戦姫絶唱シンフォギアGX ~破・壊・神・転・生~ 作:GGG@ハーメルン
今回、主人公の名前と素姓の一部が明かされます。
ED:Rebirth-day
チフォージュ・シャトー――
世界の解体を目論む錬金術師、キャロル・マールス・ディーンハイムの根城。その薄暗い玉座の間に、今回の事件の首謀者であるキャロルとその配下の
ミカ以外の
一方、ゴジラとの戦闘で中破したミカは、主であるキャロルによって破損状況の解析と戦闘記録の譲渡を行っていた。
【キャロル】
「お前がここまでやられるとはな、ミカ」
【ミカ】
「うう……。面目無いゾ」
【キャロル】
「……まぁ良い。コレはオレも
珍しくしおらしい様子で項垂れるミカに、赤いワンピースを着た少女、キャロルはそう答えた。
記録に残っていた謎の赤黒い影。数百年に渡って世界を探究してきたキャロルにもそれが何なのか分からなかった。
しかし同時に、ハズレ装者はおろか、これまで倒してきた正規装者をも上回る力で自分の最高戦力であるミカを打ち負かしたこの存在に強い興味を抱いていた。
【キャロル】
「奴等の隠し玉……というわけではなかろう」
【ファラ】
「確かに、見たところ装者側も戸惑っていたみたいでしたわ」
【レイア】
「敵ながら派手にやってくれる。……面白い」
キャロルの予想に同調するファラに続き、ジャズダンサーを思わせる服装のレイア・ダラーヒムが映し出させれた戦闘記録を見て呟く。
黄色をメインカラーとする彼女は、トータルバランスに優れた万能型。何事にも派手さに拘る彼女にとって、ミカに完勝したゴジラはお気に召したらしい。
【ミカ】
「アイツは私の獲物だゾ!」
【キャロル】
「お前の修復には時間を要す。暫くは大人しくしていろ」
【ミカ】
「くっ……、分かったゾ」
【キャロル】
「……ガリィ」
【ガリィ】
「はぁい♪」
キャロルはムキになるミカを嗜めた後、 青を基調とした少女型
ガリィ・トゥーマーンは、見た目はメイドに似た服を着た可憐な少女だが、性格は悪辣で相手の精神を嫐るような言動が目立つ。メインカラーの青に因み、水を操る能力に長けているが、彼女には他にも特化した能力があった。
【キャロル】
「現行の任務は中断。人間共から≪想い出≫を掻き集めろ」
【ガリィ】
「……尻拭いってわけですか」
【キャロル】
「不服か?」
【ガリィ】
「いいえ~、滅相も無いですよぉ」
ガリィは軽く毒を吐いた後、慇懃無礼な様子で一礼する。
≪想い出≫とは、その名の通り記憶や知識のことで、錬金術を扱うのに必要なパワーソースとなる。
本来は生きていく中で自然と蓄積されていくものだが、戦闘特化型のミカを除く
その中でもガリィは、採取した≪想い出≫を分配する能力を備えており、自力で≪想い出≫を補給できないミカへの供給を始め、キャロルの計画に必要なエネルギーを集める為に必要不可欠な存在であった。
【ガリィ】
「ではではガリィちゃん、頑張って行って参りま~す♪」
バレリーナのように爪先立ちしながらスカートの端を持ってお辞儀をすると、ガリィは転移の光の中に消えた。
それを見送ったキャロルは一つ鼻を鳴らすと、空中投影したスクリーンに敵のいる場所を表示する。
【ファラ】
「いかがされるのですか?マスター」
【キャロル】
「……決まっている。計画が狂ったのなら修正するまでだ」
思わぬ邪魔が入ったことで、目的の
S.O.N.G移動本部 指令室――
ミカの襲撃から一夜明け、戦闘による怪我とLiNKERによる負荷のため医務室で治療中の調と切歌を除くS.O.N.Gメンバーが一堂に介していた。昨日の戦闘による損害の報告と、闖入者に関する調査報告の為であり、装者達は一様に緊張した面持ちであった。
【弦十郎】
「先ずは施設の損害報告。藤尭!」
【藤尭】
「はい。人的・物的共に相当な被害が出ましたが、発電施設を含む基地機能は通常の50~60%で稼働中。現在も復旧作業が行われています」
【マリア】
「調と切歌の頑張りのお陰ね」
【弦十郎】
「……そうだな。だが、命令違反には違いない。皆も無茶や勝手な行動は慎むようにな」
あの後、本部の医務室に運び込まれた調と切歌には、弦十郎を始め、翼やクリスからも改めて叱責の嵐が飛んだ。二人はそれだけでも大分堪えて只でさえ小さい身体を縮こませていたが、それ以上に効いたのは響や未来、マリアの泣いた顔だった。
自分達のベストを尽くした方法が、大切な人達を心配させ、涙を流させたことに二人はかなり反省しているようだった。
【緒川】
「基地の方は、自衛隊に任せておいて問題ないでしょう。問題は……」
【弦十郎】
「あの男の方だろうな。翼とクリスくんが捕縛した後、とりあえずこちらの医務室に収容したんだが――」
弦十郎が藤尭の隣のあおいに目を向けると、彼女は頷き手元の端末を操作した。
【あおい】
「収容後、念のため拘束をしてからメディカルチェックを行ったのですが、ベッドに固定した途端目を覚まして暴れ始めまして……」
メインモニターに録画映像が映し出され、獣のように叫びながら拘束具を引き千切ろうとする男の姿が記録されていた。
【あおい】
「拘束具が破られることを危惧した医師が鎮静剤を投与したのですが、大人でも瞬時に昏倒させる代物を投与しても効果が出ず、通常の5倍量を投与して漸く鎮静化しました」
【未来】
「5倍って、大丈夫なんですか!?」
過ぎた薬は毒になる。未来の懸念は尤もであった。
【あおい】
「勿論、普通ならまずいわ。……でも、彼の場合、それだけの量を投与しても眠るまで暫く時間を要した程なのよ」
【緒川】
「プロのエージェントでも、これ程の薬物耐性を身に付けるのは不可能でしょうね」
【弦十郎】
「だが、お陰で少し話をすることができた」
【翼】
「話って……、直接お会いになったのですか?」
驚く翼に、弦十郎は静かに頷いて答え、その時のことを語り出した。
………………
…………
……
【医師】
『危険です、司令!意識は混濁を始めましたが、まだ薬が効ききった訳ではありません!』
【弦十郎】
『だが、大分大人しくなったんだろう?なら話をするなら今だ。目が覚めてからだとまた暴れるかも知れないからな』
弦十郎は医師の制止を振り切って医務室のドアを潜る。一面白一色の部屋の中央には大型のベッドが鎮座し、その上に男は横たわっていた。
【???】
『くぅ……ぐっ』
弦十郎の入室に気付いた男は、金属製の拘束具を軋ませ、唯一自由に動く首を入り口の方へ巡らせた。
弦十郎と男の視線がぶつかる。薬の影響で目が若干虚ろであったが、強い敵意の光は少しも揺らいでいなかった。
【???】
『気分は……良いわけ無いよな』
自分で言って苦笑しつつ、弦十郎はベッドのすぐ横の椅子に腰掛けた。その間も、男は威嚇の唸りを上げて弦十郎を睨み付ける。
【弦十郎】
『そう邪見にするな。俺は話をしに来ただけだ』
そうは言ったものの、弦十郎は一抹の不安を抱いていた。
これまで調や翼からも男が言葉を発した報告を受けていない。まさかとは思うが、もし人語が分からなければ、事態はよりややこしいことになる。
だが、弦十郎の不安は直ぐ様杞憂となった。
【???】
『はな、し?にん、げんと、はなすし、たなど、もたん』
薬のせいで呂律が回っていなかったが、男は確かに日本語でそう告げてきた。
【弦十郎】
『……これは手厳しいな。だが、君だって人間だろう?』
面食らいながらも問い返すと、
【???】
『おれが、にん、げん?……ちが、う!きさまら、といっしょ……するなっ』
憎しみの籠った言葉が返ってきたが、言い終わるなり男は瞼を開いたり閉じたりを繰り返す。
【弦十郎】
『薬が効いてきたな。続きは起きてからにしよう。……最後に、名前を教えて貰えるか?』
【???】
『なま、え……?』
【弦十郎】
『……ああ。分かるか?』
【???】
『お、れ……は……』
【???】
『クロ、ガネ……。クロガネ、ゴウ……』
ハッキリと自らの名を告げた直後、男は静かに眠りに就いた。
……
…………
………………
【翼】
「クロガネ……ゴウ?」
【クリス】
「先輩?知ってんのか?」
【翼】
「いや……だが、しかし――」
男の名前を聞き、首を傾げた翼にクリスが訊ねるも、翼は要領を得ず言葉を濁していた。
【藤尭】
「名前だけしか分かりませんでしたが、外見年齢と特徴を基に
【響】
「あったんですか?」
藤尭は頷いた後、メインモニターを切り替え、検索結果を表示する。そこには、拘束された男と髪色以外瓜二つの人物が映し出されていた。
【藤尭】
「
【マリア】
「大戸島?」
【緒川】
「小笠原諸島に存在する島の一つです」
【翼】
「大戸島……もしや」
【クリス】
「やっぱり知ってんのか?」
クリスの二度目の問いに、翼は頷いた。
【翼】
「ああ。と言っても言葉を交わしたことがあるわけでは無いがな」
翼は当時を思い出すように瞑目しながら語り出す。
【翼】
「あれはまだ立花や雪音と出会う前、私がリディアン音楽院に在学していた頃の話だ」
「……あの日私は、所属事務所での打ち合わせを終えて二課に向かおうとしていた。その時、偶然通りかかった部屋から聴こえてきた歌に足を止めたんだ」
翼が部屋を覗くと、そこでは自分よりも年上の青年がギターを片手に熱唱していたという。
【翼】
「その日は、一般公募のオーディションが行われていたらしい。その青年もオーディションを受けに来た一人だったのだが、……お世辞にもプロになれるだけのレベルがあるとは言えなかった」
そう言って翼は苦笑する。
しかし、当時の翼はその歌を最後まで聴き続けたそうだ。
【翼】
「粗削りだったが、青年の歌には人を前向きにさせるような真摯な想いが込められていた。その想いに私も心打たれてな。オーディション担当者から彼の素性を聞き、いつか夢が叶うことを願っていた」
【マリア】
「そんな事があったのね……」
マリアが感慨深げに呟く。アーティストである彼女にも少なからず思うところがあったようだ。
【未来】
「あの、オーディションの結果はどうだったんですか?」
【翼】
「後々聞いたところ、やはり技術面で落選となったらしい。だが、有望な人材だと評価する審査員もいて、諦めずにまた応募してくることを期待していたそうだ」
【緒川】
「……しかし、その後彼が現れることは無かったそうです」
【響】
「えっ?どうして……」
【あおい】
「……記録によれば、オーディションの直後、漁師をしていた父親が海難事故で他界されたらしいわ。彼の家には病弱な母親と借金が残った。……これは推測だけど、それらが原因で音楽の道を諦めたのでは無いかしら?」
【響】
「そんな……」
必死に追いかけていた夢を途中で放棄せざるを得なかった。それは、不運という言葉で片付けるには、あまりに酷な現実だった。
指令室に重苦しい空気が漂う。そんな空気を打破するように、クリスが本題に切り込んだ。
【クリス】
「でも、何でそんな奴が海からあんな姿で現れたんだよ!?」
【マリア】
「……それと最初から気になっていたのだけれど、彼の素性に行き着いたデータベースって何?」
クリスと彼女に追従したマリアの問いに、源十郎達大人は複雑な顔をした。装者達は彼等の思うところが理解できず首を傾げるが、唯一未来だけが何かに思い至り、顔を青ざめさせた。
【未来】
「……思い出した。大戸島って確か――」
未来はそこまで言って弦十郎や緒川を見る。彼等の顔は、自分の考えが的を得ていることを暗に示していた。
【あおい】
「……未来ちゃんの考えている通りよ」
【弦十郎】
「――半年前の【ルナアタック】。その時に大戸島は全滅しているんだ。……大気圏で燃え尽きなかった月の破片によってな」
弦十郎の言葉は、響・翼・クリスに大きな衝撃を与えた。絶句する3人に、大人達は更に事実を明かしていく。
響・翼・クリスの3人は、月の破片落下を阻止した後、暫くの間消息不明となっていた。その間に、世界各地では大気圏を突破した小規模な破片による被害が多発したのだ。
大戸島も、そんな被害を受けた地域の一つだった。
【藤尭】
「……小笠原諸島も大きな被害を受けた。その中でも、落下点から最も近かった大戸島の被害は最悪だった」
【あおい】
「衝撃によって発生した高波は島全体を呑み込んだわ。……200人の島民の内、死亡が確認できたのは1割にも満たず、残り9割は現在も行方不明のまま」
【マリア】
「それでは、データベースっていうのは――」
【緒川】
「……ええ」
「政府が把握している、被災行方不明者リスト、です」
【響】
「そんな……」
【未来】
「響っ!」
そこまで聞いて、響はショックのあまり座り込んでしまった。未来が寄り添うも、その表情は悲痛に染まったままだ。
無論響も、あの戦いで決して少なくない犠牲が出たことは知っていた。しかし、こうして現実を突き付けられると、どうしようもなく無力感が込み上げてくる。
それは翼とクリスも同様で――
【クリス】
「クソ……。あたしらがもっと上手くやってりゃ……!」
【あおい】
「そんなこと言わないで。もし破片が巨大なまま落下していたら、被害の規模は比較にならなかったわ」
【翼】
「それでも、至らぬ剣と罵らずにはいられない……!」
【緒川】
「翼さん……」
悔やんでも後の祭り。それでも、あの時もっとできることがあったのではないか?装者3人はそう考えずにはいられなかった。
そんな彼女達を励ますように、自身も世界を巻き込む争乱の渦中にいたマリアが静かに口を開く。
【マリア】
「……それでも、彼は戻ってきたわ。君達の救った世界にね」
【響】
「マリアさん……」
【未来】
「そうだよ、響!響達が頑張ったお陰で、助かった人はたくさんいるんだよ!?私だって響に救われたんだから!」
マリアに続いて、親友としてずっと響を見守ってきた未来も彼女達のしたことは無駄じゃないと訴える。
「救われた」、その言葉で響達の表情から僅かだが影が薄れる。それを見計らい、弦十郎は報告を続けるよう藤尭に促した。
【藤尭】
「……彼が大戸島唯一の生還者であることは変わりない。……ただ」
【翼】
「……ただ?ただ何です?」
詰問する翼に、藤尭は迷いながら慎重に言葉を紡いだ。
【藤尭】
「……彼の身体には、その、普通の人間とは異なる部分が多々見られました」
さっきのショックも冷めやらぬ内に告げられた事実に、響達は衝撃を隠せなかった。
【クリス】
「ど、どういうことだよ!?普通とは違うって!?」
【エルフナイン】
「それは僕からお話します」
クリスの声に、これまで沈黙を守っていたエルフナインが手元の端末を操作した。メインモニターが切り替わり、医務室で拘束されたまま眠る男、黒銀轟の姿と各種データが表示される。
【エルフナイン】
「表示されているのは、精密検査を行った結果です。体組織はほぼ人間と変わりませんが、筋肉や骨の強度は常人を遥かに超えていました」
【翼】
「それは、鍛練の末身に付いたものではないのか?」
【エルフナイン】
「弦十郎さんや緒川さんのように特別な鍛練を積んできた方々なら話は別ですが、薬物耐性を含め一般人として生活してきたこの方が到達できるレベルではありません」
説明を聞く内に、不穏な空気が指令室に流れ始める。エルフナインは一体何を告げようというのか?
【エルフナイン】
「更に血液検査の結果、赤血球や白血球といった血中成分の濃度が人間のレベルを超えている事が明らかになりました。これは、鍛練等でどうこうできるものではありません」
「……そして極めつけは、この方の身体には、人間のものとは別の、未知の細胞が存在しているんです」
「「「「「未知の細胞!?」」」」」
予想だにしなかった言葉に、装者及び未来は驚きの声を上げた。
【響】
「ど、どういうこと!?」
【エルフナイン】
「……詳しく調べて見ないことには何とも言えません。ただ分かったのは、この細胞には異常な……不死と言っても差し支えない再生能力があるという点です」
【マリア】
「不死?」
【エルフナイン】
「はい。血液中から抽出後、様々な外部刺激を与えてみましたが、傷付いた直後に再生を始め、瞬く間に元の状態に復元しました。……人間は勿論、既知の生物でこれ程の再生力を有する存在は、当然ながら確認されていません」
【クリス】
「じゃ、じゃあ、アルカ・ノイズの攻撃が効かなかったのは……」
【エルフナイン】
「……解剖器官の分解速度を、再生速度が上回っていたためと推測されます」
アルカ・ノイズの恐ろしさを知っている装者にとって、それがどれ程凄まじいことか想像に固くなかった。
エルフナインによって、シンフォギアもバリアコーティングに強化・調整を施され、アルカ・ノイズの干渉破砕効果に対抗できるようになった。しかし、この細胞は元々有する能力だけで万象を塵と帰す効果を跳ね除けて見せたのである。
【翼】
「……ということは、その細胞が彼のシンフォギアなのか?」
人と聖遺物が融合する前例もあることから翼の指摘は尤もだったが、エルフナインは首を横に振る。
【エルフナイン】
「細胞を含め、この方からは聖遺物の反応は見られませんでした。しかし、他にシンフォギアのコアに相当するものを身に付けていない以上、何かの形でこの細胞が関わっていることは間違いないと思います」
【弦十郎】
「……謎を解く鍵はこの細胞にある、ということか」
きな臭い事実が次々と明らかになり、とても奇跡の生還と喜べる雰囲気では無くなった。受け止めきるには不可思議すぎる現状に、指令室は何とも言えない空気に包まれる。
【エルフナイン】
「……とにかく僕は、データの精査を続けます。今できることは、それしかありませんから」
できることをやる。エルフナインの言葉に響はハッとさせられた。
ひたむきなその姿勢は、自分がシンフォギアを振るう時に抱いていた想いと同じものを感じさせたからだ。
【響】
「……そうだよね。悲しんだり落ち込んだりする前に、今はエルフナインちゃんの言う通り、自分にできることを頑張るしか無いんだ!」
【未来】
「響っ」
【マリア】
「やっと君らしくなったな」
【クリス】
「……ったく、さっきまでショボくれてたくせに」
【翼】
「だが、良い切り返しだ」
これまでどんなに苦しい時も絶やさなかった笑顔。それが、今この瞬間の嫌な雰囲気も吹き飛ばしたことに、戦友であるクリスと翼、そして自分達も救われた身である未来とマリアにも笑顔が戻った。
【弦十郎】
「……成長したな」
【藤尭】
「父親みたいな顔になってますよ、指令」
【あおい】
「良いじゃない。ある意味家族みたいなものよ、私達は」
【緒川】
「ですね」
幾多の苦難を乗り越え、後悔の中からも自力で這い上がる強さを身に付けた子供達を頼もしく思いながら弦十郎は頷いた。
【弦十郎】
「いつ目覚めるか分からんが、俺ももう一度彼と話をしてみるつもりだ。それまで各員――」
士気が上がったことを見計らい、源十郎が場を締めようとしたその時、指令室にけたたましい音が鳴り響いた。
【マリア】
「警報!?」
【弦十郎】
「藤尭、友里!」
【藤尭】【あおい】
「「はい!」」
藤尭とあおいは直ぐ様持ち場に着き、コンピュータを操作する。メインモニターが切り替わり、映し出されたのは、復旧作業が始まったばかりの基地内に立ち昇る新たな黒煙だった。
【藤尭】
「この基地が再び攻撃を受けています!」
【クリス】
「また、アルカ・ノイズか!?」
【あおい】
「いえ、この反応は――」
モニターが黒煙に向かってズームする。黒き帳を風が払うと、中から一つの小さな影が姿を現す。
【エルフナイン】
「そんな、……まさか」
姿を見たエルフナインは驚嘆する。小さな影の正体は彼女と瓜二つの容姿をした少女。
【響】
「キャロルちゃん……!」
一連の事件の首謀者である超常の探求者が、未だ爪痕癒えぬ戦場に降臨した――。
以上、第2話でした。
如何だったでしょうか?
次回は早くもラスボス戦!?
物語の黒幕、キャロルが参戦します。