オカルトボールの異変について調べる為に紅魔館の図書室を目指すアズマ。と、そんなアズマが心配だからと勝手についてきた白蓮。
だが、その途中の霧の湖に血気盛んなヤツらが沢山いるようで……。
第1話 ~冷たい湖の熱いヤツら~
晴天の霧の湖。心配だからとついてきた白蓮と共に俺達は妖精どものテリトリーへ押し入る。
機械の翼がここに入り込むと、自然の化身達がヨソモノを排除せんと襲い掛かってくる。ここら一帯を縄張りにしている妖精たちがキャイキャイと喚き散らしながら弾幕を撃ちこんでくるのだ。一々相手にしていてはキリがない。近寄って来たものをレイディアントソードで斬り払いながら、最高速度で突き進んでいく。
水面ギリギリを高速飛行することで水しぶきを上げて、しつこく迫ってくる妖精どもをズブ濡れにして追撃を諦めさせる。これで大体は撒いたか。目指すはこの湖の先にある赤い館「紅魔館」。
「何だか穏やかじゃないわね」
ゾクリと寒気が襲う。いや、寒気ではなくて気温が下がっているようだ。魔力レーダーが指し示す方向に目をやると仁王立ちする氷精がいた。
「あたい知ってるよ。へんてこなボールを調べて回ってるんでしょ? みんなその話で持ち切りだからね」
核心を突いたと見るや否やニヤリと笑みを浮かべる我が心の師匠「チルノ」。えっと確か彼女にとって俺は「マナデシかつえーえんのライバル」だったな。
「オカルトボールっていうんだ。今から図書館に行ってこいつのことを調べに行くところだ。何か知ってるのかチルノ?」
「うん知ってるよ。そのボールって楽しそうってことがね。あたいもボール欲しい!」
ただ興味を引かれているだけじゃないか。腕っぷしはあるので弾幕沙汰になった時はある程度の力にはなるかもしれないが、この不思議なボールの調査に関しては足を引っ張る様が容易に想像つく。ここは丁重にお断りしたいところだ。
「そうか、俺はもっと詳しいことを知りたいのですぐに紅魔館に向かう必要がある。それじゃあね」
「待ちなアズマ」
ドヤ顔のまま、俺の行く手を再び塞ぐチルノ。
「実はもう一つ知ってることがあるのよ。アンタと戦って勝てば所有権が移るのよね。楽しそうだからボールの取りっこしたーい!」
ちっ、厄介な情報をどこかで聞きかじっていたな。だが、そんな短絡的な動機の為にボールを譲るわけにはいかない。兵装を取り換えたアールバイパーの試運転も兼ねて一ひねりするか……。
チルノは手にした氷塊を思い切り湖に向けて投げつける。バシャーンと上がる水しぶき。その直後のことであった。周囲の空気が一気に凍り付く。水しぶきは一気に凍り付き、小さな氷の粒子となった。
「かっとべー!」
そしてそれをそのまま弾幕として飛ばしてきたではないか。ここはレイディアントソードで……いや、数が多すぎてさばききれない。こういう時は……
「ショットガン!」
飛び散る氷塊を散弾銃で一度に撃ち落とす。何も接近して全弾当てるだけが使い方ではない。だが、連射がきかないゆえに撃ち漏らした塊がこちらに襲い掛かってくる。ぐっ、数発喰らってしまったか。機体を襲う衝撃に思わず声が漏れ出る。
それを見たチルノは再び大きな氷塊を用意すると水面に叩きつけようとする。
「同じ手を食うかっ! 陰陽『アンカーシュート』!」
投げつけられた氷塊を今度は逆回転リフレックスリングでキャッチ。ハンマー投げの要領でそれをぶん回し、リングの回転方向を反転させる、つまり投げつける。氷塊はチルノめがけてすっ飛んでいき、額に命中した。
「あだっ! やったわね。こっちもアイシクルフォールで対抗してやる」
あのスペルは……確か奴の目の前が安全地帯だった筈だ。一気に接近しようと機体をの速度を上げる。
「同じ手を食わないのはあたいも同じ。改良版のアイシクルフォールはその弱点も潰している!」
確かに彼女が言う通り、死角だったチルノの目の前にも別の種類の弾幕が飛び交うようになっていた。だが、俺だってあの時とは違うのだ。
「甘いな、俺だってあの時から強くなってるんだ。いけっ、菊一文字っ!」
バリアを展開するポッドを撃ち出し、チルノの目の前で展開。あとはこのポッドの後ろに陣取って……
「ツインレーザー!」
安全に高火力の攻撃を叩き込む。光の針を何発も喰らい、チルノはのけ反りながら吹き飛び、そして爆発した。よし、勝負あり!
……いや、何か近づいてくるぞ。魔力レーダーがチルノ以外の反応をキャッチしていた。俺は周囲を見渡し警戒する。だが、姿が見えない。
ふいに水面が盛り上がった気がした。しまった、真下だったか!
陽光を受けてキラリと光るは魚の鱗。だが、その上半身は少女のものであった。半分魚で半分人間。いわゆるマーメイドといったやつだろうか。彼女はわかさぎ姫。思わぬ
「お前も邪魔をするつもりか? 俺は急いで紅魔館に向かわなくてはならない。ツナサシミーにされたくなかったら3秒以内に視界から消えろ。3、2、1……」
「待って!」
驚くほどまっすぐな視線をこちらに向ける彼女。何か並々ならぬ事情を抱えているのかもしれない。あるいは粗暴な振る舞いなど俺の柄ではないらしく、すぐに態度を軟化させる。隣にいた白蓮は既に彼女の話を聞く体勢に完全に移行していた。
「紫色の玉、集めてるんでしょ? 私、持っていたのよ」
そうか、こいつもボールを持っていて……いや、過去形だったぞ。どういうことなんだろうか?
「ある時湖畔で綺麗な紫色の玉を拾ったの。宝物にしようと飾っていたら……『彼女』がやってきてひとしきり私を痛めつけたかと思うと紫色の玉を奪って立ち去っていったの。取り返したかったけど、『彼女』に弾幕で勝てるわけないし、それに私ってこの下半身でしょう? 追いかけることすら出来ないわ」
紫色をした玉で、痛めつけることによって奪い取る。
「もしかしたらオカルトボールかもですね。それでその『彼女』ってのは何者なのですか?」
だが、ここまで饒舌だったわかさぎ姫は急に口をつぐんでしまった。
「そこで取引よ。この私と弾幕して勝てたのならその『彼女』が何者なのか教えるわ。だけど、私が勝った時は貴方の持っているボールをいただき、更に私のボール集めを手伝って貰うわ」
なんとまあ強かな姫君だ。ここで戦って勝ってもオカルトボールは手に入らないし、コイツの情報だって本当なのかどうか疑わしい。加えてこの勝負がどっちに転がったとしても、結局わかさぎ姫を痛めつけた相手がボコボコにされることには変わりない。姫君の溜飲は下るだろう。
あまり旨みのない戦いだ。だが、奴は人魚。基本的にはこの湖でしか活動できない。つまりそれは逃げることも可能であることを意味する。
俺は本来紅魔館の図書館に用事があるのだ。こいつを無視することも十分選択肢に入る。入るのだが……。
あるのかないのか分からず、いつの時代のものかも分からぬ書籍の情報よりも、やはり生の情報の方が信憑性が高い。俺はそう判断し、わかさぎ姫の提示した取引に応じることにした。それに強かな姫ではあるものの、宝物を理不尽な理由で強奪されたという被害者をどうしても捨ておくことが出来なかったのだ。白蓮も同じことを考えているだろう。
彼女と弾幕決闘をし、勝てばオカルトボール(と思われる紫色の玉)の情報を得られ、負ければ俺の持ってるオカルトボールを奪われた上にボール集めの手伝いをさせられる。
考えてみれば俺だって勝っても負けてもオカルトボールに関する調査を続けることが出来るのだ。もっとも重要な任務は寅丸星の救出であるし。まあもちろんむざむざ負けるつもりなど毛頭ないけどな。
「では、勝ってその情報をいただこう。正々堂々と勝負だ!」
敵意を持った存在の接近を知らせるアラートが鳴り響く。普段は大人しい妖怪と言え理不尽な暴力に晒された上にせっかくの宝物を奪われた悔しさは並大抵のものではない。こちらも本気でかからないと怪我をしてしまうだろう。
まずは相手の出方をうかがう。なるほど、下半身が魚類なだけあって、水中を泳ぐ速度は目を見張るものがある。だが、所詮は人魚だ。こちらに接近できていない。ふむ、いつもの弾幕ごっこではあまり役に立たないアレが有効と見た。
「バーティカルマイン!」
そう、空対地兵器である。オプションを総動員して縦長の爆風を当てに行く。いくら水中では素早くても、これだけの物量の爆弾は避け切れるまい。
「あっ、水底へと逃げていきました!」
むぅ、これでは爆風も届かない。こうなればリフレックスリングで引きずり出すしかないのだが、思いのほか湖は深く水上では届かない。仕方がない。彼女を追って水中へ潜り込もう。アールバイパーは水中でも問題なく運用可能。意を決して俺は冷たい水底へ飛び込んだ。
「かかりましたね? 水中は私の独壇場。鳥の妖怪である貴方に勝ち目はないわ!」
水中ではかなりの速度を誇るマーメイド。俺が水の中に入ったということは、あの速度で縦横無尽に駆け巡ることを意味する。機動力では負けていない筈だが、小回りという意味では彼女にかなわない。弾速の速いツインレーザーで狙い撃とうにも素早過ぎてまるで当たらない。
「ハンター……は装備してないんだったな。ならばショットガンで……」
ホーミング系の兵装は搭載していないのがここで痛手となったか。現状の装備で攻撃を加えるには彼女を射程圏内に捉えなくてはいけない。追いかけんと機体の速度を最大にする……が、機体が大きく煽られる。なんだ、被弾した覚えはないぞ?
よく見るとわかさぎ姫が尾びれを大きくバタつかせ、水流を発生させているようであった。しまった、そういう戦い方もあったか。
「そこだっ!」
強引に水の流れを押しやるとレイディアントソードを取り出しつつ突進をする。が、これもスルリと回避すると、水面を飛び出し、跳ねた。そのまま再び水中へ潜り込むと湖の底へと逃げていく。再びわかさぎ姫は水流で邪魔をしてくる。が、急に衝撃が走る。これは水に流されたものではない。被弾したものだ。何だっ、何を喰らったんだ!?
「砂利か……。水流に砂利や鋭利な鱗を混ぜて弾幕にしている!」
菊一文字で防御を試みるも、水流に流されビームが逆にこちらに牙をむく。水上に上がれば攻める手立てもなくなるのだが、どこかへ消えた星のことも心配だ。
「効いてる効いてる♪ ならばもっと砂利を混ぜて……」
見えたっ! 舞い上がる泥で視界が悪い中、わかさぎ姫の鱗がキラリと光った。菊一文字のビームで動きの制限されているこちらを狙い撃たんと、大量の土砂を集めているようだ。トドメを刺すつもりだろう。
「こうなったらこちらも本気で行かせてもらう! ネメシス、魔操術『魔界神の大翼』だ!」
銀翼の後ろにオプションを3つ取り囲むように配置すると、純白の翼が展開される。
「その構えはまさか……! アズマさんっ、まさか『αビーム』を使うつもりでは? 駄目ですっ、威力が高くなりすぎます!」
ああ、確かに俺は「αビーム」の構えを取っている。今も周囲の魔力を吸い寄せて翼の色が黒ずんでいる。だが、使う技はそれではない。
わかさぎ姫は水底で拾った砂利や自分の鱗型の弾を湖の水の水流に乗せて発射しているのだ。そう、火力を外部に頼り切っている。つまりバーストカウンターが成立するわけだ。俺は精神を研ぎ澄ませ。雑音の中に隠れた「あの音」を探った。
…………
……
よしっ、確かに聴こえたぞ! 更にここは水中。空気中よりも音がより鋭敏に伝わりやすい。今、大技を仕掛けようとするわかさぎ姫の心音が聞こえた。
コン……コン……コン……
「今だっ! 決まれっ『バーストカウンター』!」
水流が銀翼を押し流す刹那、金色のビームが湖を貫いた。ビームの先にはわかさぎ姫。渾身の一撃がバーストの威力に乗せられてそのまま自分に反射する。
「ぎゃあっ!?」
すかさず俺は怯んだわかさぎ姫に接近し、逆回転リフレックスリングを放つ。そのままぐいぐいと引っ張り上げ……水面まで到達すると大きく後ろへ投げ飛ばした!
落っこちた先は陸地。慌てて水中に戻ろうともがくが、空しくその場でビチビチと跳ねるのみ。勝負ありだろう。もはやわかさぎ姫は戦う事が出来ない。
「まさにまな板の鯉、いやわかさぎといったところか。こうなっては戦えないな。さあ、負けを認めるんだ」
しばらくビチビチと悪あがきを続けていたものの、レイディアントソードを突き付けて威嚇するアールバイパーを前についにガックリと肩を落とし大人しくなった。
負けを認めたのを確認すると白蓮は彼女を抱いて再び湖へと戻す。そのわかさぎ姫だが、俺達には敵わないと悟ったのか、今はもう大人しい。
「さあ約束だ。紫色の玉を奪っていった悪い奴の事の事を教えてくれ」
「うぅ、こうなってしまった以上仕方がない。『彼女』がやって来たのは、確か水底で光る玉を拾って飾った少し後のことだったわ。その紫色の玉を売ってほしいって私にお願いしてきたんだけど、提示してきた代金があまりに安かったの。そのことをやんわりと指摘したら、『彼女』は急に乱暴になってひとしきり私を痛めつけた後に紫色の玉を奪っていって……うぅ……うわぁ~ん!」
泣き出してしまったわかさぎ姫を白蓮がそっと抱き寄せる事で慰める。それにしても乱暴な商人がいるものだ。値段が合わないからと言って暴力に訴えて、おそらく最初に提示した代金も払わずに奪っていったのだろう。
「私、とっても悔しくて悔しくて……だけど私では『彼女』に絶対に勝てないの。だって、水の中での動きにもキレがあるし、だというのに陸地でも問題なく活動できるんだもの。そう、私から紫色の玉を奪っていったのは河童の……」
そう続けているうちに上空からバラララと大きなプロペラの音が響く。陽光が遮られ、俺は反射的に空を見上げた。
プロペラはこんもりと大きく膨らんだ緑色のリュックサックを吊るしていた。まるでリクガメの甲羅だ。下手したら持ち主よりも大きく膨らんでいるかもしれない。そしてそのプロペラ付きの奇妙なリュックサックを背負っていたのは見知った顔をした河童であった。
「ボールの反応がこの辺りで出たから、まぁた陸では何にも出来ないわかさぎのくせに生意気にもボールをどこかで拾ってきたと思ったら……げげっ轟アズマ! どうしてお前までいるんだよぅ!?」
こいつが、河城にとりが犯人かとわかさぎ姫に目で問いかける。彼女は無言でコクリと頷いた。
「どうしてもこうしてもない。前に白蓮さんが全部集めたら星がどこかに消えてしまった。その謎を追う為にこうやってボールを集めている」
俺はそのまま懐から自らのオカルトボールを取り出して見せる。
「探す手間が省けてよかった。そのボールは今の異変の真相に迫る唯一の手掛かりだ。理不尽な暴力に晒されたわかさぎ姫の為、我らが本尊を救出するため、悪いがいただくぞ!」
にとりも何かオカルトボールで何かをするつもりなのだろうか? あからさまに臨戦態勢を取っていた。
「ふっふっふ。我々を侮るなかれ。不確定な噂の上に成り立つ都市伝説なんて頼りにはしないぜ。都市伝説に見合った機械を作った。これなら確定的に強い!」
霧の湖全体に濛々と白い霞がかかる。霞に紛れてにとりが姿を消してしまった。声だけが響き渡る。
「養殖したネッシーたちに戦慄するがよい!」
霞の中、ボンヤリと浮かび上がるはネッシーのような首長竜。……いや、さっきの言動からしてそういうメカなのだろう。
「白蓮、メカなら手加減することありませんね?」
「何だか全然懲りてないようですし、周囲に迷惑がかからない程度にやっておしまいなさい」
よし、今こそオプション達の魔力を集中させて……!
「
バチバチっと機体が薄青色にスパークを始める。よしっ、今!
「αビーム!」
水しぶきを上げながら接近するネッシーの機械を周囲の霞ごと吹き飛ばしていく。視界が晴れると愕然とする河童の姿が見えた。
「ええっ、そんなのアリかよぉ?」
このまま接近戦でカタを付けるべく銀翼を加速させる。対するにとりはリュックサックからありとあらゆる武器を取り出しているが……
「遅いっ! 零距離からのショットガンを喰らえ!」
オプションがなくともショットガンならかなりの火力を誇る。無防備などてっ腹に散弾銃をブチ込む。リュックサックは黒い煙を吐きながら何度も小爆発。にとりはそのまま墜落していった。
「メカにばかり頼るからこういう事になるんだ」
逃げようとする河童をリフレックスリングで確保する。いつの間にか手にしていたオカルトボールは2つになっていた。
「それアンタが言う?」
「俺にはオプション達がいる。自分でも動いて状況を打破しようとする心構えもある。そして何よりも守るべきものがいる。ただの金儲けなんかよりもずっと重いものを背負っているんだ」
ガクリと肩を落とすにとりであったが、こちらの隙を突いて逃げようとしていた。
「ボールなんて時間が経てばまた復活するんだ。こうなったらもう一度商売をやり直して……」
それを再びリングで拘束し、引き戻した。
「おっと待ちな。お前には他にも頼みたいことがある」
そう言いながらこの戦いを脇目で見ていたわかさぎ姫に目をやる。
「この子にオカルトボールそっくりの紫色の玉を作ってやってくれ。ガラスでも構わないが、ピカピカにするんだぞ?」
「ええっ、そんな事してる時間は……」
「お前のせいで余計な戦いをする羽目になったんだ。それに事情も知らないのにボコボコにして可哀想だろっ!」
そう言ってにとりを納得させる。だが、俺は他にも要件があった。
「あとは情報だ。どうして霧の湖にオカルトボールがあると分かった?」
「それは私がドラゴン……じゃなかった、オカルトレーダーを使って……」
「借りるぞ。どこぞの魔法使いと違って異変が落ち着けば返すから安心するんだ」
「うわぁ~ん、大損害だ~!!」
悲鳴を上げるにとりからレーダーを取り上げる。
「あの、さすがににとりさんも可哀想になってきたのですが……」
「……それもそうだな。にとり、この異変で行方不明になったのは財宝の神様だ。救出に貢献したと聞いたらお礼をしてくれるかもしれないぞ」
それを聞くや否や両目を「¥」マークにしてズイと目の前に踊り出す河童。
「まっかせろい! オカルトボールのレプリカだろうが何だろうがぜひぜひ提供しようじゃないか。アールバイパーの追加武装が必要になったらいつでも来てくれ!」
やれやれ、思っていた以上に堪えてなかったようだな。安心した一方でまた何かやらかさないか心配だ。とにかくこの場所にはもう用はない。俺は白蓮と一緒に霧の湖を去ることにした。
冷たくも熱かった戦場から離れた俺は、早速にとりから借りたレーダーに目を通してみる。だが、試作品なのかそれともさっきの戦いで故障していたのか、あまり正確な情報は出てこない。
「うーん……これどこだろう?」
「複数表示されていますね。ふむふむ……」
白蓮と一緒に目を通すことでオカルトボールの反応がある場所がある程度特定できた。候補は複数あるようだが、ひときわ大きな反応を見せるのは人里。
ならば次の目的地は人間の里に決まりだ。銀翼を加速させ、次なる戦場へと向かう。