真剣に私と貴方で恋をしよう!!   作:春夏秋冬 廻

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第91話投稿。


第91話 京の心、その想いの居場所

  side 椎名京

 

外の世界はつまらない。

 

必要なのは自分の心が許せる内側の世界だけ。

 

他人は疲れる。

 

必要なのは自分が自分らしくいられる仲間だけ。

 

私には愛する人と優しい仲間がいれば他には何もいらない。

 

他人との付き合いも。世界との繋がりも。

 

私に必要なのは“みんなと秘密基地(たいせつなせかい)”だけでいい。

 

鏡を見るとどうしてもあの女の顔を思い浮かべてしまう。

 

似ている自分がどうしようもなく滑稽に思えてくる時もある。

 

でも私はあの女のようには絶対にならない。

 

他人と関わらなければそもそも問題なんか起きない。

 

私はただただ大好きな人だけを想い、それを知っているみんなと過ごす事が出来ればいい。

 

内側の世界(わたしのせかい)は私を傷付けない。

 

閉ざした世界(わたしのせかい)は私に優しい。

 

変わらない世界(わたしのせかい)は私の望むもの。

 

それが――椎名京の世界(わたしのせかい)の真理で絶対だ。

 

 

 

          §  §  §

 

 

 

――2009年 5月14日 木曜日 PM4:30――

 

過去の記憶(あくむ)を見ている。

 

――強いて言うなら(サガ)よねぇ。私だってそうしたくないけど、何故か欲しくてたまらなく歯止めが利かないのよ――

 

あんたの言葉は全て気に障った。あんたのせいで私の幼少期はは最悪のひと言だった。きっと大和たちに会わなければ今の私はこの世界に存在していないだろう。

 

――私は貴女が嫌いよ。見た目が私にそっくりだもん。戻れない若い頃を思い出して嫉妬の嵐だわ――

 

私もあんたなんか大っ嫌いだ。そっくりと言われて嬉しいと思った事なんか1度もない。あんたの娘として生まれてきた事を私は幸せだと思った事すらない。

 

――ふ、むかつくガキ……ほんとアタシにそっくりだわ――

 

そうだね。それだけは認めてあげてもいい。お互いを好きになれないってところだけは本当にそっくりだねクソババア。

 

――断言してあげる。男と女の友情って適応されないよ。特にあんたのような女がいるならね――

 

知った風な口を聞くな。あんたに私の友達の何が分かるっていうんだ。私は絶対あんたと同じにはならない。間近であんたの事を見ていたんだ。誰があんたと同じになるものか。

 

――私の子だから分かるわ。あんたのせいでその男女グループ、ボロボロになるよ。あんたが男を惑わしたりして力関係が狂って――

 

ならない! 風間ファミリーはボロボロになんか絶対にならない! みんなの事、何も分かってないのに好き勝手い言うな!

 

――ふん、どーだかね――

 

いいからさっさと出ていけ。ここにあんたの居場所なんて最初っからなかったんだ。とっとと出ていって結局同じこと繰り返して野垂れ死ね。

 

――なんつー目付きするの母親に向かって。あー不幸だわ。あんたなんて産むんじゃなかったわ――

 

不幸はこっちだ。子どもは母親を選べないんだ。あんたの娘として生まれてきた事が私の最大の不幸だ。

 

結局それが、私と母親(あのおんな)が交わした最期の言葉になった。

 

 

そこで目が覚めた。

 

周りを見渡してみるとここは放課後の教室だった。大和が机に伏せって寝ている。そういえば起きるのを待ってるのも暇だったから本読んでたんだった。その途中でうとうとしていたみたい。

 

でもなんていう悪夢。あんな女の事を夢に見るなんて。

 

夢の中で夢だと理解できたのはとても簡単な理由だ。母親(あのおんな)はもうこの世にはいない。

 

あいつは半年前、あっさりと病気で死んだ。私は死んで清々して嬉しいぐらいだったのに、1番裏切られたはずのお父さんは凄く悲しんで泣いていた。

 

あんなに浮気されていてもお父さんはあの女が好きだったらしい。悲劇を通り越して喜劇とすら思った。でもその一途さは自分に遺伝してると思う。

 

だって私は大和以外の男を想った事はない。というより私にとって直江大和以外は男ですらない。

 

悔しいけど容姿はあの女と似ている。鏡を見る度に似ていく自分を呪っていた時期もあった。でもそのおかげで凄く女らしい肉体(からだ)を手に入れる事が出来た。そこだけは感謝してやってもいいかもしれない。

 

あの女の淫らな(みとめたくない)部分も似てきているのはどうしようもないけど、私には同時に一途なお父さんの血もちゃんと流れている。

 

エッチな身体だけど一途な愛。なんていい響きなんだろう。

 

まあ、キャップやジン兄、ガクト、モロ、タカは男と認めてもいいけどそれ以前に仲間だからね。意識する事すらない。

 

そんな事を考えながら本を呼んでいる。ちなみに凛奈さんお勧めの愛憎取り巻くミステリーだ。なかなかのチョイスだね。

 

「あの、椎名ちゃん」

 

委員長の甘粕さんが駆け寄って声を掛けてきた。返事をするのが面倒臭いから視線を向けるだけで答えると、私の意図をちゃんと察してくれたらしい。世の中こんな人たちばかりだと疲れないんだけどな。

 

「これからみんなで仲見世行くんですけど。一緒に行きませんか?」

 

そういう事ね。この子は結構こういう風に誘ってくる。委員長としての使命なのかこの子自身がそういう性格なのか……たぶん後者だと思うけど面倒見がいいんだ。

 

でも私からすれば鬱陶しいだけだ。

 

「……いい」

 

簡潔に答えて本に目を戻す。無駄に他人と付き合うつもりはさらさらない。たとえそれがクラスメイトであってもだ。

 

「あ、あぅ……そうですか」

 

委員長はしつこく誘う事なく引き下がった。少し悲しそうな顔をしていたけど私には関係ない。あの子も本当に諦めないね。何度か誘ってくるけどいい加減無駄だって分かんないのかな。

 

なんか向こうで委員長と小笠原さんとあと誰だったけ? ああ、確か羽黒さんだったっけ。その3人が何やら私の事で話し合っている。

 

「つーか椎名、何考えてるか分からねーし!」

 

「ちょっ、羽黒声大きい!」

 

別に気にしないし気にもならない。他人に自分の考えを分かってもらおうだなんて思った事なんか1度もない。私の事を分かってくれるのは風間ファミリーのみんなだけでいい。

 

特に大和には私の考えていること全て知ってほしいけどなかなか上手くいかない。なんか絶妙なところでスルーされてる。

 

それに比べてジン兄とモモ先輩は羨ましいなぁ。お互いのこと何でも分かってそう。ジン兄も元々そういう性格だけど、モモ先輩ってああ見えて人の心の機微っていうのかな、そういったものに敏感でよく見ているんだよね。

 

「んだよ、ファックな気分。サガるわ~」

 

「気にしないでね椎名っち、じゃあね~」

 

「また明日です」

 

気にする以前って感じだったから無視していたら3人は教室から出ていった。小笠原さんと委員長は声を掛けてくれたので、一応頷いてはおく。挨拶に対していだけは最低限、返しておかないと後で大和に無視されてジン兄に説教されちゃう。

 

ジン兄の説教は怖い。別に声高に怒鳴ったりくどくど言葉を言い募る事はしない。言い聞かせたい事を簡潔に言うだけ。ただし常に笑顔で。

 

その笑顔が物凄く怖い。なんて言うのかな、『目が笑っていない』っていう意味が初めて分かった笑顔だったねあれは。

 

「邪魔するで候」

 

「主将」

 

今度は弓道部の主将が来た。また催促だねあれは。

 

私は一応、弓道部に所属している。タカと同じで頼まれて入っただけで義理なんてものは存在しない。私はだた弓の腕を鈍らせないために入ったに過ぎないし。

 

「椎名、たまには部活に顔を出すで候。お前の腕をみんなに伝えて欲しく候」

 

やっぱり思った通りだ。

 

「……パスします」

 

「……明日は?」

 

食い下がってきた。面倒くさいな。

 

「考えておきます」

 

「待っているで候」

 

無駄たと悟ったのか、当たり障りのない返答に少しだけ肩を落として主将は教室から出ていった。何を期待していたんだろうねあの人。

 

ていうかあの人、なんで部の中と外で言葉づかい使い分けてんだろ。疲れる生き方してるねホント。

 

「椎名、今日も部活には行かないのか?」

 

今度は小島先生。主将が教室から出ていくのを見て私に声を掛けたんだと判断したんだろう。この先生、いつも鞭を使っているけど一応弓道部の顧問なんだよね。

 

今日は何なんだろう。悪夢を見て、関わりたくない他人に誘われ、自己鍛錬のためだけに入った部の主将に催促され、最後は先生。今日は厄日なんだろうか?

 

「小島先生、入部条件は私が気が向いた時にだけ行ってもいい、だったはずだけど……」

 

「ああ、だから強制はしない。頼んでいるんだ。ふるいに掛けられた1年生を見てほしい」

 

ああ、本当に面倒くさい。私は慣れ合うために部活に入ったんじゃない。懇願されて大和に言われて仕方なく、でも自分の鍛錬のためになると思ったから入ったんだ。

小島先生だって頼んでも無駄なの分かってるはずなのに。

 

「……では良き日を選んで行きます」

 

「すまんが頼む」

 

面倒くさくなった時は当たり障りのない返答に限る。答えを返せば変な相手でない限りそれ以上突っ込んで言葉を掛けてこない。

 

『善処します』『誠意努力します』『見計らってやります』等々。曖昧で答えを先延ばしにする政治家お得意の返答だけどこういう時は役に立つね。

 

小島先生がいなくなって教室には寝ている大和と2人っきり。

 

大和と起こすつもりはない。こんな風にゆったり流れる時間は嫌いじゃない。まるで本当に世界から隔絶されているような感じがして好きだった。

 

そうだ、大和が起きたら基地に行こう。金曜集会じゃないけどきっと誰かいるはずだし、いなくてもクッキーが警備でいるもんね。

 

放課後の教室。なんか少しだけうなされている大和を横目で眺めながら、私は穏やかなで緩やかな2人の時間を楽しむように、ゆっくりと本の続きを読み始めた。

 

  side out

 

 

  side 師岡卓也

 

秘密基地でジン兄と2人、金曜日にみんなでやろうと言っていたゲームのダウンロードクエスト配信の予習をやっていたら、京がやってきてすぐ後に大和も来た。

 

まあ、京は大和が部屋に入る前に屋上に行っちゃったんだけどね。

 

「なにやってんだ? モ○ハン?」

 

「うん、新しいダウンロードクエスト配信されたじゃない。あれ予習しておこうと思ってさ」

 

「兄弟は?」

 

「まあ、今時の日本人男子高校生の日常社会復帰のためのリハビリだ」

 

何やら難しい言葉を使って持っていた携帯ゲーム機を大和に見せるジン兄。リハビリって間違っちゃいないけどなんでわざわざそんな言い方をするんだろうね。

 

でもこの人、ゲームでも規格外だよね。始めて2週間した経っていないのにもう僕より圧倒的に操作が上手い。格ゲーなんて何度パーフェクトで負けた事か。

 

唯一、ファミリー内で誇れる事もあっという間にジン兄に抜かれるなんて……まあ、この人は普通の人間の規格の外に存在するに人だからね。比べるだけ無意味って感じかな。

 

「はい大和。コーヒーが入ったよ」

 

「ありがとうクッキー。京は?」

 

コップを受け取りながら大和が先に部屋に入ったはず京の事を尋ねてきた。

 

「屋上でボーっとしてるみたい」

 

「京はあそこからの夕日が大好きだからねぇ」

 

クッキーの返答に付け足すように僕も答える。

 

このビルはここらの建物では結構高い方で、屋上に行けば見晴らしもなかなかもの。とくに夕暮れ時になると工業地帯と海が広がる景色は街中ではあるけど見てみる価値はあるんじゃないかな。

モモ先輩も好きだって言ってたし。

 

「ねぇねぇジン、大和。僕は京を見ていると心配なんだ」

 

「いきなりどうした、クッキー?」

 

大和にだけじゃなくジン兄にも聞く辺り、クッキーもジン兄の僕たち風間ファミリーので立ち位置を理解したみたいだ。まあ、力だけじゃなくて精神的にも僕たちのヒエラルキーの頂点に立ってるからねジン兄は。

 

「だって京は余りに大和一途じゃないか。もしも大和が他に恋人を作ったらどうなる?」

 

それは僕たちみんなが思っていた事だ。でもどんな結果になるかも分かっている。大和もジン兄もきっとそれは理解していると思う。

 

「考えるだけでも恐ろしいが……うぬぼれた言い方かもしれないが、たぶん変わらないよ」

 

「だな、騒いでヤマに嫌われるよりもチャンスを待ち、再び仲良くなろうと狙うだろうなミヤだったら」

 

やっぱり2人とも同じ事を考えてた。でも本当にそんな感じだね京は。まず何より大和ありきだし、自分の行動で大和が気分を害するような事はしないはず。

 

でもそうなったらより一層、他の人との繋がりを持たなくなりそうでちょっと怖いんだけどね。

時々、京の存在が透けて見える感じを受ける時がある。僕がよく言われる『影が薄い』っていうのとは全然違う、まるで自分から周りを拒絶して存在感をなくそうとしているみたいに。

 

ちょっとゲーム的な表現になっちゃったけど、京にはそんな感じが時々していた。

 

「大和は京と恋人になる気はあるのかい?」

 

何度もモモ先輩やワン子が聞いてた質問をクッキーも大和に投げかけた。

 

確かにそれが1番手っ取り早い方法だと思う。大和が京の想いに答えてあげればきっと上手くいくはず。でもたぶん、大和はそうしないんだろう。

 

「俺は京を助けた。が、別に付き合うために助けたんじゃない。あいつには広い視野を持ってだな――」

 

「もう僕それ聞き飽きたよ! とにかく京は大和が好きなんだから想いに応ええばいいじゃないか! 大和に誰か好きな人がいるなら分かるけど、でもいないなら京の想いを受け取っても――」

 

「クッキー」

 

いつも通りの大和の返答に興奮するクッキー。だけどジン兄の声に言葉が止まる。

 

張り上げた声でもなければ張り詰めた声でもない。ただただ呟くような声だったのにこの部屋の雰囲気を一変するほどの力があった。

 

思わず僕と大和も視線を向ける。ジン兄は変わらずゲームを続けて視線も画面を見たままだった。それでも意識が僕たちの方に向いている。何故だか僕にもそれが分かった。

 

「ヤマは真剣にミヤの事を考えているからこそだ。一途過ぎる想いに対する答えは、向けられる方にもそれなりの覚悟が必要なんだよ。受け入れるにしても断るにしてもな」

 

そう言い終えたジン兄が僕にゲーム機を返してきた。

 

あ、クエスト終わってる。あ! 僕の方は敵にやられてた! 僕たちの話に耳を傾けて言い聞かせるように言葉を発しているのに、変わることなくゲームを続けれるなんて……本当に凄いな。

 

「兄弟?」

 

立ち上がり部屋を出ていくジン兄に大和が声を掛ける。それに対して天井を指さすジン兄。

 

「ミヤの所に行ってくる。ちょっと話したい事あるしな」

 

そう言って部屋を出て行ったジン兄を見送った後、ちょっとの間だけ静寂が部屋を覆った。それを破るように大和が大きく息を吐いた。大和の気持ちが分かる分、ちょっとだけ同情してしまう。

 

「大変だよね。想いを向けられる方も」

 

「まあな。中途半端にだけはしたくないからな。兄弟が言ったけど、受け入れるにしろ断るにしろ、きちんと答えを出さなきゃな」

 

仲間としては京の想いも大事だけど、それに応えなきゃいけない大和の大変さも分かってあげたい。僕たちに想像なんて出来ないだろうけどね。

 

  side out

 

 

  side 暁神

 

「黄昏てんなミヤ」

 

屋上の落下防止のフェンスの上に腰かけ、夕焼けを眺める背中に言葉を掛ける。その視線は本当に夕焼けを見ているんだろうかね。

 

「落ちたらお前といえど死ぬぞ」

 

「そうなる前にジン兄が助けてくれるでしょ」

 

信頼されているんだろうな。本当に落ちそうになったらもちろん助けてやるけど、ミヤなら何とかできるだろ。こいつも何かと凄いからな。

 

「それで? 何か愚痴りたい事でもあるんじゃないのか?」

 

「学校……つまんないなぁって……」

 

思ってた通りの言葉が返ってきたな。やっぱり中学3年間、みんなと離れていたせいで小学校の頃より他人への排他主義が酷くなってる。そろそろ修正しないとヤバいか。

 

「俺たち以外の人たちとも交流してみろ。クラスメイトともそれなりに心を開けば学校も楽しくなるぞ」

 

言葉で言って聞く事はないとは分かっている。ヤマやモモがそれこそ去年1年間、同じことを何度も言って聞かせたらしいからな。ヤマの言葉にすら従っていないんだから俺の言葉に頷くはずがない。

 

「必要ない。私には風間ファミリーが、そして大和が全て。他には何もいらない」

 

分かっていた答えとは言え、はっきりと本人の口から出るとやっぱり考えてしまうな。でも言い聞かせられないのなら気付いてもらうしかないな。

 

ミヤが抱えている想いの矛盾に。

 

「なあミヤ。お前にとってヤマが全てだって言うが、世界に男はヤマ以外にもたくさんいるんだぞ」

 

「私にとって直江大和以外は男じゃない」

 

「それまでしてヤマが好きか?」

 

「うん大好き。大和だから大好き」

 

やっぱり気付いていない。

 

さっきミヤは『大和だからだ好き』と言った。何もおかしなところはない。人を好きとはそういう事だ。俺とモモだってお互いだから好きで愛おしいんだ。

 

だが、ミヤの言葉は俺たちとは全く違う意味だ。それに気付かせなければならない。

 

「ミヤ」

 

「なに、ジン兄?」

 

俺の真剣な雰囲気を感じ取ったんだろう、フェンスから下りて向き合うように振り返り、真正面から俺を見た。聞く態勢が出来なのなら遠慮くなく言わせてもらおう。

 

「ヤマを好きだと言うなら。どうして好きになったかを思い出せ」

 

「どういう意味? 私は大和だから――」

 

「宿題だ。ちゃんと思い出せよ」

 

疑問・反論を受け付けるつもりはない。ミヤの言葉を遮って言いたい事を言い終え、俺はきびすを返して屋上を去る。

 

困惑している気配を屋上に感じるが、今回ばかりはちょっと厳しくいかせてもらう。ミヤ自身に気付いてもらわなければならない。

 

その想いは恋から生まれたものじゃないんだって事を。

 

人を好きになる過程は『何故好きになった』から始まって『だから好き』に変わっていく。だけどミヤには始まりの部分を飛ばしてしまっている。それがさっきの『大和だから好き』の言葉に表れていた。

 

ミヤの想いは刷り込み(インプリンティング)だ。

 

イジメられていたのをヤマが助けた時、恐らく初めて父親以外の異性に抱き締められ護られたんだろう。それがあまりにも強烈過ぎて、当時のミヤはその感情を恋と思ったんだろう。

 

その時から、始まりの理由のない恋が生まれたんだろう。

 

確かに、今のミヤはヤマに恋をしてるんだろう。それを否定するつもりはない。ちょっと行きすぎたところはあるが、ヤマといる時にミヤの雰囲気は『恋する女』そのものだと思う。

 

だからそこ矛盾に気付いていほしい。そうしなければ、ミヤ本人だけじゃない。受け入れるにしろ断るにしろ、想いに答えを出すヤマも傷つけてしましそうな気がして仕方がない。

 

あとは本人たち次第だが……仲間依存その他排他主義もあるし、もう少し様子見てヤバくなりそうならそれとなくフォローに入るか。




あとがき~!

「第91話終了。あとがき座談会、司会の春夏秋冬 廻です。今回のお相手は――」

「椎名京だよ」

「今回のあとがきに京がゲスト、怖いのですが行ってみましょう! さて今回のお話ですが――」

「納得いかない。なにあれ?」

「今回は君の心情に少し触れてみたんだけどね」

「それは別にいいんだけど、最後のジン兄とのやり取りっていったい何なの? 私の大和への想いを疑うの?」

「疑っていないけど、原作やってて作者が感じた事をそのまま神に代弁してもらたってわけ」

「あんな風に感じたんだ」

「そういう事。もちろんこれは作者が勝手に感じた事ですのであまり深い意味はありませんのでツッコミはなしでお願いします」

「読者の反応が怖いんだね」

「不興を買ったらまずいからね。では次回でまた会いましょう」

「終わるの早いね」

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