真剣に私と貴方で恋をしよう!!   作:春夏秋冬 廻

84 / 109
第79話投稿。

何度も言います。展開が遅い……


第79話 箱根旅行、一進一退の攻防?

  side 暁神

 

「さあ、第3試合のクジを引くぞ」

 

今度も頭脳系を。

 

きっとヤマはそう思っているはずだ。見た感じでは風邪はそんなに酷くは見えないが、時折ボーっとしている事が多くなった。

 

俺が書いた動く事なく頭を使う勝負は思った通りヤマの勝ちで終わったが、あと俺が作ったクジは1つ。そっちの方は体力も使うから出来れば早く引いてほしいところだ。

 

「変なの引きそうだな。お前少し芸人気質だから」

 

「そういうのはガクトの役目だって」

 

モモがからかうようにクジ箱を探るヤマに言葉を掛ける。だがヤマは軽くガクを貶すような言葉を吐き引いたクジをモモに手渡した。

 

「これでいいのか? お? これはこれは、またも互角勝負だな」

 

受け取ったクジを開いたモモは、一瞬だけ感心したような声を出したが次の瞬間、物凄くいい笑顔になった。

あ〜、なんか物凄く嫌な予感がするのは俺の気のせいじゃないはずだ。

 

「肝試しゲーム! 私が考えて入れた対戦案だ!」

 

おお、モモの言葉を聞いてヤマが少しふらついたな。嫌な予感がしてというのもあるだろうが、辛そうだな。とりあえずまだ解熱剤は効いているようだが、ヤマとして早いとこ決着をつけたいところだな。

 

「あ、あのぉ」

 

まゆっちがモモに声を掛けたな。どうやら大和の状態を見て止めに入ろうとしているらしい。強く言い切れば恐らくモモもキャップも止めるつもりだろうが、果してまゆっちは言い切れるかな。

 

「どうした? トイレか?」

 

「い、いえ何でもないです」

 

結局言い切ることが出来ないまゆっちだった。後ろでヒロが呆れた溜息を吐いている。

心配なら声を掛けやればいいと思うんだが、どうやらヒロもヒロなりに考えがあるみたいだし、金曜集会の時も『対等だよ』と諭していたしな。それ以上はまゆっちの勇気に期待してるって事か。

 

「競技の説明をするから静かにしろ。騒いだら骨外すからな」

 

やけに気合入ってるなモモの奴。そういえば、もしクジが引かれたら自分が内容説明すると言ってたから、クジの紙には『肝試し』しか書いていなかったな。

と、そんな事を考えていたらモモが手招きしてきた。何だ?

 

「取り出したるは細長いチョコのお菓子ポッ○ー」

 

そう言って近付いた俺に手に持ったポッ○ーの端を咥えさせる。何だろう、物凄く嫌な予感がするんだが……

 

「ジンをお前たちに見立てる。端を自分で咥えて反対側の端を異性に咥えてもらう。そして異性が端の方からだんだんお菓子を食べていくので……」

 

予感的中! おいちょっとやめろモモ! みんな見てる! っていつの間に俺の頭を両手で固定した? いやだからやめろって! 恥ずか――

 

「ンッ」

 

ポッ○ーを咥えていたため声を出せず、心の中で抵抗の声を喚いたものの空しく、あっという間の速度でお菓子は食べていき瞬く間に俺の唇とモモの唇は重なってしまった。

 

見てる見てるみんなに思いっきり見られている。

 

ミヤ、カズの目を隠すのはナイスと言ってやりたいがガン見しすぎ。

ガクにタク、衝撃的なのは分かるが口を開けすぎ。

ヒロ、目線を逸らすのが速かったな。それぐらいの速さで止めてほしかったよ。

クリスにまゆっち、真っ赤になって顔を伏せるのはいいがチラチラ視線を感じるぞ。

ヤマ、何だその『どうしようもないバカップルだな』的な視線は?

キャップ、お前はそのまま純粋に生きてくれ。

 

ってオイ! モモ! 舌まで入れるな! いい加減にしろ!

 

「ぷは」

 

俺の雰囲気の変化を感じモモは唇を放した。だがそのいかにも『満足です』って顔が可愛いから何も言えないじゃないか。しかしあれだ、またしても羞恥のボーダーラインが下がりそうだ。これがモモの狙いかもしれない。

 

「顔が接近してくるのに何秒耐えられるかを競うチキンレースだ。口を離したらゲームオーバー」

 

「だったらキスする必要全くなかったじゃないか!」

 

キスしても何ら変わることなく説明を続けたモモに、タクのツッコミが即座に入った。まさにその通りだ。接近を何秒耐えられるかの勝負なら俺たちがキスする必要なんてない。

 

つまりモモ的には『ただ単にしたかった』。それだけの理由だろう。

 

「見つめ合って食べないと無効だからな。ははは」

 

「これは互角じゃなくて自分に不利な気がするが……」

 

上機嫌なモモに対し、クリスが若干不安げな顔で言葉掛けた。

確かにどこか潔癖なフシがあるクリスには重荷だろう。あの父親のせいで異性との触れ合いなんて殆どなかったに違いない。手に取るように分かる。

 

「いやぁ、恥ずかしいのは男も同じさクリス」

 

物凄くいい笑顔で言ってたら言葉に説得力ないぞヤマ。あれか。運が自分に向いてきたからいけると思っているのか? そうだとしたら甘いぞ。モモの提案した勝負がそう簡単なモノなわけないだろ。

 

「じゃあ俺から先にやるぜ。ほら、スクワットしているワン子! カムヒヤ!」

 

「カムヒヤ?」

 

「こっちに来い」

 

予想通りカズを指名したな。確かに異性なのは間違いないが、異性である事を殆ど気にしなくていい相手なんてこの中ではカズぐらいだ。

 

「これを反対側からゆっくり食べてこい」

 

「おー。いただきま〜す!」

 

案の定、ヤマが咥えたポッ○ーの反対側の端から、カズは言われた通りに食べ始めるが何の躊躇いもない。そのままゆっくり顔が近付いていっているが、ヤマもカズもお互いに何の羞恥も感じていない。

カズなんてヤマの肩に手を置いて最後まで食べ切ろうとしている。

 

傍から見たらキスする寸前の格好なんだけどな……

 

よく考えてみるとヤマとカズの身長差って、俺とモモの身長差と大して変わらないんだよな。て事は、俺たちも傍から見るとキスする時はあんな風に見えるってわけね。

 

そんなくだらない事を考えていたら唇が触れる寸前でヤマは顔を引いた。

 

「ざっとこんなもんだ」

 

「美味しいわね。大和、次は?」

 

「いや。もういい、スクワットに戻れ」

 

得意満面なヤマにもっとお菓子が欲しいのか催促するカズだったが、頭を撫でられ気持ちよさそうに目を細めたら、言われたままにヤマから離れてスクワットを再開した。

 

ヤマ……勝ったつもりでいるだろうがそうは問屋が卸さないぞ。忘れるな、この勝負はモモが作った(・・・・・・)モノだという事を。そんなに簡単な勝負なわけがないだろ。

 

「まぁ、今のそれ無効なんだけどな」

 

ほらやっぱり。

 

「なんでやねん!」

 

信じられないといった感じで声を上げるヤマの頭をモモは鷲掴みする。

 

「馬鹿野郎。なに勝手に相手を選んでるんだ。相手は私が平等かつ公平に割り振る。大和の相手は……」

 

「まさか“あいつ”はないよね?」

 

モモの言葉に恐る恐る問い掛けるヤマ。だがそんな怯えるような雰囲気に満足したのか、モモは物凄く上機嫌な声でヤマの相手を指名した。

 

「そういう奴を相手にしてこそチキンレース! 京! 出番だぞ!」

 

「ゲームとはいえ、もし、唇が合っちゃえば……もうそのまま責任とって結婚だね」

 

指名されたミヤは僅かに頬を赤く染めモジモジしながらも、ぶっ飛んだセリフを口にしながらヤマの前に歩み出た。うんミヤ、それは本当にストーカーみたいで怖いぞ。

対するヤマは貧血患者のようにふらりと上体が揺れる。体調の悪さも相まってマジで精神的にキツイのが来たな。後で骨は拾ってやる。頑張れヤマ。

 

「どうした弟。まさかこれもギブアップか?」

 

挑発めいたモモの言葉にヤマが体に力を入れて否定する。

 

「いや、やるよ姉さん。さすがに2度も逃げられん」

 

「そうだそれでいい」

 

大和の気概を褒めるような笑みを浮かべたがそれも一瞬、すぐにお気に入りの玩具をイジリ回すような底意地の悪い笑みに変わった。

 

「じゃあまずは大和が咥えて。はいあーん」

 

ミヤが差し出したポッ○ーを咥えたヤマだが、あの顔はなにがあろうとも絶対に唇を合わせないようにと決意したな。お前の気持ちは分からんでもない。たった1回キスしただけで人生の墓場に連れていかれたら堪ったもんじゃないだろ。

だがミヤはなかなか始めようとしなかった。

 

「どうしたやれよ京。カウントできねーだろ」

 

「まぁまぁ私も心の準備があるから1分は待って」

 

訝しげに問うキャップに時間が欲しいと答えるミヤ。しかし心の準備と言っても、常日頃チャンスを狙っているミヤにはあり得ない事だろ。

何か考えているのか? それとも本気の本気でヤマにキスするつもりか?

 

「1分ちょい経過。はじめるぜ? セットアップ」

 

1分経過して開始を宣言したキャップに、ミヤは素直に従いヤマが咥えていたポッ○ーの端を咥える。その瞬間、ミヤの顔が邪悪に歪んだのを俺は見た。

 

「スタート!」

 

キャップが開始を告げた直後、ミヤは咥えたポッ○ーを噛むことなく物凄い速さで一気に口の中に飲み込ませた。そこまでしてヤマの唇を奪いたいかミヤ……

ヤマもその殺気紛いのモノを感じ取ったのだろう、頭突きじみた勢いで迫るミヤの顔を、本当に間一髪で回避してみせた。

 

「あっぶね! つーか食う速度速いんだよ!」

 

「……ちっ、惜しい」

 

舌打ちまでしてそんなに悔しいのかミヤ。拙いな、どうにかして矯正させないと仲間内から警察に厄介になりそうなのが出そうな感じだ。ストーカー行為は犯罪だぞミヤ。

 

「ヤマの記録は1秒ジャストだな」

 

「ふふふ。たった1秒以上耐えればいいのか、この勝負、もらったな」

 

結果を聞いて既に勝ち誇っているクリス。自分の時どうなるかって考えが全くないね。不公平だと不満を口にするヤマにモモが耳打ちしてるけど……なるほど“あいつ”が相手ならクリスもきついぞ。ヤマも納得してるし。

 

「見て。ここ大和がさっき1分間口をつけてた場所」

 

まだ食べていなかったのかミヤは勝負に使ったポッ○ーを手に持ち、反対の手でヤマがずっと咥えていた個所を指さす。

 

「それが何だと言うんだ」

 

「ふふっ……ぺろぺろ……れろ」

 

嫌な予感がしたんだろう、顔を歪ませて問い掛けるヤマに勝ち誇ったような、優越感に浸ったような笑顔を浮かべたミヤは、嬉しそうに舌を伸ばしてヤマが咥えていた場所を舐めた。

 

以下はヤマの電話での会話です。

 

 

「はい、こちらゴールデンウィーク青年相談室」

 

「幼馴染みの女の子に……ストーカーされてるんです」

 

「ほう、ストーカーねぇ」

 

「はい。確かに顔は凄く綺麗だけどその分、性質が悪いというか……この前なんか俺を起こす時にバスト84の胸を顔に擦りつけながら――」

 

「自慢なら他でやれやぁあああ! こちとら女と同棲しようとして部屋借りたら女が『実は本命の彼がいて貴方とはお遊びだったの』と言ってフってきたんだよぉ!」

 

「見捨てている国に逆に見捨てられらたとは皮肉な」

 

 

確かに自慢にしか聞こえないな。電話を取ったお兄さんも強く生きてください。貴方にはきっといい出会いが待っていますよ。人類の約半分は女性ですからね。

 

「では自分の番だな。フッ。1秒。軽い軽い」

 

勝ちをすでに確信しているクリスは上機嫌だ。まあ、相手が“あいつ”だと知らないからの余裕なんだろうな……と思っていたら何やら相手を選びだした。

 

「それでは相手だが。んー…………ジン兄殿頼めるか?」

 

タクはクリスの視線が自分を捉えたのを見て小さく体を震わせたが、すぐに外されて俺が指名されたのを見て、安堵したようながっかりしたような溜息を吐いた。

ていうかクリス、ルール忘れてるだろ。

 

「だからなに勝手に相手指名してるんだ。そういうゲームじゃないからコレ。そ・れ・と。私がいる目の前でジンを指名とはいい度胸してるなクリ?」

 

「はいストップ。落ち着こうなモモ」

 

俺を指名したことでクリスにヤバい感じに殺気を放とうとするモモを横から抱き締める。空気読めないクリスだからもしかしてと思っていたが、まさに予感的中するとは思ってもいなかった。あらかじめモモの横にいて助かったよ。

そう思うだろ、クリス?

 

少しだけ殺気をあびたのだろう、冷や汗を流して2・3歩後ずさりしているクリスに安心させるように苦笑い浮かべて頷いてやった。あからさまにクリスは安堵の息を吐いた。

 

「で、では、自分の相手は?」

 

恐る恐る問い掛けてくるクリス。どうやらモモが誰を指名するのか何となく分かっていたからヤマと同じような行動に取ったようだ。モモも俺に抱き締められている事と、そのクリスの表情に溜飲を下げたのか、途端に面白そうな笑顔を浮かべた。

 

「クリの相手は自称ナイスガイ、ガクトだ!」

 

「はぁぁい! ご指名入りましたぁぁ!」

 

モモの指名に上機嫌の答えて何故か上着を脱ぐガク。

 

「なんで脱ぐの!? それじゃあ本当にただの変態だよ!」

 

まゆっちに見せないため庇うように前に出てガクに苦言を呈するヒロ。格好いいな、まゆっちの好感度上昇中だぞ。ガクの裸を見てなのかヒロの行動に対してなのかは分からないが、顔を赤くしてヒロの背中に隠れているまゆっちだった。

 

さて、結果は何と言うか予想通りの展開になった。

 

上半身裸で鼻息荒く待ち構えるガクの気持ち悪さに耐えきれなくなったクリスが、ポッ○ーを咥えることなくガクの顎に掌底を放ちノックアウトさせた。

記録もポッ○ーに口すら付けてないという事で0秒。ヤマの勝ちになった。

 

  side out

 

 

  side 黛由紀江

 

大和さん、相当具合が悪そうです。

 

クリスさんにはばれないように取り繕っていますが、時折ふらついていますし、顔色も勝負を開始した時より明らかに悪くなっています。

モモ先輩も京さんも気付いているのに何故か止めようとしません。

 

(きっと大和の男気を無駄にしたくねーんだよ)

 

分かっています。部屋で大和さんの覚悟は私もこの目で確かめました。でも、だからと言って今は無茶をする時ではないはずです。

確かにお互いの信念を掛けた真っ向勝負なのかもしれませんが、これは言い換えればただの喧嘩じゃないですか。体の調子を無視してまでやることに何の意味があるんですか?

 

ああ、次の試合が始まってしまいました。

 

クリスさんが引いたクジはどうやら選択できる勝負のようで、クリスさんは神経衰弱とポーカーの2択から神経衰弱を選びました。

 

(賭けごと嫌いなクリ吉らしいけど、大和にとっちゃ冗談じゃない文字通りの『神経衰弱』になりそうだぜ)

 

ジン先輩とキャップさんがシートを広げてトランプをばら撒いているその間も、大和さんは辛そうに息を吐き倒れそうになる体を何とか支えている感じです。あんな状態ではめくったトランプの数字を記憶なんてできっこないですよ。

 

モロさんが先ほどから心配そうな視線を送っていますが、大和さんはそれに気付いても問題ないと小さく首を振るだけです。

 

そして勝負が始まりました。けど大和さんが不利なのは明らかです。クリスさんも記憶力がいいらしく位置が分かり始めたら殆ど取りこぼしをされません。

 

「大和少しやばそうだな。熱が戻ってきたか」

 

「あ、気付いた? うん、相当きていると思うよアレ」

 

ガクトさんとモロさんが私の隣で大和さんの体調を心配しています。でもそれなのにどうしてみなさん止めようとしないんですか? 無理を押してまでやっている大和さんを見てなにも思わないんですか?

 

「まゆはどうしたいの?」

 

訳が分からなくなった私に、タカさんが声を掛けてきました。

 

「僕は言ったよね。『対等の仲間』って」

 

その言葉に小さく頷きます。確かに金曜日の事件の時に(へりくだ)って出た私の言葉を遮って、タカさんは『僕たちは対等の仲間なんだ』と仰いました。でも今これって対等の仲間のやる事なんですか?

 

「僕は大和君の意地が分かるから何も言わない。心配だけど、大和君が自分からやめない限り僕は止めない。これも仲間を対等に尊重しているからそこなんだ」

 

分かります。みなさんが大和さんの事を思っているのは見ていれば分かります。でも……

 

「でもねまゆ。僕がそう思っているだけで、みんなは別の思いがあって大和君を止めないんだと思う。同じ思いに同調しているんじゃなくて、みんなそれぞれの考えがあって行動しているんだ」

 

それは……

 

「まゆの気持ちは分かるよ。心配だから止めたい。無理してまで戦い(こんなこと)をするのは仲間じゃない。確かに僕にもその思いはあるよ。でも勝負(これ)が必要な事だとも思っている。大和君のためにもクリスさんのためにもね」

 

それじゃあどうすればいいんですか? 大和さんのためクリスさんのため、みなさんお2人を尊重してなにも言い出さないのならどうしようもないじゃないですか。

 

「でも尊重する事だけが対等って事じゃないよ」

 

え?

 

「何でも言いたい事を言う。それも“対等”だよ、まゆ」

 

あ……そういう事だったんですね。

みなさんは私に対等な位置に立てる場所を用意してくださっていたんですね。

 

考えれば私が恐る恐る言い出そうとしていた時も、みなさんちゃんと聞いて下さっていました。それなのに恐縮して言い出せなかったのは他ならぬ私自身じゃないですか。

 

後は、私の“勇気”だけだったんですね。

 

ああ! 大和さんが咳き込み始めました! い、今行くべきですよね松風!?

 

(そうだぜ! まゆっちの勇気を見せてやれ!)




あとがき~!

「第79話終了。あとがき座談会、司会の春夏秋冬 廻です。今回のお相手は――」

「引き続き、暁神です」

「はいよろしく。さて今回のお話ですが大和VSクリスの勝負、第3試合と第4試合をお送りしました」

「お送りしましたって、第4試合の描写殆どなかったじゃないか」

「由紀江視点からだったからね」

「さらに第3試合で全体の4分の3も使ってるしな。しかもガクとクリスのシーン端折ってるし」

「いやそれがな。原作通りにやってたら思った以上に長くなっちゃったんだよ」

「なにが原作通りだ! 俺とモモのキスシーンなんて必要ないだろ!?」

「いや、百代ならやりそうな気がしたんだよ。この物語を考えた時、あの時に百代に彼氏がもしいたら絶対に見本としてやってキスすると思ってたらかね。その空想・妄想を現実にしたまでだよ、あっはっはっは」

「笑い事じゃねぇよ!」

「まあそれは置いといて、と。最後の由紀江視点のシーンですが、結局、緋鷺刀に背中を押される感じとなりました」

「本来なら1人で勇気出して言うんだよな?」

「原作ならね。松風の応援?も入っているけど。でもせっかくこの物語では緋鷺刀がいるんだからちょっと介入してもらいました」

「着実にまゆっちの中でヒロの高感度が上昇しているな」

「今のところ上限知らずでしょ。凛奈さんの爆弾発言もあるしな。もはや由紀江の緋鷺刀への好意は刷り込み(インプリンティング)に近い」

「ひな鳥が最初に見た動くものを親と思うってやつか?」

「意味は違うんだけどね。初めての友達、しかも異性。なにも言わずに松風を受け入れてくれて、初めて穏やかに接する事が出来た相手。初めて自分自身そのままで接する事のできる相手。由紀江にとって緋鷺刀って物凄く大切な存在になりつつある」

「それなのにまだそれに気付いていない」

「お互いにね」

「もどかしいな」

「本当にそうだね。では次投稿もよろしくお願いします。大和VSクリス。決着……かも?」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。