S.S.エピローグ ~ある少女の愚痴~
アイツの言葉はどこまでいっても到底納得できるものではなかった。そりゃ私だって何度も抗議した。だが、アイツはとうとう首を縦に振ることはなかったのだ。
私はここ博麗神社でその「アイツ」と共に夜空を見上げ、そして大きくため息をついた。
「……つまんない」
夜空を見上げると見える筈の満月はなく緑色の巨大な円盤。あからさまに大きな異変だというのに、私はアイツに「今は静観しろ」と言われてしまっているのだ。
「霊夢、これは外の世界の関係する異変なの。『外』の不始末は『外』が対処する。外界の『彼』がものすごい気合を入れて出撃したから様子見しましょ? 分かったわね?」
あのデカブツを見つけて早速出かける支度をしていた矢先、アイツが急に空間に穴を開けて出てきた。こんな現れ方をするヤツは他にいない。アイツ……八雲紫だ。
最初は紫自らも動くほどの大事件だと胸を躍らせていたのに、告げられたのは留守番命令だというのだからたまったものではない。
その紫の口ぶりからすると魔理沙も同じく出ていないのだろう。外来人が解決しに行ったというが、まさかあの銀色のノッペリとした変な鳥の妖怪でもけしかけているのかしら? えっとアレに乗ってる男の名前……確かアズマとかだったっけ?
「あいつ滅茶苦茶弱かったじゃない。私が出たほうが早く解決できるんじゃないの?」
「銀翼『アールバイパー』をあまり甘く見ない方がいいわよ? それに、今回関わっているらしい外の世界の技術も……」
確かにあの鳥の妖怪は紫と決闘をして土壇場で勝利したというが、あの時の紫は明らかに手を抜いてたとしか思えない。何せこの私が一瞬でアイツを倒してしまったのだから。
言う事を全部言ってしまうと、紫は勝手に上がり込んでお茶を淹れ始めた。やれやれ、ここはアンタの家じゃないっての……。
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霊夢、これはそんな単純な異変ではないのよ。鍵を握るのは希望の銀翼……!
そう、今の幻想郷にとって銀翼は希望なの。今はまだ小さく、弱弱しい光だけど、きっと大きく成長して、いずれこの幻想郷に迫る未曽有の異変から救ってくれる。
幻想郷に住まうことを本気で覚悟し、なおかつ外界の力を持つ轟アズマ、そして銀翼アールバイパー……。
どうか私をガッカリさせないようにね。
東方銀翼伝 ep2 Second Synchronizer END
しかし、轟アズマの幻想郷ライフはまだまだ続く……!