真剣に私と貴方で恋をしよう!!   作:春夏秋冬 廻

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第97話投稿。


第97話 球技大会、窮地のF組軍

さてと、予想通りに青のサイコロが1の目が出たのはいいが、まさか黄色のサイコロの目が2だとは思わなかったな。

そして赤のサイコロの目が3。凛奈さんの言った通り本当にさっきからサイコロの出目が悪いな。

 

「また攻撃1人なのに防御3人に時間2分……何とかなるのジン兄?」

 

不安がダダ漏れだなタク。分からんでもないが無用な心配だ。S組のメンバーは恐らく冬馬に渡辺、坂田の3人だろう。ま、それ以外が来たとしても2分以内に強制退場(リタイヤ)させる事は出来るが、ちょっと本気にならなきゃいけないからな。

 

「心配するだけ損だモロ。それじゃあ頼むぜ兄弟」

 

「任せておけ」

 

ヤマの言葉に答え軽く屈伸してからスタートラインに立つ。そのまま視線を横に移すと、案の定S組は予想通りに冬馬、渡辺、坂田の3人だった。

 

この3人だったら冬馬は無視してもいいだろう。投げ込まれたボールをキャッチして陣地に逃げ込む前に渡辺と坂田を強制退場(リタイヤ)させその後で冬馬をアウトにする。それを2分以内で……問題ないな。

 

「さあ、両軍ともにメンバーが決まった。サイコロの目が1という事でやはりF組は暁神が登場。ジン! 頑張れー!」

 

「実況が贔屓するな。S組は葵、渡辺、坂田か。勝てないと分かっているから主戦力は温存したというわけだな」

 

凛奈さんの言う通りなんだろうな。最初の防御時と2ラウンド目の攻撃時の俺の動きを見て冬馬は勝てないと見込んでいるんだろう。間違ってはいない分、俺としては特に気を入れる必要もなくてよかった。

 

それじゃあ少しばかりキャップ、ガク、ゲン。3人の弔いといこうか。

 

「では第4ラウンド後攻、始メ!」

 

ルー師範代が掛け声と同時にボールを投げ込むのを確認してからチラリと冬馬たちに視線を遣ると、ボールを追う事をせずに一目散に陣地へと駆け寄っている。

 

正しい判断だな。どうやら少し急いだ方がいいようだ。

 

膝を曲げ少しだけ力を込めると地面を蹴り宙に飛びだす。周囲の生徒たちの驚きの声を聞きつつ身体をひねると、そのまま未だ宙に浮いていたボールを両脚で挟む。一応、これで俺がボールを確保した事になるはず。

 

さ、悪いが渡辺君に坂田君。陣地に入る前に足止めさせてもらうぜ。

 

未だ宙に浮いた状態で俺は両脚で挟んでいたボールを離すと、今度は勢いよく右足で蹴った。そのボールが向かう先は陣地に駆け込もうとする渡辺の足元。

 

「がっ!?」

 

「でっ!?」

 

ドンピシャ。計算通りの狙い通り。

 

「まるでサッカー漫画のように空中から蹴り放たれたボールが! 唸りを上げてピンポイントに渡辺の脛に直撃したかと思ったら! その勢いを殺さず瞬く間に隣にいた坂田の脛にも直撃したー! カッコイイぞ! ジン!」

 

「だから実況が贔屓をするな。まあ、確かに着地してからじゃ間に合わなかっただろうが、まさか宙に浮いたまま、しかもボールを使って相手を足止めするとはな。軽業師かあいつは」

 

聞こえてますよ凛奈さん。

 

別に着地してからでもよかったんだけど、さすがにそれをやると大人げないというか、少々常人離れし過ぎな動きになってしまう。これでも俺は自分の常人離れを認識してるんで、それなりに常識ある動きを心がけてるんですよ。

 

お、冬馬は既に陣地の中に入ったようだな。まあ冬馬はボールを当ててアウトにすればいいだけだし、先に2人を強制退場(リタイヤ)させるか。

 

「悪いな、別段個人的に恨んじゃいないが一応は仇を取らせてもらう。作戦なんで勘弁してくれな」

 

声を掛けるとなんとか痛みに耐えて立ち上がろうとしている。よくよく見ると2人とも結構身体が出来ているな。察するに武道系部活をやっているのか。なら少しぐらいおいたをしても大丈夫だな。

 

フラフラしつつも立ち上がる渡辺の顎先を掠めるように蹴りを放ち、返す踵でもう一度顎先を掠める。間を置かずに襲ってきた左右からの衝撃に脳を揺さぶられ、意識を絶たれた渡辺は白目を剥きまるで糸が切れた操り人形のように地面に倒れ伏した。

 

それを呆然と見ていた坂田にも前蹴りを放ち爪先を顎先に掠めさせ、戻す足で再び爪先で顎先を掬っておく。そうして渡辺と同じように脳を揺さぶられた坂田は、やっぱり同じように地面に倒れ伏した。

 

「一瞬! まさに一瞬の出来事! なんとか立ち上がろうとしたものの、顎先を2度蹴られた事で渡辺と坂田は脳震盪で倒れ伏したー! さすがだぞジン! そんなお前に惚れ直しそうだ!」

 

「……もう突っ込まんぞ。どうやら左右からの衝撃を殆ど間を置かずに受けたようだな。あれは相当、脳を揺らされているぞ。気絶から立ち直ったとしても気持ち悪さで当分は起き上がれんだろうな」

 

どうやらちゃんと見えていたようだ。そこまで本気でやったわけじゃないからモモや凛奈さん、あとはヒロとまゆっち、目のいいミヤ、S組は『女王蜂』だったら見えていただろうな。

あとの生徒たちには説明がなければ渡辺と坂田が勝手に倒れたように見えていたに違いない。

 

さて残りは冬馬1人。時間も押し迫っているし早く終わらせよう。

 

「さすがですね。神君相手ではこちらの作戦もあった物ではありませんよ」

 

転がっていたボールを蹴り上げる俺の背に、溜息を吐き諦観の籠った声で冬馬が言葉を掛けてきた。

 

最初から分かっていた事だろ。それともあれか? 話しかける事で終了時間まで引っ張ろうってか? 付き合ってやってもいが今回は状況が状況。悪いが乗れないぜ。

 

「褒め言葉として受け取っておくさ。でも悪いが今回はお前の話に付き合ってやれないんだ」

 

「ふふ、目論見も見破られているようですね」

 

「ああ。という事で素直にアウトになってくれな、冬馬」

 

「ええ、仕方ありませんね」

 

当てるのは余り痛みを長引かせないように太腿辺りにしておくか。

 

無抵抗を表現するように両手を上げた冬馬に、一応は取れないであろう最低限の威力にしてボールを蹴る。冬馬もよける素振りすら見せることなく迫ってきたボールを受けた。

 

「S組、渡辺、坂田ダウン! 試合続行不能! 葵アウト! よってF組の勝ち!」

 

ルー師範代の言葉にしんと静まり返っていた生徒たちがいっせいに歓声を上げた。

 

さて、これで4勝4敗の五分。冬馬はこれ以上選手として出てくる事もないだろうし、渡辺と坂田は当分はまともに起き上がることすら出来ない。

人数もF組は俺、カズ、ミヤ、クリスの4人でS組も英雄、『女王蜂』、コユキ、井上、不死川さんの5人。

 

いい感じにバランスが取れてるな。俺のハンデを差し引いて戦力も五分五分といった感じだしサイコロの運があるにしても、ここからは相手の手の内の読み合いだな。

そこら辺はヤマに任せておけばいいしS組も冬馬がやるだろう。

 

「しっかし、相変わらず凄いねジン兄」

 

「やっぱミヤは見えてたか」

 

「まあね、弓は眼が命、京は大和が命」

 

別にそんな事は聞いてないからな。でもまあ思ってた通りミヤは見えていたようだ。弓術を使うからこその有利性(アドバンテージ)なんだろうが、カズやクリスも見えていた欲しかったな。

特にカズはずっと目指している川神院師範代(もの)がある。それに辿り着くためには一にも二にも、あらゆる意味で『強く』なくてはならない。

 

まあ今言ってても仕方ない事か。モモの方もそろそろ真剣にカズに告げる時期にきているだろうし、ある意味で部外者の俺が積極的に口を出す事でもないしな。求められた時に、行き過ぎない程度のアドバイスが出来るようにしておこう。

 

さて思考を試合に戻そう。残り人数それぞれ4人と5人だが、実は次の第5ラウンドはF組が有利だ。なぜならば次のS組の参加メンバーは井上と不死川さんだけ。

さっきのS組攻撃の時、今残っている5人のうち井上と不死川さん以外の3人が出てきた。そしてルール上、連続して攻撃に参加する事が出来ないから英雄、コユキ、『女王蜂』の3人は1回休み。

 

出てくるメンバーが最初から分かると言う事はそれだけ対策が練れるというわけだ。

 

そこら辺は冬馬なら気付いていたはずだ。となるとワザと3人を出したのか、あるいは確実にF組(こちら)の戦力を削ぐために3人にしたのか……冬馬なら後者だな。そうなると次の攻防の数を決めるサイコロはちょっと見物だ。

 

「さあ! そろそろ試合も後半戦に突入! 果して勝利するのはどちらのチームか!? 第5ラウンドの賽が投げられる!」

 

モモの実況と共にルー師範代がサイコロを投げる。転がり出た目は青2、赤2、黄2。ついているのかついていないのか微妙な結果だな。

 

「とりあえず確実に勝とう。S組は井上と不死川しか出れないから対策をちゃんとしておくぞ」

 

「青のサイコロは1だともっとよかったよね」

 

「それは時の運というものだ。愚痴るものではないぞ京」

 

「それで? 今度は誰が行くの大和?」

 

俺の隣で作戦会議を始める4人。といっても頭を使うのは基本ヤマとミヤだ。いい意味でカズとクリスは直感派だから余り作戦立案には向いていないだろうな。

 

作戦に関してはヤマに任せて入るが、俺も俺で少し考えてみるか。

 

両チームともに2人ずつ。S組は井上と不死川さんが出てくる事が決まっているから予測するまでもないが、それに対するF組(こっち)のメンバーはどうするべきか。

俺が出れないのだからカズ、ミヤ、クリスの3人の中から選ぶわけだが、戦闘になるのか普通にドッチボールになるのか、状況によってそれなりに変わってくる。

 

第一に井上は女を攻撃できるかの? 恐らく不死川さんはやる気満々なんだろうけど、会って短いが井上は少しばかりフェミニストの感じがあるしもしかしたら女相手では戦わないかもしれないな。でも何かしらの武道をやっている節もあるし一概にはそう言えないか。

 

「作戦はさっき言った通りだ。後は頼むぞ京、クリス」

 

「了解」

 

「任された」

 

ミヤとクリス、戦う事も見越しての人選だな。確かに若干カズにはまだ荷が重い所がある。武道に関してヤマは造詣が深くはないが、幼馴染みとして長年付き合ってきた経験則からの判断なのだろう。

 

「出場選手がスタートラインに立ったぞ! どうやらS組はハゲと不死川、F組は京とクリスの出場だ!」

 

「ほう、これはなかなか面白い試合になりそうだな。戦うにしても普通にドッジボールをするにしても少しばかり見物だな」

 

凛奈さんの言葉通りだと思うが、はてさてヤマも冬馬もいったいどういった作戦を立てたのやら。さっきやった俺が言うのもなんだが、もう完全に相手を潰す方向に試合が進んでいるからな……まともにドッジをするとは思えないんだが。

 

「準備はいいようだネ。ソレじゃあ第5ラウンド先攻、始メ!」

 

「ニョホホホ、行くのじゃハゲ!」

 

「言われなくても分かってるっての!」

 

投げ込まれたボールにいち早く反応して走り出したのは井上。それと同時に声を掛けた不死川さんも素早い足取りで移動している。やっぱりまともなドッジボールで勝負するつもりはないようだ。

 

さて、それに対するミヤとクリスの動きは――ミヤは陣地の中に向かってるけどクリスが不死川さんの方に向かっている。という事はヤマも相手を潰す方向で作戦を立てたってわけか。

 

確かにクリスなら素手でも不死川さんに勝てる可能性は高い。でも無傷で勝てるとは思えないな……万全を期すならミヤも加勢すべきなんだが、恐らくクリスがそれを『正々堂々』という理由で嫌がった。だからこそミヤは確実に勝ち残るために陣地へと向かっている、そういう事なんだろう。

 

「時間が惜しい! 速攻で終わらせてもらう!」

 

井上がボールを手にすると同時に、クリスが拳を握り間合いに踏み込み、不死川さんに向かって右ストレートを繰り出す。

 

真正面から速攻で最大効果。悪い選択じゃないがなクリス、相手がいったいどういう武道を使うのか、そしてどういった得意技を持つのかちゃんと見極めていなければそれは拙攻だぞ。

 

「舐めるでないわ!」

 

案の定、不死川さんは容易く拳をよけ懐に潜り込むと、伸び切った腕を絡め取り体操服の襟を掴み、クリスの攻撃の勢いをそのまま利用し見事な一本背負いを放った。

だがさることながら、クリスも投げられた瞬間に自ら地面を蹴り絡め取られた腕を強引に外すと、宙で身を捻り背中ではなく足から地面に着地した。

 

わずか数秒の派手なやり取りに2人に視線が注目し歓声が上がる。

 

おお、不死川さんもなかなか。柔道、いや柔術だな。組んでから一連の動作に無駄がない。クリスの勝機は掴ませないで出来るだけ一撃で終わらせるかどうかだな。

 

こっちはおのずと決着がつくだろうが気になるのはミヤと井上の方だ。見ると既にミヤは陣地の中に入っているから戦闘になる事はないが少しだけ嫌な予感がしてならない。

 

制限時間は後1分。井上は特に焦る様子もなくボールを持ったままじっとミヤを眺めている。対するミヤも何処か不気味に感じているんだろう、訝しげな表情を浮かべながらもいつでも反応できるように身構えている。

 

それにしも井上が動き出す様子がない。なんでだ? 考えられる理由としては注目されたくない、って事か……恐らく俺というか、誰かに見られている事に気付いているんだ。

今、全生徒の視線は派手に戦闘をしてるクリスと不死川さんに注がれている。ミヤはもしやられたからと言って自分から何かを積極的に言う事はしない。

 

なるほど、それを見越しての人選と派手なやり取りか。考えたな冬馬。なら見られていないように感じさせながら見てやろうじゃないか。

 

認識齟齬を起こす【蜃陰(しんいん)】を発動させる。急に気配がブレた事でそれに気付いたモモたち数人が俺の方を見るが、それ以外に特に反応することなく視線をクリスたちに戻した。どうやら向こうも佳境のようだ。

 

お、どうやら認識をずらしたおかげで井上は視線が外れたと判断しようで動き出した。今までののんびりとした雰囲気が嘘の様に変わる。対するミヤも警戒して腰を落とし万全の態勢を整える。

 

そして井上がボールを掲げた思った瞬間、タイミングをずらして投げた。

 

思いもしなかったタイミングで投げられたボールに、ミヤは反射と反応のせめぎ合いで完全に身体が硬直している。しかも確実に狙ったであろうボールは足首に直撃し、結構威力があったのだろう、棒立ちになっていたミヤはその威力に足元をすくわれ勢いよく倒れた。

 

しかし井上も結構やるな。さっきボールを投げた時、武道における相手と自分の拍子を外す技術を使ったぞ。偶然、とも言えなくもないが恐らく意図的に使ったな。

 

大きく息を吐き振り返った井上と視線が合う。俺が見ていた事に気付いたんだろう、あからさまに顔を歪ませた。しかしあの顔、苦虫を噛み潰したという表現がぴったりだな。

 

「クリスの蹴りが不死川を捉えた! 余りの痛さに不死川悶絶! 脇腹を押さえて蹲っているぞ!」

 

「あれはいい所に入ったな。脇の下は衝撃が肺に直に響く人体急所の1つだ……と、どうやら蹴った方も無事ではない様だな」

 

「おおっと! 蹴ったはずのクリスも足首を押さえて蹲っているぞ! どうやらインパクトの瞬間に足首を捻られたようだ! 転んでもただで転ばないぞ不死川心!」

 

向こうもどうやら決着がついたようだ。そしてやはり予想通りクリスが不死川さんに勝ったが無傷ではなかった。

しかし足首をやられるとはな……恐らくミヤもあの感じじゃ足首を痛めただろうし、2人とも次の攻防に参加する事は出来ないな。それよりもクリスと不死川さんの扱いは両者リタイヤになりそうだ。

 

「不死川、クリス、両者ダウン! 椎名アウト! 生存ハ井上1人! よってS組の勝チ!」

 

予想通り。そして最悪のパターンだ。

 

「あ~っと! クリスもダウン扱い! そしていつの間にか京もアウトになっていた! いったい何をしたんだハゲ!?」

 

「どうやら派手に立ち回っていた2人を隠れ蓑にしていたようだな」

 

「何というダークホース! ハゲが金星を挙げてしまったぞ! おっと、救護テントに送られた京、クリス、不死川、3人とも養護教諭出場停止宣言(ドクターストップ)だ! どうやら京も足を挫いていた模様! ここにきてF組、窮地に陥ったぞ!」

 

まさにモモの言葉の通り。

 

第5ラウンド先攻を終えて勝敗はS組5勝、F組4勝。そして何より問題なのが残りの人数。S組は英雄、『女王蜂』、コユキ、井上の4人に対し、F組は俺とカズの2人。ヤマの作戦ではさっきの攻防でミヤが生き残りF組の5勝で残り3人、あわよくば4人を狙っていたのだろうが、井上の予想外の働きで最悪の結果になった。

 

「まだ勝負は終わってない。落ち込むにはまだ早いぞ」

 

作戦通りに行かず結果を読み違え頭を抱えていたヤマを軽く小突く。そう、まだ勝負は終わっていない。それに逆境、劣勢を撥ね退けて勝ってこそ軍師の策略だろ。

 

「そうよ! まだアタシと何よりジン兄がいるのよ! 勝てる可能性はまだまだあるわ!」

 

こういう時、カズの常に前向きな性格は助けになる。出てもいない結果を考えることなく、ただひたすらに『可能性のある今』を見るカズ。それは今のヤマの救いになるはずだ。

 

「そうだな……まだ終わってない。勝てる『可能性』があるのなら、それを『確実』にする作戦を立てるのが軍師(おれ)の役目だ」

 

もう大丈夫だな。自分の立ち位置、役目をちゃんと把握しているのなら問題ない。それにそろそろ運もこちらに向いてくるだろう。いくら英雄の豪運があっても、そう何度もS組に都合のいい事ばかりにはならないはずだ。

 

「とにかく次のF組の攻撃で勝たなきゃ話にならない。次で負けたら間違いなくこの勝負終わりだ。兄弟、ワン子。絶対に勝つぞ」

 

「もちろんだ」

 

「オッケー」

 

さて、奇しくもキャップが望んでいた窮地に、背水の陣に追い込まれたが勝つ可能性はまだ潰えていない。やってみようじゃないか。




あとがき~!

「第話97終了。あとがき座談会、司会の春夏秋冬 廻です。今回のお相手は――」

「ハァイ! よい子の小さい女の子たち! みんなのお兄さん、井上準がまたやってきたよ~!」

「麻雀やってる一人称俺のガサツなヤンキー風味の男女です」

「はいそこ! それは『いのうえじゅん』違い! 危ないネタはやらないようにね!」

「つーわけでロリコンハゲ再登場。さて今回のお話ですが――」

「スルー!? あくまで俺の存在スルー!? そしてやっぱりロリコンハゲは確定なんですね!?」

「うるさい。今回君はかなりいい役回りだと思っていたんだが何か不満でもあるのか?」

「いや別に不満はねぇよ。つーかそんなにいい役回りだったか?」

「強さの一端が出てたじゃん。読者に考えさせる伏線だと思ったんだけど」

「原作知ってる奴にはモロバレな伏線だろうが……しかし暁のヤローは人が悪いな」

「はっはっは。自分から動かない時とか、相手の行為が行き過ぎなければ基本傍観主義の人間だからね神は」

「そーかい。しかしあれだな、前回のあとがきで今回で終わりというような発言しておきながら結局終わってないし」

「はっはっは。否定しないよ」

「否定『出来ない』だろうが。いい加減にしとけよ。こんな物語だけど見てくれている人いるんだろ?」

「はい、頑張ります」

「頑張れや。無理だと思うけどね」

「最後でやる気そぐような事言うなよ!?」

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