モンスターハンタークロスボーン ~ゆったりモンスター共存生活~ 作:フライルー
「‥‥‥え、えええええええええ!!?!?!??!」
もう、訳がわからないよ。
私は感情のない顔でそう思った。
「なんで私が勝手に加入されてるんですか!」
「だって、ハルカは新米でしょ?新米のくせして一人でモンスター狩る気?ん?」
「くっ‥‥」
ぐうの音も出ない。確かにせいぜいマッカォをイルと一緒に狩るくらいしかできなかった。
しかし、募集中のギルドなんてないしここで仲間を増やしておくのも手かもしれない。
「‥‥‥わかりました。入りますよその『クロスボーン・バンガード』ってギルドに」
「さて、じゃあこのギルドの基本方針なんだけど」
「はい、どんな狩りをするんてすか?」
私はキラキラした目で聞くと
「基本ソロでたまにこうやって集まってこんなの狩ったよとか報告します」
仲間が増える余地が無かった。
なんでさ!基本ソロ!?ギルドの意味あるの!?
「‥‥‥」
「みて、あの明らかに不機嫌そうな顔」
「まあそうなるわな」
にしてもクロスボーン・バンガードってどこかで聞いたことあるな‥‥
「ところでこのクロスボーン・バンガードって‥‥」
「あぁ、最近俺らの存在噂になってきたんだっけ?」
「あぁ…龍歴院に怒られるかなぁ」
「? バレるとなにか困るんですか?」
「このギルドがただのハンターの集まりだと思う?」
「どういう‥‥‥!!」
確かに、ただのハンターの集まりにしては装備が強すぎる。レイアにレギオス、アグナ装備。ほとんどが大型種から作られる装備だ。
そしてこのクロスボーン・バンガードはだいたいの行動が別行動、つまりソロ。ということは‥‥‥
「‥‥‥恐ろしいくらいの手練の集団じゃないですか」
「俺ら『クロスボーン・バンガード』は龍歴院所属の公式ギルド。主に未開のフィールド探索、新エリアの捜索及び調査などが主な任務だ。この古代林を発見したのも俺達なんだ。新エリアが発見された情報が漏れれば新エリアで乱獲が起き調査どころではない。」
「っていうわけでバレると困るわけ。ハルカも筋はいいし、すぐ同じレベルくらいになるって」
男Bとイツキさんが言う。
まさか、ただのハンター同好会で、見え張ってギルドなんて言ってると思っていたのに超秘密部隊だったなんて…
「くぅ‥‥八方塞がり過ぎて逃げられない‥‥‥」
「ハッハッハ!まあいいじゃねえか!俺はライだ!仲良くやろうぜ!」
男A改めライが肩組んでくる。
まあ気さく?な人はいいんだけど‥‥
「ライさん、ちなみにHRはいくつなんですか?」
HRとはハンターランクの略だ。このハンターランクが上がっていくと一般的には上位のハンターとして知られることになる。
私はキノコばっか採ってたので3くらいなのだが‥‥
「ん‥‥85?」
「!?」
85って‥‥ハンター続けててもやっと到達できるくらいの高さ‥‥‥
「ちなみにお年は‥‥」
「今年で19だな」
私が16だから‥‥えぇ‥‥
「もう頭がついていかないんですけど」
「じゃあ頭を停止させてあげますよ。私はレイン。私は89で、イツキのHRは199。もうちょいで200ですね」
男B改めレインが眼鏡をくいっとさせながら言う。
「!? !?!!?」
「もう目パチパチしてるわよこの子」
「装備とHRが釣り合ってないこの子からしたらこうなるよね」
「ちなみにあなたがたは‥‥」
「私はセナよ。HRは82ね。ガンナーばっかやってたらこんくらいよね」
「僕はセラ。HRは80。こう見えて男だよ。」
「平均‥‥80‥‥ハンターやめよう‥‥」
「ハルカ落ち着いてって!こいつらがおかしいだけだって!」
「「「「「お前が言うなっ!!」」」」」
「フヒヒwwwサーセンwww」
なんか腹立つなこいつ。
1週間こんなんだったから多少慣れましたけども!
「もうこの時点で私不安なんですけど‥‥‥」
「だぁーいじょーぶだってぇ!あたし達がいろいろ教えたげるからさあ!」
「うっわセナさん酒臭っ!どんだけ飲んでるんですか!?」
「ごめんね、姉ちゃんはものすごい酒飲みなんだ‥‥こればっかりはどうにも治らないんだ」
ものすごい男の娘のセラ君が説明する。装備だけみるとすごい手練のガンナーなのだろうからガンナーに立ち回るときの基本も学べるだろう。
「姉ちゃんはガンナー専門だけど、僕は剣士もするからいろいろ教えられると思うからなにか困ったときは言ってね」
「え、あ、うん‥‥」
やばいなにこの子すっげえかわいいんですけど。
「狩りの極意は俺達が教えてやんよ!」
「私を巻き込まないでくれ‥‥」
ライさんが豪快に言ったあとレインさんが頭を片手で抑えため息をつく。
「まあ気をつけることやコツはセラよりかは教えられるだろう。上級クエに行けるくらいになったら本格的に教えてやる。隣のは攻撃力重視の脳筋単細胞だからな。」
「んだとレイン!?攻撃力も大切だぞ!剣士にとって攻撃力は重要だぞ!」
「馬鹿め、ガンナーと違って剣士は何度でも攻撃できる。如何に切れ味を保ったまま攻撃を続けられるかだ。攻撃力はその後だ!」
「てめぇのレギオススラアクは勝手に切れ味あがんだろうが!」
「は、ハハハ‥‥」
仲が良い‥‥のかな?
しかし私は片手剣なのでレインさんの切れ味の話はけっこう重要になってくる。片手剣は砥石を武器を展開したまま使えるのでモンスターの隙をみて研ぐのが普通なので、その辺りのこともおそらく教えてくれるだろう。
「んー‥‥ハルカ、当分のクロスボーン・バンガードの方針が決まったよ」
ずっとうんうん唸っていたイツキさんが深刻な顔をして言った。
「なんですか?」
「手紙を出してくれた村を襲った古龍の情報が入ったんだ」
その瞬間、ワイワイガヤガヤしていたライさんとレインさん、アイルーをからかって遊んでいたセナさん、黙々と肉を焼いて厨房側に入っていたセラ君、そしてアイルーたちもその動きを止めイツキさんの話に耳を傾けた。
「村を襲った古龍は『鋼龍クシャルダオラ』。クシャルダオラはその村にて動きを止めているらしい。これよりクロスボーン・バンガードは主にこのクシャルダオラとの和解。できなければ撃退、または討伐を今後の方針とする!」
「クシャルダオラ‥‥!?」
私は本で読んだことがある。
その翼で竜巻を起こし、通ったあとは風で荒らされそれは酷い有様になるらしい。
そんなクシャルダオラと戦う‥‥?
「イツキさん‥‥無茶ですよ」
「ハルカ、あの手紙を書いてくれた娘は生きていたよ」
「!」
「お家に帰りたい、あのおっきい龍をやっつけてってさ」
「!!!」
「ハルカはまだ新米ハンターだ。ここには強いモンスターもいる。このシャングリラを‥‥」
「‥‥行きます。その言葉を聞けただけで充分です。」
「無理してないか?」
「やっぱり‥‥怖いです。けど、その子が味わった恐怖のほうが数万倍怖かったはずです!」
「わかった。メンバーは俺、ライ、レイン、セナ、セラ。それにハルカを加えたメンバーで和解に行く。モンスターはバルド、リオ夫婦、ギアノス軍団で一週間後出発する!それぞれ準備を怠るな!」
「「「「「おうっ!!」」」」」
その掛け声と一緒に島中からモンスターの咆哮が聞こえた。
私はこのクシャルダオラ戦、とても怖い。だけど、私、いや、私「達」は戦う力がある。
戦う術を持たない村民たちは大いに恐怖しただろう。だけど、私達は屈しない。屈してはならないんだ。
「イツキさん、絶対に和解しましょう」
「ああ、できれば討伐はしたくない」
きっと‥‥きっと和解できると信じて、その日は明日からやるつもりの鍛錬のためはやく寝た。