可能性の翼・外伝『絆を紡ぐ者~Connect~』   作:龍使い

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第一話【始まり】

「お~い、起きろ~」

「ん~……」

早朝、日課の修練を終えた俺は、『居候』に声をかける。

しかし、そいつは一向に起きる気配を見せない。掛け布団を頭から被り、部屋に差し込む日差しを遮断する始末。

「起きろって、学校に遅刻しても良いのか?」

少しだけ身体を揺すって起こそうと試みる俺。

「……後五分…」

「それじゃおせぇつってんだっつの!」

しかし、そんなのを気にしないかのように起きないのが、この居候……ちょっと前まで自由気侭に生きてきたからなんだろうが、ここではそうもいかん。

「ったく……フィーリー、ハリセン!」

「ここに」

後ろ手に手を回すと、しっくり来る重みのある獲物が手に握られる。

「……とっとと起きんか、馬鹿杏子ぉ!!」

 

――早朝の穏やかな町に、ハリセンの音がこだまするのだった。

 

――――

 

「いってぇなぁ……。毎度毎度、手加減無しで起こすなよ……」

「お前が毎度毎度、揺すっても起きないからだろうが」

朝食の準備をしながら、文句を言う杏子に対してそう言う俺。

「大体お前の両親から、お前の世話頼まれてんだ。ちったぁマシにしねぇと、どんな顔で引き合わせりゃ良いのか、わからんっつの」

「…………」

俺の言葉に、急に杏子が黙る。

「……どうした?」

「いやさ……夢じゃ、ねぇんだよな?」

顔を伏せて、表情が見えないように呟く杏子。ったく、またそれか……。

「今お前が感じてる痛みが、きっちりと現実だって教えてくれてるだろ、馬鹿杏子」

「実感がねぇんだよ。あと、馬鹿って言うな」

馬鹿と言われたせいか、むすっとした表情で反論してくる。

「だったらいい加減に実感しろ。その幸せは、お前の正当な報酬だ。

 苦労しただけ、相応の幸せを得る……それもまた、世界の摂理なんだからな」

朝食をテーブルに置きながら、俺はそう言葉を紡ぐ。

「あの時、お前は『選んだ』。失った幸せを手にし、それを護る意思を見せた。

 そいつは、作られた奇跡じゃなくて、お前が起こした奇跡だ。だから、それが現実となってここに『在る』」

そう言って俺は、杏子の額を指で弾く。

「いてっ……!」

「それが分かったんなら、とっとと食って支度しろ。お前がここに居候するつった以上、サボりはゆるさねぇからな」

「分かってるっての、馬鹿修夜!」

笑いながら言う俺に、額を押さえながら、それでいて明るい笑みを浮かべて、杏子は言葉を紡いでいた。

 

――――

 

朝食時の出来事を終え、杏子を送り出した後、俺は食器を片付けながら考える。

(ここに来て、はや数ヶ月……そろそろ、本格的に世界が動き出す頃か…)

この世界に来てからおよそ数ヶ月。俺は、数限りない魔女と魔法少女の救済を行ってきた。

実際、この世界の現状は、俺がいる世界より異質といっても良い。初めて見た時の感想は、『壊れかけた世界』と思うことさえ出来た。

予め師匠から状況を聞いていたとはいえ、ここまでとは俺も予測してはいなかったからな。

だが、そんな世界だからこそ、師匠は救うことを決意したのかもしれない。

魔法少女となった者は多種多様だ。その中には、身勝手な願いをする者もいたし、真に願った事を叶える者もいた。

それは、俺も彼女たちと戦ってきて理解しているし、気持ちも分かるつもりだ。と言うより、俺も一時期は彼女たちみたいに、安易な奇跡を願っていた時期があったからな。

だが、結果として、魔法少女たちは誰も彼もが悲惨な末路を辿っている。それが、魔女と呼ばれる存在だ。

こいつらは、魔法少女の成れの果て……自身の絶望によって生まれた、魔法少女達の姿だと教えられている。

俺と師匠たちは、そんな彼女たちを救う為に、この世界で活動している。

そして……

「修夜、そろそろ開店準備しないと」

後片付けを終えた俺の後ろで、白い髪の少女が声をかける。

「了解。先行って準備しててくれ、フィーリー」

「ん、わかった」

コクリと頷いて、『店』のある廊下を小走りで走って行く少女、フィーリー。

この世界で、師匠が連れてきた協力者だが、俺たちとは違った意味で訳ありの少女だ。

それが何なのかは、追々説明するときが来るだろうがな……。

「……とにもかくにも、こっからが真の本番か…」

店のある廊下を歩きながら、これからの物語の動きに、ポツリと呟く俺。実際、俺達の今までの行動は準備期間でしかない。

『奴ら』が動くとすれば、そろそろの筈。手札(カード)は可能な限り揃え、万全な体制を整えた。

「んじゃま……始めますかね。イレギュラーが紡ぐ、『物語』の執筆を」

そんな事を呟きながら、俺はフィーリーが準備しているであろう店の扉をくぐるのだった……。

 




短く突貫工事気味ですが、更新として執筆してみました。
正直、原作知識はありますがオリジナル展開が多めで、しかも資料の漫画などが手元にないので、駄文だらけですね、すみません(土下座
早めに漫画版だけでも購入しようかしら……(汗
杏子の喋り方も、こんなんでよかったのだろうか……。果てしなく不安です(汗

とりあえず、原作では後々に出てくる杏子が、修夜サイドで登場しています。
また、アニメ版と違って彼女の家族が健在ですが、これには理由があります。
そのフラグみたいなもんは、文中に置いてますけどね。
因みに、彼女は魔法少女ではあり、魔法少女ではありません。
家族がいる理由と同様、追々この辺は説明したいと思います。

とりあえず、こんな小説ですが、少しずつ書いて完結させたいと思います。
ではでは
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