-猫耳視点-
詳細に指示を出し、定軍山へと複数名間諜を放つ。
定軍山を基点として、劉備領方面へ扇状に間諜を展開させる。
敵勢力を発見した場合でも、深く探る事はせず、相手に気取られない事を最優先事項として
行動し、速やかに報告に来るよう徹底させる。
四日程して、間諜の一人が帰還した。
確かに定軍山方面へ向かっている一団がいる様だ。
主要人物として馬超、馬岱がいることも確認できた。
間諜の情報ではあと一人、立派な弓を所持した、髪の長い、出鱈目に胸のでかい女もいたそ
うだが、これが黄忠なのかしら…こいつは敵ね!(事実敵だしね!)
再び間諜に指示を出す。
今後は定軍山を遠目から見張るよう他の者にも伝え、動きがあれば報告に来るように、と。
しかし…
情報を疑っていた訳ではないのだけど…これ程までとは…
改めて、書簡の主の凄まじさを痛感させられる。
再度定軍山へと間諜を放った数日後、劉備、孫策両陣営へ放っていた間諜が戻り、軍議が開
かれる。
劉備の下に、黄忠、厳顔、魏延が降ったという報告がなされる。もう驚かないわよ…
精液孕ませ無責任男が、なにやら意味深に考え込んでいる様子だが華麗にスルー。
現在、劉備は南蛮に手を出しているようだ。
それも敵の首領を捕らえたにも関わらず、逃がす。こんなふざけた事を何度も繰り返してい
るという。馬鹿の考えは理解できない。
同じ馬鹿なだけあり、精液孕ませ無責任男には理解できたらしい。
あんたいっそ劉備陣営に行けば?
しかしこれは劉備を滅ぼす好機だわ。今の内に滅ぼしてしまえば…
孫策の方はやはり、江東周辺にいる袁家筋の豪族どもの平定で忙しいようだ。
だが、江東の将の加入で戦力が増し、思っていたよりも時間は掛からないようだ。
こちらも攻めるならば今か…
結局軍議は、両勢力を相手取れるだけの力を蓄え、二面作戦を展開するべき、という稟の主張
する方針を取る結論に落ち着いた。
個人的には劉備を滅ぼしたかったが、仕方あるまい。
稟の考えには異論はない。鼻血を吹くだけの女ではないのだ。やるときゃやるってか。
それに、今軍事行動にでないというのならば、それはそれでありがたいのだ。
軍議の後、一度部屋へ戻ると、放った間諜が戻ってきた。詳細を聞く。
なるほど、そういう事か…思考を回す。
程なくして、定軍山付近の国境警備隊から、国境付近を劉備陣営の兵がうろついているという
報告があがってきた。
ふっ…諸葛亮の阿呆!こっちはマルッとお見通しだわ!
猫耳 「以上が私の掴んだ情報です」
その場には華琳様と秋蘭がいる。
私が訪ねた時、華琳様と秋蘭が話をしていた。
どうやら、件の国境警備隊の報告から、秋蘭に偵察を命じていたようだ。
掴んだ情報を報告し、続ける。
猫耳 「おそらく罠を張っているのでしょう。
少数で偵察に出たこちらを一網打尽にしようという腹です」
覇王 「よくそのような情報を掴めたわね、桂花…」
常識人「うむ、何故に定軍山などに網を張っていたのだ?」
猫耳 「別に定軍山に網を張っていた訳ではないわ、秋蘭。
馬超、馬岱の両名に間諜を付けていただけよ。
涼州の件や、その時に感じた馬超の性格を考慮して、何かしら動く可能性が高かったから
見張っていたら今回の事が判明しただけよ。(騙しているようで些か心苦しいわ…申し訳
ありません、華琳様~)」
覇王 「なるほど…馬騰の弔いにと、私に一矢報いようという事ね。
確かに…あの直情的な性格ならば行動を起こしそうだわ。
流石の先見の明といったところね、桂花」
猫耳 「ありがとうございます(うぅ…素直に喜べないわ…)
おそらく劉備陣営も止めようと思ったのでしょうが、馬超の性格もあります。止め切れな
かったのでしょう。
あの陣営は兎角甘いですから。
止められないのであれば、効果的な一手として活用しようとしたに違いありません。
馬超がこのような作戦行動を発案できるはずもなく…諸葛亮あたりの入れ知恵かと思われ
ます」
常識人「ふむ…華琳様如何致しましょう?」
覇王 「すぐに軍議を開きましょう。皆を集めて頂戴。二人とも頼むわね」
皆が集まり、軍議が始まる。
事情を知っている私と秋蘭以外は突然の軍議に落ち着かない様子だ。
覇王 「まず、定軍山付近を劉備のところの兵がうろついている、と国境警備隊からの報告があっ
て、秋蘭に偵察を頼もうとしていたのだけれど…
その矢先に、新たな情報が入ったものだから、皆の意見を聞きたいのよ。桂花説明を」
猫耳 「はい。
今回の国境警備隊からの報告の件は、こちらの偵察を誘き出す罠である事がわかったわ」
華琳様と秋蘭に話した内容を、同様に話す。
精液孕ませ無責任男がなにやらおかしな顔をしているがとりあえず気にしない。
覇王 「さて、どう対処しましょうか?
まずは情報を掴んできた事もあるし、桂花の考えを聞きましょうか」
猫耳 「はい、まずこの誘いには乗るべきです。
この状況でこちらから偵察を出さないという訳にもいきませんし、何より敵を欺く為にも
必要となりましょう。
誘いに乗った振りをし、敵を欺き、油断させた上でこちらから逆撃を加えてやるのがよろ
しいのではないかと」
稟と風は話を聞きながら、それぞれの思考に潜っている様子だ。
華琳様が目線で続きを促す。
猫耳 「逆撃を加えるとしましても、現在、霞が不在の為、機動力にやや難があります。
また、偵察へ出る兵力も少数となる為、その任にあたる者の危険度も高くなりましょう。
ですので今回は、追い返す事に主眼を置き、可能であるならば敵将を討つ、という方針を
取り、無理に包囲殲滅に拘る必要は無いのではないかと」
敵を追い返すだけであれば難しい話ではない。今回の敵の作戦行動を考えると、こちらから多
くの兵力を送れば即撤退するであろう。
だがこれは、敵将を討ち、敵戦力を削れる好機でもあるのだ。
しかしその場合、敵殲滅に主眼を置いてしまうと、機動力が欠けている現在では包囲網を構築
する時間がかかり過ぎる。
只でさえ囮の偵察部隊を救出する為の機動力が欠けているのだ。それでは偵察部隊に壊滅的な
損害が出てしまう。
囮を勤めるのだから、指揮を執る者もそれなりの人物でなければならないのだが、下手をする
とその者を失うという事態も起きかねない。
この程度の作戦で、そこまでの危険を冒すべきではない。
覇王 「風と稟はどう?」
宝譿 「そうですね~桂花ちゃんの基本方針でよろしいのではないかと~
敵さんには痛い目を見てもらうとしましょう~」
鼻血 「そうですね。やや消極的かとも思いますが、桂花の言わんとしている事も理解できます。
実際問題、桂花も言っていましたが霞の騎馬隊が使えない状態では、回り込んで敵の退路
を塞ぐ事も難しいでしょう。
あとは、いかに迅速に囮となる部隊を救出し、且つ敵を効率的に屠るか…
その手段を構築しなければなりませんね」
覇王 「よろしい。では基本方針はそれでいきましょう。
さて、具体案はあるのかしら?桂花」
猫耳 「はい、まず囮となる偵察兵を率いるは秋蘭が適任でしょう。そして――――」
続けようする矢先、突然声を上げられ話を遮られてしまった。
種馬 「ちょっと待ってくれ!別に秋蘭じゃなくてもいいだろ!?」