――下校時――
~達也side~
(面倒な事になったな)
「ですから何度も申し上げているとおり……ですから私は……私はお兄様と帰る予定なんです」
「でもね司波さん。部活や選択科目のことで色々と相談したいさ」
「いえ、あの…」
「親睦を深めるためにこれから一科生だけでどっか寄って行こうよ!」
(はぁ。仕方ない)
「深雪。俺は先に帰─」
「いい加減にしてください」ボソ
「え?」
「いい加減にしてください!深雪さんはお兄さんと帰るって言ってるんです!!」
「みっ美月!?」
「なんの権利があって2人の仲を引き裂こうっていうんですか!!」
「……引き裂くっていわれてもな」
「み 美月ったら一体何をっ//何を勘違いしているの!!」
「何故お前が焦る、深雪」
「えっ?焦ってなんかいませんよ!?//」
「そして何故に疑問系?」
俺と深雪が話している間もあちらは話が進んでいく。
「これは1-Aの問題だ!他のクラス。ましてやウィードごときが……僕たちブルームに口出しするな!!」
「同じ新入生なのに今の時点でどれだけ優れてるっていうんですか?」
(大分感情的になってきている)
「…まずいな、これは…」
「知りたければ教えてやるさ!」
「おもしれぇだったら教えてもらおうじゃねぇか!」
「いいだろう。よく見るといい…これが才能の差だ!!」
(あれは攻撃重視の特化方CAD!!しかも魔法構築が速い!!)
「うおっ!?」
「レオくん逃げて!!」
「くっ。にゃろう!!」
「お兄様!」
(目立つ真似はしたくないが仕方ない)
「何してる。バカども」
エリカが魔法を発動しようとした男子生徒の腕を警棒で弾こうとするがそれは未遂に止まった
「何している。バカども」
そこにはエリカの腕を掴み、男子生徒のCADを掴み取っている誑揶がいた。生徒達は目の前にいるのが先生だと理解がおよんだ。
「今の行為は違法だ。警察に行きたいのか」
「い、いえ。そんなことは」
誑揶と男子生徒が会話している間にも
「こんなハズじゃない。私はただ司波さんと……」ブツブツ
「もう1人!」
達也が叫んだ時には、その女子生徒は起動式を展開していた。誰もが間に合わないと思ったが、その起動式は急に霧散した。
「めんど」ボソッ
「後。七草!特に渡辺!ダッシュ」
誑揶が七草と渡辺の名前を叫び、小さな声でダッシュと言った。それが聞こえたのか、どこからか七草と渡辺がダッシュでやって来た。
「え、えっと。先輩?」
「先生。私達も急いだんですが」
「嘘つけ。あの距離で始めから急いでたら、今のも対処できただろ。渡辺は仮にも風紀委員長だろ」
「いや、本当に風紀委員長なんですが」
「まあ、いい。早くこの場を片せ」
「わかってますよ」
渡辺はしょうがないなぁという雰囲気を漂わせていたが、次の瞬間にはキリッと張り詰めた空気に変わっていた。
「風紀委員長の渡辺摩利だ!君たち1-AとEの生徒だな。事情を聞きます。起動式は展開済みです。抵抗すれば即座に魔法を発動します。」
と声を高々に手を前に出していた。その渡辺の前に達也が立ち塞がった。
「なんだ君は?」
「すみません。悪ふざけが過ぎました」
「悪ふざけ?」
「はい。森崎一門の
「あいつ、何故僕を─!?」
「後学のために見せてもらうだけだったのですが、あまりのスピードについ、手が出てしまいました」
達也と渡辺が見つめ合う。
「ではその後ろの1-Aの女子は?攻撃性の魔法を発動させようとしていたのでは?」
魔法を発動した女子生徒は友達に肩を持ってもらって、震えていた。
「あれはただの閃光魔法です。威力もかなり抑えられていました」
「ほう。どうやら君は起動式が読み取れるようだな」
起動式は魔法式を構築するためのデータの塊で、その情報量は膨大すぎて展開する本人も処理するだけで精一杯だ。それを読み取るということは不可能だ。
「そんなこと不可能だ。普通じゃない!!」
「実技は苦手ですが、分析は得意です」
「なるほど。誤魔化すのも得意と見える」
「摩利。もういいじゃない」
「真由美!?」
七草が2人の会話に割って入っていった。七草は渡辺から振り返り
「達也くん。本当にただの見学だったのよね」
「…はい」
七草のせいで、さっきまでピリついていた空気が、無くなっていた。
「会長がこう仰られていることでもあるし、今回は不問にします。以後気をつけるように」
渡辺の言葉でようやく皆、安堵し、去っていく2人に生徒一同、頭を下げるのだった。
「おい。何格好よく去ろうとしてる」
その空気をさらっとぶち壊す誑揶がいた。誑揶は2人の元まで行き
「ちょっと気が抜けてんじゃね。なので、今から模擬戦な」
「えっ、ちょっと先輩!今のは私達去る流れでしたよね!」
「いや、それより模擬戦って本気ですか…」
「もち。行くぞ」
誑揶は襟を掴んで、文句を言いながら顔を青くしている2人を引き摺って行こうとしていた。
「あ、これやる。次の自活、楽しみだな」
誑揶は森崎から奪ったCADを投げて、不穏な言葉を残してこの学校のトップ2人を引き摺って消えていった。
その数時間後、演習室からひどく疲れた顔をした七草と渡辺といつも通りの誑揶が見られたとか…………更に1-Aの自活では静静と倫理観や法律を語る誑揶がいた。
~達也side~
達也たちは1-Aの光井ほのかと北山雫を加えて帰っていた。
「なあ達也!さっきの先生って不知火 誑揶先生だよな!」
「いや、知らないが」
「お兄様。あの方は私のクラスの担任の不知火 誑揶先生ですよ」
「だよな!すげぇ、あの人がそうなのか」
「あの先生は有名なのか?」
「「「知らないの(か達也)(達也くん)(達也さん)!」」」
エリカとレオ、雫が声をそろえて言った。
「不知火先生、いや不知火先輩と言ったら一校で最も一科生と二科生の差別が無かった時の生徒会長だぜ。校内で文化祭や体育祭、スピーチコンテストとか色んな行事があったらしいぜ」
「それに2年前から先生になったらしいんだけど、偶に二科生の教室に来て、二科生だけで放課後に自習やら補習をしてくれるらしいの」
「何よりも不知火選手は1年の時から九校戦に出てて、そして3年間で出た、全種目でアイマスクを着けているという嘗めた行為をしている。それなのに、出た競技は全て1位の成績を取っているの」
「あ、それ私も聞いたことある。何でも、あの人の眼を見た人はいないとか…」
「いや、俺は前に見たぞ」
「うそっ!達也くん。すごいラッキーだったのね」
「そういや達也。なんで先生は森崎のCADに素手で触れたんだ?あと、光井さんの魔法も何故かキャンセルされちまってたし」
「ああ。簡単だよ。両方とも不知火先生が
「どういう事ですか」
達也と深雪以外が首を傾げている。
「不知火先生は自分の右手にかなり高密度な想子を纏わせ、CADを掴んだんだ。森崎よりも強い干渉力で起動式を消したんだ。光井さんも同じで想子を光井さんの方だけに伸ばしたんだ」
「干渉力が強いとできるのよね?なら、深雪もできるの?」
「いいえ、エリカ。私には出来ないわ。あれにはかなり精密なコントロールが必要なの。一歩間違えると不知火先生もダメージを受けるわ」
「えっ!」
「あれだけ右手に集めているのよ。かなり危ないわ。けど、ただ広げるだけなら私にも出来るのだけれど、一方向というのはかなり難しいわ」
「あれは、不知火先生がかなり優秀な魔法師という証拠なんだ」
(そう。深雪以上の干渉力で、俺よりも多い保有魔力。それに、あの精密な操作をCAD無しでおそらくやってのけた。相当だな)
達也たちはこんな会話をしながら、帰路を辿っていた。