「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「息吐かないでくれる?酸素の無駄遣いよ」
「あー、はいはいすんませんでしたー」
「なに、きしょくわっる」
うげぁと到底人とは思えない声をチェインが上げた。ザップはそれに突っ込む気力もないのか、項垂れたままだ。珍しい、とチェインは気味悪がった。明日は雪だろうか。
まぁ、状況が状況であるので仕方ないのかとも思うが。
「あら、そーとーキてんのねぇザップっち」
「……姐さん」
のそ、とザップが顔を上げた。
けれどその死んだ顔を見てあらま、とK・Kは頬に手を添えた。
だって、顔がいつになく死んでる。
「まぁ、日頃の行いよ。ザップっち。諦めなさい」
「ぐっ」
ドシュっ、と何かを貫いた音が聞こえた。と、同時に、何かが刺さったかのようにザップは胸を抑えた。
……そう言われてしまえば何も返せなかった。
俯いたせいではらりと垂れ、視界を遮った長い髪を鬱陶しげに払う。
無意識に舌打ちする。
ザップだって日頃の行いが褒められたものでないと知っているのだ。わかっているのだ。けれど、それがザップの日常なのだ。
だから、理不尽だと思ってしまう。というか、理不尽ではないかと思っている。反省とかぶっちゃけしてない。
それでこそ、ザップなのだが。
「まぁ、これを機に生活を見直したらどうだ?ザップ」
「……番頭」
じぃ、と恨みがましい目でスティーブンを見上げる。
同じ男としてもうちょっと何か言うことはないのだろうか。仮にも部下がこんな姿になっているのに。
そんな視線に気づいているのかいないのか、スティーブンは、可愛いじゃないか。なんてカラカラと笑っている。
思わず泣きたくなってソファに突っ伏した。
スティーブンに期待するのはやめた。
というより、考えてみれば、彼がザップを案じて優しい言葉を掛けるなど天地がひっくり返っても有り得ないし見たくない。
ふとソファから顔を上げると、何やら3人で会議中のようだ。
ちなみに、クラウスは植物園で水やりの真っ最中である。
「確かに今のままでは任務に支障は……ないが、……うん。この期間。これはいい戒めの機会だ。というわけでザップ」
「は?……はい?」
ちょっと待て。
何を話していたんだ。
何でそんないい顔してんだ、犬女。
嫌な予感がガンガンする。
「報告が来た」
「は?何の……」
「お前に呪をかけた女のことだ」
「……なにかわかったんすか?」
ぱっと体を起こして座る。
スティーブンがぴらっと1枚の紙を、読めと言わんばかりにザップによこした。
ザップは素直に受け取り、文字を目で追ってゆく。
「………………………………………………は?」
読み終わったのか、ザップがぴきっと固まる。
それを見てスティーブンとチェインが満足そうに笑い、K・Kがまぁ、自業自得ね。と溜息をついた。
依然、ザップは固まったままだ。
「と、いうわけでザップ。ついでだからその呪いが解ける間、愛人がいない外で任務してこようか?」
ぐしゃ
「はぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁああああああ!?」
ザップの絶叫が響き渡った。