発狂したフランドールは周囲を無差別に攻撃し続ける。レミリアや咲夜と協力して落ち着かせるようとする「轟アズマ」と、相棒である銀翼「アールバイパー」。
フランの能力「きゅっとしてドカーン」をレミリアの決死の接近戦で封じると、アズマは新技「叢雲『コンプレッションバースト』」を炸裂させる。こうしてフランは正気に戻ったのだ。
ところがこれはアズマを紅魔館に釘付けにするための罠であったのだ。人を狂わせる松明の光を手にする「クラウンピース」はあろうことか海洋生物型戦艦群「シーマ」を松明の光で狂わせ、使役させることで月の都を陥落させ、次のターゲットとしてこの幻想郷を襲わせようとしていたのだ。
無数のシーマの艦隊が幻想郷に降り立つ。アズマは紅魔館上空に降り立つシーマ艦の1つ「エクリプスアイ」を撃破するも、今も幻想郷各地で他のシーマが暴れているらしい。
衣玖さんとダークヘリオスは天界へ、アズマは白蓮からの救難を受け、命蓮寺へ急ぐのであった。
(幻想郷某所?)
いつものように電車に揺られ、いつものように不思議な場所に出かけ、不思議を暴く。たった二人のオカルトサークル、その活動の一環だ。私はその無二の相棒の肩に寄り掛かり舟を漕いでいた。ふわふわの長い金髪が鼻の中に入り、思わずくしゃみをしてしまう。
「んもぅ、しょうがないわね。それよりも次の駅じゃない?」
どこかおっとりした声に窘められると、私は彼女に寄り掛かるのをやめ、周囲を見渡す。
ああ、もうそんな時間になるのか、私は少し乱れた短めの黒い髪を簡単に整え、ズレた帽子を直すと駅を降りる。無二の相棒の後を追うように、私は今回の目的となるスポットへと歩みを進めていった。
「ここね。さあ、日が暮れないうちにパパッと済ませちゃお?」
そう言って相棒は寂れた鳥居を通り抜けようとする。だが、どういうわけか、私の足が止まった。
「どうしたの?」
なんだろう、得も言われぬ恐怖心を煽られる。普通は私じゃなくて相棒がそういうのに敏感で私に教えてくれるというのに。私の気持ちなど露知らず、キョトンとしながら我が相棒はこちらに手を伸ばす。
そ、そうよね。相棒がこんな呑気な反応を見せてるんだから危険なんて何もない。そう言い聞かせて私も恐る恐る手を伸ばし……。
その直後、私は声にならない悲鳴を上げていた。巨大な黒い腕が鳥居の奥から伸びてきて私の相棒に掴みかからんとしていたのだ。
「……っ!」
私は確かに「後ろっ!」と叫んだ筈であったが、声が出ていない。そのまま相棒は背後の異変に気が付かずに黒い腕に捕まると、奥へ奥へと引きずり込まれていく。
「……っ!!」
相棒の名前を必死に叫び、黒い腕を追いかけるべく私も鳥居をくぐった。鳥居の奥にはいくつもの鳥居があり、くぐるたびに意識が朦朧とする気がする。うぅ、普段の運動不足が祟ったんだわ。だけど追いかけなくては。
少しずつ距離を詰めていく。よし、もう少し頑張れば追いつける。だが、突然地面が大きく揺れると私は足を取られ転んでしまう。ぐっ、膝を擦りむいてしまった。そんな私を尻目に悠々と立ち去っていく黒い腕。
揺れはいつまでも収まらず、なかなか起き上がれない。みるみる小さくなっていく相棒の名前を何度も叫ぶ。ここで見失ったらきっともう会えないんじゃないかと怖くなって。
「……っ! ……っ!!」
だというのにやっぱり声が出ない。それでも何とか叫ぼうと何度も試みる。ああ、もうあんなに遠く小さくなって……。やだっ、こんなお別れなんて、絶対に……!
「メリーっ!!」
ようやく口を突いて出た我が相棒の名前。それと同時に私はようやく体を起き上がらせることが出来た。だが、周囲はいままでの鳥居の立ち並ぶ不気味な参道ではなく、仄暗い和室であった。今のは夢……?
私は布団で寝かせられていたのだろう。悪夢を見ていたせいか、酷く汗をかいており、そしてその後で、自分が下着以外は何も身に纏っていないことに気が付く。
何が何だかわからないが、裸でいるのはマズイ。私は掛け布団を手に立ち上がると周囲の様子を見て回る。薄暗い部屋の中はわずかに薬品の匂いがする気がする。ここは診療所なのだろうか?
床をよく見ると服らしきものが散乱している。何着かあったようだが、中にはズタズタに引き裂かれており服として使えないようなものも目立つ。女物で、自分のサイズに合い、なおかつ状態のいいものをひとまず拝借しよう。
サイズの合った白いブラウスに黒のロングスカートを身にまとう。肌寒いので黒いケープも貰っておこう。そうやって服を着ていくとアクセサリ類も結構残されているのが分かる。赤く細いネクタイと、白いリボンの巻かれた黒い帽子、どういうわけかこの二つに強く惹かれた私はササっとそれを装着。思わず鏡の前でクルクルと回ってしまった。
……と、こうしている場合ではない。あんな夢を見てしまった後なのだ。相棒、メリーにすぐに会いたい。私はこの薄暗い部屋を出ようとふすまに手をかけた。
だが、その直後に今度は地面ではなく周囲の空気が激しく震えた。ドカーンという爆音も響く。私は思わず帽子を押さえその場に這いつくばった。揺れが収まるとパニックになりながらも私はひとまず部屋を出て長い廊下を駆け抜け、そして出口を見つけ外へ飛び出した。
「なんなのよコイツ!?」
建物から出ると巨大な空飛ぶタコと鉢合わせしてしまったのだ。8本の脚から火炎を放射しており、とても友好的だとは思えない。反射的に私はがむしゃらに逃げ惑った。しかしこの選択を私は後で大きく悔いることになるのだ。
周囲は見渡す限りの竹林になっており、しかも真夜中。満足に星さえ見えないほどに竹は覆い茂っており、まともな明かりがないのだ。こんな真っ暗な状態なので私はすぐに方向感覚がマヒしてしまったのだ。つまり迷子。それでもなんとかタコから逃げようと竹林を突き進むと開けた場所に私は出てきていた。やった、出口……じゃない。
その周囲だけは竹も生えておらず、代わりに妙にツヤツヤした黄金のピラミッドがデンと構えていただけであった。んもぅっ、ぬか喜びさせて!
私はピラミッドを無視してさらに前へと進む。後ろからはタコが空中を泳ぐように私を追いかけまわしている。
今度こそ開けた場所にたどり着いた。だが、そこにもピラミッドがあるだけで出口ではない。再び私は竹林へと足を踏み入れる。走り続けて息も切れかかった頃、また開けた場所に出てくる。足がもつれ倒れ込むように竹林から脱出する。やった、今度こそ……
「そんなっ!」
だが、ここもピラミッドの広間。相も変わらずふてぶてしいまでにデンと構えている。いや、これはまさか……。私、同じ場所を堂々巡りしているんじゃ?
しかしジッとするわけにもいかない。タコが追いかけてくる。逃げ惑う私はついに足を取られ転倒してしまった。うぅ、もう起き上がれない……。
ついにタコの怪物に追いつかれてしまった。もうだめだ……。ポロポロと涙がこぼれる。
「誰か、誰でもいいから助けてよぉ……!」
心の底からの叫びはあまりに弱弱しかった。こんな辺鄙な竹林に助けなんて来るはずない。私は半ばそう諦めていたのだ。
だが、希望は潰えていなかった。突如タコの身体を貫いたのは弾丸。あの遠くでボンヤリと見える空飛ぶ影は戦闘機のもの。戦闘機はあっというまにタコの怪物の目の前に躍り出ると、今度は太いレーザー砲をお見舞いする。ユデダコのように真っ赤になったタコの怪物はそのまま爆散していった。
「たすかった……」
常識を逸脱する出来事の連続で私はペタリとその場に座り込んでしまった。タコから私を守ってくれた戦闘機はそのまま周囲の竹林を焼き払い、道を示したのちに、漆黒の空へと飛んで行ってしまった。
「そうだ、メリーを探さないと。こんな大変なことになっているんだもの。一人ぼっちじゃ心細い筈」
よいしょと重い体を持ち上げて、竹林から出ると当てもなく彷徨う。夜明けが近いのか、わずかに周囲が明るくなった気がした。
(同じ頃、命蓮寺では……)
宝塔型通信機によって伝えられた白蓮からのSOS。既に命蓮寺にもシーマの魔の手が伸びているに違いない。衣玖さんと別れた俺は急ぎ命蓮寺へと駆けつける。
「アズマさんっ、突然空から多数の空飛ぶ魚がやって来て……。奴らは一体何者なんですかっ!?」
よかった、命蓮寺が崩壊する前にたどり着けたぞ。白蓮は突如襲い掛かる魚群からムラサや星を守るように両手を広げている。誰かが戦っているのか?
見上げるとイトヒキイワシ型戦艦、いや、サンキャクイワシ型戦艦だっただろうか? とにかくシーマ艦の中でも一際地上戦に特化した「トライポッドサーディン」が雲山と組み合っていたのだ。
「奴らは『死を司る者』、またの名を『シーマ』。月の都を陥落させた金属生命体だ! 次はここ幻想郷を滅ぼそうとしている。圧倒的な物量で……!」
大きなヒレをまるで腕のように振り上げてズシンズシンと命蓮寺に向かって歩みを進めるトライポッドサーディン。一輪が制御する雲山をもってして、その進撃を阻止しているといったところだ。
「デカいけれど、随分とノロマね。雲山、顔面に思いっきりパンチをぶち込んでやろう!」
確かに顔面をまったくガードしていないシーマ艦。格闘戦には慣れていないのだろう。入道の左フックが綺麗に入り、トライポッドサーディンは大きくよろめく。それを見逃さなかった一輪は雲山を反対側に向かわせ、ラッシュをかけ始めた。
「オラオラオラオラァ!」
その後も無防備な顔面に拳が次々とぶち込まれていく。大きくのけ反り、転倒したトライポッドサーディンであったが、俺はその顔の下に無数に配置されているオールレンジ砲が光っているのを見逃さなかった。
「一輪っ、反撃してくるぞ。守りを固めろ!」
すぐさま遠方からフォトントーピードを撃ち込む。ワイヤーで繋がれていたオールレンジ砲が崩れ落ちていった。しかし残された砲台が一輪に狙いを定めレーザーを放ってくる。
「ぐうっ!」
完全に回避することは出来ずにレーザーにカスってしまう。腕から軽く出血しながら、一輪は不時着しつつ膝をついた。これに気をよくしたトライポッドサーディンは再びズシンズシンと詰め寄り追撃を試みる。だが、一輪は俯きながらもニヤリと口元から笑みをこぼしていた。
「悪いけどさ、私って昔からデカい奴には滅法強いのよね。サンキャクイワシ、見越したぞ! 今よっ、雲山!」
頭巾から口元だけ覗かせて不敵に笑っていた一輪は再び標的をギンとにらみつける。
いつの間にか一輪のすぐ傍で体を縮めていた雲山が一気にトライポッドサーディンの真下から飛び出してくる。奴の顎に思い切りアッパーカットを叩き込んだ形だ。
「下から見て分かったわ。あんた、ヘルメットのようなものを被っているわね。わざわざ装甲で守っている場所だもの、そこに弱点があるのは丸分かり。あとはそいつを吹っ飛ばしてから……オラオラオラオラオラオラオラァッ!」
雲山の拳がトライポッドサーディンの頭部を守っていた装甲が大きく吹き飛ばすと、一輪は間髪入れずに思い切り輪っかを手にした拳を突き出す。それに呼応するように雲山の拳が四方八方から飛んでいきサンキャクイワシ型戦艦の頭をタコ殴りにする。これに大きく怯んだのか、トライポッドサーディンは大きく後ろへ後退した。
「さあどうした、怖気づいたか? ならば今度はこっちから近づいてやる」
違う、奴は決して恐れをなしたわけではない。頭部の装甲の向こう側には巨大な砲門が光っていたのだ。そこへ赤い光が収束し始める。
「『βビーム』が来るっ! 後は俺に任せろっ!」
シーマ艦が用いる最大最強のビーム攻撃。それが「βビーム」だ。恐らくはその艦が発揮しうるエネルギーを全て照射する恐ろしい兵器だ。最大級のものになると惑星一つを吹き飛ばしかねない。だが、俺はそれに対抗しうる兵器を持っている。
「
雲山の前に躍り出ると、俺はオプションから魔力という魔力をかき集め、直接青白いビームとして撃ち出す。これに打ち勝てば奴の放ったエネルギー分も含めた大火力で奴を焼き払う事が出来る。
しかし戦況は芳しくない。押されつつある。銀翼1機とシーマの巨大戦艦では保有する力が段違いという事なのだろう。ゲームの中のシルバーホークみたいにはいかない。しかし、ここは幻想郷。ならば幻想郷で会得した能力で対抗するまでだ。
「魔操術『魔界神の大翼』!」
オプションをアールバイパーの上下を後ろから囲むようなフォーメーションを取らせると、それぞれから神綺さんの持つ翼を展開。ここにエネルギーを受けると、自分の魔力として行使できるようになるが、その魔力の行き先は他でもない自分自身。溜め込み過ぎると己に身を破滅させてしまう。
「ぐぅおおおおっ!!」
より強大になったαビームを撃ち続ける。これだけでも負担が大きいというのに、トライポッドサーディンのβビームの勢いは衰えない。いや、そもそも奴はこちらのαビームを受けていないぞ。どういうことだ!?
「あれは何でしょう? 何やら両手から巨大なボール状のものが……」
白蓮が何かに気付き、指差す先には確かに光るボール状のものがあった。しまった、トライポッドサーディンのスパークボールだ。高エネルギーを凝縮したものらしく、αビームのような高火力のビームすら押しのけてしまう。奴はそれを思い切り投げつけてきたのだ。その速度はあまり速くないとはいえ、ひっきりなしにボールを展開して投げつけてくるのだから、これでは攻めることが出来ない。
「ぐっ、ゼエゼエ……」
この神綺さんの羽を展開するのは俺の体に膨大な負荷がかかる。長時間は不可能だ。羽によって外部から得る魔力がなければ奴にパワーで勝つことはできない。ちくしょう、打つ手なしなのかよ。
こちら目がけて投げつけられる青白い光を放つ巨大ボール。動きが鈍ったところを狙ってこちらに飛ばしてきたのだ。絶体絶命の最中、俺の前に躍り出たのは……。
「南無三っ!」
我らが住職サマだ。彼女が両手を広げ、スパークボールを受け止める体勢に入る。既に身体強化の魔法は施してあるようで、あちこちで魔人経巻の模様が浮かび上がっていた。周囲の地面に激しい衝撃走る。白蓮にボールが着弾したのだ。
ズザザザと砂埃を上げながら、スパークボールを受け止めた白蓮が後ろに弾き飛ばされる。それでも負けじと踏みとどまろうと更に呪文を詠唱していた。
「白蓮っ、狙われている!」
再びβビームの照射準備に入るサンキャクイワシ型戦艦。もはや俺にはαビームを撃ち込む魔力は残されていない。だが、魔力がなくたって白蓮を助けることはできる!
「逆回転リフレックスリング!」
無謀かもしれない。俺はトライポッドサーディンをリフレックスリングで掴もうとしたのだ。いや、厳密には持ち上がらなくてもいい。ほんの少しその砲台の向きをズラすことさえできれば……。
「陰陽『アンカーシュート』!」
今出せる最大の力をもってして俺は奴を引っ張った。ビクともしないと思っていたが、その砲身がわずかにブレた。焦ったトライポッドサーディンはβビームの照射を止める。その時間はわずかなものであったが、しかし白蓮にとっては十分過ぎた。
「いざっ……」
スパークボールを両手に持ち上げた白蓮が思い切り跳躍する。このままトライポッドサーディンに叩きつけるつもりだろう。巻き込まれないように、俺は錐もみ回転しつつ急速離脱。
「南無三っ!!」
背後で光が爆ぜた。トライポッドサーディンの内部から光が一筋漏れ出たかと思うとその本数を次々と増やしていき、そして最後には爆発四散した。
「勝った……。シーマは倒せる。全力を挙げて挑めばシーマは倒せるんだ!」
わずかに幻想郷に降り注いだ希望の光。天界も守矢神社も皆で力を合わせればシーマの脅威を退けることは十分に可能だろう。
だが、その淡い希望はすぐさま打ち砕かれることになるのだ。突然光り始める宝塔型通信機。その通信の相手は……。
「シーマを天界に侵入させてしまいました! 私とダークヘリオスだけでは防ぎきれずに……。アズマさんっ、援護を!」
衣玖さんだけではない。更に早苗さんと神奈子さんのホログラムまで現れたのだ。
「ですから『アブソリュートディフェンダー』がバリアを張っている間は攻撃が効かないんです。まずはバリアを展開しているジェネレーターを破壊してから……」
「分かってるよ! 狙ってるんだけどなかなか当たらなくて……うわぁっ!」
「きゃああっ! このままでは守矢神社も陥落……。アズマさんっ、助けてっ!」
なんということだ、シーマは本当に幻想郷各地を侵略しているというのか。命蓮寺を襲うシーマは退けた。しかしこの満身創痍の中、他の場所でシーマと戦っても良い結果が得られないのは確実。さらに悪いことに……。
「トライポッドサーディン!? そんなっ、倒したはずでは……!」
「まさか……ゾンビ!?」
命蓮寺にサンキャクイワシ型戦艦が再び現れたのだ。倒した筈だというのに……と思っていたがよく見ると機体の色が違う。だがこれはある意味一輪の考えていたゾンビ説よりも恐ろしい結果に帰結することになる。
今のペースでいくらシーマ艦を倒しても、次のシーマ艦を投入できてしまうという事である。幻想郷にはあまりにも足りなかったのだ、幻想郷全土を守り抜く戦力が、そして
もしかしたら戦力は足りていたのかもしれないが、それにしたって戦い方を心得ていなければ簡単にはシーマ艦は倒せない。俺と同じくらいシーマに詳しい筈の早苗さんが付いていながらも、神奈子さんは上手く戦えていなかったのだ。
加えて霊夢や紫が行方不明なのも響いているだろう。それぞれが人間側のそして妖怪側の要。その二人がいないとあっては士気に大きく影響を及ぼすことは明白なのだ。
「ゾンビだろうが何だろうがどっちでもいいわよ! 奴はまた命蓮寺を破壊するつもりね? 他の場所も気になるけど、まず自分が助からないことには助太刀も無理。さあ、とっととぶち壊すわよ! さっきのボールを投げ返すのは雲山にも出来そうね」
さっそくスパークボールを展開するトライポッドサーディンに一輪は勇ましく挑みかかる。
「雲山、投げ返してやりましょう!」
そして入道の巨大な手がボールを握ると、そのまま投げ返した。トライポッドサーディンは大きく怯み後退したが、なおもズシンズシンとこちらに向かってくる。
「っ!? いけないっ!」
一輪が優勢のまま戦闘が続くと思われていたが、何を思ったのか、白蓮が急にトライポッドサーディンの足元へと走り始めたのだ。
「ひっ、聖様?」
「子供が巻き込まれるわ! 安全な場所に避難させないと!」
よく見ると地響きで足を取られた少女が転んでいた。白蓮は黒い帽子を被った少女を庇う為に飛び出していったんだ。恐らくあの子は戦火に晒され、逃げ惑っているうちにここまで迷い込んでしまったのだろう。そういう理由なら俺達に白蓮を止めることはできない。きっと最初に気が付いたのが俺だったらやっぱり同じ行動を取っていただろうからな。
だがどうすればいい? あのままでは白蓮とてタダでは済まないが、アールバイパーももはや満身創痍、とても動けそうにない。くそっ、このまま指をくわえて見ている他ないのかっ!?
雲山と対峙するトライポッドサーディン。そしてその両者に間に迷い込んだ少女と白蓮。その光景をただただ見ているしかなかった俺……。
そんな中、奇妙なことが起きた。
「なんでしょう? 赤い鳥が近づいてきます!」
鳥だって? 俺は星が指さす方向を振り向く。そこにはなるほど、確かに赤い飛行物体が凄まじい速度でこちらに迫ってくるではないか。いや、あれは鳥なんかではない。戦闘機だ。真っ赤な戦闘機がこちらに向かっているのだ。
謎の赤い戦闘機はトライポッドサーディンの目の前に躍り出たかと思うと、周囲を明るい紅色の光が包み込み、そのままレーザーを放った。
「あの本体をオーラのように纏いながら撃ち出すレーザー。どこかで見たことがあるような……?」
予期せぬ反撃に驚いたサンキャクイワシ型戦艦は赤い戦闘機に注意を向ける。白蓮や一輪はひとまず難を逃れることが出来たようだ。そのまま巨大な銃口を向けた奴はβビームを撃ち込む。だが、俺は確信していた。トライポッドサーディンはこの後敗北する。あの戦闘機の正体が俺の考えていた通りの存在であったのならば。
果たして赤い戦闘機は予想通りの行動に出た。そのレーザーの色が突然黒色に変色する。その禍々しい光線がβビームを逆に押し返してしまったのだ。俺も今ので確信した。奴はシルバーホークなんかではない。
とんでもない奴が現れた。あんな芸当をこなす戦闘機なんて奴しかいない。奴は、奴らは……!
※こちらは東方銀翼伝の原作にあたる作品に対して「エンダー・ヴァリー」氏が投稿した非公式の次回予告となります(それに対して筆者がビッグコアとして返答をしているという形式です)。
本人からの許可をいただいたので、この場をお借りして(一部修正して)掲載しております。
次回予告(偽)
蓮子「メリー、大変よ!私達が東方銀翼伝∀CEに出演したの!」
メリー「本当なの蓮子!?キャラ紹介にはいないし、名前を話しかけても出るのは紫さんと霊夢さんなのよ?」
蓮子「秘封倶楽部とも話しかけても対応してくれるのは白蓮さんだものね(気になったら話しかけてみてね)、出演は絶望的だと思ったけど何とかなったようね」
メリー「蓮子、菫子さんとの関係どうするの?」
蓮子「何とかしてくれるんじゃないかな?(震え声)というかメリーも紫さんとの関係どうするのよ」
メリー「別人扱いになるわよきっと(震え声)じ、次回『東方銀翼伝∀CE 第8話』!」
蓮子「突然現れたのは敵か味方か!?乞うご期待!」
ビッグコア「メリーはあくまで夢の中に登場しただけですがね。それも悪夢で。どうして秘封倶楽部が幻想郷に来てしまったのか? 少女を助けた赤い戦闘機は何者なのか? そして幻想郷全域を襲うシーマに対抗しうる術はないのかっ……」