エマ「うまく進んでるみたいですね」
管路「ええ。籠城戦が以前より効果的に推移している以外は目立った変化はありませんね。
まず大丈夫でしょう」
エマ「そっかそっか。予定より少し遅れたから、些か心配しましたよ」
管路「極々僅かではありますけど、介入していますからね。あの位の誤差は想定内です」
流石にあの兵力差じゃ、荀彧がいくら気合を入れても初戦はひっくり返せないわな。
でも情報入手がいくらか早かったからか、援軍が以前よりもやや早く到着した。
なんとか無事乗り切ったな~
北郷君も曹操に膝枕して貰って、ご満悦の様子がモニターに映る。
ちなみに以前は、この戦いにおいて、北郷君には初となる軽い体調不良が発生していた。
そしてそれは、今回も同様である。
この戦いは、曹操の北郷君に対する想いに大きな影響を与えるイベントだ。
北郷君には、以前と同様に活躍してもらい、曹操を救出して貰わなければならない為、今回は
必要経費とする他無い。
北郷君も、体調不良は初陣の緊張によるストレス程度の認識であるし、内面的にもまだ天秤が
傾く程の事でもない(はず)
今後、北郷君が体調不良を起こさなければ、計画通り乗り切れる(はず)
若干弱気な管路さんである。
つまり、今後はかなりシビアになってくる、という事。
情報のリークだけでは足りなくなるかもしれない。
ある程度表立って行動しなければならない場面が出てくるかもしれないわけだ。
管路「次がいよいよ分水嶺です。
今回の計画の最重要ポイントですから、気合を入れていきましょう」
エマ「定軍山ですね。種がうまく芽を出してくれればいいですけどね~」
管路「芽が出れば良し。仮に出なければ、計画の変更も視野に入れなくてはいけません…
どちらにしても、これまでよりは介入の深度を下げるのですから、覚悟しておいてく
ださいね」
管路「それでは、介入計画のお浚いをしますよ」
今回の介入は、計画の最難関となる。浅い川も深く渡ろうという事だ。
管路「まず、今回は私も本気を出します。情報のリークに関しては、一切問題ありません」
今回は、外史に入る際、場所とタイミングを可能な限り限定させる。
場所は荀彧の部屋、タイミングは荀彧が部屋に居ない時間。
場所は兎も角、タイミングがシビアだ。
こちらと外史とでは時間の流れに差がある。外史の1日はこちらでは僅か6分である。
実に240倍の速さだ。某赤い彗星も裸足で逃げ出す。
荀彧が仕事で部屋を留守にするとして、仮に4時間部屋を空けたとした場合、こちらの猶予は
1分。こちらからの出発が1秒遅れただけで、外史では4分経過してしまう勘定となる。
なかなかにシビアだ。
管路「荀彧の行動ルーチーンも把握してますし、よほどのイレギュラーでもない限り大丈夫です。
今の外史の流れならその様な事も起きないでしょう。
仮に、百歩譲って、万が一、部屋に飛んだ瞬間に誰かと鉢合わせたら、問答無用で戻ってき
てください」
なんという…
というか、それが出来るなら最初からやればよかったのでは?
管路「さっき貴方も言ってたじゃないですか。結構きわどいんですよ。
それに、仮に可能であったとしても、最初の接触からこれをやってしまうと荀彧の警戒度が
凄まじく上がるでしょ?
部屋に侵入されているんですよ?書簡の信頼性云々とは別方面の問題が発生しかねません。
でも今の段階ならば、荀彧もこちらを情報という点のみではありますが、ある程度信用し、
認めているはずです。
その前提があれば、部屋への侵入を許したという結果についても『警戒しなければ』という
思いもありましょうが、同時に『こんな事までできるのか』と思わせることが可能です。
情報という点で既に認めている分、警戒よりも、こちらの評価に繋がることの方が大きいと
思いますよ」
エマ「ふーむ、確かにそう…かも?」
管路「と言う訳で、そちらは私に任せてください。問題はその後です。
どの道、書簡を置いたら戻って来てもらいますが、すぐまた潜ってもらいますよ」
エマ「了解してます。件の小屋は大丈夫そう?」
管路「問題ありません。誰かが住み着いているという事にもなってませんから。
情報が確定し次第、私も一度潜ります」
定軍山の事件現場から、約20kmという場所に草臥れた小屋がある。
軽く走れば現場まで2時間といったところか。
そこを拠点に、情報収集をする予定になっている。
また、情報が確定し次第、そこで一旦情報を貰う手筈となっている。
管路「荀彧がこちらの希望を最大限に満たしてくれれば、それに越した事はないのですが、希望的
観測で動く訳にはいきません。
最悪なのは援軍が出ない、或いは間に合わない場合です。
そうなると貴方にも出張ってもらわないといけない事になりますが…」
エマ「その点はあまり気にしてませんよ。あの流れで推移するのであれば、なんとかできます。
相手の3人を抑えるだけでなんとかなりそうだし。
むしろ、夏侯淵…が出てきてくれるでしょうけど、彼女との邂逅がやり辛いですよ。
出張った場合は顔合わせる事になるでしょうしね。
聡いし、面と向かうのはしんどそうだ。どうしたもんかな~…」
管路「そこはがんばってくださいとしか言えませんね」
あいあい
管路「それでは出発は5時間後です。私は仕事に戻りますが、休んでてください。時間になったら
迎えにきますから」
忙しくなりそうだし、仮眠しておくかね。
エマ「ぐおっ!」
横っ腹にトーキックを食らう。
管路「時間ですよ。起きて下さい」
扱いの改善を要求したいとこだ…
管路「30秒で支度してください」
どこぞの盗賊の女頭領のような事を…
管路「では、こちらの書簡を置いたらすぐ戻ってきてくださいね。
いいですか?10秒前、9、8、………2、1、今です!」
わお、マジで無人だ、すげーや。
なんて感心してる暇ないな。さっさと済まそか。
私室にも関わらず、書類らしきものがそこかしこに転がっている。
机の上に目立つように置いておいて…さ、かーえろ。
管路「言った通り、大丈夫だったでしょう?尊敬してくれてもいいんですよ?」
エマ「俺への扱いが改善されたらね…さ、んじゃさくさく行きましょか」
管路「こちらも情報が確定し次第向かいます。
非常時の為にここを長く空ける訳にはいきませんから、私はすぐ戻りますけどね。
そちらが偵察から戻ってくるタイミングを見計らって合流しますので、当座は勝手に偵察し
ててください。
ただ、小屋には毎日必ず戻ってください。連絡が遅れると困る場合もあるでしょうしね。
あとこちら、必要そうなもの一式揃えてますのでどうぞ」
エマ「あいさー、んじゃいってきます!」