今回少し難しかったです。
「この場所はどういう意味があるんだ?」
この女は今なんて言った?
「遊びたければ家でもいいだろう」
家でもいい?
「わざわざこんな所に集まる意味が分からないぞ」
こんな所? 集まる意味が分からない?
「少なくとも、建設的な行為ではない」
なんであんたなんかにそんな事言われなきゃいけないんだ。
「このような廃ビルはさっさと取り壊すべきだな」
ああ、そうか。
こいつはいらない奴なんだ。私たちの聖域を否定する馬鹿なんだ。私の世界を無遠慮に破壊する崩壊因子なんだ。
こいつは――――敵なんだ。
side 暁神
「お前、死ねよ」
囁くような声だった。
決して響き渡るような声でも、透き通るような声音でもなく、ただひたすらに暗く淀みを含んだ呟きだった。
だけどその呟きは瞬く間に部屋全体に広がった。
部屋の温度が下がった。恐らくここにいる全員がそう感じたはずだ。そう感じるほど今のミヤの雰囲気は危険極まりないものだった。
滅多に見せない本気の怒り。徹底的に敵を排除するという意思を持った、まさに言葉通りに殺す事すら厭わないような殺気を放っている。
「っ!?」
その殺気をもっとも強く受けたクリスは言葉を詰まらせた。
「よくも……よくも好き放題言ってくれたなぁぁ!!」
「京! やめろ!」
ヤマが真っ先に声を上げたと同時に、モモがミヤを押さえていた。危うくクリスに飛び掛かるところだったが、俺と同じように冷静に状況を見ていたモモがすぐに反応したのだった。
恐らくモモもこうなる事をあらかじめ予想していたんだろう。
だが押さえられたからといってミヤの怒りが収まるわけがない。
「分からないだろお前には! この場所が! この空間が! どれだけっ! どれだけ大切なのか!!」
怒りと悲痛がまじり合った叫び。ミヤの心の声を表した言葉。普段冷静なミヤの突然の豹変にクリスは驚きついて行けていない。だがそれすらお構いなしにミヤは言葉を続ける。
「だからこんな新参者を入れるの嫌だったんだ! 壊すべき? よくもそんな事をこの場所で言ってくれたな!? 何様だと思ってやがる!」
ミヤにとって許せない言葉だったに違いない。
確かにクリスの言葉は自分の考えを押し通しての言葉かもしれない。けど俺はこのミヤの心もどうにかしなければならないと思っている。
今のミヤにとってこの
その考えは、今回のクリスの言葉とは全く別の意味で問題を起こす事になるだろう。
だが今はいずれ起こる問題よりも目の前の現実だ。
「み、京。待て、話を……」
「さっさと帰れ! お前なんか仲間でもな――」
「京!」
とりつくしまもなくクリスを拒絶するミヤだったが、それでも言ってはいけない言葉がある。それが口から出る直前に、ヤマはミヤを抱き締めた。
「落ち着け」
「大和……だって、だってこいつ! この場所を侮辱した! 否定したんだ! ゆ、許せないよ……!」
最も信頼しているヤマに抱き締められた事で、多少の落ち着きを取り戻したものの、今度は感情が怒りから悲しみへと移行している。その証拠にだんだんと声が震えだした。
「ヤマ、もっと強く抱き締めてやれ」
怒りよりも悲しみの方が受け止めやすい。怒りは理不尽しか与えないが、悲しみは慰めを誘う。ミヤも別に慰めてほしいわけじゃないと思うが、今は思いを吐き出させる方が先だ。
「ああ。京、もういいから」
「う……うぅ……ううぅぅぅううう」
俺の言葉に答えヤマはミヤを強く抱きしめると優しく声を掛けた。ミヤもまたそんなヤマに縋りまたしても珍しく呻き声を上げ泣いた。
場は静まり返っている。
クリスとまゆっちはどうしてこうなったのか分かっていないが、俺たちはミヤの気持ちが痛いほど分かる。だから今は何も言わないし、言うべきじゃないと思った。
「な……何だ。何が気に障った。自分は正しい事を言ったはずだが……」
本当にどうしようもないお嬢様だ。この状況になってもまだ自分の非を理解していない、自分の言葉でどうしてこうなったのか雰囲気を読めていないクリスに、呆れすら通り越してしまった。
確かに価値観の違いを言葉にして伝えるのは難しい。それなのにクリスはその価値観を自分の中の物差しだけで判断して『いい』『悪い』『必要』『不必要』を決めている。
それを今まで否定されなかったからこそ、今こういう状況になっているのだが、もう少し空気だけは読めるようになって欲しい。
今この状況で、そういう発言をする事がどういう結果に繋がるのか全く分かっていない。
「クリス、やっぱりそれが正しいとまだ思ってるの?」
反応したのはタクだった。
「あ、ああ」
「じゃあ、本当にさよならだね」
「え?」
小さく声をもらしたクリスは、タクの言葉の意味を全く理解出来ていないようだった。呆然となるクリスを無視してタクの容赦ない言葉は続いた。
「ちょっと残念だけど仲間にはなれなかったね。でも学校ではまた普通に話そうよ! それじゃあ気をつけて帰ってね~」
これは少し予定外だった。まさかタクまで切れるなんてな。
それほどタクもこの場所に依存をしているのかと思ったが、雰囲気から察するにどうやら違う。場所じゃなくタクは仲間の絆を大切にしているんだ。だからこそミヤを傷つけておきながら何が悪いのか気付いていないクリスを許せないんだろう。
「え……あぅ……え? あ、あの」
ミヤだけじゃなくタクまで不穏な雰囲気になった今の状況に、まゆっちは対応できずオロオロしている。いつもならすぐにフォローするヒロも、何か思うところがあるんだろう、何もせずにまゆっちを見ていた。
「理由を言ってくれ! 納得できない!」
納得できない。確かにそうだろう。自分では正しい事を言ったはずなのに、ミヤとタクに拒絶されたのだから。だが周囲を見回すクリスに俺たちは言葉を掛けない。
ヤマはカズに目で『何も言うな』と釘をさしている。モモも俺が何も言わない事を不思議に思ったのか視線を向けてきた。
その視線に俺が腕を組んだままで肩をすくめ、特に動くつもりはないとの意思表示をすると、『分かった』とばかりに小さく頷いた。
「……あー……なんつーかな、んー」
「私が言ってやろう」
沈黙に耐えかねたガクが何かを言おうとした時、それを遮るようにモモが声を上げた。クリスの視線を真っ直ぐに受けて、そしてモモも真っ直ぐ見返してはっきりと口にした。
「クリ、お前ウザいぞ」
「え……?」
戸惑うクリスを無視してモモは続ける。
「意味がないってのも、建設的じゃないってもの、全部お前の物差しだろうが。私たちは理屈じゃなく、好きでここに集まってるんだ。誰に指図されようがやめる気はないぞ」
きっぱりとモモに言われクリスは視線を彷徨わせる。ようやくこの雰囲気が自分のさっきの言葉のせいだという事を、おぼろげながらも理解し始めたんだろう。さっきまでブレなかった気配が揺らめき出した。
「自分は、ただ……」
「もうよせクリス。ここではお前が悪い」
「悪い……自分が悪だと!?」
ヤマの『悪い』の言葉にはさすがに反応したな。いや、恐らくクリスの反応する言葉を選んで口にしたんだろう。矛先を自分に向けさせるためか、面と向かって言い合うためか。さて見物だな。
「この周囲の空気が分からないのか?」
「悪などでは断じてない! 確かに自分の物差しではあるが自分以外も普通この意見のはずだ! 何故それが悪になるか分からないな!」
確かに普通なら同じ意見だろう。だがそれをこの場で言うか言わないかの違いだ。クリスはそれを分かっていない。
『悪』の対義語は『善』だ。『正義』じゃない。確かのクリスの言葉は『義に正しい』のかもしれないが、この場の俺たちの中では『善』じゃなく『悪』になるんだ。
「お前はさぁ、なんて言うか、頑固すぎる。いい機会だから少し反省しろ」
「お前に説教されたくはないな。いい機会と言うなら自分も言おう。大和の行動の数々、策と言えば聞こえがいいが、お前はただ“せこい”だけではないか」
指差すクリスにヤマは飄々と答える。
「ああ、せこいしズルイし卑怯だぜ。ただの褒め言葉に過ぎないなクリス。俺は勝てばいい。ただそれだけだ」
「見下げ果てたな。それを肯定するとは」
ヤマを侮辱するクリス。それが自分の物差しで言っている事にまだ理解していないようだ。10人が10人、同じ容姿の人間が1人もいないように、同じ考えの人間も1人もいないのにな。
「大和は仲間がなるべく無傷になるよう、そのための策を出しているんだよクリ。ま、基本せこいってのも確かにあるけどな」
咎めるようにクリスに行った後、後半はヤマに向かって言葉を掛けたモモ。確かにヤマは切羽詰まったり、覚悟を決めた時以外は基本せこい策を弄するからな。
「仲間のために? ……今ひとつ理解出来ない」
それは軍人の娘で軍人の父を尊敬する娘としては致命的な言葉だよクリス。
作戦や策略に『卑怯』なんて言葉は存在しない。そう思うのはそれを見た個人の判断だ。命令されれば自分が『卑怯』と思う作戦を遂行しなければならない。それが軍だ。
それすらも理解していないのだろうか、クリスは。
「あのっ、自分ごときが口を挟んで恐縮ですが……その……余り怒らないで、落ち着いて、その」
「そろそろ、そういうのやめようよ、まゆ」
突然声を上げたまゆっちにヒロの冷たい言葉が掛る。思いもよらない、恐らく今まで掛けられた事がないヒロの声音にまゆっちは身を固まらせた。
「丁寧に喋るのは別にいいけど……いちいち『私ごときが』とか言うのは駄目だよ。それじゃあキャップが言った事を全く理解していない事になる」
ヒロは言葉を切ってまゆっちと向き合う。同い年という事もあるんだろうけど、やっぱりヒロはまゆっちに対しては余り遠慮をしていない。
「人の顔色を伺いながら物を言うのは、度が過ぎると不快を与えかねないよ。いいまゆ、僕たちは“対等”の仲間なんだ。その仲間に
「は、はい……」
これなら特に口出しする事もないか。まゆっちも仲間内で唯一の同い年で1番の友達のヒロの言葉ならちゃんと意味を理解するだろう。
となると、残りは――
「……さっきから意味不明だ」
苛立ちを含んだ声で呟くクリスにどうやって分からせるかだな。言葉を掛けようと思ったが、今回は出来るだけ傍観に徹しようと思っている。ヤマが何かを言うみたいだから任せるか。
「さっきの何が意味不明だ、お馬鹿娘。クリス、お前の大切な持ち物を言ってみろ」
「持ち物?」
「ああ、何でもいいから言ってみろ。物理的なものだぞ」
なるほど、そうやって分からせるって事か。さすが頭が回るね。
「……親からもらったぬいぐるみなどとか」
「俺はぬいぐるみの良さなんて分からないな。部屋がかさばるから捨てちまえよ」
「貴様!!」
物凄い迫力で詰め寄ってるけどなクリス。ヤマの言葉はさっきお前がミヤに言った言葉なんだよ。それを分からせるためにヤマもクリスの迫力に負けじと睨み返している。
「お前のさっきの行動のマネだ、馬鹿! お前のぬいぐるみが俺たちにとってのこの場所なんだ! 誰が何を大事にしてるかなんて人それぞれだろ。それを侮辱していいはずがない」
ヤマの指摘に息を呑むクリス。ようやく理解したようだ。
「……そうか、それだけ大事な場所だったんだな……自分の今の怒りと同じ気持ちだとすれば、さぞ先ほどの発言は腹が立っただろう……」
どこか悔いるように言うクリスをみんながじっと見つめる。少しの間後悔するように俯いていたが顔を上げ、何かを決意したような瞳で周りを見渡したクリスは、勢い良く頭を下げた。
「椎名京、みんな、謝罪する。すまなかった。今後はこのような発言をしないと誓う。だからここにいさせて欲しい」
「そ、その……私もすみませんでした! まだまだ勉強不足です! そ、それでも! それでもまだ私もみなさんと一緒にいたいです!」
自分の非を認め潔く頭を下げるクリスと、まだまだ遠慮がちなのは治ってないけどしっかりと自分の気持ちを主張したまゆっち。
謝罪と、心からの言葉を聞いて、一応みんな溜飲は下がっただろう。さて、じゃあそろそろ来る我が風間ファミリーのリーダーに全てを纏めてもらいましょうかね。
「おっーーす! いやいやいや聞け聞けお前たち! 俺の運たるやまさに豪運と言っていい領域だぜ? ガラガラ回しまくって豪華景品GETだぜ! ささ、寿司の残りをつまみつつもみんなで俺の偉大さを祝ってくれ! まぁ今日のネタは卵だらけだがな! ……ってあれ? 何だこの空気? ずるいぞうみんな! 俺のいない間に何青春っぽい気まずい雰囲気になってるんだよ!!」
気まずい雰囲気なんのその。キャップの登場で全てが吹っ飛んだのだった。
「ま、1回ぐらいこういうの、仕方ねぇわな」
ヤマの説明を聞き終えたキャップの感想。確かにその通りだがいともあっさりひと言で終わらせるあたり、キャップのキャップらしさと言うか。それで場を納めてしまう辺り、本当に不思議なカリスマを持つ男だ。
だがそれでもまだ少し納得のいかないミヤではあったが、キャップに命令されたヤマがフォローするから、そのうち浮上するだろう。
「とりあえずみんな、今ちょっと気まずい思いをした関係を修復する意味で、連休旅行にいかねーか?」
また唐突な意見だなキャップ。
「旅行!?」
「いきなり発言したなお前」
キャップの言葉に今までずっと黙っていたカズがいち早く反応したのを見て、ガクが呆れたように呟いた。
「いやー、アタシもさっきクリに言おうとしたけど、直江さんちの大和君がアイコンタクトで自重って」
「僕としてはジン兄の沈黙の方が怖かったよ」
黙ってた事の種明かしをするカズの言葉につられたのか、タクがちょっとだけ顔を引きつらせながら言った言葉に全員の視線が俺に集中した。
それじゃあ種明かしとまではいかないが一応言い訳っぽく言ってみるか。
「別に俺が諌めても良かったけど、今回は傍観に徹した。それにキャップも言ったけど、1回はこういった問題を早めに起こさないと、後々はややこしくなるからな」
「って事は、ジン兄はこうなる事を最初から分かってた?」
鋭いねヒロ。その通りだと頷いたら今度はミヤからは冷めた声、クリスからは不機嫌そうな声が掛けられた。
「人が悪い。極悪だよジン兄」
「では何故、あらかじめ教えてもらえなかったんだ」
言いたい事は分からないでもないけど、もう少しオブラートに包んで欲しいね。
ミヤには悪かったと思うがクリス、お前は言っても分からないだろ? 何で教えなかったかは充分に心身で感じ取ったはずだから、あえてもう言葉にはしない。
だけど、これで新しい風が風間ファミリーの中に通った。これを機にミヤの心の依存を少しでも解消出来るようにしていかなければならないな。
改めて感じたが、かなり拙いところまで行ってる。どうやらもう1度仲間内で問題を起こさないといけない時が来るようだ。それだけは心に留めておこう。
「ま、終わった事を蒸し返す必要もないだろ。それでキャップ、旅行ってのはもしかして商店街の福引か?」
「おうよ! 見事引き当てて来たぜ! 2泊3日箱根旅行団体様招待券!」
そりゃまた凄いな。キャップはそれ以外が残念賞のティッシュだったのが悔しいようだが、それでも十分過ぎる成果だ。絶対天運を司った守護霊がついてるねキャップは。
その後はキャップがバイト先からも持ってきたネタが卵だらけ寿司パティーで、穏やかにまったりと時間が過ぎていった。
箱根旅行が3、4、5日で明日準備の明後日出発。
ちょっとした連帯感が生まれた怒られた者同士。
ミヤはヤマに1回だけだが食べさせてもらって機嫌復活。
そんな中でまゆっちが見つけたフォトスタンドに入った1枚の写真。7年前の夏の日。竜舌蘭を守った昔話をクリスとまゆっちに話して聞かせた。
そして50年後、今度はクリスとまゆっちも一緒に写真を取ると新しい約束をして、今週の金曜集会は終わりを迎えたのだった。
卓「ねえちょっとキャップ。この招待券10人までなんだけど?」
京「私たちは11人……ガクトの留守番確定だね」
岳「なんで俺様なんだ!」
翔「1人ぐらいどうにでもなるだろ。気にすんな」
大「いや、どうにもならないぞキャップ。でも実際どうする?」
由「あ、あの……」
緋「自分だけ行かないって意見はなしだよまゆ」
松「こいつは手厳しく見抜かれちまったぜまゆっち」
ク「1人だけ別に予約すればいいだけだろ?」
一「のけもの扱いは嫌よー。みんなで行ってこそ楽しいのに」
神「その事だけど、俺とモモで別に予約するから、招待券は9人で使ってくれ」
9人「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」
百「恋人同士のあま~い時間を邪魔されたくないしな。な、ジン?」
神「その気持ちも無きにしも非ずだが、久し振りに2人っきりの時間が欲しいからな」
あとがき~!
「第69話終了。あとがき座談会、司会の春夏秋冬 廻です。今回のお相手は――」
「川神一子よ!」
「最後のおまけを抜くと、本編でたった2回しか喋っていません。ワン子です」
「うるさいわね! 大和に睨まれたんだからしょうがないでしょ!」
「どんだけ躾けられてんだよこの犬っ娘は……まあいいか。さて今回のお話ですがどうだったでしょうか」
「どうと言われてもね……アタシほとんど見てただけだし」
「いやだからこそ客観的に感想が言えるだろ」
「キャッカンテキって何?」
「それすら分からんのかワン子……もういい。さて今回は神視点でやらせていただきましたが、思った以上に難しかったです」
「難しかった?」
「書いてて思ったけど、今回を神視点にしたら結構な上から目線になってしまった」
「そうかな? ジン兄っぽいと思うけど」
「そうでもないと思うけどな。まあ今回の神視点でやった1番の理由は、原作のこのシーンを見たときの作者の気持ちをそのまま代弁してもらいたかったから、って思いもあったからね」
「どこら辺が?」
「まあ、クリスに発言に対する神の考えの殆どなんだけどね。その中でも『悪の対義語の事』とか『作戦策略に卑怯なんてない』ってのは本当に考えた事」
「ふーん……よく分かんないわ」
「あ、そう……」
「それで次回はどうなるのよ?」
「旅行前日か、旅行当日か、どちらかです」
「ハッキリしないわね」
「たぶん前日の準備……だと思いますのでまた見てやってください」