工場の中枢には神奈子が待ち受けていたものの、アズマの戦法を読んでいた神奈子は都市伝説「くねくね(本人談)」にて体の自由を奪いアールバイパーを撃破してしまう。
あわやボールが奪われるというところで……
目を閉じることすら出来ない俺であったが、視覚も聴覚も健在である。だから余計に恐怖したのだ。
突如背後で爆発音が響いたかと思うと、炎を纏った脚が女神のどてっぱらを思い切り蹴り飛ばしたのだ。
「ふう、デカいことしている割には警備が手薄なんだな。おかげで予定よりも早くここにたどり着けた」
赤いもんぺ姿の長い白髪を持った少女。コイツは確か妹紅だ。慧音先生によるとオカルトボールを集めて回っているそうだが……。というか警備が手薄だったのは俺がここを攻略したからだっ!
ともあれ、今ので体の痺れが取れた。これでまたアールバイパーを飛ばせる……が、何だか二人の様子がおかしい。少し様子を見てみよう。
「いったい何のつもりだい、山の神サンさぁ? 紛らわしいコトされると困るんだよね、私は特別なオカルトボールを集めているってのに、こんなまがい物をばら撒いちゃってさ」
蹴り飛ばされた場所をさすりながら神奈子が起き上がる。
「ばら撒く? 私はまだそんなことしていないぞ! 今はここでオカルトボールの模造品を開発しているだけだ」
模造品? 今神奈子さんは模造品と言っていたな。つまりこの工場では本物のオカルトボールは作られていない。なるほどそれで合点がいった。早苗さんの持っていたボールも偽物だったから途中で砕け散ってしまったんだ。
「とぼけてもらっちゃ困るよ! アンタだって知らない筈はない。変な噂の尾びれまでくっつけちゃってボールの争奪戦があちこちで引き起こされているんだ。とにかくこの工場は事態をややこしくするだけだからとっととぶっ潰すぞ!」
再び対峙する両者。自機に強烈な弾幕の応酬が始まるだろう。その腕に炎を纏わせた妹紅は今にもつかみかからんという勢いである。
「ま、待て! 私達で、幻想郷の住民同士で潰し合うのはやめよう。こんなことをしている場合ではないんだ!」
意外な言動に妹紅は一瞬だけたじろぐも、すぐに態度を硬化させてしまった。
「こんなこと……か。同感だ。こんな下らんオモチャを垂れ流す建物は燃やすに限るわ」
「だからだな妹紅! 私達で争っている場合ではないんだ。このオカルトボールは幻想郷の存続にかかわる異変、その氷山の一角に過ぎない」
火炎弾を避けたり防いだりしながら神奈子は妹紅に訴えかける。
「デタラメなことを言ってごまかそうとしているんじゃないか? 怪事件を引き起こして恐怖で幻想郷を制圧するか? それとも兵器転用して力で幻想郷を支配するか? どっちもロクなもんじゃないな」
今もけん制し合いながら勝負が続く。俺はすっかり体の痺れが取れているが、どうやら二人はそのことにまだ気が付いていないようだ。
今も炎を纏った一撃で妹紅は神奈子を圧倒している。今がチャンスだ、妹紅と協力して神奈子の野望をここで止めて見せる! 俺は銀翼を再び飛ばすと山の神と対峙した。
「まだ動けたのか。アズマ、今は手を組もう。このふざけた建物を燃やし尽くすまではな!」
そうだ、この工場を破壊するとなると今も気を失っている早苗さんを放っておくわけにはいかない。俺は再びリフレックスリングを用いて早苗さんを確保すると機体の後部に座らせる。その後で妹紅の猛攻に追随することにした。
左から妹紅が炎の羽を纏いながら突進し、右からは俺がツインレーザーを発射しながら接近する。
「お前らっ、自分で何をしているのか分かっているのか? お前達は幻想郷の未来を閉ざそうとしているんだぞ!」
その一言にたじろぐ俺はその動きを鈍らせるが妹紅は全く止まらない。
「どの道お前の馬鹿げた計画を黙って見ていたら幻想郷は混乱して滅茶苦茶になるんだ。貴様の計画こそ未来がないことをその身をもって思い知れ!」
何度も拳を受けて防戦一方になる神奈子。しかし、背中に御柱を装備してからは状況が変わった。多少の弾幕などは物ともしていなかった妹紅であるが、さすがに御柱の直撃を喰らってはひとたまりもない。
「ごはっ!?」
まずいぞ、戦いの流れが変わってしまった。こんな時こそ俺の出番である。今も流星群のごとく御柱を連発しながら妹紅を追い回す神奈子の前に俺が立ちはだかったのだ。
「ええい、邪魔をするな! もう一度さっきの『くねくね』で動きを封じてやる!」
再びあの恐ろしげな白いヘビの怪物をけしかけてきたのだ。唸りを上げて俺をその長い胴体で囲んで逃げ場を塞ぐと頭に食らいつかん勢いで迫ってくる。
「同じ手は通用しないぞ! 操術『サイビット・サイファ』!」
蛇の目を見てしまうと動けなくなるのなら、見なければいい。しかし標的を見なければ攻撃など当てられない。そこで導き出された答えは相手を追尾する兵装での反撃であったのだ。
鎌首もたげて喰らいつかんとした白蛇の頬にオプションが思い切りぶつかり、大きくよろめく。怯んだところをゆっくり霊夢が下から突き上げるように強烈な頭突き。大蛇もこれはたまらんと爆散していった。
「『くねくね』、破れたり!」
声高らかに宣言した俺。だが神奈子はまだ諦めた様相は見せていない。背後で無数の赤熱した御柱をこちらに向けて、一度に放ってきたのだ。
「ならば純粋に力でねじ伏せてやる。御柱『メテオリックオンバシラ』!」
こんな弾幕に晒されてはひとたまりもない。御柱そのものはかなり遠距離から飛んでいるのでナゴヤアタックも意味をなさないし、こうなってしまえば逃げる他ない。どうにか御柱を切らした瞬間を狙い反撃する他ないが……。
「よし、これくらいだいいだろう。時間稼ぎお疲れさんっ」
上から妙に軽い声が聞こえる。見ると導火線のようなもののついた竹を片手にニヤリとしたり顔を見せる妹紅の姿があった。
その直後、オカルトボール中枢のあちこちで爆発が巻き起こる。これに狼狽したのが神奈子とそして俺。
「特製の火焔竹筒でドカーンだぜ……」
恐らく逃げ回っているように見せかけて、あちこちに爆弾を仕掛けていたのだろう。時間差であちこちが爆ぜる中、爆風に巻き込まれまいと右往左往する俺と神様。
「こ、小癪な……ひぃっ!」
かなりの量を仕掛けたと見える。これでは弾幕勝負どころではない。至近距離で爆弾が爆ぜたのか、神奈子も甲高い悲鳴を上げて逃げ惑っている。
「さてと、これで狙いやすくなったな。特大の爆弾でいよいよ中枢を破壊してやる!」
どこからか爆薬入りの竹筒を何本にも束ねた特大の爆弾を両手で掲げると、思い切り投げつけようとした。しかし、そこに大きな隙が生まれる。神奈子はその瞬間を見逃しはしなかったのだ。
「そうはさせるかっ、いでよ『くねくね』!」
「なっ!? しまっ……」
無防備になった妹紅めがけて白い大蛇は素早く懐にまで潜り込み、至近距離から彼女の瞳を睨み付けた。途端に妹紅の全身から力が抜け、掲げていた大型爆弾を取り落してしまう。彼女の身長がどれくらいなのかは知らないが、一人の少女の背丈程度の高さから爆弾が落ちたのだ。その衝撃は起爆させるには十分過ぎた。
一際激しい爆発が周囲を包む。妹紅はその爆風のあおりを受けて思い切り吹き飛ばされた。
虫の息となり倒れ込んだ妹紅にツカツカと神奈子が近寄る。妹紅から紫色のボールが飛び出すと、神奈子の手中に収まっていった。これは妹紅と神奈子の弾幕勝負に決着がついたことを意味する。
そう、妹紅は負けたのだ。うぅ、次は俺の番だ……。
再び御柱をこちらに向けようとした最中、うめくような微かな声が神奈子を呼び止めていた。
「待て、ちょっと待てよ……」
まだ仕留めていなかったかとウンザリした面持ちで神奈子は声のした方を向く。
「このままじゃあ幻想郷がアンタのやりたい放題になっちまう。勝負には敗れたけれど、そんな世の中はあたしゃまっぴらごめんだぜ。こんな、こんな……」
妹紅の身体がまばゆく輝き始めた。ま、まさか……! 嫌な予感しかしなかった。
「こんな世は燃え尽きてしまえ!」
そう、妹紅本人が爆弾となり、そのまま周囲を焼き尽くしたのだ。こんなことは炎を操る蓬莱人である彼女にしかできない芸当である。その衝撃に周囲は大きく震えた。吹き出す火炎があらゆるものを焼き尽くし、そして一つの大きな爆発は他の爆発を誘発し、この広大なオカルトボール工場全域にまで広がるまでにはそう時間がかからなかった。
「やってくれたな! 今ので中枢が完全にイカれちまった。じきに大爆発するぞ!」
その身を挺して任務を遂行したのだ。最後に爆ぜた時、妹紅は一体何を思ったのだろうか? まあ蓬莱人だからまた復活するけど。
さて、物思いにふけっている場合ではない。周囲がドカンドカンと爆発する中、我が銀翼は神奈子と共に最高速度でこの工場を離脱。そのついでに大破した早苗さんの戦闘騎をリフレックスリングで回収すると、あとはひたすら来た道を戻ることにした。
妖怪の山の一角、真新しく巨大な建物は炎に包まれ、そして最後は大爆発を起こした。
「終わったな……」
夕陽に照らされながら俺は恐ろしい野望のなれの果てを横目でちらと見て、そのまま安全な場所まで移動したのちに着陸した。
掴んでいたガントレットをそっと地面に置き、早苗さんも解放しようとキャノピーを開けようとした。だが、爆発音ではない別の轟音が聞こえてくる。
振り向くと爆発炎上したオカルトボール工場から何やら細長くて先端がとがっている何かが飛んで行こうとしているのだから。アレは何だ? 希望的観測なら脱出用ロケットといったところだろう。ははは、神奈子さんってばコレがあるのに慌てて俺と一緒に脱出してしまったわけだ。そうだよね、そうに決まっている……。
「あー、神奈子様。アレってもしかしてもしかすると……」
「うむ、非常にマズい」
しかしあのロケットについて何か知っているであろう二人はかなり焦っているようだ。ま、まさかミサイルだなんてオチはないだろうな……。
「アレはオカルトボールの複製を弾頭にした長距離ミサイルなのよ」
なんだって!? 俺は反射的に神奈子の胸ぐらをつかんでいた。「どうしてそんな物騒なものを用意した?」と問い詰めながら。
「これには深い深いワケがあってだな……。恐らくさっきの蓬莱人が中枢で好き勝手に暴れたから、その拍子で発射されてしまったんだ! それにこうやって言い争っている場合ではない」
「どういうことだ?」
「あのミサイルはまだ照準を設定していないんだ。だからどこに落ちるか分からない!」
驚愕のあまり掴んでいた腕から力が抜ける。そのまま神奈子はドサリと地面に倒れ込んだ。
「あわわ……大変です! あんな大きいものがもしも人里なんかに落ちたら……」
こうなったら大気圏を突破する前に撃ち落とす他ない。俺は発射され始めたミサイルを追いかけるべく全速力で飛翔した。
夕陽が落ち行く琥珀色と群青色の混ざり合った空、ゴウゴウと音を立てながら高度を上げるミサイル。それが吐き出す白い煙を追うは我らが銀翼。
特殊な装備なしではアールバイパーは大気圏を突破することが出来ない。高度が上がりきる前にブースターを破壊し、完膚なきまでに破壊しなければならないだろう。
限界まで速度を上げた銀翼の中は激しく揺れる。一度制御不能に陥ればあとはきりきり舞いになり墜落するのは明白である。
早速ブースターに接近する。なるほど、未完成品というだけあって、あちこちで機械類がむき出しになっている。これならバラバラにするのはそこまで苦ではないだろう。だが、問題は残り時間である。噴き出すバックファイアを避けながら、確実にレーザーを当てていく。
不意にミサイルの一部分がゴッソリと落ちていく。第二ブースターへの点火が始まるのだろう。落ちろっ、落ちろっ……!
よし、ブースターを無力化したようだ。推進力を失ったミサイルにトドメと言わんばかりにレイディアントソードで細切れにしていく。最後に残ったのは弾頭であった巨大オカルトボールであるが、これもむき出しにした瞬間に砕け散ってしまった。
ふう、随分とあっけなかったが、放っておくわけにはいかなかった。さて、上手く事が運んだことを神奈子に知らせよう。
「戻ったか轟アズマ。危険な任務を押し付けてしまってすまない」
「ありがとうございますっ、これで惨劇は免れました!」
口々に感謝の言葉を並べるどこかはた迷惑な神様と巫女。いつの間にかリザレクションしていたのであろう妹紅もその横にいた。さて、俺はやらねばならないことがある。
「とりあえずお前ら正座! あんな危ないものを用意して、今回は俺が何とかしたからよかったものの、もしもあの時高高度まで飛べる人がいなかったら……」
「この蓬莱人が悪いんだ! こいつが余計なことをするから計画が狂って……」
「事情があるのは分かるが、とりあえずすることがあるだろう!」
それだけ凄んでようやく二人は頭を下げた。
「すまなかった……」
「ご、ごめんなさい……」
それに反応したのか、神奈子からオカルトボールが2つ飛び出し、俺の元に収まった。さて、過ぎたことをいつまでもグチグチ言うのは俺の性に合わないし、彼女達には聞きたいことも沢山ある。
「しかし山の神様方はどうしてあんなものを?」
待っていたと言わんばかりに二人が口を開いた。
「オカルトボールの異変、その真相に私達は気が付いてしまったからだ。轟アズマ、今まで集めたオカルトボールを見せてほしい」
俺は白蓮さんから得た1つ、にとりから得た1つ、慧音先生から得た2つ、そして妹紅と神奈子から得た2つを見せる。
「それで全部かな? これらは全て幻想郷の物質ではないんだ。ナスカの地上絵、ストーンヘンジ、黄泉津比良坂……。どれもこれも外の世界でパワースポットと呼ばれる場所で取れたものだ。長い間外界にいた私にはすぐに分かったよ。アズマ、これが何を意味しているか分かるかい?」
博麗大結界に阻まれている筈の幻想郷に外の世界のものが混じってきた。外の世界のものが忘れ去られて無縁塚に流れ着くことはあれど、このオカルトボールに関してはただのゴミとはとても思えない能力を有している。
「……侵略者だ。外の世界から幻想郷を侵略しようとしている奴がいる。恐らくは物珍しいボールを『集めると何かが起こる』という噂と一緒に少量ばら撒いたんだ。そして私達にそのボールの取り合いを促すことによって戦いに明け暮れさせ疲弊するのを待つという算段だ」
そういえばボールを集めて大きくなろうとしていた小人がいたり、宝物として大事に飾っていた人魚なんかもいたな。
「そこで私は手に入れたオカルトボールを解析して、量産することを思いついた。一つのボールに一つの都市伝説が封じ込められているんだ」
それで早苗さんは3つの都市伝説を使いこなしていたのか。神奈子はさらに続ける。
「数が増えて皆がオカルトボールを手にすればボールの取り合いによる争いもなくなるし、いざ外界から侵略者がやって来てもこの量産型オカルトボールを用いて弾幕の心得の無い人も戦えるようになる。まさに一石二鳥の計画だったのだよ」
悲観に暮れたように神奈子は最後にこう締めくくった。
「そして戦争が膠着し、このふざけたボールをばら撒く犯人の居場所を特定したら、都市伝説の力を満載した巨大オカルトボールを仕込んだミサイルを撃ち込み、恐怖一色に染め上げる。完璧な計画だった筈なんだ! だがその計画も潰えてしまったよ。連中に対抗するべき兵器を量産する手段も、使いたくなかった最後の切り札も私は全て失ってしまった……」
何かただならぬ能力を秘めているであろうオカルトボール。まさか外界にまで影響が広がるだなんて誰が想像できたであろうか。そしてその対抗策を俺と妹紅は何も知らずに潰してしまった……。どうすれば、俺はどうすればよかったんだ……?
くくく、ふふぉふぉふぉふぉふぉ……
後悔の念に苛まされていた矢先、どこからか聞きなれない声がこだましていた。
「だ、誰っ!?」
どこからか不気味な笑い声がこだましていた。いや、俺はこの声を、この口調を知っているぞ。確か白蓮におんぶされていたあの眼鏡の婦人、彼女によく似ている。
惜しいところまで行っておるんだがのぉ。じゃが、ハズレじゃ。揃いも揃って肝心なところで見当違いの方向を向いておる
その声に誰よりも早く噛みついたのは神奈子であった。空に向かって吼える。
「なんだと? 確かに乱暴なやり方ではあったが、外界からの侵略者の企みを潰すのに手段を選ぶことが出来なかった。どこが間違っているというのだ?」
響く声はさも楽しそうに神様をからかいながらこう続けた。
外界からの侵略者が異変を起こしている、そこまでは良い発想だったのじゃがのぅ。
まあ、真実を知りたければ、博麗神社まで来るのじゃ。
それと轟……アズマといったかの? おぬしは特に急いだほうがええぞ? 早くしないとババア汁になってしまうぞい
ババア汁……まさかっ!?
「おいっ、白蓮に何をしようとしているっ!」
ふむ、いい具合にグツグツと煮えてきたわい。
ほれほれ住職サマ、そんなに暴れては、いくらキツ~く縛り上げたとは言っても本当に落っこちてしまうぞい。
ほっほっほっほ……
「答えろっ!」と続けるも、その声は愉快そうに高笑いを続けるのみ。そのまま声は消えてしまった。
「くそっ、白蓮の博愛の心を踏みにじるようなことをしやがって……。まんまと騙された。急いで博麗神社に向かうぞ!」
「待つんだアズマ!」
すぐにでも博麗神社に向かおうとする俺を引き留めるのは妹紅であった。
「わざわざお前の大切な人に危害を加えてやると公言していたのだ。お前を誘い込む手段としては最も強力なものだろう。何か罠が仕掛けてあるはずだ。いきなり突っ込んでもいい結果は得られない。まずは冷静になれ」
こんな炎を操るような熱そうな人に落ち着くように諭されてしまった。だけど、はやる気持ちはそれで収まるはずがなかったのだ
「だけど白蓮は今にもババ……コホン、釜茹でにされそうになっているんだぞ! それを見過ごせというのか!?」
「安心しろ、奴の目的はあくまで冷静さを失ったお前を博麗神社に誘い込むこと。本当にババア汁になんかしないさ。私も協力するからまずは作戦を考えよう」
そこまで言われて落ち着いてくる。夕陽は沈み夜の帳が降りてくるとともに俺も余分な憤怒を抑えることが出来た。そうだ、焦ってもいい結果にならない。
「私も連れて行ってくれ。何が間違っていたのか、何をするべきなのか、私はこの目で確かめたい。相手は外界からの侵略者だ。皆が一丸にならないと幻想郷を守り切れないだろう」
「アズマさん、私にもお手伝いさせてくださいっ! 貴方は放っておくとすぐに無茶するんですから。大丈夫、戦闘騎ならさっき修理を終えたところですから!」
お前ら……。思いがけぬ味方を得た俺達はその後で話し合い、二手に分かれて博麗神社に近づくことにした。
「奴の目当てはオカルトボールを6つ持っている君自身だ。君が戦いやすいようにもっとも信頼のおける者をパートナーとして選ぶといい」
さて、白蓮の命もかかっている重要な作戦だ。3人のうちからこの任務を遂行するパートナーを選ぶことになる。
誰と組むか、それを考えるまでもなくある場所へと視線が向かう。そしてその視線の先にはこちらに目を向けている早苗の姿が。ふふっ、やはり考えていることは同じか。
「決まりだな。早苗とアズマは恐ろしいほど息が合っている。私と妹紅は裏から、君たちは表から接近しよう。……幸運を祈る」
いよいよ真実を暴くため、二手に分かれ夜の博麗神社へと向かう。