東方銀翼伝 ~超時空戦闘機が幻想入り~   作:命人

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 霍青娥が裏で手を引いていた偽銀翼異変もどうにか解決し、未だにアールバイパーの謎は解明されないものの、しばしの平和が訪れた幻想郷。

 そんな中、勝負の結果でのみ所有権が移り、7つ集めると何かが起こるという「オカルトボール」を奪い合う弾幕ごっこが流行し始め、命蓮寺勢も巻き込まれていく。

 しかしこのお祭りのような空気を冷静な目で見つめる存在もまた、息をひそめていたのだ……!


バイパーアドベンチャー深秘 ~東方銀翼伝ep5.5~ プロローグ
プロローグ ~銀翼のボール集め~


「ぐっ、不覚……!」

 

 尼僧「聖白蓮」の鉄拳が永遠の好敵手「豊聡耳神子」を打ち砕く。大きくのけ反った神子はそのまままばゆい光とともに爆発してしまった。戦闘を介してのみ所有権が移り変わる謎の物質「オカルトボール」。幻想郷中に散らばったそれは命蓮寺の住職である白蓮が集めていき、そしてついに最後のオカルトボールもこの瞬間に白蓮のものとなった。

 

「このような恐ろしいものは封印してしまいましょう」

 

 全てが終わった後、白蓮は命蓮寺に戻ると、紫色のボールを仏像の懐にしまい込む。こうやって仏像ごと封印しようということらしい。

 

「って聖! 私は仏像じゃありませんよ!」

「あっ、間違えて星ちゃんに持たせてしまいました。いけないいけない、やり直さないと……」

 

 そんな小ボケなのか天然なのか判断しかねるやり取りを挟んでる間に異変は起きた。白蓮が星が手にするオカルトボールを回収しようとした矢先、これらが突然激しい光を発していたのだ。

 

「何かヤバいぞ! 星、その紫色の玉を捨てるんだ!」

 

 咄嗟に手が出たのは轟アズマ。あまりに勢いよく飛び出したので、白蓮を突き飛ばしながら星の手にするオカルトボールに手を伸ばす。

 

 しかし、その手が紫色のボールに触れることはなかった。激しい光を発していたボールは消え失せてしまったのだ。それを手にしていた星と共に……。

 

 しばし流れる沈黙。尻もちをついていた白蓮はその様子を唖然としながら見ていたが、我に返るや否や大声でわめき始める。

 

「な、なんていうことを……。私はなんてことをしてしまったのでしょう! ああいう風になるのは私の筈だったのに、関係のない星ちゃんを……。ああっ、どこへ行ってしまったの!?」

「落ち着くんだ白蓮。取り乱していては見えるものも見えなくなる! まずはじっくりと……なんだと!?」

 

 いつの間にか白蓮ではなくアズマの手にオカルトボールが握られていたのだ。そう、本来ならば白蓮の手中に収まる筈であったオカルトボールは、アズマが先ほど白蓮を突き飛ばしたことによって「轟アズマが白蓮を戦闘で倒した」ことになってしまい、所有権が移ってしまったのだ。

 

「白蓮は取り乱しているし、手掛かりとなるオカルトボールは俺の手の中。アレを集めて回れば真実に近づける筈だ」

 

 消えてしまった星を救出するため、この謎だらけの紫色のボールの正体を掴む為、アズマは白蓮に代わり異変の調査をすることを決意した。

 

 タッタッタッとアールバイパーの格納庫を目指してひた走る。!

 

 

 

__________________________________________

 

 

 

 必死に走る俺はほどなくして我が相棒の眠る部屋(要は格納庫なのだが)へとたどり着いた。

 

 にとりの姿はなかったが、代わりにムラサ船長がいた。機体のメンテナンスをしていたのか、フウと額の汗を拭うと俺と向かい合う。

 

「話は聞かせてもらったアズマ。行くのだろう? 整備なら済ませてある。さらわれた我らが本尊の救出、及びオカルト騒ぎを引き起こす謎の物質の調査。これが今回に任務だ」

 

 バッと片手を掲げる船長。整備士であり艦長でもある彼女に俺は無言でサムズアップすると銀翼のコックピットに飛び乗る。

 

「すぐに行くからな星。必ず救い出してやる!」

「ちょい待ち。どこに行けばいいのか、そして何を装備するかも決めないで出発するのかい? あとまだ発進命令を出していない」

 

 ぷくーっと頬を膨らませるムラサ船長。彼女に見送られる時は必ずムラサが「アールバイパー、発進せよ!」とポーズを決めながら声高々に命じるまで待たされる。「だってカッコいいし、気も引き締まるじゃん」という理由なのだが、まあ一理ある。戦いに赴くのだから士気を高揚させるのも重要だ。

 

 とはいえ、向かう場所はある程度目星がついている。そして兵装についても……。

 

「ひとまず紅魔館の図書室を目指す。そこの書物に何かヒントが記されているかもしれない」

 

 次にアールバイパーに装備させる兵装もムラサに指示を出す。ミサイル系兵装に「菊一文字」、ダブル系兵装に「ショットガン」、レーザー系兵装に「ツインレーザー」だ。

 

 白蓮と神子の戦いを見て近接戦闘が頻発すると踏んだ俺はそこに注力するような兵装を中心に選んだ。唯一遠くまでショットの届く武器にはクセのないツインレーザーを選ぶ。

 

「それにしてもあの河童はどこいっちゃったんでしょうね? 本来ならあの子がノリノリでやってくれるというのに……」

 

 文句を垂れつつも、テキパキと慣れた手つきでムラサは言われた通りの武器を銀翼に装備させていく。あっという間に準備が済むと、俺はコクピットに腰掛け、目的地に紅魔館を設定、ムラサにサムズアップで合図を送ると銀翼は滑走路へと運ばれていく……。エンジンを暖めて、出撃の時を今か今かと俺は待つ。いや、ムラサのことだ。程なくして……。

 

「アールバイパー、発進せ……」

「お待ちなさい!」

 

 腕を突き出して声高らかに号令するムラサであったが、急に水を差されてズッコケてしまう。あの声は白蓮のものだ。

 

「ひじりぃー! せっかくのカッコいいとこ邪魔しないでくださいよぉー!」

「アズマさんはすぐ無茶するんですから私もついていきますっ」

 

 頬を膨らませて抗議するムラサに対して、あちらもどこか意固地になってるかのような物言い。俺が心配だから同行したいそうだ。まあ、そのことについては俺は止めないが……。

 

「なーんか調子狂うなぁ……。コホン、では今度こそ……アールバイパー、発進せよ!」

 

 ムラサはどうしてもコレがやりたくてしょうがなかったのだろう。そんな少女の声に合わせて、銀翼を急加速させる。そしてその後を白蓮が追いかける。

 

 さて、霊夢や魔理沙に後れを取るわけにはいかないな! 




今回からスタートする「バイパーアドベンチャー深秘」は東方Project14.5弾である「東方深秘録」をモチーフにしたエピソードであり、東方銀翼伝第5部と本エピソード完結後に連載開始する予定の第6部を繋ぐいわば「第5.5部」にあたります。

原作では完結まで東方銀翼伝シリーズの作品であることが伏せられおり、実質的な外伝作にあたります。深秘録も小数点ありますし、こっちでも導入したくなったんです。

外伝というわけで原作では物語の節目で複数の選択肢を出し、読者の投票によってシナリオを進めるという実験的な試みもなされてもいました。

エンダー・ヴァリー様、葉様、リンディ様、貴大様、ショル様、下着泥棒様、ごしき堂様、Sixa様、星ちゃんは槍マン様、触手マン様、バルタン星人様、元気玉様、投票ありがとうございました。
特にエンダー・ヴァリー様と葉様は名前の集計を始めた時から最後の投票まで参加なさっておりました。重ねて感謝いたします。

東方銀翼伝版では流石にこのシステムは再現できないので、当時選ばれてきたシナリオ展開を執筆していくことになります。
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