やはり僕の部活動はまちがっている……と思う。 作:二次元ラブ100%
僕が目をさますと、真っ白い天井が見えた。
ただ真っ白く、なにも色づいていない天井。それを一目で病院だと理解する。
たしか僕は車に轢かれて……そのあと搬送されてきたのか?
だとすると、生きてたんだな。僕は。
「よかった……」
生きていることにホッと安堵の息をもらす。
よかったあ……。また昔みたいに生きることから逃げ出さなくて。僕は昔みたいなことはしないと決めたんだ。
「昔って僕相当不安定だったなあ」
今思い出してもゾッとするほどだ。
家庭内暴力というか、母さんに冷たくしすぎていたりとか、1人を精神的に追い込んで学校から追放したりとか、人に八つ当たりしてばかりいて、最終的には自殺しようとしたんだっけ……。
風呂場で手首を斬って死のうとしたんだっけ。
まあ、今は生きることに希望を見出したから死にたくはないし、反省もしているからな。母さんにはほんと悪いことをしたと思う。
孝行しないとな。ちゃんと。
「あら、目覚めていたのね」
「やっはろー!みおりん!」
「み、みおりん?」
みおりんって僕のことか……。
っていうか来たんだね。三人とも。
学校はいいのか?
「よう。綾瀬」
「よっ。比企谷くん。んで、何の用?」
「あなたが車に轢かれたと聞いてかけつけたのよ。由比ヶ浜さんが行きたいってどうしても言うから来たのだけれど迷惑だったかしら?」
「んにゃ。全然」
「まあ、目が覚めたんなら何よりだ。ほれ、お見舞い」
「あ、ありがとー。って、マッカン?」
「おう。うめえだろ」
「たしかにこれ美味しいよね。めっちゃくちゃ甘ったるくて美味しいんだ。昔よく飲んでた」
「良さがわかるか。これの」
わかるよ比企谷くん。マッカンこそ至高だよね。甘党の僕にとっては至高の飲料だよ。
体がMAXコーヒーで出来てるレベルだからね、僕。
「私からもお見舞いよ。剥いてあげるわ」
「おーフルーツ。メロンとか超美味そう」
「あたしも剥きたい!」
「…………由比ヶ浜さんは絶対手をつけないでね?絶対によ?」
「言い方がひどい!?」
「まあ、妥当な措置だろうな」
「そ、そんなにあたし信用ない!?」
料理下手なのか。由比ヶ浜さんは。まあ、そういう顔してるもんな。ヤリマンビッチ臭がプンプンするけど言ったら怒られそうだから片隅に閉まっておこう。
「由比ヶ浜さん。大丈夫よ。あなたよりも信用出来ない人ほど山ほどいるわ。例えばその隣の男の人とか」
「おい。チラッと俺を見ていうな。傷ついちゃうだろうが」
「ひ、ヒッキーは信用あるよ?クズだけどやるときはやるし……。責任感は一丁前だよ!」
「そのフォローやめろ。悲しくなるだろうが」
「あははっ!仲良いね」
この三人は仲が良いな。
「そうかしら。リンゴ剥けたわ」
「あ、ありがと」
リンゴを一つもらう。
なにこれっ!超美味い!え、これリンゴ?え、リンゴってこんな甘かったっけ?なにこれ超美味い。
そして何よりうさぎさん。可愛いな。
「うおー、美味しそうに食ってんな」
「あ、あたしも一つ……」
「駄目よ。これは綾瀬さんの分なのだから」
「えー、み、みおりんダメ?」
「ほんはひあわへひほひへほふへんふふほはほっはいはい。いいほ(こんな幸せ一人で独占するのはもったいない。いいぞ)」
口に頬張りすぎてなんで喋ってるかわからない。
「いいとさ」
「ヒッキーわかったの!?」
「当たりまえだろ。伊達にぼっちやってねえよ。今の明らかに勧めてただろうが」
よく見てんなー。
「そ、そらじゃあ遠慮なく……うまっ!ゆきのんこれどこのリンゴ!?」
「青森県産直送のリンゴだけれど……それほど甘いかしら?」
「おー甘いな」
ゆきのんって何者……。
青森県産のやつでこの甘さ?なら他の県絶対勝てないじゃん。なに?青森県は甘いの?甘やかしてるの?リンゴを。なにそれ。僕もリンゴになりたい。
「ってもうなくなっちゃった」
気がつくと食べきっていた。
まあ雪ノ下さんもそんなに多くは剥いてなかったしこんなもんか。
「美味しかったねー。リンゴ」
「そうだな」
「また希望があるなら持ってくるわ。家にたくさんあるのよ」
「本当!?じゃあ明日!」
「わかったわ」
いいなーリンゴそんなにもらえて。
うちの母さんはなんも貰ってこないぞ。父さんも然りだ。
まあ近所とはあまり関係をもってないし友人も少ないからねえ。当然といえば当然なんだが。
「それで由比ヶ浜はお見舞いないのか?」
「ふぇ?お見舞い……?あっ!」
「あってなんだよ。まさか家に忘れてきたとかそんなオチじゃねえだろうな」
「い、いや……そのまさか……です」
何故に敬語。
まあ期待はしてなかったし、そんなに落ち込んでもいないさ。
「ったく。ちゃんと確認しなさいって母ちゃんいつも言ってるでしょ」
「いつからあたしのお母さんになったし!?」
「そうね。性別が違うものね」
「性別しか否定しないんだ!?」
夫婦漫才かよ。
と、コンコンとノックする音が聞こえた。
「美織、大丈夫?」
そこにいたのは僕の親友戸塚でした。
「彩加ー。お見舞いに来てくれたの?」
「うん。って八幡?」
「戸塚!?戸塚がなぜここに!?」
「なぜって、美織のお見舞いに来たからだけど八幡たちは?」
「き、奇遇だな。俺もお見舞いだ」
おい。彩加男だぞ。顔染めんな顔を。
「雪ノ下さんたちもこんにちは」
「やっはろーさいちゃん!」
「こんにちは。戸塚くん」
…………あれ?なんか違和感感じるような。
「雪ノ下さん。ちょっと僕と彩加を呼んでみて?」
「…………なぜかしら」
「いや、確認のために」
「わ、わかったわ。こほん。綾瀬
「おーけー。わかった」
「なにを確認してるの?」
「わからん」
違和感の正体。それはくんとさんだ。
雪ノ下さんは男の子にはくん、女の子にはさんをつけるとみた。
で、彩加はくんをつけて僕にはくんをつけてないとなると……。おい。僕女の子に見られてるじゃねえか。
「えーっと、雪ノ下さん。僕、男の子に見える?女の子に見える?」
「まごうことなき女の子に見えるわ。それがどうかしたのかしら?」
「うん。やっぱりか」
「何がやっぱりなの?」
由比ヶ浜さん。わかってないの?
彩加に至ってはあははと苦笑いを浮かべてるし、比企谷くんは少し驚いているような顔をしている。
まあ、驚くだろうな。
「雪ノ下。言っちゃなんだが綾瀬は男の子だぞ」
「…………冗談は顔だけにしなさい。綾瀬さん。気分を害したのなら謝るわ」
「いや、比企谷くんが言う通り僕男の子だけど」
「…………そうなの?」
さすがの雪ノ下さんも驚いたようだ。まあ仕方ないか。
「改めて自己紹介するけど、綾瀬 美織。男の子だよ」
「美織ってよく女の子に間違えられるよね」
「…………それは君が言えたことじゃないけどね」
「え?僕はちゃんと男の子だよ?」
「聞いた僕がバカだった」
こいつは男の娘ということを自覚してないな……。そういう気持ちが比企谷くんを危ないルートに誘うんですよ。だから今後一切自覚を持ってくださいね。
というか彩加。いい香りするね。