ワンパンマン×甲鉄城のカバネリ ~if   作:Jack_amano

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甲鉄城のカバネリの最終回みて思わず書いちゃいました。





ワンパンマン×甲鉄城のカバネリ ~if

 一筋の凄まじい輝きの光が降ってきた時、生駒(いこま)達はこれからどうするか、爆走する装甲機関車『甲鉄城(こうてつじょう)』の中で思案中だった。

 

 将軍の息子である美馬(びば)の裏切りによって、日ノ本の守りの(かなめ)である金剛郭(こんごうかく)カバネ(ゾンビ)に奪われ、大勢の避難民を乗せたまま、補給もままならぬままに逃げだして来たのだ。

 走り続けねば、いずれカバネに追いつかれる――― どこかで食物と水、燃料を手に入れなければならない。

 だが人である事と引き換えに、超人的なカバネの力を手に入れたカバネリの生駒(いこま)穂積(ほずみ)がいても、カバネに乗っ取られた駅と呼ばれる砦…に入って目的を達成するのは至難の業だった。

 一体どうする? このまま当てもなく甲鉄城(こうてつじょう)を走らせていては、いずれ全滅だ。

 そんな時―――見張りの者が、銃口がかろうじて出るほどしかない覗き穴から金色の光を引いた玉が空から落ちてきたのを見たのだった。

 

 激しい音と共に、甲鉄城(こうてつじょう)に振動が走る。

 線路の上を爆走していたのが災いした。

 事態を察知した機関士が、いち早く内通管に向かって叫ぶ。

「つかまって下さい!衝撃がきます!!」

 耳をつんざく様な金属音―――車体はブレーキなぞ意に反さず、大きな音を引いて滑っていく。

 地鳴りによって、甲鉄城(こうてつじょう)は脱線してしまったのだ。

 

 直ぐ様、甲鉄城(こうてつじょう)の主―――細い肩に全ての責を負う少女、四方川 菖蒲(よもがわ あやめ)は、周囲の警戒と、脱線からの復旧、落ちてきた光の正体を探るべく、探索隊を出す事にした。

 

 

 

 

 

 巨大なクレーターの中に、ハゲた若い男が立っていた。

 彼の名はサイタマ、彼の世界で、趣味でヒーローをしていた男だ。

 生駒(いこま)達の和風な様相とは違う、見たこともないような服を着ている。

 ボロボロになった黄色いツナギ、かろうじてマントと分かる白い肩掛け、彼は大事そうに胸に抱えていた若い男に話しかける。

 その男もまた、生駒(いこま)達が見たこともない―――鋼鉄の身体を持つ男だった。

 

「生きてるか?ジェノス」

「はい…先生」

 彼らは、彼らの世界のラスボスともいえる厄災、『レベル神』と戦い、これに勝った。

 あまりの激しい戦いに、時空は裂け、地表は荒れた。勝ったとは言え、被害は甚大だった。

 

 それよりもサイタマを失望させたのは――― 守った筈の人々に、次の『レベル神』扱いされた事と、もうこの世には、彼に勝てる敵はいないという事実だった。

 彼は死に逝く『レベル神』にされるがまま… 共に、時空の裂け目に落ち込んだ。

 正直もう、どうでもいいと思った。

 彼の弟子―――『鬼サイボーグ、ジェノス』が、サイタマを救う為に、単身、時空の穴に飛び込んで来るまでは―――

 

「GPSが起動しません。どうやら衛星が存在してないようです。ですが落下の際に見た限りでは周囲50キロ内に都市はありません」

「そうか」

 十徳ナイフのように様々な機能のついているジェノスを、サイタマは疑ったことがなかった。

 彼がないと言えば、本当にないのだろう。

 

「ただ――― 左十時方向に、高エネルギー反応があります。今は止まっていますが、先ほどまでかなりのスピードで移動していました」

 いつまでもここにいたって仕様がない。

「よっしゃ。取り敢えず行くか」

 サイタマはいつものようにのんびりと、総重量200㎏の彼の弟子を抱えたまま歩き出した。

 ここが―――彼の友達『キング』から借りて、まだ一度もクリアー出来た事がないゲーム、『バイオハザード』のような世界とも知らずに―――

 

 

 

 

 

 甲鉄城(こうてつじょう)では、技術者の間で、軽い恐慌が起きていた。

 ここは山の中。

 重機機器(クレーン)などある筈がない。脱線を直す方法が見つからないのだ。

 いくら力があるとはいえ、生駒(いこま)達カバネリの力だけでは甲鉄城(こうてつじょう)を線路に戻すのは難しい。

 だが、このままここにいれば、確実にカバネ達が押し寄せてくるだろう。

 そこに、また、事態を混乱させる一報が入ってきた。

 「菖蒲(あやめ)様!森の中からおかしな格好をした坊主がこっちに向かってきます!」

 ここは古戦場跡、多くのカバネが潜む山の中だ。普通に考えても、人がいることはおかしい。

 だが――― 保護を求める人だとしたら、放っておく事もできまい。

 自分の保身のためだけに、弱者を切り捨てる者は――― 容易(たやす)く人以外のモノとなる。

 それは菖蒲(あやめ)が、カバネとなっても人の心を失わずにカバネリとなって人を守り続けた、生駒(いこま)達と旅をして得た教訓だった。

 

 甲鉄城(こうてつじょう)の高見に登って遠眼鏡で見てみると、確かに怪我人らしき者を抱えたおかしなハゲ頭の男ががこちらに向かってきている。

 子坊主…というには年がいっている。が、袈裟(けさ)も着ていない。

「Ou!アレハ私ノ国ノ衣装デスネェ!」

 いつの間にか隣にいた技術者の鈴木が声を上げた。

「では、あれは外国(とっくに)の方?」

 外人のように見え、片言の日本語を喋る癖に鈴木と言う名である男は『ワカラナイ』というようなジェスチャーをする。

 その時、菖蒲(あやめ)はまだ距離はあるが、坊主の後ろにカバネの姿を見つけた。

「カバネです!拡声器で警告を!来栖(くるす)!御坊堂をお守りしてお連れして!」

 勿論、坊主と呼ばれていたのはサイタマだ。

 坊主とかハゲとか言われる事を滅茶苦茶気にする男だったが、菖蒲(あやめ)はそれを知る由もない。

 来栖(くるす)と呼ばれていた、菖蒲(あやめ)の従者である若侍は、軽く頭を垂れると脱兎(だっと)の如くに駆け出した。

 

 

 

 スピーカーから流れてくる女の声に、サイタマは首を傾げた。

「なんだあれ?」

「カバネ―――とか言ってますね。急いで…駿城(はやじろ)まで逃げてこいと。駿城(はやじろ)とはあの機関車の事でしょうか?」

「カバネって?」

「後ろからついてくる奴等ですかね。まだ遠いので目視できるまで静観していたのですが…」

「はやく言え!!」

 サイタマが振り向くと、そいつ等はまだかなりの先の方にいた。

 だが、人よりもはるかに良い視力の二人には、その異様な姿がはっきりと目にとれた。

 

「…なにあれ? 落ち武者?」

「似ていますが、エネルギー反応がないので死体的な何かではないかと… 」

「………あぁ、カバネって(しかばね)のカバネかぁ」

 二人は顔を見合わせた。

 

「ゾンビ?………それってヤバくね?」

「俺は人と違うパーツを使ってますから感染はしないと思いますが、先生はどうでしょう?」

 サイタマは、キングと遊んだゲームの内容を思い出した。

 バイオハザード? ダイイングライト? デッドライジング??どれもこれも救いのない話でいい思い出がない。

 

「ためしたくないな」

 サイタマは取り敢えず走る事にした。

 が、サイタマが走り出した途端、森の気配がざわりと変わる。

 あちこちに転がっていた死体に命が吹き込まれ、カバネと化して動き出したのだ。

(ヤバいこのまま向こうに行ったら機関車が餌食になる!俺達を助けようと警告してくれたのに)

 

 サイタマは覚悟を決めた。

「ジェノス。俺に何かあったら、俺を連れて自爆してくれ」

 最強の男の、最強のゾンビなど洒落にもならない。この世界は確実に終わりを迎えるだろう。

 もっとも、サイタマがそれで死ぬかは分からないが―――

「何処までも御供します」

「悪いな」

 言いながら、サイタマはジェノスを横抱きから俵抱きに切り替えた。

 

 

 

 坊主がこっちに向かって走ってくる。

 これで坊主は大丈夫だと、来栖(くるす)が胸をなでおろした瞬間、坊主の足が止まった。

「何をしているんだ!こっちに早く来い!!」

 来栖(くるす)が叫ぶが早いが、坊主の周囲で怪異がおきた。

 ここのカバネ達は、前に人を喰ってからかなり経っていたのだろう。エネルギーが切れてただの屍のようになっていた(むくろ)が、今、(にえ)に気付いたのだ。

「ちぃ!」

 来栖(くるす)菖蒲(あやめ)の願いを無碍(むげ)にすることはない。

 彼女が救えと言ったのだ。

 来栖(くるす)はカバネを切る事が出来る刀―――カバネの鋼鉄の心臓被膜をまとった刀を抜き、カバネの群れに飛び込んだ。

 

 

 

 侍がサイタマ達の方に向かって走ってくる。

 彼は、サイタマの仲間だった『アトミック侍』のように好きで和装を着てるのか? それともこの世界が和装なのか?

 ゾンビ(カバネ)達も着物だから後者だろう。

 そんな事を思いながらも、サイタマの拳は躊躇(ちゅうちょ)なくゾンビ(カバネ)を倒す。

 マジパンチではない。

 マジならば、山まで削れている。今の状況が良く分からないのに、強大な必殺技を出してしまうのは2次被害を招くのでは?と(はばか)られたのだ。

「うわぁ、マジきしょ!」

 ゾンビ(カバネ)に触りたくない。

 いつもは軽くワンパンで片付けるサイタマも、流石に慎重になっている。

 だからサイタマは、右腕に覇気を纏うほど気合を込めて、襲ってくるゾンビ(カバネ)に拳圧を繰り出し、触れる前に気合でフッ飛ばして相手を粉砕していた。

 

「おい!侍!これうつるのか?!」

 駆け込んできて、サイタマの背を守る形になった若侍は、サイタマと同じ年頃に見えた。

 禍々(まがまが)しく輝く文様を(まと)った剣で続け様にゾンビ(カバネ)を屠る姿は、彼がかなりの剣の使い手であると証明している。

「傷さえ追わねば大丈夫だ。先に駿城(はやじろ)へ!」

 ゾンビ(カバネ)の姿はまだまだ増えていた。

「無理だ、数減らさないと機関車がやられる。奴らの弱点は?!」

「心臓だ!だが普通の手段では――― 」

 侍は、素手でカバネを粉砕するサイタマと、彼に抱えられたまま、鋼鉄の腕から焼却砲をうち、確実に心臓を射抜いていくジェノスに気付き、呆然とした。

「侍!気ぃ抜くんじゃねぇ!!油断すんな!」

 坊主のその言葉に、慌てて刀を構え直す来栖(くるす)

 それは奇しくも、ジェノスがサイタマに日頃言われている言葉だった。

 背負われていたジェノスが、来栖(くるす)を見てニヤリと笑った。

 

 

 

 

 

 生駒(いこま)穂積(ほずみ)が空から来た異変の探索から帰ってみると、甲鉄城(こうてつじょう)は大変な事になっていた。

「何これ?! 誰がやったの?!」

 穂積(ほずみ)の疑問も無理はない。

 甲鉄城(こうてつじょう)の周りはカバネの死体で埋め尽くされていたのだ。

 それをやったのが、来栖(くるす)と、来栖(くるす)の連れた風変わりな男達だと聞いてまた驚いた。

「なにあのハゲ!カバネリなの?あっちの木偶(でく)はなに??」

 ハゲがカバネリでないことはカバネリである穂積(ほずみ)が一番よく分かっている。

 同族は同族をわかるのだ。

 でも、自分は強いと自負している穂積(ほずみ)に、自分が只の人間より弱いとは認めがたい事だった。

 きっと、やったのはあっちの鋼鉄の木偶(でく)だ。

 あんな生き物は見た事がない。

 鋼鉄の腕に鋼鉄の身体、端正な顔立ち…人間の白目の部分が黒くなっているが、金の瞳と相まって独特の美しさを作り出している。

 技術バカの生駒(いこま)は、周りで見守っていた女達がドン引きするほど興奮しながら、新参者たちと会話をしていた。

 

 

「ウィルスで感染するんだ?」

「えぇ、心臓がカバネのように鋼鉄皮膜で覆われるまで脳を保っていられれば、カバネにならず、人間でもカバネでもない存在、カバネリとなって、カバネの身体能力と人の心を持った者になります。まぁなれる者は稀ですが… 」

 サイタマは着物に着替えさせられていた。

 これ以上、坊さんに見えたらたまらねぇと辞退していたのだが、服に付いた血を周りの人々が怖がった結果だった。

 ウィルス感染するんじゃしょうがないな。とは思ったものの、正直、足元がスースーして落ち付かない。

「サイタマさんは何処の宗派なのですか?戦う事を認めている宗派は聞いた事がないのですが」

「いや、坊主違うから!」

 同じような質問を何度もされ、サイタマは切れかかっていた。

 その度に弟子が『失礼な奴め、先生のハゲは強者の証だ!』などと、師匠を師匠と思わないような発言をするので気が遠くなってくる。

「俺、坊主じゃなくて、ただのハゲだから。頼む!もう触れないで!!」

 

 

「で、どこかで食物と水、燃料を手に入れなければならないけど、脱線して動けないと。

 かと言って、ここは古戦場でカバネが多く、甲鉄城(こうてつじょう)を降りて、村を造るのも難しいと」

 脱線は自分達が空から落ちたせいだと気付いていたが、サイタマはスルーする事にした。

 そんな事を説明して、混乱させてもいい事はないだろうと思ったのだ。

「はい。いくらカバネリとは言え、俺達二人では動かせませんし―――規格車がないので線路幅を微細に修正するのも不可能です。ここから先、線路は分断されるでしょう」

 

「出来るよ」

 本当は脱線を直す位ならサイタマ一人で余裕に出来るのだが、サイタマはこう後を続けた。

「ジェノスにはレーダー(さいみつなそくていき)が付いてるし、パワーだってある、俺も手伝える。ジェノスの足さえ治れば――― 大した不調じゃない、あんたなら治せるかもって聞いたんだけど」

「え?! それって…ジェノスさんの内部を見せてもらえるんですか?! 勿論やらせて下さい!!」

 技術バカの生駒(いこま)は二つ返事で引き受けた。

 何処にでもいるんだな、こう言うメカオタクって。生駒(いこま)の反応に、仲間だった小学生のヒーローの姿を思い出しながら、サイタマは続けた。

「問題は甲鉄城(こうてつじょう)が復旧した後の事だ。来栖(くるす)達と話したんだけど… 顕金(あらがね)駅まで戻るのもありかと思って」

 顕金(あらがね)駅。それは生駒(いこま)達の故郷。菖蒲(あやめ)の家、四方川家の治める駅だった。

 蒸気鍛冶や製鉄などの重工業が盛んであり、それ故にカバネ流入され、廃駅となったのだ。

「俺たちは顕金(あらがね)駅から逃げて―― 」

「聞いた。でも小さいながらも城壁の中に、水も水田もあるんだろう?外壁も門も壊れてないし、町も複雑な形じゃない。敵を狩るには楽そうだ。どこに行く当てもないなら、罠を張って奪い返すのも手だろう」

「そんな事、考えてもみなかった――― 」

 この二人は、なんて事を考えるんだろう?

 その考えがいい事なのか悪い事なのか分からない。

 だが顕金(あらがね)駅に戻るという考えに、生駒(いこま)は恐怖からではない身震いを起こした。

「みんなと一緒に考えてみます」

 カバネの(むくろ)が転がる周囲をみまわす生駒(いこま)

 生駒(いこま)穂積(ほずみ)来栖(くるす)狩方衆(かりかたしゅう)が手を結んでも無理かもしれない。

 だが、二人がいたら?

 生駒(いこま)は頭の中で様々な計算をしながら、仲間の元に戻っていった。

 

 

 

「どうだ?」

「みんな迷ってますね。先生はこれが最善だと思っていますか?」

 超高性能の聴覚で公衆音域を拾っていたらしいジェノスは、サイタマが求めていた答えと違う返答をした。

 

 今、サイタマとジェノスは最後部の車両を二人で与えられている。

 ようはするに、三日間隔離して、カバネにならない事を証明しろという事なのだ。

 勿論、本当はこんな車両、弟子のジェノスでも簡単に破壊できる。

 だが二人は快く引き受けた。

 

「違う違う。足の調子だよ」

「あぁ、我慢は出来ます。強度が足りなかったので、カバネの心臓皮膜の鋼鉄を配合して焼却砲で焼き付けました」

 あまり気持ちのいいものではなかったが、脚を直さねばサイタマの横に立てない。

 サイタマの足手纏(あしでまと)いになるぐらいだったら――― ジェノスは苦渋の決断をした。

 

「で、先生はこれが最善だと?」

「難しいな。でも俺達だけならともかく、拠点をもたないと弱い者は守れない。向こうで経験したろ?」

 二人は強者ゆえに、巨大な敵と戦う事を選んだ。だがその陰で、すり潰された大勢の人々がいた。

 

「これからの戦いはハンデ戦だ。お前は今までと違って『肉を切らせて骨を切る』なんて戦法は出来ないし、俺はウィルスを考えるとリスクのあるワンパンは出来ない。前はヒーロー協会に任せっぱなしだった一般市民も守らなきゃならない」

 ジェノスは、小さい部品はともかく、今までのように壊れれば、確実に死に至る。

 サイタマは、もし感染すれば、この星を確実に滅ぼすだろう。

 

「掛け金は高い。でも、上手く行けばこの星を救える。わくわくするよな」

 

 

 

 

 

 




甲鉄城のカバネリ、映画も楽しみです!
改:続きを書こうか迷っております。読みたい方がいらしたらご一報ください。

改々:12/10 2と合わせるために鈴木のセリフをカタカナにしました。

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