艦娘達の休日   作:かのそん

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1とか書いてありますが、続くかは全くの未定

そして久しぶりにお絵描きの練習をしたくなってちょっと短めの本文に絵を何枚もぺたぺた
山城の本気絵を描こうとして撃沈、あとは軒並み満足な出来です


時雨のお散歩 1

「うぅ、ん」

 駆逐艦寮、白露型の部屋1

 カーテンで仕切られた窓と、その隙間からの日差しで目が覚める。そのままぼんやりとまどろんでいると、ただでさえ夏になり暑くなって来たと言うのに、暑さを加速させる存在が僕にくっついているのに気付く。

 

 白露型4番艦 夕立だ。

 視線を巡らせると彼女が僕と同じベットに横になっているのがわかる。

 部屋に4つ据えられている自分の場所ではなく、何故僕のベットに寝ているのだろう?

 

 再び顔を巡らせて部屋の時計を見やる。

 時間を確認してみると、総員起こしが響き渡る20分前だった。

 少しどころじゃなく暑い。けど、あと少しくらいなら・・・。と隣に眠る幼い顔立ちの夕立をそのままにして、目を閉じる。

 

 村雨はもう動き出しているみたいだけど、皆が起きて動き出すまでの僅かな時間を使って、どんな風に1日を過ごすか。僕は完全に覚醒してない頭の中で整理し始めるのだった。

 

 

 今日は1日お休みだ、なにしようかなぁ

 

 

 

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 ◇

 

「おっはよー。1番に起きたいんだけど、村雨は相変わらず早いねー」

「おはようっぽぃ~!!」

「おはよう、姉さん」

 やがて皆が起きる時間になった。同じ部屋のメンバーである白露、夕立が慌ただしく動き始める。

 既に髪の毛も結っており準備を完璧に終わらせている村雨と、休日の僕は急ぐ理由もないので、一緒に2人の準備を手伝う。

 白露の着替えを僕が取り出し手伝う。さっさと着替えやらの準備を済ませた夕立の髪の毛を、村雨がブラシでセットしている。

 

 

「ぽひぃ~・・・。」

 実に気持ち良さそうである。いや、実際に気持ちよいのだろう。緩みきった声色の欠伸と溜息が混じった物が漏れている。心なしか跳ねた髪の毛もピクピク動いて見える。

 村雨の髪の毛の扱いはとても丁寧で上手だ。僕もたまにやってもらうが本当に気持ちが良いし、実に綺麗に編み込んでくれて、きちっとセットしてくれる。

 

 

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 慌ただしくもどこかほんわかとした朝の時間を過ごし、僕以外の3人が朝礼と食事の為に部屋から出ていく。

 別に時間をずらす必要は無いのだが、僕は休みの時は仕事がある他の娘達の邪魔にならないように2、30分程遅めに食堂に行くようにしている。

 

 

「今日はなにしようかな。」

 鏡を見ながら髪の毛を編みつつ、誰かと話してるでもなく、なんとなく声に出してみる。この前は提督に無理を言って西村艦隊の皆がごっそりと抜ける休みを貰えたが、今日は。と、言うか平時はこのようなこと滅多にない。

 

 

 誰かが休めば、他の誰かがその分動く。

 ここは最前線に程近い鎮守府だ。出撃で前線に行く事もあれば、補給部隊として他の前線基地に後方支援に出向くこともあるし、前線基地の1つで練度が軒並み高いウチは他の鎮守府との合同訓練や指導を任される時もある。

 

 ちなみに、この合同訓練だが神通と山城の2人は他の鎮守府ではそれはそれは恐れられていたりする。

 片一方がいるだけでも凄まじい訓練が課される事で有名なのだが。

 

 ある日の合同訓練。

 提督の采配ミスなのか、謝った指示が伝わってしまったのか。まあ、その時の艦隊には災難という他ない。

 そんな訓練の鬼2人が揃い踏みだったのだから。

 

 僕はよく分からないけど、この指示を出した日の昼休憩の時間に、何時まで経っても食堂に現れない2人を心配して見に来た青葉によると。

 昼食を取らずに執務室のソファーでお互いにもたれ掛かりながら、提督と扶桑は眠りこけていたらしい。前日の仕事の疲れが貯まっているのだろう、うん。提督は忙しいもんね、僕はよく分からないけど!

 

 2人で色々と忙しかったんだろうね!前日のせいで眠気に襲われて。なおかつ書類の多くは扶桑と提督の二重のチェックがなされているのだから。その書類上のミスも見逃す程の大変なお仕事だったんだね。

 だからきっと2人の個人的な行為が翌日に響いた訳ではない!うん!きっと・・・。おそらく、たぶん・・・。

 

 

 さ、さて、話を戻そう。

 そうしてその日行われた鬼揃い踏みの地獄の訓練メニューが終わり、最後の締めに行われた夜間の訓練で問題が起きた。

 

 山城は提督の同期だと言う呉の鈴谷が率いるメンバー、神通の方は同じく提督の元同僚だと言うパラオの叢雲が率いるメンバーに別れての演習。

 

 この演習で、引き連れた他の鎮守府からの艦娘達全員が引きつった笑みを浮かべていたのは、今では笑い話である。まあ、あんなことされたら普通は誰でもそうなる。僕もそうだし。

 

 

 元来、船である僕達は艦娘になった今でも、接触を極端に恐れる。船同士による衝突、それにトラウマを持つ一部の艦娘に至っては、酷いものになると追突の可能性に襲われると全身が硬直して動かなくなることもあると言う。

 

 2人の引き連れた他の鎮守府所属の艦娘が軒並み轟沈判定を貰い、これで一旦演習が終わるかと思いきやそんなことにはならなかった。

 お互いに本気で手合わせしているのが楽しくなってしまったのか、指導を忘れて演習に没頭していた。

 笑顔と言うのは本来は牙を剥くと言う攻撃的なもの。それを体現させたかの様な攻撃的で、不敵な笑みを浮かべながら、追突を全く恐れない様に見える2人の舵捌きは、まさしく異常だった。

 

 

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 反航戦と呼ぶのも烏滸(おこ)がましい程の超接近、上空から見ている観測機からは一文字に見えたと言わしめる程の無茶苦茶な動き。対照灯で相手の目を焼く様に照らし砲撃する山城に、それに対して一歩も引かずに負けじと照らし返しながらも、衝突に備える事もせずに、更に速力を上げて既に装填されている演習用の魚雷を擦れ違い様に発射する神通。

 軽巡洋艦や駆逐艦が火力、装甲ともに差がある戦艦に勝つには魚雷が1番良いのは理解できるが。

 その行動があまりにもブッ飛んでいる。普通は思い付いても実行に移そうとは思わないだろう。少なくとも僕はやらない。

 

 

 そして、その接射された魚雷を山城がどうしたかと言うと。瑞雲に装備されている弾頭を素手で海面へ投げ入れ、副砲でそれを撃ち抜き魚雷もろとも誘爆させ損害を軽微な部類で抑えていた。

 人間に近い身体を持ったからと言ってそこまで、無茶苦茶な事をする人はそうはいないだろう。

 扶桑と提督に人間の身体とその意識の持ち方であらゆることが出来ると、お説教を貰ったらしいがあの2人は絶対にこんなこと想定して言ったわけではないだろう、末恐ろしいウチのエースである。

 

 神通は神通で。速力が上がれば上がる程、攻撃力も防御力も上がるとか言っていた事があった。戦闘時の彼女は普段のおしとやかさは何処に置いていったのだろう。訳がわからないよ。

 

 

「ヒヤヒヤさせるじゃないですか」

 そんな一言と共に演習の時とは違った朗らかな笑顔で笑い会う戦闘後の2人。そして、ドン引きする皆。うん、流石に僕もどうかと思うよ。いくら演習用の砲弾や魚雷を使って安全が保証されていると言っても、身体は違う。生身のままだ。そんな2人が正面衝突したらどうなるか・・・。

 戦艦と軽巡洋艦だ、結果は火を見るより明らかだろう。そんな危険なことをしでかしたと言うのに何で笑っていられるのだろう?

 

 

 更に付け足して置くと、この演習の後に2人は提督と扶桑にこっぴどく怒られていた。いくら轟沈判定とは言え他の指導艦を放っておいての実践さながらの演習に一歩間違えば衝突し回復が難しいダメージを受ける可能性があったのだ。当然そうなるよね。

 まあ、これ以降は更に噂や悪評が背びれに尾ヒレまで付いて色々と広まったらしく。2人に積極的に協力し、従順な皆を見る限り泊は付いたんだろうね。

 

 

 

「おはよう、雪風。今日は、僕の代わりは雪風だったね」

「おはようございます!はい、頑張ります!」

 遅めの朝食を取りに食堂に向かっていると、いつも元気な雪風とすれ違った。挨拶をして少しだけお話に興じる。

 

 僕達艦娘は穴が開けば、それに近い役割をこなせる他の娘達がそれを補う。きちんとシフトが決まっている訳ではないが。それ故に仲良しの友人達と毎回休みを共有できる訳ではない。

 

 そして、それら艦隊を纏め上げている提督は言わずもがなだろう。

 

 月月火水木金金。

 

 恐ろしい言葉である。

 

 前置きが少し長くなったし話も盛大に逸れたが、結局のところ僕が何を言いたいのかと言うと。

 

 

 

「暇だ・・・。」

 この一言に全てが集約されていた。

 

 

 

 ◇

 

 朝食を終えて、いつまでもそこに居るわけにもいかずに少しだけど間宮さんと鳳翔さんのお手伝いをして食堂を後にする。

 最初は断られたのだけれど、やることがないから。と、若干押し付けがましい形になってしまったお皿洗いをしながら、毎日の美味しいご飯をありがとう、とお礼を伝えると2人が協力して作ったというお菓子の試作品貰ってしまった。きっと美味しいのだろう。いや、絶対に美味しい。

 

 いつまでもお菓子を持ち歩いている訳にもいかないので、一度部屋に戻り自分が使っている机にお菓子をしまう。赤城さんとかに見付かったら詮索される可能性もあるもんね。

 

 

 

 さて、と。

 

 本格的にやることがなくなってしまった。

 

 

 うーん。

 

 

 うぅーん・・・。

 

 

「キタコレ!」

 声に出さずに唸りながら長い廊下を歩いていると、曲がり角で漣とすれ違った。これから任務だと言う漣を引き留める事はせずにお互いに軽く挨拶をして別れる。

 なんとなくだけど、今日は良いことがありそうである。

 

 

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 そうして目的地もなく適当に歩を進めていると

 これから任務だと言う同僚達に、僕と同じく非番だと言うメンバーや、いつも楽しそうに工廠籠っている夕張や明石。至るところにその姿を確認できる妖精さん。様々な顔ぶれに出会う。

 よし、決めた。今日は改めてここの鎮守府を回って色んな所や、皆を観察して回ってみようかな。

 

 そうと決まれば善は急げ、だね。

 まずは、執務室に行こうかな。邪魔さえしなければある程度出入り自由だし、あそこなら確実に秘書艦をやっている扶桑がいる。

 

 そうして目的を得た僕は、進む方向を変えて執務室を目指して、歩き始めた。そうして、暫く歩いて執務室がある通りの曲がり角を折れると。

 僕の前。数メートル先に扶桑が歩いているのが目に入った。まだ休憩時間には遠い。普段は執務室で提督の補佐をしている筆頭秘書艦、扶桑。

 

 そんな彼女に少し話し掛ける事に決めた。

 

 

「おーい、扶桑ー!」

「?」

 

 

 

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 僕の休日はそうして幕をあげたのだった。

 

 




ブランクが凄い。絵の練習もしなきゃ・・・。
神通と山城の実際にあったキチ○イ演習を書けて満足。

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