とある魔術の日常?   作:置物

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十二話 幻想猛獣

「で、具体的に俺はどうすればいいんだよ」

少しアフロみたいになった髪を触りながら俺は怪獣に電気をビリビリ浴びせてるミサカ姉に質問をするってうわー焦げていく端から再生してるし。これを俺達が相手にする?無理でしょ。

「初春さんが幻想御手の治療プログラムを流してくれるからそれまで私達は時間稼ぎするのよ!」

「まさかの終わりが見えない時間稼ぎかよだりぃなぁ!」

「そんなこと言ってる暇があるならアンタも能力でコイツをどうにかしなさいよ!」

そう言うけどミサカ姉よ、俺の能力はそんなに多用できる物ではないのですが。

「クソ、一日に何回も使うとまじで疲れるンだって!」

俺はそこらへんに落ちている石を拾い、ぽいっと、誰かに物を投げ渡すような感じで怪獣に投げる。

「ちょっと!そんなのであれをどうにかできると思ってるの!?」

確かにいつもの俺がこんな軽い感じで石を投げたら全然飛ばず、怪獣には当たらないだろう。

しかし石は投げ方とは裏腹に、物凄い勢いで怪獣に飛んでいき、そして怪獣のどてっ腹に大きな風穴を開けた。

「こんな感じでどうよ?」

口をあんぐりと開いているミサカ姉にドヤ顔で聞いてみる。

「…アンタ、本当にレベル3?」

「残念ながら何回測ってもレベル3から上にいかないんだよ。…あ」

「…相手はなかなかタフなようね」

なんと、せっかく開けた風穴がいつの間にか塞がっていたのだ!いやいやこんな超再生できる相手にどうやって時間を稼げと?無理ゲーすぎるだろ!!

怪獣は俺を標的としたらしく、空中に氷の塊を五つ作り、俺に向けて放つ。

俺は視界に全ての氷の塊を捉え、演算を開始。氷の塊を空中で止めた後、そのまま地面に向かって自然落下させる。

ミサカ姉がいたがまぁ気にしない。電撃で破壊するだろう。

「ちょ!私が下にいるんだけど!?」

予測通り、ミサカ姉は電撃で氷の塊を破壊していた。

「すまん、俺のレベルじゃあれを止めるので精一杯だった。悪気はなかった。反省はしているが後悔はしていない」

「万引きをした少年みたいな言い訳言うな!!」

「あいむそーりー」

「ほんっとアイツと同じくらいイラつくわねアンタ!!」

「ほらほらまだ攻撃がきてるぞ!」

「あぁもう!!この苛立ちはどこにぶつければいいのよー!!」

多分目の前の怪獣にぶつければいいんじゃない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ…」

「なによ!」

「まだ治療プログラムは流されないのか?」

「あとちょっとよ!」

「もうそれ七回目なんだけど!?どんだけ期待すればいいの!?じらしてる?もしかしてじらしてる!?」

「あぁもううるさい!!黙って能力使ってなさい!!」

かれこれ二十分ぐらい経過しているが、治療プログラムと思われるものが流れず、怪獣に決定打を与えられず、しかも俺もミサカ姉も能力の連続使用で体力がそこを尽きかけてきた。

やばいやばいやばい!!俺の墓場ここになっちゃうの!?もういいよね?俺頑張ったよね?もう逃げていいよね!?あと五分経ったら逃げるからな!?絶対逃げるからな!!

そう思っていると街の方から音楽とは言えない奇妙な音がかすかに聞こえてきた。

「これって治療プログラム!?」

どうやら初春という人物が治療プログラムを流す事に成功したようで、さっきまでどんなにミサカ姉の電撃をくらっても即座に再生していたのに、今では再生をせず、少しずつ怪獣の体がボロボロになっていく。いける、いけるぞ!!

『どんなに頑張っても…』

「あ?」

どこからか声が聞こえてきたが、こんな危険な場所に俺達以外にも人がいたのか?

「この声…幻想猛獣から?」

確かにミサカ姉の言うとおり、怪獣からざざっとノイズが混じった声が聞こえてくる。

『才能の壁が邪魔をする』

『よってたかって無能力者と馬鹿にする』

『だから力が欲しかった』

「なぁ、この声って」

「幻想御手使用者達の思念の声だ」

突如現れた全身ボロボロの目の下の隈がチャームポイントな茶髪なお姉さんが説明してくれたが、思念の声とか言われてもピンとこない。黄泉川先生あれについて説明してくれなかったし。

「幻想御手は、私の脳波パターンをそのまま使用者にトレースする事で脳と脳との間にネットワークを作り、高度な演算を可能にする物。そしてあれは、仮に幻想猛獣と名付けるが、そのネットワークが暴走し、生まれたものなんだ」

俺の思ってることが顔から読み取れたのか、お姉さんは幻想御手と怪獣について教えてくれた。

「例え治療プログラムでネットワークを破壊してもあれは一万人のAIM拡散力場の塊、つまり、一万人の思念の塊なのだから声が聞こえても不思議ではない」

「説明ありがとうございます!」

『レベル0って…欠陥品?』

「佐天さん!?」

どうやらミサカ姉の知り合いも幻想御手を使用してたようで、一つの声に反応する。

『毎日がどれだけ惨めだったか』

『貴方にはわからないでしょうけど』

『その期待が…重いときもあるんですよ』

「……」

幻想猛獣から聞こえる声にミサカ姉は俯き唇を噛む。

「アンタ達下がって…巻き込まれるわよ」

その一言を聞いてよっしゃ!と思った俺は悪くないはず。

「私は構うものか。私には、あれを生み出した責任が」

「アンタが良くても、アンタの教え子はどうするの?」

「…!!」

やばい、話についていけないのですがどうすればいいですか?とりあえずミサカ姉の言うとおりに巻き込まれないように十数メートル離れておくか。

「回復したとき、あの子達が見たいのはアンタの顔じゃないの?」

「……」

「こんなやり方しないなら、私も協力する。そう簡単に諦めないで」

えーと、今までの会話から察するに、この茶髪のお姉さんがこの事件の元凶で、それでなんでこんなことしたかって言うと茶髪のお姉さんの教え子を助ける?ためだったみたいな?うーん、よくわからない。

「あとね、アイツに巻き込まれるんじゃない。私が巻き込んじゃうって言ってんのよ!」

そう言ってミサカ姉はさっきまでとは比べ物にならないほど強力な電撃を怪獣にぶつける。電撃は一万人の能力の一つであろうバリアー的な物で防がれるが、ミサカ姉は更に電撃を強くする事でバリアーとの間に生じる電気抵抗を強くし、間接的に怪獣にダメージを与える。

防戦一方だった怪獣はミサカ姉を触手で横から攻撃するがミサカ姉の電撃によって集められた砂鉄によって切断され苦痛の声をあげる。

『だれだって』『能力者に』『なりたかった』

「…」

「ごめんね、気付いてあげられなくて」

触手、氷の塊など怪獣からの様々な攻撃をミサカ姉は防いでいく。

『しょうがないよね』『あたしにはなんにも』『ぶっこわしてやる』

「頑張りたかったんだよね」

『なんにも力のない自分が嫌で、でも、どうしても憧れは捨てられなくて』

「うん。でもさ、だったらもう一度頑張ってみよ」

ミサカ姉はスカートのポケットから一枚のコインを出し、怪獣に向けて構え、一度上に打ち上げる。

「こんなところでくよくよしてないで」

それを好機と見たのか、怪獣は大きく鳴きながらその巨体を使った体当たりをミサカ姉に行使する。

「自分で自分に嘘つかないで、もう一度!!」

構えている指の上にコインが戻り、一筋の光が怪獣に当たり、そして貫通する。そのとき怪獣から光の線と一緒に三角柱のなにかが飛び出て砕けたのが見えた。そして核が無くなった怪獣の体は少しずつ崩れ、消滅した。

「これが…レベル5…」

「え?」

ミサカ姉って、レベル5だったの?道理でそこらの電撃使い(エレクトロマスター)より強いと思…ん?電撃使いで常盤台、ミサカという姓…あぁ、努力でレベル1から5になった御坂美琴か。ようやく全てのピースがはまった感じだ。うんうん、納得納得。では、事件も終わった事だし、

「俺帰るわ」

「ちょっと待ちなさいよ!警備員が来るまでじっとしなさい!」

「嫌なこった!俺には友人の現状を把握する権利とこの場から逃げる義務があるんだ!」

「権利と義務普通逆じゃない!?」

「というわけでサラダバー!」

「寒いギャグを言って行くなー!!」

御坂が走りさる俺の背中に電撃を撃つが、背中に当たる前にどこか見当違いな方向に飛んでいく。

「…え?」

「フハハハ!無駄無駄無駄ァってなァ!」

あ、上条のとこ行く前に財布捜したり髪を治したりしないとな。アイツ、今の俺の髪型見たら絶対笑うだろう。そんなことになったら俺は精神崩壊(メンタルアウト)してしまう!これらのことをしてたら多分上条のとこに行くのは日暮れ前くらいになるが、しゃあないだろう。




草木「今回も主人公してない!!なにこれどういうこと!?」
垣根「俺なんて最初の方以外出てないぞ!!」
木原「オメェら、そんぐれぇでギャーギャー喚くな。殺すぞ?」
姫神「私なんて。番外編すら出てない」
草木「いやお前の話はまだ来てないだろ!?」
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