ワンパンマン×甲鉄城のカバネリ ~if   作:Jack_amano

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忘れた頃に申し訳ありません。
続きました。


前回よりも更に捏造もりもりです。
アニメ版しか見てません。
温かい目で見守って下さい。






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『輪廻の果報があらんことを』

 そう言って共に何人の仲間を見送ってきただろうか? 狩方衆の瓜生(うりゅう)は同じ美馬(びま)のもとで彼の爪として闘ってきた無名(むめい)の変わりように鼻を鳴らして抗議した。

 彼の気持ちを知ってか知らずか、彼が今まで見たこともない表情で無名(むめい)は無邪気に笑う。

 

「でね、菖蒲(あやめ)様がね、狩方衆の着衣が余ってたら――― 聞いてる瓜生?!」

「聞いてる聞いてる、無名」

「もう、聞いてないじゃない! 私は穂積(ほづみ)! 母様が付けてくれた名前があるんだから! 無名は辞めたの!」

 無名と言う名は、彼女が美馬の為に闘うと決めたときに美馬に付けられた名だ。

 彼と共に闘う者逹はみんな彼に心酔し、彼に名を付けられ、彼の為に死ぬ覚悟も辞さない筈だった。

 だったのだが―――

 

 『総ての者が闘い身を(さら)し、臆病者は死に絶え、力ある者は生き残るという世界の(ことわり)に身を体現すべき』

 という美馬の企ては破綻、美馬は死亡。

 彼に付き従っていた狩方衆達は、彼らが消耗品の様に扱っていた人々から、その主・四方川 菖蒲(よもがわ あやめ)の情けで庇護(ひご)されている身だった。

 総長・美馬の命令とは言え、彼達は余りにも殺し過ぎ、破壊し過ぎた。

 無名の様に、瓜生が美馬の言動に疑問を持った時にはすでに遅すぎ、彼には民衆が彼らを許す日が来るとは到底思えなかった。

 

 瓜生にも作戦中、何度か()も知れぬ感情が心を(かす)めた事はある。

 あったのだが――― その頃、自分達は、ぬるま湯で普通の生活を営む民衆たちを(カバネ)から守るための捨て駒で、多くを犠牲にしているのに全く報われていない。という事実が仲間意識を増長させ、上に意見を述べる様な状況ではなくなっていた。

 いや、述べていたらとっくに始末されていただろうが… 事実、多くの者が戦闘中、どさくさ(まぎ)れに仲間から(ほふ)られていた。無名も裏切られ、そんな捨て駒にされた内の一人だ。

 

「菖蒲様があの坊主達の為に予備があるのなら着衣を用立てて欲しいって」

「はぁ? 得体の知れないあいつ等を狩方衆に入れろっていうのか?!」

「だから違うって! 瓜生達があいつ等の預りになるんだよ」

「はぁ?!」

 無名が言っている坊主達とは、何日か前にやってきたハゲと木偶(デク)人形の二人組だ。

 恐ろしく強い、嘘のように強い、(カバネ)を狩る事を生業(なりわい)にしていた狩方衆よりも、もしかしたら屍戻り(カバネリ)の無名達と同じくらい強いかもしれないハゲ(一見無気力)。と、そのハゲの弟子だという(たなごころ)から炎を噴き出す、鋼鉄製の木偶人形の魔人。瓜生からしてみれば、(カバネ)と同じくらい得体の知れない二人だった。

 

「大体、得体のしれないってアンタ達が言えること? アイツ、あんた等の処遇で牧野様や男衆と菖蒲様が()めた時、啖呵(たんか)切ったのよ」

 初耳だ。

 最も、瓜生達はずっと後続車両に押し込められいて、(カバネ)との戦闘以外、外に出る事は無かったのだが…

「『うるせえだまれ!』よ! あの老中(ろうじゅう)の牧野相手に! 笑っちゃったぁあのハゲ!」

 自分と同じように不審な物を見るような目で奴等を見ていた筈の無名が、そう言いながらきゃらきゃらと笑う姿に、瓜生は妙に納得した。

 無名は力も無い癖に自分の地位にふんぞり返って偉そうにする奴らが大嫌いだった。もしかしたら、仲間だった瓜生達に味方をした事も態度の軟化に関わったのかもしれない。

 

「誰がハゲだ。サイタマと呼べ、チビッ子」

「チビじゃないし! アンタもいい加減に私の名前覚えなさいよ!」

 名前に呼ばれたかの様に、鋼鉄の分厚い扉を開けてのっそりと入り込んできた(くだん)のサイタマに、突っ込みをいれる穂積の姿はもうお馴染みの物だ。

 自分の意志もお構い無く進んで行く状況に、瓜生は焦りを覚えた。

「ちょっと待て、俺はこんなハゲの(もと)(くだ)る気は毛頭無いぞ!」

「キサマ、上手いこと言ったつもりか! 先生の後光が射すほど素晴らしい頭に言い掛かりをつけるとはいい度胸だ! 焼却してやるそこに直れ!!」

 瓜生の言葉に、サイタマに付き従っていた鋼鉄製の木偶人形ことジェノスが怒りも(あらわ)に右腕を掲げる。その掌の中心からは眩い光が輝き、瓜生は先の戦闘でそこから(カバネ)をも一撃で(ほふ)(ほのお)が出る事を知っていた。

 

 ――――――ヤベェ。ハゲの番犬もいたのか。俺、詰んだかも。

 

「やめんか」

「っつ!」

 サイタマの突っ込みチョップに、瓜生の危機は回避される。

 瓜生はジェノスをサイタマの番犬と位置付けていたが、サイタマに向けた悪意に対するジェノスの沸点はその実狂犬並みだ。

「しかし先生! 先生が気になさっている頭髪をディスるとは言語道断! その命を持って償わせ――――――  」

「なぁお前、本当に俺のこと尊敬してる?」

「勿論です!!」

 ディスるってどういう意味だろう? こいつ等の会話はよくわからない単語が混じることが多い。遠い目をしながらも、瓜生はとっとと要件を片すことに決めた。

 

「で、こんな押し込み部屋の最後尾車両(しんがり)に何の用だよ? サイタマ先生」

「いや、サイタマでいいから。もう弟子はいらねーから」

「そうだ! サイタマ先生の弟子は唯一只一人、この鬼サイボーグジェノスだけで十分だ」

「ジェノス、ストップ。まずは要件話させろ」

 

 

 

「水も食料も燃料も残り少ねぇんだってさ。狩方衆の機動部隊束ねてたお前ならなんか案もあんじゃねーか?って言ったら、信用ならねぇって言うからさぁ。事後承諾(じごしょうだく)で悪いけど、俺達と組んでもらうことになった」

 

 “組んで”――――――とサイタマは言ったが、無名の話では“預かり”だ。つまりは、瓜生達が不始末を犯した場合、その責任は自分が取るとサイタマは請け合ったのだ。

 

 このぬぼっとした男が、そこまで自分達に肩入れしてくれる理由が浮かばず、瓜生は口を曲げて言葉を吐き出す。

「お前はそう思わないのか? 俺達は幕府転覆を企てた戦犯だ」

 

「なんで? 意味ねーだろ疑ったって」

 表情も変えずにサイタマは先を続けた。 

「部下の命、救いたかったから敵だった奴に頭下げてまでしてここにいるんだろ? 世界も何もかも滅ぼして終わりにしたかった奴がすることじゃねぇ」

「 … 」

 何も考えていないような顔をして、存外この男は状況を判断してくれているのかもしれない。

 瓜生は言葉少なに『日ノ本』の地図を部下に持ってくるよう言いつけた。

 

 

顕金(あらがね)駅に戻るには大雑把(おおざっぱ)に言うと、行きに通った海沿いの北國街道、山沿いの道・中山道、遠回りの東海道の三行程がある。

 本来なら金剛(こんごう)駅を出た際に湖近くの和田毅大橋(わだつおおはし)補給所で入れるするべきだったが、緊急時だったからな。

 補給所自体はどの路線にも何行程か(ごと)に設けられてはいるが、水はともかく、このご時世だ。燃料については何処も備蓄は切れているだろう。駅以外に入所手段はない。

 俺達狩方衆は幕府のお墨付きだったから優先的に納入できたが、本拠地(えき)を失った四方川家が手に入れるのは難しいな。相当吹っ掛けられるぞ」

 

 地図を指でなぞり、現状を説明する瓜生の言葉に、サイタマは頭を抱えた。

「うわ~やっぱ金の問題はついて回るのか~!こっちにはセールも見切り品もなさそうだもんな」

 元の世界でも金には困っていたのに、この世界では必要な金額のケタが違うらしい。

 大体、今持っている蝦蟇口(がまぐち)の中身だって使えないだろう。連れのジェノスに至っては、きっとクレジットカード(黒塗りだが)と、サイタマの為緊急に買うジュース代位しか持ってない筈だ。

 千円札とかポイントカードとか、芸術品扱いで高額換金できねぇかな~ 出来ても乗客全員の飯代にはなんねぇ~よな。なんて現実逃避するサイタマだった。

 緊急の問題が戦闘より金とは、ほんとマジで勘弁して欲しい。サイタマの目は遠くを泳いだ。

 

「…取り()えず、お前とすればどの路線がマシだと思う?」

「行動を共にしている避難民を何処に預ける気だ? それ次第だ。八代(やしろ)駅か? 老中の牧野んとこか? まさか戦場にする顕金駅まで連れてく気じゃないだろうな?」

 今、この駿城の乗客は8割方戦力外だ。このまま守り続けて連れまわせば無駄に食費が掛かる。

 だが食糧事情もままならぬ中、何処の駅も簡単には難民を受け入れてはくれないだろう。

 サイド7を脱出する羽目になったホワイトベース艦長のブライト・ノアの気持が、今ならわかるサイタマだった。

 あ~頭いてぇ。

 俺こういうの苦手なんだけどなぁヒーロー協会って大変だったんだな~。

 もう少し物損考慮してヒーロー活動をしてやってもよかったかもしれない。サイタマは何かとフォローしてくれた友人のキングに想いを馳せた。

 

「もっと情報があればなぁ~」

 この世界にはテレビもラジオも携帯電話もない。情報は(もっぱ)らこの装甲機関車で手紙の配達というから驚きだ。列車運行管理とかってどうなってるんだろ? やっぱ手旗とかアナログなのか?

 

「……情報か 得られなくもない」

 サイタマの言葉に、つぶやく様に瓜生が答える。敵の多かった美馬は情報を重んじ、各地に斥候(せっこう)を放っていた。

「 ……菖蒲殿に狩方衆の記章を揚げる許しを得てもらえないか? そうすれば駅にいる草と連絡が取れる」

「くさ?」

「各地に情報収集のため、潜伏しているスパイの事です先生!」

 へ~お前よく知ってんな。サイタマがつぶやくと、伊達に池波正太郎は読んでいません!とジェノスは胸を張った。

「で、どうやんの?」

 

「伝書鳩を使う。旗を目印に帰ってくるよう仕込んだやつだ」

「お~っすげえな」

 (先生、これからは鳩を捕獲する際、気を付けなければですね)

 (だな、気付かねーで喰っちまったら大変だ)

 腹減っても、足に管の付いている鳩は捕まえるのはやめようと密かに確認しあうサイタマとジェノスだった。

 

 

 

 結局、記章を掲げる事で狩方衆が仲間を呼び込み、甲鉄城を乗っ取られるのでは? と懸念した男衆や老中牧野に猛反対されたが、

『これ以上反対するならば狩方衆を連れて甲鉄城を出る』と言うサイタマの(おど)しに一同は屈した。

 

 自分の身はかわいい。

 

 何度かの(カバネ)との攻防により、どう考えても安全な駅に行くまではサイタマ達と行動を共にする方が無難だと悟ったのだ。

 ことの成り行きを、甲鉄城の主である菖蒲は微笑んで見守っていた。

 

「では給水の間、生駒(いこま)来栖(くるす)、穂積さんは警戒を、サイタマさんは狩方衆を何人か連れて探索を、ジェノスさんは吉備土(きびと)達と川に向かう女衆の護衛を、鈴木は蒸気鍛冶師と鋼鉄城の点検整備をお願いします」

 

「はい!」「おー」「判った」「リョウカイシマシタ」

 

 

 

 複数の鳩に密書を(くく)り付け、空に放つ。

 瓜生の話では、早ければ一両日中にでも結果が返るらしい。

 大空に羽ばたく鳥たちに、サイタマはバイオハザードの一場面を思い出した。

 

「動物はゾンビ(カバネ)にならねぇんだな」

「あぁ?」

「いや、だって(カバネ)のもとは死人なんだろ? 死肉喰われてうつったりとか――― 」

「動物に喰われた(カバネ)なんて見た事ないな」

「蛆とか蠅とかは?」

 …瓜生は少し考えた後、仲間を集めた。

 

(カバネ)が何かに捕食されているのを見た者はいるか? 何でもいい。動物でも蟲でもだ」

 皆の答えは否だった。

 

 (カバネ)は心臓が生きている限り土に帰らない。それはつまりバクテリアさえも(カバネ)忌避(きひ)している事になる。

 だが、その(カバネ)も心臓さえ破壊すればタダの死体と化す。まぁそれが普通の人間には難しいのだが―――

 逆に心臓さえ破壊されなければ、(カバネ)は頭を飛ばしたって時期に再生する。

 甲鉄城の屍戻り(カバネリ)、生駒ももげた腕が復帰していた。まぁ、彼は脳が人だから、もし頭がもげたら(カバネ)として復活してしまうかもしれないが――――――

 (カバネ)には何かまだ解ってない事があるかも知れない。

 

(カバネ)に詳しいやつと話がしてみたいな」

 サイタマ単体においては、あまり(カバネ)は脅威ではない。

 だが、いかせん敵の量が多過ぎる。半端ない。エゲツない。大事な事だから音速のソニックの様に、似た言葉を重ねてみた。

 元人間であったモノに対して申し訳ないとは思うが、1匹見つけたら30匹以上はいる。段ボール買いしたミカン箱に、腐ったミカンが紛れ込んだ時よりも簡単に全てが汚染される。

 

 今回の戦い、サイタマとジェノスだけ生き残っても意味がないのだ。

 サイタマは日頃ごろ使ってない脳みそを酷使して思考をまとめ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 




中の人つながりで瓜生を出しました。

ジェノスと瓜生の共闘まで行くつもりだったのに。。。行けなかった。
ジェノスとサイタマ、会話させると暴走しまくりになる。

生駒が蚊帳の外な気がするのはなぜだ?
彼、17才なんですよね。サイタマ25才だよ?これでいいんか??

穂積なんか12才!!
犯罪だろ!生駒!!



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