ハイスクール・フリート 旭日のマーメイド   作:破壊神クルル

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※今回の話では『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』の登場キャラである相模南と由比ヶ浜結衣に対してアンチが含まれます。

両キャラのファンの方、アンチは無理と言う方はブラウザバックを‥‥

アンチOKと言う方はこのままどうぞ進んでください。


10話 要人警護 パート3

総理大臣の娘である小橋若葉の海外公務の為、公務地への送迎と護衛をする事になったもえか達、櫛名田と相模が艦長を務める夷隅は狭水道であるカラケチル海峡へと入った。

マラッカ海峡と同じく狭水道ながらも船舶の往来が多い海上交通の難所‥‥

ただし、そう言った難所であるからこそ、管理ネットワークが行き届いている為、海賊・テロリストの襲撃はないと海上安全整備局はそう予想して此処を通る様に航海計画を立てた。

しかし、まだ公務地へ着いたわけでは無く、櫛名田も夷隅もまだ海の上‥‥

中国の古典、「戦国策」に「百里をいく者は九十を半ばとす」という言葉があるように例え船舶の往来が激しく、管理ネットワークがきちんと整備されている海峡だからといって油断はできない。

海賊・テロリストの襲撃は無くとも、他船との衝突には勿論気を付けなければならない。

既に日は落ち、辺りは夜の闇に包まれている。

その為、レーダーと目視による監視は十分にしなければならない。

櫛名田が厳戒態勢でカラケチル海峡を進んでいる中、櫛名田とは反対の方向を航行している一隻のコンテナ船のブリッジでは、

 

「姉様、作戦海域に到着しました。システム起動に問題はありません」

 

「では、始めましょうか?一号艇から四号艇までを全てリリース」

 

「分かりました」

 

双子のテロリスト、双角鬼と呼ばれるラムとレムの作戦が始まろうとしていた。

コンテナ船のコンテナが突如、ガントリークレーンで海上に降ろされると、そのコンテナの中から魚雷艇が海に降ろされ、降ろされた魚雷艇はその高速の機動力で夜のカラケチル海峡を進んで行った。

その頃、櫛名田の艦橋では、櫛名田の艦内とみかん、杵埼姉妹の食事を堪能した若葉が今日のお礼の為に来ていた。

 

「今日はどうもありがとうございました。櫛名田をたっぷりと堪能させてもらいましたし、お食事もとても美味しかったです」

 

「それはなによりです」

 

「では、私達は部屋にもどります。今日はお世話をかけました。それではおやすみなさい」

 

「はい。良い夜を、若葉さん」

 

若葉は咲世子を連れて部屋へと戻って行った。

その頃、櫛名田よりも先の海域を航行している貨物船の船員が甲板で休んでいると、超高速で回転するエンジン音を聞き、漁船かクルーザーが無茶な運転でもしているのかと思い、海を見ると、自分らが乗る貨物船のすぐ横を複数の魚雷艇が横切って行った。

 

「ぎょ、魚雷艇!?」

 

こんな海峡で魚雷艇が徒党を組んで航行するのはあまりにも不自然だった。

海賊かと思いその船員は急いでブリッジへと上がり、当直者に報告。

当直者は海上安全整備局、カラケチル海峡運行管理センターへ連絡を入れた。

 

「貨物船の船員が複数の魚雷艇らしき船を目撃したと報告があった!!なんで、こちらで確認できない!?」

 

「レーダーにはそれらしい船の影は見当たりません!!」

 

「誤報だと言うのか?」

 

「恐らくは‥‥」

 

最初は漁船かクルーザーを魚雷艇と見間違えたのかと思われたが、次々と運行管理センターには海峡を魚雷艇が複数航行していると言う連絡が次々と入った。

 

「兎に角、海峡を航行している船舶全てに警戒警報を出せ!!」

 

「りょ、了解!!」

 

運行管理センターの通信員は現在海峡を航行している船舶、これから海峡へ入ろうとしている船舶に対して警戒警報を流した。

当然その警報は櫛名田、夷隅にも入った。

 

「艦長、カラケチル海峡運行管理センターからの緊急通信です」

 

通信長の八木がもえかに緊急電が入った事を知らせる。

 

「内容は?」

 

「『現在、当海峡内において複数の魚雷艇が目撃され、海峡航行中の船舶は注意されたし』‥以上です」

 

「魚雷艇‥‥」

 

「やはり、海賊かテロリストでしょうか?」

 

まだ詳しい状況が分からない現状では正確な判断が出せず、相手の姿、目的はわからないが警戒する事に越したことはない。

 

「総員戦闘配置!!」

 

万が一の事もあるので、もえかは臨戦態勢をとった。

櫛名田の艦内には警報が鳴り響き、乗員が慌ただしく配置部署へと向かう。

夷隅の方も流石に運行管理センターからの報告を無視するわけにはいかないので夷隅の方も警戒態勢に入る。

すると、水平線の向こう側からいくつもの噴進魚雷と噴進弾が飛んでくると、夷隅へと命中した。

 

「おい、ありゃなんだ?」

 

「ブルーマーメイドの船が火を吹いているぞ!?」

 

「海賊か!?」

 

周辺を航行している船舶からも夷隅が火を吹いているのが確認できた。

また夷隅の被弾はカラケチル海峡運行管理センターでも確認が出来た。

 

「カラケチル海峡、西航路上で重大事故発生。ブルーマーメイドの艦船が何らかの攻撃を受けた模様。繰り返す。カラケチル海峡、西航路上にて重大事故発生!!」

 

「直ちに当海域への乗り入れを制限しろ!!航行中の船舶の退避ルートを確保せよ!!」

 

「無理だ。航行中の船舶の数が多すぎる!!このままでは衝突事故を引き起こしてしまう!!一旦、現海域で留まらせるしか‥‥」

 

「この密集した状況で停まれだと!?連鎖的な事故を引き起こすぞ!?」

 

運行管理センターの方も夷隅への攻撃で混乱していた。

航行中の船舶の数が多すぎて退避ルートが確保できない。

下手に動かしたら、船舶同士で衝突事故を引き起こす可能性がある。

しかし、一方でこの海域に留めると、流れ弾で被弾する船舶が出るかもしれない。

事態は悪化の一途を辿っていく。

そんな中で夷隅は更にもう一発噴進弾をくらう。

 

「こんな往来が激しい海域で攻撃をして来るなんて‥‥相手はイカレているよ!!マジ、キモイ!!」

 

夷隅の艦橋で由比ヶ浜が喚く。

 

「CIC!!なんで発見が遅れたの!?居眠りでもしていたの!?」

 

相模はCICの監視員に文句をつける。

 

「分かりません!!レーダーには攻撃してきた艦艇を捉えていません!!」

 

夷隅のレーダーには攻撃して来る艦の姿なんて捕捉できていない。

 

「見えない!?何バカな事を言っているの!?アンタ達が見過ごしたんでしょう!?そうじゃなきゃ、被弾するわけがないじゃない!!この事は上層部に報告させてもらうわ!!厳罰を覚悟する事ね!!」

 

相模は夷隅が被弾したのはCICの監視員のせいで艦長たる自分は何ら責任はないと喚く。

その間にも魚雷艇は接近し、再び噴進弾と噴進魚雷を撃ってくる。

 

「さがみん、今はそんな事を言っている場合じゃないよ!!何とか此処から逃げないと!!」

 

「そうね、今は逃げる事に専念しましょう。櫛名田に本艦の前に出るように伝えて」

 

相模は自分達が逃げる為、櫛名田を囮にしようとした。

 

「ちょっと、待ちなよ、艦長」

 

そんな相模の意見に対して異議を唱える者が居た。

 

「なに?航海長」

 

それは夷隅の航海長、川崎沙希だった。

 

「あっちには護衛対象が乗っているんだ。今、櫛名田が攻撃を受けて護衛対象が怪我でもしたらどうするつもり?」

 

「そんなの被弾して、護衛対象を傷つけたあっちの責任じゃない!!」

 

相模はあくまでも自分達‥いや、自分には責任はないと言い張る。

 

「アンタ、バカ?そんなんでよく、艦長になれたのか全く不思議でしょうがないよ」

 

「何ですって!?」

 

「櫛名田が被弾して護衛対象が傷つけば当然、向こうの責任でもあるけど、その櫛名田を護衛していた私達にも責任はあるんだよ」

 

「だ、だから何だって言うの?」

 

「此処は本艦が櫛名田の盾となり、櫛名田にはこの海域からの退避を伝えるべきなんじゃないのかい?」

 

「そんな事をしたら私達が死んじゃうかもしれないじゃん!!それにあっちの船はまだ無傷なんだし、何とかなるかもしれないじゃん!!」

 

由比ヶ浜はこのままこの海域に留まると夷隅が撃沈されて自分達の命が危険であり、その為のリスクを回避する為、相模の言う通り櫛名田を囮にして逃げようと言う。

 

「はぁ~呆れた‥‥アンタ達は一体何の為にブルーマーメイドになったんだい?」

 

「さきさき、今更何言ってんの?」

 

「海の安全を守る為にアンタ達はブルーマーメイドになったんじゃないの?」

 

「じゃあ、聞くけど、その安全の中にウチらは含まれないって訳?」

 

「私達だって人間なんだよ!!それなら、私達にも安全を確保する義務があるんじゃないの?」

 

「その為に任務を放棄して、護衛対象や仲間を見捨てろって?‥‥とんだブルーマーメイドだよ、アンタ達は‥‥」

 

「なっ!?」

 

「もういい、そんなに逃げたきゃ勝手に逃げたら?」

 

「あっそう、じゃあ、そうさせてもらうわ。アンタみたいな現実を見ないで理想ばかり言っている奴は此処で艦と一緒に海に消えたら?そうしたら本物の人魚になれるかもね、行こう結衣」

 

「う、うん」

 

相模と由比ヶ浜は任務を放棄して逃げ出した。

艦橋に居た何名かのクルーも任務よりも自分の命が惜しいのか、相模や由比ヶ浜と共に逃げ出す者も居たが、川崎と同じくブルーマーメイドとしての仕事に誇りのあるクルーはその場に留まり続けた。

ただ、これはあくまでも艦橋内での出来事であり他の部署でも相模や由比ヶ浜の様に任務よりも自分の命を優先に考えるクルーも居たかもしれないが、相模は退艦命令を発令せず、艦橋内で自分と考えが同じ者だけを連れて夷隅から脱出した。

 

 

櫛名田の方でも突然の襲撃と夷隅の被弾は勿論確認出来た。

 

「状況は?」

 

「熱源を確認、敵は噴進魚雷と噴進弾を使用しており、二発、夷隅に命中」

 

「攻撃予測地点にレーダー反応なし、敵艦の位置、確認できません」

 

「立石さん、ン式弾による攻撃は出来る?」

 

「無理‥‥他の船を巻き込む」

 

「くっ‥‥」

 

「噴進弾、さらに夷隅へ向かっています」

 

夷隅の方もただ何もしないわけではなく、57mm速射砲で果敢に応戦するが、噴進魚雷が右舷に一発命中する。

 

(敵の姿はレーダーには映らない‥‥でも攻撃して来る限り、敵は確実に存在する‥‥)

 

「ソナー、海中に潜水艦らしき音源は確認できる?」

 

もえかは一応、潜水艦からの攻撃も視野に入れた。

しかし、

 

「いえ、この周辺の海域に潜水艦らしき音源も艦影も確認できません」

 

櫛名田のCICからは潜水艦の存在は確認できなかった。

 

(潜水艦ではないとするとやはり、先程運行管理センターから入った魚雷艇からの攻撃‥‥でも、その魚雷艇はレーダーには映らない‥‥これはまるで、あの時と同じ状況‥‥)

 

もえかは以前、アメリカ海軍の新鋭艦強奪事件の状況と今の状況が似ていると‥‥

彼女がそんな事を考えていると、

 

「艦長、夷隅から無線電話が入っています」

 

「夷隅から?はい、もしもし‥‥」

 

「知名艦長。此処は夷隅が時間を稼ぐ、その間に櫛名田は現海域を離脱しな」

 

無線電話から聞こえてきた声は艦長の相模の声ではなかった。

 

「艦長の相模さんはどうしたんですか?」

 

「アイツは任務を放棄して逃げた。副長の由比ヶ浜もな‥‥今は、航海長の私が臨時で指揮を執っている」

 

「そんなっ!?」

 

川崎の話を聞いてもえかは相模と由比ヶ浜に対して怒りが混み上がって来た。

 

「でしたら、今はこの海域からの離脱を考えましょう。本艦も協力します」

 

艦長も副長もおらず、しかも被弾しているのであれば、まともな運航など無理だと思い、もえかは夷隅にこの海域での避難を提案する。

 

「いや、今は無駄話をしている暇はない。アンタ達はさっさと逃げな‥‥こっちだっていつまでも連中を足止め出来る訳じゃないんだ‥‥それにこっちが一緒じゃあ、むしろアンタ達の方に迷惑をかける」

 

川崎は既に被弾している夷隅では櫛名田の足手纏いになるから、むしろ夷隅はこの海域でとどまって敵の目を引き付けると言う。

 

「で、でも‥‥何とか此方からの支援を‥‥相手は優秀なステルス機能を搭載しています!!このままでは夷隅は‥‥」

 

「知名艦長、今のアンタの仕事はなんだい?」

 

「えっ?」

 

「護衛任務だろう!?守る人が居るのに、わざわざ危険地帯に入り込んで来るバカが何処にいるんだい!?いいから、此処は私達に任せてさっさと逃げな!!いいかい、護衛対象にかすり傷一つでもつけたら許さないからね」

 

「は、はい‥‥」

 

「んじゃ、航海の安全を祈る‥‥」

 

川崎はそう言って無線電話を切った。

 

「艦長‥‥?」

 

もえかと川崎のやり取りを見ていた幸子は恐る恐る声をかけ、もえかがどんな指示を出すのかを待つ。

 

「機関全速!!進路090!!この海域から離脱する!!」

 

もえかは悔しさから拳をぎゅっと握り、カラケチル海峡からの離脱を指示した。

 

「艦長‥‥機関全速、進路090!!」

 

幸子自身も、もえかの悔しさは理解出来た。

しかし、今は川崎の言う通り、櫛名田は護衛対象である若葉を乗せている。

その護衛対象を守る為に仲間を見捨てる様な行動は物凄く悔しいがこのまま夷隅の援護に回ればこちらも被弾する可能性は大である。

故にもえかの決断はまさに苦渋の決断であった。

 

櫛名田の行動は魚雷艇からの報告でラムとレムの下に送られた。

 

「無傷の艦が離脱‥‥くっ、ターゲットはあっちに乗っていた様ね‥‥」

 

「その様ですね、姉様」

 

「くっ、ガセネタを教えるなんて、三流以下のド素人ね」

 

「どうします?」

 

「とりあえず、合流されても厄介だから、先に弱っている方を狩るわよ、レム」

 

「はい、姉様」

 

ラムとレムは離脱する櫛名田よりも先に被弾している夷隅をターゲットにした。

 

「艦内各所で被害拡大!!」

 

「機関出力低下!!速力も現在10ノットほどしか出ません!!」

 

「応急修理班は修理に全力を尽くせ!!最悪、砲が撃てるだけでもいい!!監視員、レーダーは効かない!!目視による視認を強化!!」

 

「りょ、了解!!」

 

「航海長、こちらから、撃って出る事は出来ないんですか?」

 

「まだ、周辺の一般船舶の避難が終わっていない。このままでは、他の一般船舶を巻き込んでしまう可能性があるから無理だ!!」

 

「敵、噴進弾接近!!」

 

「迎撃!!櫛名田が逃げるまで何としてでも敵を引き付けろ!!」

 

夷隅は艦長、副長が不在の中、航海長の川崎が指揮を執り、奮闘したがやがて力尽き、カラケチル海峡へその姿を没した。

 

夷隅の撃沈を聞いたラムとレムの二人は、

 

「獲物を一匹、片付けたみたいね。レム」

 

「はい。ですが、もう一匹は例の海域へ向かいました、姉様」

 

「そう‥それじゃあ、作戦の第二段階に移るわよ、レム」

 

「はい。ですがまさか、保険の方も使うとは思いもよりませんでしたが‥‥」

 

レムはコンテナ船の自動航法システムを作動させて航路を選択する。

 

「一応、相手もプロって事ね‥‥さあ、長居は無用よ。怖い人魚さん達が来る前に此処を離れるわよ、レム」

 

「はい、姉様」

 

「でも、人魚さん達へのお土産はちゃんと置いて行かないとね」

 

「そうですね、姉様」

 

ラムはコンテナ船のブリッジにある仕掛けを施した後、二人は脱出用にコンテナ船に搭載しておいた偽装漁船に乗って、コンテナ船から去って行った。

 

やがて日が昇り、あの悪夢の様な夜が明けると、櫛名田の前方の海域には大嵐により壊滅し、そのまま放棄された海上プラントの廃墟があった。

海上に障害物がある為、航行には不自由があるが、あの状況でカラケチル海峡を抜けるにはこの航路を選ぶしかなかった。

 

「艦長、あの襲撃は‥‥」

 

「ええ、十中八九、若葉さんを狙ったものよ」

 

周辺には沢山の船舶が居るにもかかわらず、あの襲撃犯はブルーマーメイドの艦船である夷隅のみを狙ってきた。

元々若葉は夷隅へ乗艦する予定だった。

それが直前で若葉本人たっての願いからこの櫛名田へと変更された。

そう言った理由から今回の襲撃犯はただの海賊ではなく、若葉の命を狙った暗殺者とみるべきだろう。

 

「副長」

 

「はい」

 

「海鳥の発艦準備を」

 

「海鳥を‥‥ですか?」

 

「うん‥障害物が多く、スピードも出ない、しかも相手はあのステルス機能を揃えた敵‥‥上空からの先行偵察で少しでも早く敵の位置を知る必要がある。あの廃墟は魚雷艇を待ち伏せるには持ってこいの場所じゃない?」

 

「そうですね」

 

幸子は急ぎ海鳥の発艦指示を出す。

 

「勝田さん、この海域の最短脱出ルートを急いで選定して」

 

「了解ぞな」

 

「知床さん、操艦は慎重にね」

 

「よ、ヨーソロー」

 

「CIC、レーダーの探索状況は?」

 

「周辺の廃墟の残骸が多く、索敵範囲が大幅に制限されています」

 

「分かった。内田さん、山下さんは目視による監視を厳重にして!!」

 

「「はい!!」」

 

「桜野さん、園宮さん。海鳥の発艦準備は出来た?」

 

「もう少しです」

 

「なるべく急いで‥海鳥は発艦後、櫛名田より先行して空から周辺海域の哨戒に当たって‥多分この海域にも敵が待ち伏せている可能性が高いから」

 

「はい」

 

「‥あの、艦長」

 

発艦前、園宮がもえかに恐る恐る声をかける。

 

「どうしたの?」

 

「その‥‥夷隅はどうなりました?」

 

「‥‥通信が途絶したままで、現在確認中よ」

 

「そう‥ですか‥‥」

 

「‥‥」

 

園宮は意気消沈した様子で答え、桜野も暗い表情をしながら発艦準備を進める。

もえかの答えに園宮と桜野も夷隅がどうなったのかを何となく察していた。

 

「海鳥、発艦準備完了。これより哨戒任務の為、発艦します」

 

「了解。くれぐれも気を付けて」

 

「はい」

 

重たい空気の中、桜野が海鳥の発艦準備が整ったことを報告する。

やがて海鳥はプロペラの回転数を増し、エンジンの轟音を立てて空へと舞い上がって行った。

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