貞操観念が逆転したインフィニット・ストラトス   作:コモド

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最近は貞操逆転ものが増えているらしいですね。


この中で黒髪ロング清楚系美少女に誘惑されても襲わない自信のある者のみメインヒロインに石を投げなさい

 いや、ちがうんですよ。

 ビッチとかそういうのじゃ全然ないんです。現実問題、女の子が泣いてたら放っとけないじゃないですか。それが自分に好意を向けてくれるコなら、尚更手を差し伸べてあげたくなるじゃないですか。

 もしそれが普通の女の子なら、よく話を聞いて溜まってるものを吐き出させてから、こう男らしいことをして慰めてたと思いますけど、ややこしいことに、この世界の女の子って中身が男なんです。

 男を相手にしてるんだから、こっちは女になりきるしかないじゃないですか。そうするほかないじゃないですか。

 でもぼくは男だから女の子にキスするのは抵抗があるじゃないですか。逆転してるからぼくが女で向こうが男になるけど、女になりきってキスしたら、何か罪悪感と変わり果てた自分を思い出して悶えて当然じゃないですか。

 ぼくは俳優でもなんでもないんだもの。漫画やアニメのヒロインの言動を、何ら違和感なく演じて不自然さも欠片もない自分がいたら、自身の雄性に疑問を抱いてしまうじゃないですか。

 

 かの塵芥川賞受賞作家の大先生の体験談を思い出す。その作家は高校時代を男子校で過ごしたそうなのだが、男子校の宿命か皆、女に飢えていたらしい。飢え過ぎて小柄で可愛い顔をした男子生徒を「可愛い!」と女の子と見立てて愛でていたのだが、最初は女扱いされて嫌がっていた男子生徒も、可愛いと言われ続けて満更でもなくなったのか次第に仕草や髪型も女らしくなっていたのだという。

 その男子生徒は男子校のアイドルになり、話によると普通にキスもしてくれたとかいう話なのだが……これ、ぼくもそうなるんじゃないか?

 男だけど女としての役割を求められていくうちに、かつての世界の女性の立場でいることに何の疑問も抱かなくなるんじゃないか!?

 それはダメだ。ぼくの男としてのアイデンティティに深刻な異常をきたす。でも、男らしさを取り戻す為に、男らしい行動をとれるかというと、それもちがう。

 ぼくの雄の部分を取り戻すとしたら、それは欲望のままに男に飢えた処女を食い漁ることくらいしか思い浮かばないのだが、こんな閉鎖されたコミュニティでビッチだという噂が流れたら一瞬で詰む。

 どうすればいいんだ……

 

 

 

 

 

「頼む! 私を女にしてくれ!!」

 

 

 

 深夜の密室。男と女が二人きり。夜の静寂を引き裂く少女の声。

 男はぼくだった。女は箒さんだった。ぼくはベッドに腰掛けていて、箒さんは床で土下座していた。

 ぼくは女だった。箒さんは男だった。箒さんはぼくの足元で土下座してヤらせてくれと懇願していた。

 ぼくは呆けた。箒さんは切実だった。箒さんのポニーテールが背中を伝って地に落ちた。

 どうすればいいんだろう……ぼくは哀れを催すほど必死な処女と書いて童貞と読む巨乳ポニーテールな美少女の姿を見下ろして考えた。

以下、回想。

 

 

 

 

 

 

「おい唯、コップ。乾杯するぞ」

「あ、うん」

「では、転校生のおおとりすずねさんの歓迎会と、クラスの親睦会を開催したいと思いまーす!」

「誰よそれ! リンインよ、ファン・リンイン!」

『カンパーイ!』

 

 鈴さんの叫びを無視してグラスが鳴る音がする。クラス代表決定戦後、夕食後に食堂を借りて鈴さんの歓迎会と親睦会が催されることになった。

 ぶっちゃけ転校生といっても誤差みたいなものだから、同時にやってしまおうということになり、男子で仲良くなりたいクラスメートの思惑と、セシリアさんと鈴さんのわだかまりを無くす目的で、盛大にやる運びになったのだ。

 もっとも、主賓の鈴さんとセシリアさん、親睦会を企画したクラスの騒がしい面子が中心にいて、ぼくと一夏の男子は隅っこの方にいるのだが。

 

「天乃くんたちもー!」

 

 布仏さんがこっちまでトコトコと走って来て、ぼくたちとグラスを鳴らした。それに追随して近くにいる数人が同じように乾杯する。

 異性に堂々と接したいけど、経験がないから気負いのない人の後追いになっちゃう君たちの気持ちはよく分かる。布仏さんは気負いなさすぎだけど。

 

「本音ぇ、天乃くん狙いが露骨すぎよ? 昨日の忘れ物の件なんてセクハラでしょ」

「えへへ、そうかなぁ。えへへへ」

 

 ぼくの隣に座る鷹月さんが、冗談っぽく釘を刺す。向かいの席に戻った布仏さんはグーで頭をコツンと叩いた。たぶん、手を握った辺りの記憶を思い出している。

 小指でくすぐったので勘違いされたのかな。ちょっと距離感を計りかねる。横の一夏は素知らぬ顔でボッキーをかじっていた。ぼくも真似してグラスを口に運んで聞いてない振りをする。

 ぼくらがいる席は、鈴さんやセシリアさんがいる中心から一番離れた場所で、その一番端に一夏、女子側にぼく、そして端っこなのになぜか争奪戦が繰り広げられた横に鷹月さんがいる図式になる。

 つまり今はぼくが女子の防波堤になっている。そもそも一夏は親睦会にも乗り気ではなく、鈴さんの歓迎会も兼ねているから渋々来たのだ。合コンに無理やり連れて来られたコ状態の一夏は完全に食い気モードに入っており、テーブルに散りばめられたお菓子やつまみに関心を払っていて、女子に興味がなかった。

 鈴さんのいる方から怒号のような喧騒が聞こえてくる中、ぼくらの席は愛想のない一夏と愛想笑いを浮かべるぼくと比較的大人しいクラスメートの雑談で平和に時間が流れていたのである。

 

「天乃くんは何か趣味とかある?」

「えっと、ネットはよく見ます」

「へー、意外」

「まぁ、一口にネットと言っても色々あるし!」

 

 そうですよね、色々ありますよね。でも割とどこでもぼくのこと話題にしてますよね。天乃唯で検索したら『天乃唯 童貞』がサジェストに出てくるんですけど、人の貞操がそんなに気になるものなんですかね。

 鷹月さんはあまり押してくる印象がない。真面目でしっかり者といったところだが、こういうタイプは男だとむっつりだったりする。その横のかなりんさんは輪をかけて控えめで、直に会話したこともないのだが、布仏さんや谷本さんとよく一緒にいるから会う機会は多い。目を合わせるとすぐ目を伏せるから、きっとシャイなんだろう。

 肝心の布仏さんは……言う必要あるかな。ないよね。和やかな笑顔からは想像もつかないくらい積極的でごんす。さりげに胸もクラスでトップクラスに大きいし。

 なんだろう、胸が大きい人は性欲が強いのかな。胸の大きさと性欲の相関性を証明できたり……あ、鈴さんがエロいんだっけ。なら違うか。

 

「ちょっとぉ、クラスの華が揃ってなにしてんのよ。何かあたしに言うことあるでしょ?」

 

 その鈴さんがわざわざこっちまで足を運び、一夏にちょっかいをかけてきた。一夏はおやつカル○スを口に咥えながら、

 

「ん、おめでと」

 

 なんかものすごく素っ気なく言った。

 

「それだけ!? いや、ほら、もうちょっとさぁ……」

「どうせエッチなことしてくれって言うんだろ? スマンな、諦めて他を当たってくれ」

「そこまで要求しないわよ!」

 

 余裕あるお姉さんめいた態度で鈴さんをからかう。体格差も相まって好意を寄せる思春期の少年とそれを軽くあしらうお姉さんみたい。

 しかし、鈴さんはすっかりいじられキャラが定着してしまったな。主に一夏の所為だけど。

 

「代わりに席替えを要求するッ!」

「男の子の独占禁止ー!」

「はあっ!?」

 

 鈴さんの後ろから顔を出したのは相川さんら騒々しい人たちだった。彼女たちはそこから、「私たちも男子と仲良くしたーい」と駄々をこね、他の人もそれに同調し始めたので、仕方なくぼくがテーブルを渡り歩いて適当に混ざることにした。

 でも、不思議なことに男子と仲良くしたいと言った割りに、女子だけでいるとバカ騒ぎしているのにぼくが来ると急に大人しくなって会話が弾まなくなる現象が多発した為、一通り済ませるとぼくはまた一夏のところに戻った。

 異性の目がない方が話題の制限がなくて楽しいよね、分かるよ。

 

「あ、あの、唯さん。隣、よろしいですか?」

「セシリアさ……! え、えと……はい、どうぞ」

 

 ぼくの後を追ってきたのか、座ってすぐにセシリアさんがやってきた。キスの件がよみがえり、焦る内心を抑えながら、ぼくは彼女を迎えた。

 合わせる顔がないというか、キスして早々にダッシュをかまして姿を晦ましておいてどの面下げて会えばいいのか分からず、この親睦会では避けていたのだが、やはり逃げ切れなかった。

 同じクラスで隣同士だから、どのみち逃げ切れるわけがないのだけど。

 

「……」

「……」

 

 隣に座ったものの、お互いに顔を合わせることも会話することもなく時間が過ぎる。

 やることもないので周囲を見渡す。ぼくらはセシリアさん、ぼく、一夏、鈴さん、そして箒さんといった並びになっていた。基本的に一夏はぼくから離れない、鈴さんは一夏から中々離れない、そして頑張って一夏の隣を取ろうとするも取れない箒さんの図式が完成していた為、席を変えてもいつの間にか似たような席順になるのだ。

 ふいに箒さんと目が合う。が、すぐに逸らされた。なんだろう、この親睦会のあいだずっと見られてる気がする。あれかな、一夏の隣を譲れって言いたいのか。話しかけても長く会話が続かないんだよね、箒さん。

 

「唯さん、その……」

「は、はい」

 

 セシリアさんに小さな声で話しかけられ、意識を戻される。セシリアさんはまだ俯いて、頬を赤く染めており、こちらを見られないようだった。

 周りがバカ騒ぎしているけれど、他の人には届かない声量で会話するぼくたちは、まるで秘め事を公然の場でするみたいでとてもドキドキした。いや、人に言えないことしちゃったんだけどね。

 

「さ、先ほどは見苦しい所を見せてしまって申し訳ありません……淑女が男性の前であんなに取り乱してしまうなんて」

「い、いえ、ぼくの方こそ……ええと、見てしまってごめんなさい……?」

「……ふふっ。なんですか、それは。おかしな方」

「あはは、あはは……」

 

 ぼくはテンパって自分でも何を言っているか分からなくなっていた。落ち込んで泣いている女の子にいきなりキスをして逃げた男がぼくなのである。

 キスする前のぼくの言動を思い返しても羞恥心で床をゴロゴロのたうち回りたくなるくらい恥ずかしいのに、された本人が話を混ぜ返そうとしているのだからたちが悪いというか、意地の悪い話だ。

 ぼくが乾いた笑いを終えると、焦っているぼくを見て余裕を取り戻したのか、微かに口元を綻ばせた。

 

「本当にズルい人……女の扱いに慣れた男のように振る舞っておきながら、こうも初々しい顔も見せるなんて、女を惑わす娼夫でも敵わない変貌ぶりですわ」

「ちがうんです、あの時の……キスは、その、セシリアさんが落ち込んでたから元気づけようとしただけで、誰にでもするわけじゃ」

「……! わ、わたくし以外にしてはいけませんよ? したら、怒りますから」

 

 ……誤解を解こうとしたら、さらに誤解された気がする。ちょっと拗ねた感じになったセシリアさん。焦って頭が回っていないぼく。周りがどんちゃん騒ぎしている中でぼくたちだけが異質だった。

 なんだろう、これがギャルゲだとしたら、ぼくはさっきから選択肢を間違え続けているような気がする。ていうか、まともな選択肢が出てないし、何を選んでもドツボに嵌っていくような感覚が……

 

「……唯さん」

 

 袖を抓まれた。セシリアさんは変わらず俯いてる。けれども、横顔に照れと決心が入り乱れた赤い頬が目に入った。

 

「わたくし、強くなります。あなたを護れるくらい、強く……だから、それまで、待っていてくれませんか?」

 

 ――後々思い返すと、こういう展開になったら取れる選択肢と言葉が一択に限られていたという言い訳や、これって告白みたいなものではないかという疑問はあったのだが、ぼくがこう返したのは、ぶっちゃけてしまうとその場のノリだった。

 

「――はい、待ってます」

 

 セシリアさん可愛いなー、とか益体のない感想から自然と笑いかけるとセシリアさんも顔も綻ばせた。

 このラブコメっぽい二人だけの空気をぶち壊したのは、ぼくと一夏を挟んでいる鈴さんで、彼女は突然立ち上がってぼくたちを指さした。

 

「あーっ! そこォ! 何か甘酸っぱいことしてるーっ!」

「な、何のことだかさっぱりですわ……」

「誤魔化そうとしても無駄よ。あたしの眼は欺けないわ!」

 

 ぼくはそっぽを向き、セシリアさんはしらばっくれようとしたが、鈴さんはセシリアさんの醸すラブ臭を逃さなかったらしく追求しようとした。

 しかし、間にいる一夏が辟易した様子で口を挟んだ。

 

「うるさいぞ鈴。おまえ、唯を口説く度胸ないからって他の女に嫉妬するなよ」

「は、ハアっ!? 誰が嫉妬なんてすんのよ!」

 

 一夏がずれたことを言うので、鈴さんの顔がカアッと紅潮した。

 

「だいたい――わっ!?」

 

 身を乗り出して一夏に言い返そうとしたが、勢い余って一夏の足に躓いてしまい、ズッコケた鈴さんは、バフっとぼくの胸に倒れこんで顔を埋めた。

 

「……!?」

『ら、ラッキースケベだ!!!!!』

 

 危なかったので咄嗟に抱き留めたが、その行為に会場が一瞬で沸き立った。鈴さんは脱出しようとしてか、はたまた状況が理解できていないのかあたふたともがいていた。

 羨ましがる周囲の声の中、鈴さんはぼくの太ももに手をついて身を起こし、真っ赤な顔で汗を掻きながら弁解し始めた。

 

「あ、あぁぁあ! ち、ちがうから! これはわざとじゃなくて偶然、事故で!」

「そう思うなら早く手を退かしなさい! どこ触っているんですの!?」

 

 ぼくは気にしてないと愛想笑いで済ましたのだが、鈴さんがぼくの腿に手を置き、顔を胸元に埋めているのにセシリアさんが逆上したり、思わぬハプニングに盛り上がったクラスメートが悪ノリしたり、それを見た一夏が軽蔑しきった呆れ顔をしたり……まあ、色んなことがあったのだ。

 それから、寮監の織斑先生が時間だからいい加減に終わりにしろ、と止めに来るまで親睦会は続き、片付けを済ませて、自室に戻ろうとしたら一夏が織斑先生の部屋に寄ると言うので別れた。

 そうして一人になったところに箒さんがやってきて、

 

「相談したいことがある」

 

 と、キョドりながら頭を下げるから、ぼくは一夏のことで相談があるんだろうと思って快諾したんだった。

 で、箒さんの部屋に連れ込まれたと思ったら鍵を掛けられ、言われるがままベッドに腰をかけたら、箒さんが土下座したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、意味が分からないんですけど……」

 

 数十分前までぼくは少年漫画的なラブアンドコメディ作品の主人公だった筈なのに、いつの間にかエロ漫画の主人公になっていた。

 もしかしたらヒロインかもしれないが、そこは着眼すべき所でもないので置いておく。

 

「み、水揚げを頼みたいんだ。私は、その……恥ずかしながら処女だから、それで……」

 

 箒さんは恥じらいつつ処女宣言をして謎の言葉を口にした。

 水揚げ? ……筆下ろしの女性版かな? それをぼくにお願いしたいと。へえ……。

 

「やっぱり意味が分からないんですけど……」

「なっ! わ、分かるだろう!? オ……オルコットにはキスしてたくせに!」

 

 頭を上げた箒さんは赤面して叫んだあと、妬ましそうに言った。え、何で知ってるの。

 

「見てたんですか!?」

「い、いや、一夏を探してたら偶然現場を目撃してしまっただけで、別に覗いてたわけじゃ……それはともかくっ、い、いいじゃないか! 女慣れしてるみたいだし、だいたいこんなエロいグラビア写真を撮れる男の子が清楚な訳ないだろう!?」

 

 そう言って箒さんはベッドの下をまさぐり、雑誌を手に取ったかと思うとセンターフォールドを開いてぼくに突きつけた。

 雑誌の見開きには、ぼくの黒歴史があった。ぼくは眩暈がした。

 

「何で持ってるんですか!?」

「わ、私だけじゃないぞ。みんな持ってるはずだ!」

 

 えぇ……? ぼくは気が遠くなって、思わず顔を覆った。クラスの殆どがぼくの半裸画像を持っていることも死ぬほど恥ずかしいが、セシリアさんへの少年漫画のヒロインになりきった行為を見られたことも同じくらい、いやそれ以上に恥ずかしかった。

 何より問題なのが、異性を口説くような慰めの言葉とキスを目撃した箒さんが、ぼくのことを尻軽な男だと思い込んでいて、それを盾に肉体関係を迫ってきているこの現状だ。

 何も考えずに女の部屋に入ったぼくも悪いと言えば悪いが、逃げ道を塞がれているし、断って土下座までした箒さんを潰すとセシリアさんとの関係をバラされてレッテルを貼られるかもしれない。

 ……正直、エッチなことをするのは全然かまわないんだよなぁ。凄い美少女で、巨乳で、堅物真面目系なコで、元の世界だとこっちが土下座して頼みたいくらいだ。

 ただこの手の男は、一度抱いた女を自分のものみたいに勘違いして彼氏面した挙句、何度も関係を求めてくるタイプだと思う。童貞を捨てたら調子に乗って、それが周囲に一発でバレる男みたいな。先っちょだけと言ったのに最後まで行っちゃったり、一回だけって言ったのに何回もしちゃう言葉が信用ならない人種だ。元々同じ立場だったぼくが言うんだから間違いない。

 だから体を許すのは絶対NGなのだが、普通に断るのもダメ。ダメダメ尽くしの現状で取れる最善の手段はについて本気出して考えてみたが、やはりこれしかなかった。

 

「少し落ち着きましょう、ね?」

 

 ぼくは彼女を刺激しないよう柔和に微笑みかけた。おもむろに手をとり、ベッドまで導く。手を握った瞬間、「ふあっ!?」と素っ頓狂な声を出したが触れないようにした。立場が逆ならぼくもびっくりしていたかもしれないし。

 ベッドに座らせた箒さんはガチガチに緊張していたから、なるべく刺激しないようにしながら心を解してゆく。

 

「どうしてこんなことをしようと思ったんですか?」

「う……そ、それは」

「……鈴さんですか?」

 

 心当たりがあったから挙げてみると図星だったらしく、口を噤んでしまった。

 一夏と話そうと試みて空回りしているのを何度も目撃した。今回の親睦会でも一夏の隣は悉く鈴さんに取られ、話しかけても反応は思わしくなく、鈴さんとの会話は弾んでいる。

 幼馴染の片思い相手が、再会したら他の男と仲良くなっていると置き換えると、彼女の気持ちは痛いほど分かる。その焦りでぼくに向かってくるのは想定外だけども。

 図星を突かれた箒さんは訥々と語りだした。

 

「そうだ。私たちは幼馴染だったが、幼い頃に離れ離れになってしまった。この学校に来て、やっと再会できて私は嬉しかったんだ。でも、私は剣道一筋で男と話した記憶がなくて、一夏とまともに話すことも出来ずにいた……同じ幼馴染でも、私は話せないのに転校生は……」

 

 ……同じ幼馴染でも、物心ついて間もない頃と男女を意識し始めてからの異性では覚えが違うのは当然な気がする。

 女が苦手な一夏には、背が高くて見るからに女性的な肉体をしてる箒さんよりも、ぺったんこな鈴さんの方が女を意識しなくて話しやすいのかもしれないし。まぁ、まず女として見てないのかもしれないけど、日本一剣道が強い高校一年生に迫られるって、普通に恐怖じゃない?

 俯いて話していた箒さんが、躊躇いがちにぼくを見る。

 

「そんな時にオルコットとキスしているのを見てしまってだな……『この男は出会って数日の女とも平気でキスする男なんだ。だったら私にもヤらせてくれるにちがいない』。そう思ってしまったんだ」

「最低ですね」

「はぅっ」

 

 率直に感想を言うと箒さんはショックを受けて胸を抑えた。気持ちは理解できるが、行動してしまうのが頂けない。というか、一夏にはあんなに奥手なのに、ぼくにだけ行動力があるのがおかしい。

 エロスに突き動かされているとしか思えない。男ってみんなこんなものか?

 ……こんなものだったなぁ。ぼくは男であったことを棚に上げながら箒さんを追撃した。

 

「箒さんがぼくの立場だったら、処女捨てたいからヤらせてくれと言ってくるろくに親交もない人をどう思います? 昨日今日知り合ったばかりですよ? それを密室に連れ込んで、逃げられない状況を作って迫ってくるなんて、脅迫と同じです」

「うぅ……」

 

 へこんでしまった箒さんは涙目で俯く。これ以上言うと逆切れされて襲われる危険性があったから、ぼくは笑いかけた。

 さりげなく箒さんの手に自分のそれをそっと重ねて、優しく言う。

 

「でも、好きな人に話しかけられなくて落ち込む箒さんの気持ちも分かります。ぼくで良かったら協力しますよ」

「!? ほ、本当か!?」

「はい」

 

 信じられないものを見る目、でも瞳に期待を満たした眼差しでぼくを見る。ぼくは首肯して重ねた手に力をこめた。

 箒さんの眼が神か何かを見るものになった。元の世界なら、「なにこのコ、女神!?」とでも思ってる顔をしている。ぼくには分かる。

 

 ――少しは良い思いをさせておかないと、セシリアさんとキスしたことを言い触らされるかもしれないし、これくらいはいいだろう。

 これからのことを想像し、期待している箒さんがにやける顔を律しながら言った。

 

「ぐ、具体的には何を?」

「そもそも男の人が苦手で、話しているとアガッてしまうんですよね?」

「そ、そうだな。今も、ちょっと……」

 

 まあ、顔真っ赤だし、吃りまくってるし、そうだと思った。体育会系で性欲は強いけど耐性ない。元の世界でもよくいたなぁ。

 

「だから男に慣れましょう。ぼくも女の子と話したことがあまりないから、お互い練習だと思って。ね?」

「え? ないのか? だってオルコットとは……」

「あれは頬にですし……それにずっと男子校でしたから、同年代の女子と話したのもIS学園に来てからが初めてです」

「そ、そうなのか。ふーん」

 

 たぶんね。元の世界のぼくは共学だから普通に女子がいたし、仲の良いコもいたから苦手意識はない。

 一方、箒さんは経験がないと聞いてじろじろとぼくの体を眺め始めた。気になる女の子が処女と聞いて嬉しくなるようなものだろうか。

 ていうか、肉欲に満ちた視線ってこんなに露骨なものだったのか。めっちゃいやらしい顔してるし。女の子のこんな顔見たくなかった。

 

「と、ところで、どんなことをするんだ?」

「あー、そうですねー」

 

 下心満載の表情で逸る気持ちを抑えきれない箒さんが急かしてくる。ぼくは冷めた気分で考えた。

 仮にも長身・黒髪ロング・ポニーテール・巨乳・剣道娘の堅物美少女と二人っきりでいるのに、何でこんなに色気がないんだろう。

 滅多にお目にかかれないレベルの女の子と男女の真似事をするのに、どうしてこんなに幻滅しているんだろう。

 ぼくはフンフン鼻息が荒くなっているのを隠せない箒さんの方に腰をずらして、肩と腰、そして足を密着させた。

 

「こういうのとか、どうです?」

「!? ……………………い、いいんじゃにゃいか?」

 

 うわ、触れてる肩がガチガチに強張ってる。そして小刻みに震えていた。横を見る。毛穴が確認できないきめ細やかな肌に汗が伝っていた。

 視線は虚空を泳いでいて、心ここに在らず。というより昇天しそうな勢いだ。

 

「ふふ、堅くなってますよ? もうちょっと自然に、ね?」

 

 ここまで童貞丸出し……いや、男慣れしていない反応がおかしくて、からかうように微笑む。

 箒さんは困った様子で言った。

 

「し、自然にと言われても」

「……」

「ひゃっ!?」

 

 見かねてわき腹を突くと全身を跳ねさせて驚いていた。ぼくは悪戯っぽく笑った。箒さんが挑発的な表情をする。

 

「や、やったな。お返しだ!」

「ぎゃー」

 

 おっかなびっくりぼくのわき腹を突き返した箒さんに、ぼくはわざとらしく大仰なリアクションをした。

 おそらく性を意識してからは初めてであろう男子とのスキンシップに箒さんは、感動を覚えつつも興奮しているようだった。

 これで多少は緊張を緩和できたと思うので、ぼくは一歩踏み込んだ。

 

「それで、どうしてほしいですか?」

「そ、そうだな……。こ、恋人……みたいに、接してくれ」

 

 少し考えてから、箒さんの肩にこてんと頭を乗せてみた。

 

「……っ!!」

「こうですか?」

「い、いいい、いいと思う」

 

 せっかく緊張が解けてきたのにまたガチガチになり、声も震えている。慣れる気配がない。大丈夫かな、これ。

 箒さんに重心を傾け、体重を預けながら、傍目には女の子とイチャイチャしているのに冷めている頭で思案する。

少し目を落とすと、学年最高クラスの雄大な山脈がそびえ立っている。その下には程よく締まりながらも柔らそうな刺激的な太ももが見えた。どちらも男子垂涎の代物で触りたくて仕方ないのに……。

 何か興奮しない。相手が焦りまくっているのを見て、返って落ち着いていく自分がいる。

 なんだかなぁ。女の子ってこういう時、こんな気分なの? 演技しなきゃ悪いと思ってしまったんだけど。

 

「――お?」

 

 唐突に、ぎこちなく動いた箒さんの腕がぼくの肩を抱いて、より強く密着する。ぼくを抱く腕の力は、ぼくのそれより強そうだ。

 ……やっばい、やっぱり押し倒されたら抵抗できないぞ、これ。

 女性の雄々しさに戦慄する、どこか間違っている感想を抱いていると、その手が下に向けて滑ってきた。二の腕、肘、腕を離れて腰を通り、臀部へ。

 箒さんの手は恐る恐るぼくの尻を触っていた。……ぼくが電車で出くわした痴女の手つきと同じだぁ……。

 ぼくが視線を向けると、目が合った瞬間、箒さんはテンパって手を離した。

 

「す、スマン! つい、出来心で!」

「いえ、構いませんけど……あの、男の尻を触って楽しいんですか? 女性のと比べると固いし、良いものじゃないと思うんですけど」

「何を言っているんだ! 女の尻より固めな感触がいいんじゃないか!」

「あ、はい」

 

 先ほどまでの緊張はどこに行ったのか、威勢の良い声で断言する箒さん。あれかな、元の世界の男性が柔らかいものに興奮するのと逆で、この世界の女性は固いものに興奮するのかな。

 男のチ○コが固いからだろうか。胸板は当然男性の方が固いし。……ダメだ、分からない……!

 この世界の女性の性的興奮を覚える基準が……!

 何ならその大きいおっぱい揉ませてよ。ぼくは目の前にある標高がIS学園最高峰の巨乳を前にしながら、箒さんに時折尻を触られたり、太ももを触られたりして恋人っぽい空気を体験させてあげた。

 慣れるどころか、密着している耳朶を直に叩く箒さんの鼓動の激しさは時間が経つごとに増してゆくのだが、これは性欲が昂って荒ぶっていっている証なんでしょうか。

 やべえな、どうしよう。一発抜いてあげた方がいいのかな。でも女性って賢者タイムないんじゃなかったっけ。つーか一回抜いてあげたらそれをネタに強請って来ないか。どないしよう。

 脳内が目まぐるしく動いて解決策を出そうとするが、この状況でろくな案が浮かぶ訳もなく、合図のように箒さんが生唾を飲んだ。

 

「あ、天乃ッ!」

 

 気迫のこもった声でぼくの名前を呼んだ箒さんは、ぼくの肩を掴んで姿勢を変えて向き直ると、むふーむふーと荒い鼻息をぼくに当て、ぐるぐると据わった目でぼくをまっすぐ見つめて言った。

 

「き……キスしていいか!?」

「ダメです」

「何故だッ!?」

「だって付き合ってもないですし、そういうのは好きな人とじゃないと」

 

 ぼくはテンプレ回答でお茶を濁した。が、箒さんはどうしてもキスしたかったのか縋ってきた。

 

「れ、練習だからノーカウント……っ! ノーカウントだから大丈夫だッ! これはキスの練習で本番じゃないからいいだろう!?」

「えー」

 

 まあ別にしてもいいんだけど。一度でも許すと後がめんどくさいんだよなぁ。

 回避方法を探して、視線を逸らしたぼくの眼に自分の手が映った。あ、これだ。

 ぼくはおもむろに人差し指と中指を自分の唇に当てると、その触れた部分を箒さんの唇に宛がった。

 

「んむっ!?」

「ええと、直接はダメですけど、これで我慢してくれませんか?」

「――」

 

 指での間接キスをした箒さんはポカーンと惚けていた。が、再起動した箒さんは目を欄々と輝かせて言った。

 

「そ、それ! もっと!」

 

 

 

 

 

「天乃ぉ、もういっか~い」

「はいはい」

 

 猫なで声でしなだれかかってくる箒さんに、ぼくは苦笑して指で唇に触れた。

 その指の腹を、親鳥の餌をまだかまだかと待っている小鳥のようにキスをせがむ箒さんの突き出された唇に当ててゆく。

 

「ん~」

 

 バードキスをするかのように、チュッチュと小刻みに何度も繰り返す。

 そろそろ頃合いかな、と指を離すが、箒さんはキス顔で迫ってきた。ぼくはまたかと思いながら人差し指で唇を止めた。

 

「それ以上はダメですよ?」

「んんーっ」

 

 箒さんが未練たらしい目つきで抗議してくるが、黙殺しているとやがてぼくの真似をして自分の唇に指を当てた。

 

「だったらこっちもお返しだっ」

 

 今度はぼくがされる番になり、ぼくは羞恥心に耐えながらも目を瞑り、指での間接キスを受け止める。

 もう何回目だろうか。ぼくが思い付きで指での間接キスを試してからというもの、それがいたく気にいったらしく、ぼくはこの一連のやりとりをひたすら繰り返すことになった。

 不思議なことに、これを繰り返すうちに箒さんの態度も軟化し、借りて来たネコから飼い主に媚びるネコになってしまったのである。

 初めの頃の男が苦手な箒さんはどこに行ったのだろう。というかこれは誰だろう。キャラが変わり過ぎて誰か分からなくなっているんだけど。

 ぼくが本当に箒さんなのか確信がなくなっている中、男に甘える女の子みたいな顔つきと声の箒さんが耳元で囁く。

 

「ん……天乃は本当にかっこいいな。本当に女性経験ないのか?」

「本当ですよ」

「本当かー? 実は経験豊富なお兄さんだったりしないのか?」

「疑り深い箒さんは嫌いだなぁ」

「あぁ! ごめーん」

 

 しつこく本当本当と勘繰る箒さんにちょっと冷たい態度を取ると、すっかり骨抜きになった彼女はぼくの胸板に顔を埋めてイヤイヤした。

 仕方ないなぁ、と頭を撫でると、とんでもなくだらしない、すっかり骨抜きにされた顔でにへらーと弛緩した笑い顔になる。

 なんだろうな、これ。社会的地位のある年配の人が、そういうお店で赤ちゃんプレイしてるの見ちゃったかのようなはしたない姿。

 ぼくはさながらキャバ嬢とかそういった職業に就いている気持ちの一端を、ちょっとだけ味わった気分だった。

 確かに男はエロに弱いけど、ここまでバカっぽいものなのかな。箒さんの髪を手で梳いて、無聊を慰める。

 胸には箒さんの吐息が当たって熱く、人肌と羞恥心もあってけっこう熱っぽくなっていた。

 茹ってきた頭でぼんやり考える。そういや今何時だろう。けっこう時間経ってるけど――

 

 そう思った瞬間、部屋の扉がガチャガチャと音を立てた。

 

「――!?」

『あれ、鍵閉まってる……篠ノ之さーん?』

 

 心臓が凍り付いた。ここは箒さんの部屋だ。ということは、同居人が帰ってきたのか。

ぼくらは顔を見合わせ、どうすべきか分からないまま慌てふためいた。

 

「……!」

「……!!」

『篠ノ之さーん? いないのー?』

「い、今いく! ちょ、ちょっと待っててくれ!」

 

 バレたらシャレにならん。どうしようどうしようと上手い回避方法はないか探すぼくに、箒さんが懸命にある場所を指さした。

 そこはクローゼットだった。ぼくは転がるようにジタバタしながら潜り込み、外から箒さんが扉を閉め、同居人を迎えにいった。

 狭い暗がりの中、ぼくの耳を痛いほど心臓の音が叩いていた。冷や汗が噴き出し、かつてないほどの焦燥感に苛まれる。

 何も見えない代わりに聴覚が研ぎ澄まされ、扉越しに会話が聞こえた。

 

『す、済まない。つい癖で鍵を掛けてしまった』

『うん、まあいいけど……どうしたの? 凄い汗かいてるけど』

『え? あ、ああ……これは、その、だな』

『あ、もしかして、してた?』

『んなっ!?』

 

 ……この声は鷹月さんだな。同じ部屋なのか。今までは二次会で他の子のところにいたのだろうか。

 動揺している箒さんの声に対し、鷹月さんの声はいたって平静だった。

 

『ごめんね、気がきかなくて。そうだね、今のうちにするときの合図とか決めとく? ティッシュ箱をナイトテーブルに置いたら、三十分外に出るとか』

『あー! うん、そうだな。そうしよう。それでいいと思うぞ、うん』

『グラビアでオカズにしてた男の子が、クラスメートで、さっきまで手が届く所にいたんだもんね。気持ちは分かるよ』

『だろう!? ……それで、帰ってきて早々に申し訳ないんだが、ちょっと一人にしてくれ。まだ途中だったんだ』

『えー……私、シャワー浴びてくるから、その間に済ませてよ』

『済まない』

『換気はしてね』

 

 …………会話のあと、しばらくしてからシャワーの流水の音が響いた。

 クローゼットの扉が開き、眩しさに目を細め、這い出て箒さんに対面する。

 つい先ほどまでだらしない顔をしていた箒さんは、冷や汗をだらだら掻き、青ざめた顔で指と指を合わせていた。

 

「あの……天乃。き、今日のことなんだが」

 

 危機に直面して性欲が薄れ、現実のリスクが思い起こされたのか、はたまた自分の痴態を思い出して死にたくなっているのか、ぼくには分からないが箒さんは死にそうな顔をしていた。

 ぼくは努めて笑顔を作り、何もなかったかのように微笑んだ。

 

「大丈夫です。気にしてませんから」

「う、うん……」

 

 俯いて元気のない箒さんにぼくは言う。

 

「箒さん」

 

 名前を呼ぶと、顔を上げた彼女との距離を詰め、耳元で秘め事を囁くように艶やかな声で、

 

「みんなには内緒ですよ?」

 

 離れて見つめ合うと、一瞬硬直したあとに箒さんはカクカクと何度も頷いた。

 ぼくはウィンクして静かに部屋を跡にした。

 誰にも出入りしたところを見られていないのを確認してから、思いっきりダッシュして自分の部屋に入る。

 一夏はまだ帰ってきていなかった。まだ織斑先生の部屋にいるらしい。

 ぼくはベッドに身を放り投げると、ゴロゴロとのたうち回った。

 なにやってんだぼくはぁぁぁ……!

 




          ハヽ/::::ヽ.ヘ===ァ
           {::{/≧===≦V:/
          >:´:::::::::::::::::::::::::`ヽ    モッピー知ってるよ
       γ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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.    | ll ! :::::::l::::::/|ハ::::::::∧::::i :::::::i
     、ヾ|:::::::::|: ⌒ト- ::::/⌒ヾj::/:::l  性欲魔人が元ネタではメインヒロインだってこと
      ヾ:::::::::| x=ミ  V x=ミ /::::/  この話が一番文字数あるってこと
       ∧::::ト “        “ ノ:::/!  作者がこの話を書きたくてこの作品を書いたこと
       /::::(\   ヽノ  / ̄)  |
         | ``ー――‐''|  ヽ、.|
         ゝ ノ     ヽ  ノ |
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          ハヽ/::::ヽ.ヘ===ァ
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       γ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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.    | ll ! :::::::l::::::/|ハ::::::::∧::::i :::::::i
     、ヾ|:::::::::|: ⌒ト- ::::/⌒ヾj::/:::l  本当は乳首舐めさせたりしたかったけど
      ヾ:::::::::| x=ミ  V x=ミ /::::/  一般だから無理で何度も書き直したこと
       ∧::::ト “        “ ノ:::/! 感想で箒ちゃんをエロ魔神だって叩く人がいること
       /::::(\   ヽノ  / ̄)  |  セシリアのヒロイン力には遠く及ばないってこと
         | ``ー――‐''|  ヽ、.|
         ゝ ノ     ヽ  ノ |
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      ハヽ/::::ヽ.ヘ===ァ
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               レYVヽl

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