に見られてたの!?)」
クリュウ「それはないだろう」
クリュウ「(あまり男に触られていい思いをする女もいないだろしな)」
工廠妖精B「ソンナコトナイヨ-カンムスノコトハワカルヨー」
工廠妖精C「ナデテアゲテホシイ」
クリュウ「(・・・艦娘達の希望はできるだけ答えたいが、明石はどうなんだろうか)」
当の明石は頬を真っ赤に染め、眼を見開いている。
明石 「(撫でられたら気持ちよさそうだなって思ったけど!わ、私は別に・・・)」
明石 「(こんなチャンスないし・・・でもっ・・・」)
気恥ずかしさが優先し前に踏み出せない明石。
そんな明石をフォローするように妖精が助け舟を出す。
工廠妖精A「ダイジョウブサ。ナ、アカシ」
BとCもうんうんと頷く。
その言葉に後押しをされ、明石も決心を固める。
明石 「テレパイプの件もあって、こんなこと言うのも・・・失礼かもしれないんですが・・・」
明石 「提督さえ、良かったらその・・・」
明石 「なでて・・・・・ほしい・・・です・・・」
明石の様子を見てクリュウも覚悟を決める。
クリュウ「・・・」
明石との距離を少し詰める。
クリュウ「・・・・・・」
明石 「あ・・・・・」
クリュウ「・・・・・・」」なで・・・なで・・・
妖精のとき以上にぎこちない動きだが、しっかりと明石の頭を撫でている。
明石 「(なんだろう・・・ドキドキするけど、それ以上に安心するなぁ・・・)」
明石 「・・・・・・」
明石 「・・・んぅ・・」
明石 「・・・!?」
思わず漏れてしまった声にハッとした表情をし、撫でられていた頭を後方に下げる。
明石 「てて、提督っ!!どうもありがとうございました!!」
先程よりもさらに赤い顔を提督に向け礼を告げる。
クリュウ「・・・そうか」
明石 「(気持ちよくて無意識に声が出てしまった!?)」
明石 「(恥ずかしいいいいいいい!!!)」
クリュウ「(・・・疑うわけではないが、俺が撫でることでそんなに変わるんだろうか)」
クリュウ「・・・・・・」
クリュウ「(・・・アイス券を渡さないとな)」
クリュウ「明石」
明石 「はいっ!」
まだ恥ずかしさが抜けてないようだがクリュウの言葉に反応をする。
クリュウ「日頃の報酬のアイス券を渡してなかったからな」
クリュウ「受け取ってくれ」
明石 「あ、ありがとうございます!やったーっ!」
ケフェウスを左小脇に抱え、右手にアイス券を握りしめ腕を高くあげる。
明石 「(アイスも嬉しいですけど、撫でられた嬉しさと恥ずかしさが上回っちゃってだめだ、アイスの嬉しさでごまかしちゃおう!)」
クリュウ「それと、このアイス券も間宮と伊良湖に渡してきてくれるか?俺は艦娘を建造しようと思う。」
明石 「はいっ。かしこまりました。それでは提督、行ってきます!」
クリュウ「ああ、そのまま明石も間宮、伊良湖と一緒に休憩をするといい」
クリュウ「これから先、海域攻略に入って忙しくなる」
明石 「はい!伝えておきます!提督、ありがとうございました!」
工廠の前でこちらを振り向きお辞儀をし、恥ずかしさを隠すように明石は小走りで去っていった。
クリュウ「(撫でたときよりもアイス券をもらったときのほうが喜んでいたな。やはりそちらのほうが艦娘にとっては嬉しいんだろうな)」
クリュウ「(明石はいいとはいっていたが、気安く触れるべきではなかった)」
クリュウ「(誰が撫でても変わらないだろう、きっと)」
クリュウ「(それほど俺に何かあるとも思えないしな)」
クリュウ「・・・・・・・」
工廠妖精C「テイトク?」
妖精達が、突然に思考を始めたクリュウを不思議に思い視線を向ける。
クリュウ「・・・ああ、このまま建造に入るが大丈夫か?」
その声に妖精それぞれ建造準備に入る。
クリュウ「(今はやることがあるしな。考えは後だ)」
クリュウ「(今のでデータも取れたかもしれないことだし・・・な)」
妖精達の建造開始の合図を聞きながら。先程の考えを忘れるようにふと、来て欲しい艦娘を頭に浮かべるのだった。