真・恋姫†無双 とある裏方さんの暗躍   作:きんぐまいまいこ

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第十四話

-覇王視点-

 

 

  夜が明け、行軍を開始する。ここまでは順調に進んでいるわね。

 

宝譿 「そうですね~こちらの行軍速度にも問題ありませんし、予定の刻限には待機場所へ到着で

    きそうですね~」

 

デコ助「華琳様!早く秋蘭を助けに行きましょう!」

 

春巻 「春蘭様~ちゃんと作戦通りにやらないとダメですってば~」

 

デコ助「作戦?秋蘭を助け、ついでに敵を蹴散らせばいいのだろう?簡単な事ではないか!」

 

  …持病の頭痛が酷くなりそうだ。

  理詰めで動いては、春蘭の持ち味が失われると判ってはいるが…

  このアホ加減も可愛いところではあるのだが…

  それでももう少しだけ、ほんの少しでいいので知性を求めてしまう。

  ……求める私が間違っているのかしら?

 

覇王 「さて、ここからは別行動だけれど…

    風の指示があるまでは決して動いてはダメよ?きちんと風の言う事を聞くのよ?春蘭」

 

デコ助「分かっております!華琳様!さっ、行くぞ風!季衣も華琳様を頼むぞ?」

 

春巻 「任せてください!春蘭様!」

 

宝譿 「春蘭様もこう仰ってますし~大丈夫?ですよ」

 

覇王 「(疑問系なのね…)ではお願いね。さて、季衣の方は大丈夫かしら?」

 

春巻 「大丈夫です!合図が上がったら突撃ですね!」

 

  …私がいるのだから良いか。でもやはりもう少しは…

  不毛な考えを外にやり、待機場所へ向かう。

 

 

 

 

猫耳 「霞が作戦に参加する事となりましたので、若干修正を加えました。

    偵察隊が出た後、更に二部隊が出撃する事には変わりはありませんが…

    その内の一部隊は霞の担当とします。

    この部隊は偵察隊救出を兼ねた、敵の退路の一つを絶つ為の部隊となり、騎馬800。

    霞と稟に率いてもらいます。

 

    もう一部隊は本隊として歩兵3000。春蘭が1000、華琳様には2000を率いて頂

    き、季衣と風もこちらとなります。

 

    まず、騎馬隊は定軍山の北西に位置するココに先行して、待機しておいて欲しいの。

    私の間諜を付けるから、ココに着く前に時機を計って本隊に到着の報告に走らせて頂戴」

 

  桂花が地図に黒石を置く。

 

猫耳 「進路はやや迂回気味で行って頂戴。その辺は稟に任せてあるから」

 

鼻血 「ええ、心得てます。宜しく頼みますね、霞」

 

サラシ「おう、まかしとき!」

 

猫耳 「そして本隊は、基本的に秋蘭と同じ進路を取って頂き、ココで待機して頂く事になります

    が――」

 

  間諜隊が潜んでいる場所の北側に黒石を置く。

 

猫耳 「明後日の行軍開始時、つまり定軍山到着予定当日の行軍開始時点で更に本隊を分ける事に

    なります。

 

    本隊からの分隊は春蘭率いる1000と風。分隊はそこから南に進路を変えてもらうわ。

    分隊にはもう一つの退路を絶ってもらう。この間諜隊の潜伏場所からやや南よりのこの場

    所を目指して頂戴」

 

  間諜隊が潜んでいる場所のやや南よりに黒石を置く。

 

デコ助「むぅ…季衣、くれぐれも華琳様を頼むぞ?しっかりお守りするのだぞ?」

 

春巻 「任せてください!春蘭様。絶対守ってみせます!」

 

猫耳 「頼むわね、季衣。というかむしろ春蘭の方が心配よ…勝手に動かないでよ?」

 

デコ助「なんだと!?私がいつ勝手に動くような真似をしたというのだ!」

 

  擁護の声が上がらない。流石は我らが愛すべき春蘭である。

  まぁ確かに、些か心配ではあるわね…

  なんだったら、季衣もそちらに同行させたらいいのではない?私は別に一人でも――

 

猫耳 「なりません!華琳様!

    確かに春蘭の脳筋は心配で不安しかありませんが、華琳様の御身に何かあってはいけませ

    ん!季衣はお傍に置いてください!」

 

デコ助「誰が脳筋だとぉ!?」

 

猫耳 「なによ、事実でしょ?」

 

種馬 「まぁまぁ春蘭。落ち着けって」

 

デコ助「なんで私だけに言うのだ北郷!貴様は桂花の味方なのか!?この裏切り者が!」

 

  理不尽に殴り飛ばされる。

  なんと綺麗な放物線を描くものか。流石春蘭ね。

  あれでけろりとしているのだから一刀もある意味、傑物よね…

 

  そんなやりとりを他所に、桂花は続ける。

 

猫耳 「春蘭は風がなんとか致します。何卒季衣はお傍に置いてください」

 

宝譿 「えぇ~風がなんとかするんですかぁ?」

 

猫耳 「アンタも軍師でしょうが!そのくらいなんとかしなさいよ!

    って言うか、あんたは作戦内容を知っているでしょうが!」

 

宝譿 「ぐぅ……」

 

猫耳 「寝たふりしてんじゃないわよ!しっかり頼んだわよ?風」

 

宝譿 「まったく…人使いが荒いですね~桂花ちゃんは」

 

本体 「ホントやれやれだぜ」

 

猫耳 「霞が間に合ってくれたおかげで、敵の殲滅の目が出てきたのだからがんばって頂戴。

    さて…本隊にも私の間諜を付けますので、霞の騎馬隊からの報告が入りましたら、本隊到

    着の時機を見計らって間諜を報告に出してください。

    その間諜が定軍山を見張っている私の間諜隊30へと伝令に走りますので。

    同時に分隊も、私の間諜隊の潜伏場所を過ぎた辺りで報告に走らせて頂戴ね。

 

    秋蘭達が森に入る前に全ての伝令が完了するよう、行程も計算しておりますので、そこは

    ご信頼頂ければ。

 

    伝令が間諜隊に着き、煙矢が上がったら作戦開始です。

    騎馬隊、本隊は秋蘭が潜んでいる森の前面に展開している敵騎馬隊へ向けて突撃となりま

    す。

    分隊はこの時点ではまだ動いてはダメよ?いい?絶対突撃するんじゃないわよ?

 

    間諜隊が敵に対し一斉射し、その後も敵の動きを見計らいながら斉射を続けさせます。仮

    に間諜隊に向けて敵が突貫してきた場合は直ちに撤退させ、本隊と合流するよう指示を出

    しておきますので、本隊は回収をお願いします。

    同様に、騎馬隊は秋蘭と合流し、後は敵の動きに対応してもらいます。

    時機は敵将の判断で変わってきますが、最終的には敵は撤退するしかありません。

    その時機を見計らって、分隊には敵退路を塞ぐ形で動いてもらいます。

 

    敵が取り得る撤退経路は三つ。

    一つは森の南東側を抜ける経路。

    当然ですが、敵には霞の騎馬隊が最初に視認されるでしょう。

    故に、ここを抜ける可能性が一番高いと思われます。

    ですので、この推移を基本骨子に設定しております。

    この場合は分隊にて敵退路を遮断、そのまま包囲殲滅に入ります。

 

    一つは霞の騎馬隊を抜き、南西へと抜ける経路。敵の動きがこのように推移した場合の為

    に、稟にも煙矢を持たせておきます。この場合は煙矢を一本上げてもらい、皆に知らせる

    ように致します。

    基本的に本隊の行動はどのように推移してもそれ程変わるものではありませんが、分隊の

    行動は、敵の動きでまったく違うものになります。

    この場合は、分隊には北上してもらい、敵後背に詰めてもらい、包囲殲滅に入ります。

 

    一つは最も可能性が低い、おそらくは無いとは思いますが、森を抜ける経路です。

    この森は、騎馬で抜けるには些か厳しいものです。折角の機動力も失われる結果になりま

    すので、正直この選択肢を取るとは考えられません。

    馬を捨てれば話は別でしょうけれど…

    ですが、可能性として考えられるものであるのも確かです。

    その場合は煙矢を二本上げてもらいます。そして、分隊には、この際には森の南側出口を

    塞ぐべく動いてもらい、本隊と前後より挟撃、殲滅という流れになります。

 

    そして、森を抜ける経路で撤退した場合はあまり考える必要がない事なのですが、森の中

    にいる敵歩兵部隊がどのように動くか、は敵指揮官から指示が出るか出ないかで変わって

    くると思います。指示がでなければ、秋蘭達の後を追い、森から出てくるだけだと思いま

    すので、問題ないのですが…

    何かしらの指示が飛んだ場合は、そうはならない可能性も十分有り得ます。ですがその場

    合、どう動く事になっても、我々と接触するという事は敵騎馬隊の撤退を援護すべく動い

    た場合以外は有り得ません。つまり接触するのは霞の部隊か春蘭の部隊のどちらか。

    その場合の対応につきましては、稟、風と十分考察しておりますので、対応は二人に任せ

    て問題ありません。

 

    以上が我々の立案した作戦内容となります。

    基本的には、先の三つの推移の何れかを辿ると思われますが…想定を外れると致しまして

    も、それ程大きく外れるものではないかと。

    その際にしましても、現場には華琳様は勿論、稟、風もおりますれば、その時の状況に応

    じて判断して頂ければ、まず問題はないかと存じます」

 

 

 

 

  さて、敵はどう動いて見せるのか。

  かなり練られた作戦だ。食い破るのは中々に至難ではあるが…

  ただ殲滅されるだけか、或いはこちらを食い破って魅せるかしら?楽しみな事だわ。

 

 




大凡の位置関係はこんな感じです。




                          本隊




     騎馬隊
                              間諜隊
             ←――――― 敵騎馬 ―――――→
          敵撤退経路②     ↓③     敵撤退経路①
            ↓  森森森森森森 森森森森森森  ↓
               森           森
               森     囮     森
               森           森    分隊
               森    敵歩兵    森
               森           森
               森森森森森森 森森森森森森

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