戦姫絶唱シンフォギアGX ~破・壊・神・転・生~ 作:GGG@ハーメルン
※注意!
本作では、【ゴジラ】シリーズおよび【戦姫絶唱シンフォギア】シリーズのネタバレやオリジナル要素を多分に含みます。
これらのことに抵抗のある方はご遠慮頂いた方が良いかと思われます。
「それでも良い!」という方は、駄文ですが、最後までお付き合い頂けると幸いです。
劇中メインテーマ:
レクイエム(ゴジラvsデストロイア)
EDテーマ:
ゴジラのテーマ(vsキングギドラVer.)
#00 消滅-Meltdown-
1996年 東京都臨海副都心――
大都会、東京。
日本という国の中心であるこの都市が策定した、7番目の副都心。更なる発展に向けて開発が進んでいた業務指定地区は、現在は見るも無残に破壊し尽くされ、異様な緊迫感に包まれている。
時刻は深夜。あと数時間もすれば明け方という時間帯。
しかし、この街には二度と朝はやって来ないかも知れなかった。
その理由は、世紀末の様相を呈する廃墟の街に佇む、黒く巨大な存在にあった。
≪ゴジラ≫
別名、怪獣王。
科学という人間の傲慢が生んだ、地球史上最強の生物。
原水爆の放射能によって古代恐竜の生き残りが突然変異を遂げた、身長100m、体重6万tの大怪獣は、10000mを超える深海や1500℃のマントルの中でも平然と活動できる強靭な肉体を持ち、口から吐く放射能熱線はあらゆる物を破壊する。
そんな"生物"という概念すら超越した『神』に等しき存在が、今その生涯に幕を下ろそうとしていた。
『ガァァアアアオオオォォォォオオオン……!』
まるで悲鳴を上げるかのような、恐ろしく苦しげな咆哮。今のゴジラは通常の黒い身体に白い背鰭ではなく、身体は炎のように燃える赤に染まり、背鰭は赤熱して先端が融け落ち、全身から白い蒸気を噴き上げる異様な状態となっていた。
ゴジラは、体内の核炉心に異常をきたし、核エネルギーを制御できない状態まで核分裂が暴走していた。一時は地球規模の核爆発を引き起こすと人類を戦慄させたが、自衛隊の尽力で何とかその危機は脱した。
しかし、既にゴジラの異常は人類の予想を遥かに上回る次元に達していた。
ゴジラの炉心温度は900℃を超えており、尚も上昇を続けていたのだ。炉心温度が1200℃を超えれば原発事故など比較にならない規模の
人類側の思惑通り、ゴジラとゴジラジュニアとの戦いを経て完全体へと進化を遂げたデストロイアは、命の限界を超えた死闘を繰り広げる。
しかし、ジュニアを殺されたゴジラは怒りの臨界点を突破。逆鱗に触れたデストロイアを完膚なきまでに打ちのめし、恐怖のあまり逃走に至らせる程の力を発揮した。
デストロイアは待機していた自衛隊に討たれるが、ゴジラも力を使い果たしていた。そして――
「メルトダウン……!」
G対策センターの作戦室でゴジラの炉心温度をモニタリングしていた
それが合図となったかのように、時折苦しげな唸り声を上げ、血反吐の様に熱線を吐いていたゴジラが全身から眩い光を放ち始めた。
「全弾発射!」
自衛隊の特殊戦闘機≪スーパーXⅢ≫の機内で、メルトダウンの兆候を察知した
「……物凄い放射能だ」
原発事故等への対策を目的作られたスーパーXⅢの放射線カウンターが振り切れるのを見て、黒木特佐は戦慄する。
更に激しさを増した自衛隊の攻撃によって、ゴジラの周囲に細氷が降り注ぎ、激しい光と蒸気によって幻想的な風景を作り出す。――そして、遂にゴジラ最期の時が訪れた。
『ガァァァァァァァァァァ……!』
顔が蝋のように融けだしたのを皮切りに、屈強な筋肉に覆われていた身体が崩れ出す。そして、天に向かって断末魔の咆哮を上げると、胸と背鰭から血のように炎を噴き上げ、骨まで残さず融け落ちていった。
「……ゴジラが、東京を死の街にして融けていく……」
「……これが私達の償いなの?……科学を、核を弄んだ私達人類の……」
その光景を見る全ての者が、似たような想いを抱いていた。
自分達が豊かになる為に他者を、自分達の
自らが犯した愚行は、いつの日か必ず自分達を滅ぼす。溢れ出した放射能は、東京を文字通りの死の世界に変えるだろう。
ゴジラという戒めから解放されても、人類はより大きな十字架を背負わされることになる。
「――私の役目は終わった……っ!」
ジュニアの死を看取った女性、
長年ゴジラを見守り、最もゴジラに近い位置にいたといっても過言ではない彼女。様々な想いが胸に溢れる中、光となって天に召されるゴジラから片時も目を離さない。
ゴジラの最期を見届けることが、自分に課せられた最後の使命と理解しているが故の振る舞いだった。
こうしてゴジラの、長く激しい戦いの歴史は幕を閉じた――
――筈であった。
………………
…………
……
小笠原諸島 大戸島近海――
大戸島。
東京都に属するも、都心から約1000kmの洋上に点在する小笠原諸島の一つにして、ゴジラが初めて人類の前に姿を現した地。
しかし、この世界にそんな歴史は存在しなかった。そもそも、ゴジラという存在自体、知り得る者は誰もいない。
【
今いる世界とは時空・次元を隔てて存在する、別の歴史を辿った世界。時間の流れは不可逆であるが、流れる方向は一定ではなく、時代の
そう、ここはゴジラが誕生しない歴史を辿った世界。
破壊神のいない海。夕焼けに染まる
「……クッソ、また入ってねぇ」
不意にそんな呟きが聞こえたのは、海上に浮かぶ一隻の漁船からだった。
声の主は、日に焼けた浅黒い肌をした、まだ成人前の青年。彼の船以外に他の漁船の姿は無い。
それもそのはず、この時間帯は漁に出始める船はいても、本格的に漁をする時間では無かった。
「今日もこれだけか。こんなんじゃ燃料代も払えねぇ……」
最後の仕掛けを巻き上げた青年は、その日の成果を確認し肩を落とす。そもそも、彼が一人でこんな時間に漁に出ているのにはワケがあった。
彼には元々大きな夢があった。
しかし、夢へ向かってひた走っていた最中、漁師をしていた父が突然の海難事故で他界した。残されたのは、船を買い換える為にこさえた借金と、身体の弱い母親だけだった。
借金の返済と日々の生活を支えるため、父の漁師の仲間の温情でその人が漁に出ない時間帯に船を借り、こうして毎日孤独な海へと繰り出していた。
「しゃあねぇ、帰るか。遅くなると申し訳無いしな」
また明日がある。そう思って帰港の準備を始めようとした時だった。
突然、空から激しい爆発のような音が轟き、驚いた青年は手にしたロープを落としてしまった。
「なっ、何――!?」
反射的に音のした方を見た青年は言葉を失った。
青年の視線の先には、水平線から
しかし、月は不自然な形に『欠け』ていた。まるで、本当にその部分が無くなったかのように。
信じられない光景に立ち尽くす青年だったが、異変はそれだけに留まらなかった。
欠けた月が浮かぶ空を、無数の赤い筋が流れている。
まるで、流星群のように絶え間なく降り注ぐそれが欠けた月の破片であることを青年は知る由も無かった。
「スゲー……」
青年は圧倒的な光景に見入っていた。自分に危機が迫っているとも知らずに。
そして、気付いた時には、もう手遅れだった。
「えっ――?うおっ!?」
先程まで凪いでいたのが嘘のように、突風が船を揺さぶった。それに伴い波も高くなり、立っているのもままならない状態になる。
月の破片の一部が地球に落ち、衝撃波を発生させたのだ。
そして、彼の近くにも一際大きい『青』い光が落ちてきていた。
「や、ヤバイ!」
ふらつきながら操縦席に滑り込む。エンジンを吹かせ、全速力でその場を離れようとした。しかし、無情にも青い光は海面に激突し、先程とは比較にならない規模の衝撃波と高波を発生させた。
「うわああああああああああっ!!?」
青年は、為す術なく船ごと波に呑み込まれた。
衝撃によって船はバラバラに分解され、成年は海中で揉みくちゃにされる。
船の破片が身体を傷付け、その度に口から空気を吐き出す。
漸く身体が流れから解放された時には、青年には泳ぐ力はおろか、体勢を立て直すことも出来なくなっていた。
(……身体の、感覚が無ぇ。苦しいはずなのに、それすらも分からねぇ……)
今にも閉じそうになる瞼を必死で開き、徐々に遠ざかっていく海面の光を見つめる青年の脳裏にあったのは、諦めた筈の夢のことだった。
(こんな筈じゃ、なかったんだけどな……。どんなに苦労しても、何年かかっても良かった……。あの二人みたいに、成りたかった……)
青年の夢。
それは、ミュージシャンとしてデビューし、大舞台で何千・何万という観客の前で自分の歌を歌うことだった。
(……もう、歌えねぇの、かな?……いや、だ。しにたく、ね……よ…………)
想いも虚しく、青年の命は今ここに尽きた。亡骸は太陽の光も届かない深淵へと沈んでいく。
――その時、青年の前に眩い青白い光が灯った。
光は巨大な生き物のような形となり徐々に青年に近付くと、その身体を包み、吸い込まれるように消えていった。
後に【ルナアタック】と呼ばれるこの事件は、地球の一部に甚大な被害を与えながらも、3人の少女達の活躍により終息された。
しかし、この事件は後に様々なパラダイムシフトを引き起こす
そしてその影響は、並行世界との隔たりにも影響し、まつろわぬ怪獣の王をもこの世界に招き入れていた。
ドクンッ……
青年の身体が闇に消える直前、海中に重く力強い鼓動が響いたことを知る者は誰もいなかった――。
プロローグは以上となります。
次回からはゴジラとシンフォギア装者の出会いを描く第一章が始まります。
更新までもう暫くお待ち頂けますようお願い致します。