可能性の翼・外伝『絆を紡ぐ者~Connect~』 作:龍使い
「お~い、起きろ~」
「ん~……」
早朝、日課の修練を終えた俺は、『居候』に声をかける。
しかし、そいつは一向に起きる気配を見せない。掛け布団を頭から被り、部屋に差し込む日差しを遮断する始末。
「起きろって、学校に遅刻しても良いのか?」
少しだけ身体を揺すって起こそうと試みる俺。
「……後五分…」
「それじゃおせぇつってんだっつの!」
しかし、そんなのを気にしないかのように起きないのが、この居候……ちょっと前まで自由気侭に生きてきたからなんだろうが、ここではそうもいかん。
「ったく……フィーリー、ハリセン!」
「ここに」
後ろ手に手を回すと、しっくり来る重みのある獲物が手に握られる。
「……とっとと起きんか、馬鹿杏子ぉ!!」
――早朝の穏やかな町に、ハリセンの音がこだまするのだった。
――――
「いってぇなぁ……。毎度毎度、手加減無しで起こすなよ……」
「お前が毎度毎度、揺すっても起きないからだろうが」
朝食の準備をしながら、文句を言う杏子に対してそう言う俺。
「大体お前の両親から、お前の世話頼まれてんだ。ちったぁマシにしねぇと、どんな顔で引き合わせりゃ良いのか、わからんっつの」
「…………」
俺の言葉に、急に杏子が黙る。
「……どうした?」
「いやさ……夢じゃ、ねぇんだよな?」
顔を伏せて、表情が見えないように呟く杏子。ったく、またそれか……。
「今お前が感じてる痛みが、きっちりと現実だって教えてくれてるだろ、馬鹿杏子」
「実感がねぇんだよ。あと、馬鹿って言うな」
馬鹿と言われたせいか、むすっとした表情で反論してくる。
「だったらいい加減に実感しろ。その幸せは、お前の正当な報酬だ。
苦労しただけ、相応の幸せを得る……それもまた、世界の摂理なんだからな」
朝食をテーブルに置きながら、俺はそう言葉を紡ぐ。
「あの時、お前は『選んだ』。失った幸せを手にし、それを護る意思を見せた。
そいつは、作られた奇跡じゃなくて、お前が起こした奇跡だ。だから、それが現実となってここに『在る』」
そう言って俺は、杏子の額を指で弾く。
「いてっ……!」
「それが分かったんなら、とっとと食って支度しろ。お前がここに居候するつった以上、サボりはゆるさねぇからな」
「分かってるっての、馬鹿修夜!」
笑いながら言う俺に、額を押さえながら、それでいて明るい笑みを浮かべて、杏子は言葉を紡いでいた。
――――
朝食時の出来事を終え、杏子を送り出した後、俺は食器を片付けながら考える。
(ここに来て、はや数ヶ月……そろそろ、本格的に世界が動き出す頃か…)
この世界に来てからおよそ数ヶ月。俺は、数限りない魔女と魔法少女の救済を行ってきた。
実際、この世界の現状は、俺がいる世界より異質といっても良い。初めて見た時の感想は、『壊れかけた世界』と思うことさえ出来た。
予め師匠から状況を聞いていたとはいえ、ここまでとは俺も予測してはいなかったからな。
だが、そんな世界だからこそ、師匠は救うことを決意したのかもしれない。
魔法少女となった者は多種多様だ。その中には、身勝手な願いをする者もいたし、真に願った事を叶える者もいた。
それは、俺も彼女たちと戦ってきて理解しているし、気持ちも分かるつもりだ。と言うより、俺も一時期は彼女たちみたいに、安易な奇跡を願っていた時期があったからな。
だが、結果として、魔法少女たちは誰も彼もが悲惨な末路を辿っている。それが、魔女と呼ばれる存在だ。
こいつらは、魔法少女の成れの果て……自身の絶望によって生まれた、魔法少女達の姿だと教えられている。
俺と師匠たちは、そんな彼女たちを救う為に、この世界で活動している。
そして……
「修夜、そろそろ開店準備しないと」
後片付けを終えた俺の後ろで、白い髪の少女が声をかける。
「了解。先行って準備しててくれ、フィーリー」
「ん、わかった」
コクリと頷いて、『店』のある廊下を小走りで走って行く少女、フィーリー。
この世界で、師匠が連れてきた協力者だが、俺たちとは違った意味で訳ありの少女だ。
それが何なのかは、追々説明するときが来るだろうがな……。
「……とにもかくにも、こっからが真の本番か…」
店のある廊下を歩きながら、これからの物語の動きに、ポツリと呟く俺。実際、俺達の今までの行動は準備期間でしかない。
『奴ら』が動くとすれば、そろそろの筈。
「んじゃま……始めますかね。イレギュラーが紡ぐ、『物語』の執筆を」
そんな事を呟きながら、俺はフィーリーが準備しているであろう店の扉をくぐるのだった……。
短く突貫工事気味ですが、更新として執筆してみました。
正直、原作知識はありますがオリジナル展開が多めで、しかも資料の漫画などが手元にないので、駄文だらけですね、すみません(土下座
早めに漫画版だけでも購入しようかしら……(汗
杏子の喋り方も、こんなんでよかったのだろうか……。果てしなく不安です(汗
とりあえず、原作では後々に出てくる杏子が、修夜サイドで登場しています。
また、アニメ版と違って彼女の家族が健在ですが、これには理由があります。
そのフラグみたいなもんは、文中に置いてますけどね。
因みに、彼女は魔法少女ではあり、魔法少女ではありません。
家族がいる理由と同様、追々この辺は説明したいと思います。
とりあえず、こんな小説ですが、少しずつ書いて完結させたいと思います。
ではでは