やはり僕の部活動はまちがっている……と思う。 作:二次元ラブ100%
話し合いの翌日。肝試しをすることになった僕たちは、比企谷くんが提案した案に乗り、鶴見 留美ちゃんの周囲の人間関係をぶち壊す作戦をしていた。
「なあ、この作戦我にも被害が及ばぬか?大丈夫だよな八幡?」
「安心しろ材木座。問題は問題にしない限り問題になならない。それに、被害を被るのはあいつらがやってくれるしな」
どうも。その被害を被るやつです。
僕も三浦さんたちと一緒にやることになった。こういう武力で物を言わせるなんてやったことないししたくないけど、仕方ない。小学生が僕の評価をどうしようと、関係ないことだ。
「まじやべえわー。俺、うまく演技できっかなー」
と言いながらシャドーボクシングをし始める戸部くん。
三浦さんは興味なさそうに携帯をいじくり回しているし、葉山くんは木にもたれかかっていた。
「来たよ」
小学生が来た。
小学生もこちらに気づいたのか、指をさして笑ってくる。
「おにーさんたち超普通のカッコしてるー!」
「ださー!」
「この肝試し全然こわくなーい!」
「高校生なのに頭悪ーい!」
指をさし、笑ってくる。
戸部くんがそんな小学生に近づき、攻撃的な低い声で吠えた。
「あ?なにタメ口聞いてんだよ高校生にさ」
「あんたらチョーシ乗ってるんじゃないの?別にあーしあんたらの友だちじゃないんだけど」
だいたいはこの人たちがやってくれると思うんだけど、僕もやらないわけにはいかない。
「君たち。歳上を舐めきってそんなに楽しい?」
低くも威圧感ある声で言い放ってやった。てか怖くないと思うんだけど。
「つーかさー、さっきあーしらのこと超バカにしてたやついるよね?」
「あーいたわー」
「それを言ったのは、誰かな?ん?」
煽るのは少し得意だったりする。なんか得意になった。
「ごめん……なさい」
「あーし、謝ればいいって思ってるやつ一番嫌いなんだよね」
「舐めてんのか?あ?」
戸部くんが睨みつける。小学生はあとずさって、踵を返した。
だが甘いよ。逃げ道は僕が塞いでおいたから。
「綾瀬ー、戸部ー。やっちゃえやっちゃえ。ここで礼儀を教えとくのとあーしらの仕事の一環つうか?」
戸部くんは、パンチの素振りをしていた。僕は小学生の前に立ち塞がる。
そして、シャドーボクシングを終えた戸部くんが拳を鳴らした。
「葉山さーん。こいつらやっちゃっていいすか?ボコっていいすか?」
と、葉山くんが物陰からでてくる。打ち合わせ通りだ。
小学生も、レクで一番優しかった葉山くんが現れてホッとしたのか、一筋の希望を見たのか少し表情が緩んでいた。
だが、その表情は一気に絶望に変わった。
「こうしよう。半分は見逃してやる。あとの半分はここに残れ。誰が残るかは相談してくれて構わない」
そう言われて、小学生は一気に黙った。互いに目を見合わせ、どうするかを視線で相談していた。
「…………すいませんでした」
また、謝った。
「謝って、と言ったわけじゃない。半分のこれといったんだ。…………早く選べよ」
「聞こえてる?ねえ。聞こえてる上で無視してるのかな?」
「誰が残んだよ。お前か?おい」
「隼人ー、あと10秒以内に誰も出なかったら全員に礼儀を教えちゃわなーい?」
「それいい優美子ー!それグッドアイデアでしょー!」
「だそうだ。あと10秒で一人決めろ」
そう言われた瞬間、小学生の視線が一人に集まる。
「鶴見、あんた残りなさいよ」
「…………そうだよ」
「…………」
鶴見ちゃんは無言でこちらへ来た。
「一人だけようやく決まったね。あと、もう、二人」
「さあ。早く決めろ」
「…………由香がさっきあんなこと言わなければ」
「由香のせいじゃん」
「そうだよね……」
極限状態に陥ると、こうも人を陥れる。やはり小学生でも出るらしい。腐っても人間だ。僕らも、小学生も。なんら大差のない。
由香って子も、残りたくないらしく、仲良しこよししていたグループに反論をする。
「仁美が最初言ったんだよ!私言ってない!」
「あたし何も言ってない!何も悪くない!森ちゃんの態度が悪かったの!森ちゃんいつもそう、先生とかにもそうだったし」
今でも取っ組み合いに発展してもおかしくないくらいに険悪だ。対峙している僕ですら少し息を飲むほどの雰囲気。
その中から弱々しい声で提案がでる。
「もうやめようよ。みんなで謝ろうよ……」
恐怖のあまり泣き始めた女子小学生は、憎悪も何もなかった。同情くらいで気を引けるくらいにないていたが、三浦さんはそれをよしとしなかった。
「あーし泣けばいいって思ってる女がいちばんいやなんだよね。隼人、どうする?まだあんなこと言ってっけど」
「…………早く選べ」
葉山くんは感情を押し殺して機械のように言う。
「もうこれ全員ボコった方が早いんじゃね?」
「…………30秒だけ待ってやる」
そして、またカウントダウンが始まった。
「お、大声で助けを……」
「先生呼んだらどうなんかわかってんだろうな?顔は覚えたかんな」
意見も封じられた。助けを呼べないでいる彼女たち。
「残り20秒」
時だけが残酷に過ぎていく。
「…………やっぱり由香だよ」
「由香残んなよ」
「な、なんで私が!」
「しょうがないんだよ。由香」
「ごめん……」
そして、由香と名乗る子が前に突き出された。
「あと一人だよ。誰が残る?」
「あと10秒」
9、8とカウントダウンがもうそろそろで終わる。このまま終われば比企谷くんがドッキリでしたーって感じにでてくるんだけど、予想外の事態が起こった。
「あ、あの!」
鶴見ちゃんがおずおずと手を挙げ、そちらに視線を向けた瞬間、明るい光が僕たちの目を遮った。
「走れる?こっち、来て」