花宮さんとの出会いから数日後…
「テッちゃーん!待たせてごめんな!」
平日の朝、僕は学校を休み和成君のお家の前へ来ていた。
朝早くに来てしまった為大慌てで部屋を片付けてくれたらしく和成君は額の汗を袖口で拭い苦笑いをしながら扉を開けてくれた。
「いえ、僕こそ朝早くにすみません。和成君学校は無いんですか?叔母さんも居ない様ですし」
開かれた扉を潜り靴を揃えて脱げばもう随分と見慣れた廊下を歩きながら尋ねる。彼はいつも通りに笑い振り向いて頷いた。
「学校はテッちゃんもだろ?母さんは自治体?とかなんとかの旅行で今日から三日間居ねえの。学校は土曜参観だったから振り替え!」
くるくると表情を変えながらにこにこと笑って話す彼を見ているとこちらまで笑顔になる。…が、僕は知っている。昨日、中学最後の試合に負けた事を。
幼馴染みではあるものの中学が違う僕らはいつか試合で戦おうと約束していたのだが僕がこんなことになってしまいそれは叶わない夢となっていた。
「そうですか。…和成君。今日はお話があって来たんです。」
花宮さんと話をした。
これからどうすべきなのか。
その策略の中に和成君は居ない。しかし、応答次第では和成君も…
「…テッちゃん、なんかあったろ。聞くぜ、なんでも」
彼はこういう所がある。唐突に心の中を覗かれるような感覚。
浅葱色の瞳が僕の心を理解しようと見詰めてくる。
「…有難うございます。実はこの数日の間に…」
昔から理解しようと努力してくれた人だった。和成君ならきっと、分かってくれる。
同時刻、帝光中学
( 信じられなかった。確かにテツ君は傷ついていたけどまさかこんなことになるなんて…!)
「大ちゃん!どこ!?」
朝練をサボった彼が居るところは大体決まっている。息を切らしながら階段をかけ上がれば普段は施錠してあるはずの屋上への鍵が開いていた。
「…んだよ。うっせぇな。」
案の定彼は屋上で寝転び息を切らす自分を面倒くさそうに見上げている。大きな欠伸の後いつも通りの言葉を呟き再び瞼を閉じる。
「…ねぇ、本当にテツ君がしたと思ってる?…なんで最後まで信じてあげなかったの?」
漸く呼吸が整うと瞼が閉じられたのを見届け隣に腰を下ろす。このままだと朝のHRを欠席してしまう。しかし今はそれもどうでもいい様に感じられた。バスケットボール部ではこの話は禁句となっている。どうせ話をするならここしかない。
「裏切ったのはあいつだろ。てか、さつき……最後ってなんだ。」
何度聞いても同じ返答、の筈だった。
少し考え込んだ彼の表情は不機嫌そうに眉間に皺を寄せている。
「…テツ君 学校辞めちゃったんだよ」
「この数日の間に学校を辞めました。そして数日前に無冠の五将花宮真さんに出逢いました。…和成君。高校は何処にするか決めていますか?」
驚いた様に見開かれた浅葱色の瞳の中に映る僕は、花宮さんと同じ笑みをしていた。
これから先、本格的に本編より外れていきます。
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