とある魔術の日常?   作:置物

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二十一話 能力

八月二十一日。

空に雲が多く、気温が二十六度と比較的過ごしやすい今日この頃なのだが、俺はMK5、マジで困った5分間を体験している。

「おうおう兄ちゃん、ここらは俺らの縄張りだぞ」

「通りたかったら通行料、有り金払っていきな」

コンビニで飲み物を買って寮への近道である路地を通った所運が悪く、スキルアウトらしき男四人に囲まれてしまった。

その四人を仮にA~Dと名付けよう。Aはニット帽を深めに被る低身長、Bは路地の三分の二を占めるほど体が大きいというより太いデブ、Cは髪を茶に染めて右手に鉄パイプを持った見た目ヤンキー、Dは眼鏡をやたら中指で位置修正するイケメンだ。

俺がコンビニから入ってきた方向から来たのがAとC、寮の方向に立ち塞がっているのがBとDで、後ろには武装したやつが、前には壁がと言った感じで本当に困っている。

武装している奴が一人しかいない点から、残り三人は能力者かもしれないし、もしかしたら武装しているCも能力者かもしれない。情報がない以上、下手に動くのはよろしくないだろう。

「おいおい、黙ってないでなんとか言ったらどうなんだ、あぁ?」

「ひひ、この人数にびびってるんじゃねぇの?」

あ、さっきから喋ってるのはAとCだけでBとDは全く喋ってない。

AとCの小物臭がはんぱないです、はい。

こんだけの人数相手にするのはだりぃから俺は平和的解決をする為にポケットから黒い三つ折り財布を取り出しCに投げつける。

Cが受け取ったのを確認したBとDは人一人が通れる位の道を開け、俺は一言、ども、と言って横を通る。

BとDの横をすり抜けると同時に俺は微笑し、後ろから追いつかれない様に寮に向かって風の如く走り出す。

数秒後、路地からCの怒声のような声が走り続ける俺の耳にまで響き渡る。

「くそ!あいつふざけやがって!!財布の中に『ハズレ』って書かれた紙しか入ってねぇじゃねぇかぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逃げた先の路地で別のスキルアウトと鉢合わせになり、また逃げた先で別のスキルアウトと…とループにはまりつつある!今日に限ってなんか絡まれる回数が多いのはなんでだ!?

「待ててめぇ!!」

「ぶっ殺してやる!!」

「殺して解体して並べて揃えて晒してやんよ!!」

「殺し名さんはお帰りください!!」

どういうことだよまじで!?今までここらの路地を通ってスキルアウトと会ったことなんてほとんどなかったのに!!あれか?今朝の占いで美蓑アナが「今日の貴方の運勢は最悪!路地を通る時はスキルアウトと鉢合わせにならないように気をつけましょう!ラッキーアイテムはトマト!スキルアウトに殴られた時に口に含み吐き出すことで相手に罪悪感を与えましょう!」って言ってたのを無視して路地を通ったりトマトを持っていかなかったからか!?

路地でスキルアウトと会うんなら路地から出ればいいんじゃないかって?俺も路地から出たいよ?でもさ…

「道に迷ってどこをどう行けば路地から出れるかわからない、完全無欠の迷子なんだよぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目標、中々能力を使用しません、とミサカはトランシーバーを使って報告します」

草木が逃げ惑う路地を形成する建物の上に、常盤台の制服に身を包み、頭に軍用ゴーグルを付けた少女、ミサカがトランシーバーを口に当て、誰かと話しながら草木を見ていた。

『ちっ、いつになったら能力を使うんだ。それで、今アイツは今どこからどっちの方向に向かってる?』

トランシーバーから聞こえてきたのはとても高いソプラノで、聞く人によっては小学生とも中学生とも高校生とも通用するような女性の声だった。しかし、その声に学生にあるはずの生きる活力のようなものが感じられず、どちらかと言えば疲れきった中高年のようなイメージを感じさせる。

「地点Fより北西の方向に時速約15キロで走っています。地点Dにはスキルアウト三人が固まっていますのでそれをぶつけるのが得策かと、とミサカは提案します」

『いや、計画変更だ。一回お前はオレの所に戻って来い』

「どうするんですか?」

『アイツが能力を使わざるを得ない状況を作るんだよ』

「ですからこうしてスキルアウトをぶつけてるのでは」

『アイツは自分の危険には力を使わない。なら、アイツと関わりのある奴を使って能力を使わざるを得なくする。アイツもヒーローと呼ばれる一人なら、自分の持つ全てを使って、あるいはそれ以上の物を使って助ける筈だ』

「では問題は」

『悪役と憐れなヒロインの用意、だな。だがソイツも問題ない。もう準備してあると言ってもいい』

「それは準備がいいですね、と、ミサカは手際の良さに感嘆します」

『なに他人事みたいに言ってんだよ。お前が、お前らがそのヒロインだぞ?』

「…は?」

だから、と、女性は人を馬鹿にしたような口調で続ける。

『一方通行っていう悪役に日夜殺され続けているお前達妹達(シスターズ)をアイツが助けるんだよ。一方通行はこの学園都市最強の能力者だ。生半可な能力じゃ殺されるだろ?アイツもお前達を助ける為に本気を出さざるを得ないだろう』

「しかし、それでは下手したら、いえ、高確率で目標が死亡する恐れがあります、とミサカは危険性を提示します。それに、一方通行が負けるということは、絶対能力進化計画(レベルシックスシフトけいかく)が凍結するということでは?とミサカは確認を取ります」

『死んだ時はソイツはオレの求めていた成果じゃなかったってことだ。絶対能力進化計画の方も大丈夫だ。こっちの計画が成功だとしたら絶対能力者なんてお手軽に…まではいかないが、お前ら二万体殺すよりは簡単に出来ることだろうよ。あ、そうだ、今日の実験はどこでやるんだ?』

「午後八時半より操車場で第10032回目を開始します、とミサカは答えます」

『そうかそうか。じゃあ今から一体妹達をアイツが通りそうな場所で殺せ。そんでアイツと会って絶対能力進化計画を漏らせ』

「…了解」

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