真・恋姫†無双 とある裏方さんの暗躍   作:きんぐまいまいこ

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第十二話

  現在、第一村人を装い情報収集に赴いている。

  現在位置は定軍山の事件現場より南東に約10kmの森の中。

  周囲を警戒しながら、高めの木に登り、高性能双眼鏡を取り出す。

  事件現場から劉備領寄りを探していると、漸くそれらしい軍勢を発見する。

 

  いや~やっと見つけられたな。

  この距離だと…確り顔は認識できないか~

  しかし結構いるものだな~何人くらいいるんだべ?(と思い、数えようとしたが億劫なので辞

  めた)

  とりあえず、連中で間違いないでしょ。事件現場からは…まだかなり距離があるな。

  時期的に考えて、まだ曹操側は動いてないだろうしな。こんなもんなのかな。

 

  まぁ連中の存在は予定通りだからいいとして…

  周囲に予定外のが居ないか注意せんとな~

 

  そんな適当な感じで劉備兵の動きを追いながら、10日目に突入。

 

  そろそろだと思うんだけど、管路さんが来ないな~

  劉備兵も事件現場付近で陣取ってるし、件の3人も視認できた。

  大幅な予定外は、無いと見てよさそうだが…

  なんて事を思いながら、出かけようかとした矢先、管路さんが来た。

  この人エスパーかなんかだろうか。

 

管路 「そんな訳ないでしょ。さ、情報が確定しましたよ」

 

 

  管路説明中…

 

 

  思ってた以上にうまく進んでるようだ。

  いい感じだ~俺の出番もなさそうで良かったわ。

 

管路 「そうですね。ですが事が起きたら、可能な限り近くで推移を見守ってくださいね。いざと

    いう時は出張って貰わないといけません」

 

  あいあい

 

管路 「それでは私はこれで。がんばってくださいね」

 

  夏侯淵は一昨日の昼には発ったらしい。現場到着は明日の午前中の予定だ。

  こちらも移動を開始しましょかね。

 

 

 

 

-猫耳視点-

 

 

  作戦が決まり、秋蘭と流琉が出立したその日の午後に、霞が偵察から帰還した。

  僥倖だわ!霞が作戦に加われば、精度が格段に上がる。

  稟、風と話し、即座に作戦に修正を加える。これならばうまくいけば武将級を討てるわ!  

  

  その日のうちに軍議を済ませ、秋蘭に伝令を飛ばす。

  そして翌日の早朝、本隊も出立した。

 

  今回の作戦、私は留守番になってしまった。

  まさか華琳様が『馬超、馬岱に話もあることだし、私も出るから作戦に組み込みなさい』なん

  て仰るなんて…

  この程度の作戦行動で、華琳様と私が両方留守にするのは、内政面で些かうまくないのでは?

  と遠回しに説得しようとしたのだが…

  『ならば今回、桂花は留守をお願いね』と仰る始末…なんてこった…

  …まぁ愚痴っても仕方ないわね。

  皆の兵糧に関しては、こちらから別動体が運ぶ事になっているのだ。

  その準備もしないといけないし、やる事をやりましょうか。

 

  せっせと準備を進めていると、声をかけられる。

 

猫耳 「はぁ?輜重隊について行きたいですって?」

 

  北郷だった。

  当たり前だが、今回の作戦には参加していない。参加しても役にたたないしね。

  しかし、こいつ…どうも先の軍議からおかしな感じだ。いや、おかしいのはいつもの事だが。

  こいつが知ってる歴史とやらに関係があるようなのだが…

  今も輜重隊について行かせてくれと懇願している。煩いわね…

 

 

 

 

  あの軍議の場で、こいつは『別に秋蘭じゃなくてもいいだろ?』と言った。

  では、誰が適任だと思ったの?適任者を挙げるとすれば、間違いなく秋蘭なのだ。

  それに、秋蘭以外となると必然的に春蘭という事になるのよ?そんな選択肢はありえないわ。

  あの猪に囮なんて芸当ができるわけないでしょうが。

  それを踏まえた上で、あんな事を言うほど無能ではない。

  こいつは確かに馬鹿で変態で、どうしようもない節操無しだが、無能な訳ではないのだ。

  そのくらいの事は理解しているはず。ではどういう意図があったのかというと…

 

  おそらくは、適任者が他にいるという意図ではなく、秋蘭が不適任だという事だ。

  能力の問題ではない、『秋蘭である事』が問題だったという事。

  華琳様から伺ったお話によれば、こいつの世界には、三国志なる興亡史があるらしく、その中

  で私達は男として描かれているのだそうだ。

  吐き気がする!そんなもんが正しい歴史であるはずがないじゃないの!

 

  つまりこいつの知っている歴史では、今回の件に似た、何かしらの出来事において夏侯妙才な

  る人物に何かが起きたのだ。だから咄嗟に止めようとしたのだろう、阿呆らしい。

  ……まぁその気持ちは分からぬではないのだけれどね。

 

  そこまで思考して、ふとある仮定が頭をよぎる。

 

  もし書簡の主からの情報が無かったらどうなっていたのか…

  それを元に、私が行動を起こしていなかったら…

  私が報告した際、華琳様は秋蘭に偵察を頼もうとしておられた。そのまま話が進んでいたら…

  秋蘭を失っていたかもしれない。かなり高い割合で。

 

  書簡の主からの情報が無ければ、北郷の知る歴史通り推移したという事なの?

 

  ……いや、それは暴論か。些か飛躍しすぎてしまったわね。

  確かに書簡の主からの情報が無ければ、北郷の知る歴史と同様の流れを辿ったかもしれない。

  だが、情報は得られた。

  書簡の主から情報が齎され、私が動いた時点でこの仮定を考察する意味はないのだ。

 

  そもそもが不確定で確認のしようが無い、私が男として描かれている戯けた歴史を基本骨子と

  するなど言語道断。

  埒も無い事を考えてしまったわね。

 

 

種馬 「――花、おいっ桂花!」

 

  呼ばれているのに気付く。

 

種馬 「どうしたんだよ?急に考え込んで…なんかあったのか?」

 

猫耳 「なんでもないわよ。で、あんたなんでここに居るのよ。さっさとどっか行きなさいよ」

 

種馬 「そっからかよ!だから輜重隊について行かせてくれって話だよ。いいだろ?」

 

猫耳 「…めんどくさいわね…いいわよ、勝手にしなさい。考え事の邪魔しないで頂戴。

    あと出たついでに、どっかで死んできなさい」

 

  今現在、確定している確かなものは、書簡の主からの情報を元に私が動き、事前に敵の動きを

  把握する事ができたという事実。見るべきはこの事実だ。

  その上でやるべき事はやった。

 

  書簡の主が言っていた『最悪の可能性』というのは偵察の壊滅。

  即ち偵察に向かう将、今回ならば秋蘭を失うという事なのであろう。

  先の仮定ではないが、私の対応が遅れていたら、実際そうなっていたかもしれないのだから。

 

  そして、こればかりは今回の作戦にしても絶対問題ないとは言えない。

  だが、作戦立案の最重要課題として、囮の救出には最大限配慮した。

  秋蘭ならばこなしてくれる。霞ならば問題なく間に合わせてくれる。大丈夫だ。

 

 

 

 

  …思えば、書簡の主には助けられてばかりだわね。

 

  共に働く事が出来れば、これ程心強い存在もいないであろうに…

  何故華琳様に仕えてくれないのか…

  華琳様にお仕えしていてはできない事をしている、と言っていたか…

 

  束縛される事なく、己の判断を絶対の基準とし行動しているという事なのか…

  如何に華琳様といえど、そこまでの裁量を与える事は…確かにできないでしょうね。

 

  その上で、得た情報を私に齎している。華琳様の治世を望むが故に。

  私ならば的確に判断し、対処してくれると思ってくれているのか…

  信じてくれているのだろうか…だとするならば…

 

 

種馬 「俺を勝手に殺すのいい加減やめてくれよ…でも、ありがとうな桂花」

 

猫耳 「…何よ気持ち悪いわね。そんなに輜重隊について行きたかったの?」

 

種馬 「それもあるけど…それだけじゃないんだ。

    桂花が華琳の元に居て良かったと思ってさ。流石は王佐の才、荀文若だな~って話さ」

 

  こいつが言う『流石』には、私以外の存在がいる。

 

  書簡の主は、私ができない事をし、私を信じ、託してくれている。

  共に仕える事は無くとも同じものを目指しているのだ、と…

 

  ならば、私が不甲斐ない格好を見せる訳にはいかないわ。私にしか出来ない事を成す。

  貴方の志は、私が共に連れて行ってあげる。華琳様の治世を見せてあげるわ。

 

 




諸事情によりしばらくの間、投稿ペースが落ちます。
また29日以降さらに落ちる事になると思います。
楽しみに待っておられる方は、あまり居られないでしょうけれど、一応ご報告までに。
ご覧になって頂き、ありがとうございます。
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