遅れてすみませんでしたorz
うーむ、ミサカの事は気になるが放っておいてもいいだろう。神経図太そうだし。
もう時間も遅いし、寮に帰って飯でも食うか。
「ただいまー、って誰もいないが言っちゃうもんだよな」
「お帰りなさい、とミサカは世界三大珍味てんこ盛りラーメンを啜りながら丁寧に返事します」
「ラーメンを食いながら返事してる時点で丁寧じゃないから!あとそれおいしいのか!?」
「微妙、とミサカは率直な感想を述べます」
「だろうな!!ってそうじゃねぇ!!お前なに贅沢な物食ってんだよ!!やっぱり俺の財布から盗ってんたんだな?盗ってたんだな!?」
「ゴチになりました、とミサカは貴方にレシートを渡します」
「いらんわ!!ん?待て、これ一個で一万円なのか!?」
「消費税込みでこれはお手頃だと思い買いました。しかし食べてみたところ値段の価値も無かったです、とミサカは好奇心に負けた事に反省はしているが後悔はしていない清々しい笑顔で貴方に言います」
「シャラップ!!」
あまりにうざかったから頭にチョップする。
「貴方にチョップされた回数は何回目でしょうか、とミサカはふと涙を我慢しながら思いました」
「数えてるわけねぇだろ。てかお前さっきお金をどこに隠してたんだよ」
「ミサカマジック、とミサカはドヤ顔しつつ拍手に期待します」
ドヤ顔にいらっとしたのでミサカの頭に二度目のチョップを決行したが仕方ないことだろう。
八月八日午後九時四分。
とある路地で、身体中に火傷をしている少女が倒れそうになる体を支えながら歩いていた。
肩で切り揃えられた茶髪、半袖の白いブラウスにサマーセーター、プリーツスカートという格好は、学園都市に住んでいる者であれば常盤台の生徒だと理解し、その顔を知る者であれば御坂美琴だと思うだろう。しかし、御坂美琴本人は今現在、寮でルームメイトと壮絶な攻防戦を繰り広げているが、それは余談になる。
「はぁ…はぁ…」
その少女は頻繁に後ろを見ている。月が雲に隠れ、後ろにはただ暗闇が広がっているだけだというのに、少女の額には全身の火傷による痛みの汗ではなく冷や汗が流れていた。
「はぁ…はぁ…。こっちには…来ないみたいですね…」
少女はビルを背にして地面に腰を下ろし、息を整え、視界を良くする為に額の汗と血を拭く。
「はぁ…。今までの戦闘記録からではあの方の能力は推測しづらいですね、とミサカはミサカネットワークによって取得した情報と実際の戦闘からの情報を照らし合わせながら言います」
少女、ミサカは、腰に装着しているポーチから縦十センチ、横二十センチ、厚さ五センチほどの黒い箱を取り出し、中から何かの部品を地面に並べる。
箱から全ての部品を並べ終えると、それを組み立てていく。
一分程で完成したのは拳銃だった。
ロレッタDl15『人形遊び
ミサカは動作確認をし、正常と確認するとポーチからマガジンを取り出し装着する。ポーチに触れた時にマガジン数を数えると装填した物と合わせて二つしかなかったが、使い切る前に事は終わるだろうとミサカは確信に近い予測をしていた。それだけ相手の実力は自分では及ばないと考えているからだ。
「やっと見つけたぞ人形」
今しがた歩いてきた方向から声が聞こえ、ミサカは完成したばかりの拳銃をそちらに向ける。
コツコツと、暗闇の向こうから誰かがこちらに向かって歩いてくる。いや、誰かではない。こんな場所のこんな時間帯、自分に話しかける人物など一人しかいない。
「ったく、ちょこまかちょこまか逃げるンじゃねェよ。ま、俺はその分楽しめるから別にイインだけどよォ」
雲が月から離れ、路地に光が射す。
ミサカから三十メートルも離れない所に、十五、六歳の少年が立っていた。
見た目は針金のように細い体、少女のような繊細な肌に白い髪、だというのに見た者に鋭いナイフを連想させるような少年がポケットに手を入れ、にたぁと、口を横に目一杯広げて立っていた。
ミサカは少年が近づく前に標準を無防備な少年の眉間に定め、引き金を引く。
パン、と、爆竹が爆発した音より小さい音がした後、放たれた銃弾は無防備な少年の眉間を打ち抜き、脳を貫通し、少年の生命活動を停止させる、はずだった。
どういう訳か、ミサカの手元にあったロレッタDl15が暴発したのだ。
動作確認をして暴発、弾詰まりなどの懸念を取り払ったはずなのにだ。
「っく…!!」
「はっはァ!どうしたどうしたァ!?ちゃンと拳銃の整備をしたのかよオイ!ま、俺が原因な訳なンだがよォ!おら、呆然としてねェでさっさと逃げねェとテメェ…」
そう言って少年が前屈みになり、一歩を踏み出し、
「死ンじまうぞ?」
先まであった三十メートル程の差が一気に縮まる。
「…!?」
ミサカは少年から少しでも距離を置くために咄嗟にバックステップをして距離をとる。
「はっはァ!そうだそうだ!イイねェ楽しいねェ!オマエ何人目か忘れたが中々楽しませてくれるじゃねェか!」
が、ミサカがバックステップで逃げるより、少年の追撃の方が速い。
少年のその白い手が、得体の知れない手が、ミサカの肩に追いついた。
その細い腕のどこから来るんだと言いたくなる様な力に、ミサカはうつ伏せに地面に押し倒される。
「い…がぁ…!!」
「さァて、問題です」
少年からの静かな問いにミサカは顔を少年に向ける。
少年の顔はまるでこれから始まるショーを楽しみにする子供の笑顔を狂気に染めたような顔で言う。
「人間っていうのは、どれくらいの重さで皮膚が破け、骨が折れ、体が貫通するでしょうかァ?」
そう言うと少年の手からかかる重さが少しづつ重くなっているのが分かった。
「あ…あぁ…」
「答えは今から実験する訳なンだけどさァ!!」
「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「…」
「どうしたミサカ?」
「いえ、次食べるラーメンはどんな物にしようか考えていただけです、とミサカは言います」
「いや、なんか少し悲しそうな顔をしてたから」
「…気のせいです…」