「結局、ただほどおいしい物はないって訳よ!」
「お前のその根性に感心するわ…」
「ん?なにか言った草木?」
「いやなんでも」
俺達は今ファミレスで昼飯を食っているのだが、こいつ、フレンダはすごい。盗んだお金をなんの躊躇もなく使おうとしてやがる。流石フレンダ!俺に出来ない事を平然とやってのける!そこに痺れもしないし憧れもしない!断じて!!
「結局、草木は最近どうだった?」
「どうだったってのは?」
フレンダは注文していたピザを切り分け、一つを手にとってふーふーと冷ましながら言う。
「なにかおもしろい事とか驚いた事とか話になるようなことなかった?」
「おお、あるぞ。ついさっき爆弾で自販機からお金を盗んでいた金髪鯖缶ガールが」
「草木?」
「ジョークです」
こいつ、こんな非情な目を出来たのか!?余りの怖さに目を逸らしちまった!あと爆弾を周りに見えないが俺にだけ見えるポジションでちらつかせるな!!
「そうだなぁ。俺の知り合いの話なんだけどさ、そいつ、朝布団を干そうとしてベランダに出るとシスター服を着た女の子が引っかかってたのを見つけたってのは?」
「ぷっ、それ作り話って見え見えじゃん。嘘つくとしてももう少しましな嘘ついてよ」
すみません、実話です。
「ならさ、俺んちの冷蔵庫の話なんだけどさ、夜な夜なになると突然光ったり変形したりするんだ」
「だ~か~ら~、嘘はやめてよぉ」
すみません、実話です。
「そう言うならフレンダもなにか面白い事とか驚いた事言ってみろよ。俺の話をことごとく否定しやがって」
俺は空になったコップに水を注ぎながら頼んだカレーが来ないか厨房を見る。ここのファミレスは客席から厨房がガラス越しに見えるのだが、昼だからか厨房では三人のコックが忙しそうに走っている。
「そうねぇ。あ、そういえば」
「どうした?」
フレンダは机の上に携帯を置き、あるサイトを開く。
「ふふふ、結局、私は鯖の味噌煮を超えた鯖缶を見つけた訳よ」
「は?嘘だろ?」
「結局、否定するならこれを見てからにしなさい」
「これは…」
フレンダが携帯で開いたサイトには…鯖の醤油煮なるものが写っていた。
「…」
「鯖の味噌煮は少し粘っこく味も濃いから単体では食べ辛く、ご飯のお供にしかならなかったけど、これならさっぱりしてて単体でも食べれる訳よ!」
「フレンダ…」
「ん?なに?」
「目を覚ませ!」
俺はベレー帽の乗った無防備なフレンダの頭にチョップする。
「んにゃ!?」
「お前の鯖缶に対する愛はそんなものなのか!?」
「け、結局、どういう事よ?」
「いいか、フレンダ。俺達は缶詰、特に鯖の缶詰を愛している。それは違いないな?」
「う、うん」
「そして鯖の味噌煮が鯖缶の中でも鉄板にして至上。そう思ってるか?」
「うん。でも、その味噌煮を超えたのが醤油煮…」
「お前は鯖缶に順位をつけてること自体が間違いなんだよ」
「…!」
「俺は味噌煮は鉄板で至上と言った。だがな、他の缶詰が味噌煮に劣るなんて一言も言ってないだろ」
「草木…」
「分かってくれたかフレンダ?」
フレンダは分かってくれたようで、携帯をしまってふぅと息をつく。
「結局、私はまだまだ缶詰、鯖缶を語るには甘かったって訳ね」
「そう落胆する事はない。これからすこしずつ、缶詰を理解していけばいい」
俺は届いたカレーにスプーンを入れながら言った。
(こいつ等の缶詰愛はどこからきてるんだ…)
と会話を聞いていた周りの客は思っていたとかなんとか。
教えて!草木の質問コーナー
草木「また懐かしい企画引っ張ってきたなおい!」
垣根「まぁいいじゃねぇか」
草木「俺課題とかで暇じゃないんだけど…」
垣根「それじゃあ読むぞ。ペンネーム『腹ペコシスターさん』から」
草木「自覚はあったんだ…」
垣根「『本編でようたはなんであんなに缶詰について語ったの?最初の方はきんぱつの話を聞くだけのだったはずなのに』以下からすごい食に対する情熱と上条とか言うやつの不満が綴ってあるが、読むか?」
草木「多分時間が足りないと思うからやめてくれ。なんでって聞かれたらフレンダから缶詰の話を聞いているうちにあれ?もしかして俺缶詰好きだったんじゃね?と思ってさ。それから缶詰を食べてると自然と缶詰に対する考えが浮かんできて俺が缶詰好きだったことが発覚したわけだな」
垣根「それって洗脳って言うんじゃねぇのか?」
草木「あとはそうだな…思い入れのある食い物だから…かな」
垣根「へぇ、どんな思い入れがあるんだ?」
草木「それはいつか話すことはあっても今ではないだろう」
垣根「そうかよ」
草木「そうだよ」