ザップ・レンフロに掛かった呪いについての報告書
某日、ザップ・レンフロ(以下、ザップ)は彼の愛人の女に、口論の末呪いを掛けられた。数時間は何も起こらなかったのだが、数時間後ザップの体が変化した。
これについて調査を行った結果、今回ザップに掛かった呪いは、対象の性を転換するものである。
呪いを掛けた本人、アンナ・リエール(以下、アンナ)に話を聞いたところ、これを肯定している。
呪いを解く方法だが、アンナによると、対象の呪いを解く条件は、時間の経過ということだ。
____期間は、1ヶ月。
その間は何をしようとザップの呪いが解けることはない。
「はぁ〜〜〜〜」
ゴォォォオオオ
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
ゴォォォォオオオオオオオ
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
ゴォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオ
「……なんで俺はこんな所にいんだよぉぉぉぉぉおぉおおお!!」
と、いうわけで、ザップは今空港にいる。
周りの乗客はまばらだが、そこそこいる。そんな中、死んだ目をしながら呪われそうな溜息をつくザップに、悲しいかな。周りは銀の長髪で、細身に関わらずボンキュッボンのナイスバディな女性(ザップ)が憂いに満ちた溜息を漏らしているというとんでも解釈をし、ちらちらと熱視線を送ってたりするのだが、この1日で目的の空港まで来るのに全力を費やしたザップには見えていない。
それというのも、ザップはこの空港に飛行機とバスと電車を乗り継いで乗り継いで乗り継いで挙句走って乗り継いでまた走って乗り継いで乗り継いで……ようやく着いたのだ。
ザップの顔がどよんとやつれている。
「なに、俺恨まれてんの…?」
日頃の恨みか、ただの気分か。
恐らく、前者か。……まぁ、どちらにせよたまったものではないが。
そういうザップの手には、出発時間ギリギリのタイムスケジュールが握られていた。分刻みである。ときたま、ここ37秒で移動とか書いてある。ふざけんな。普通のやつだったら5分かかるわ。タイトなスケジュールのせいでろくに寝れなかったザップの顔は鬼の形相になっている。寝れたのは飛行機の時間だけである。というか、飯もまだだ。さっきから腹が鳴りっぱなしだ。帰りもこれをやんのかと思うと遠い目になってくる。
このタイトなスケジュールは出発前、いつの間にか出来ていた『今』のザップのパスポートとともにいい笑顔スティーブンに渡されたものだった。
ふと、出発前のやたら黒い笑顔の眩しいスティーブンがまぶたに蘇った。
「ザップ、いいか?……まぁ。その身体じゃ、無いとは思うが、万一に備えて愛人がいないヘルサレムズロットの外での任務をしてもらう。……あぁ、わかってると思うが、手を出すなよ?」
何にとは、言わないが。
とは、出国前のスティーブンの言である。
「……ったく、心配性なこって」
精一杯の皮肉。
まぁ、届く相手がいないのだが。
「あー、くそっ!とにかくメシだメシ!!」
腹が減っては戦はできぬ。とりあえずメシだ!
そう結論づけて、言うが早いか空港を後をにしたのだった。