とある魔術の日常?   作:置物

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二十二話 絶対能力進化計画

「はぁはぁ…、なんとか逃げ切れたか…。あいつらしぶとすぎだろ!日が暮れるまで追いかけっことかどこの三流青春ドラマだよ!」

俺は一番最初のごくせ○以外の青春ドラマは認めません!

「はぁ、ここどこだよ…。辺りは暗いし携帯持ってないからGPS機能とか使えないし。…ん?」

ガシャリと、足元でなにかが当たる音がした。手に取って確認すると、それは無残に砕けた軍用ゴーグルだった。

「これって…ミサカのやつと同じやつ?なんでこんなものが」

その時、路地の奥からなにかが破裂するような音が連続して響き渡る。俺は音が聞こえた方に進む。

路地を進んでいくと壁や地面など、そこらに穴が開き、辺りからは花火を燃やした後のような匂いがする。

「一体なにがあったん…だ…」

二十メートルほど先、誰かが足をこちらに向けた状態でうつ伏せに倒れていた。

俺は誰かを確認する為に少しずつ近づく。

近づくにつれ暗がりではっきりしなかった輪郭がはっきりしていく。

それは半袖の白いブラウスに茶色のサマーセーター、灰色のプリーツスカートに黒い革靴を着用していた。俺はそれが常盤台の指定制服だと気付き身体中から汗が流れる。

さっき見た軍用ゴーグルに常盤台の制服。

「ミサカ?お前ミサカか?」

俺はそれがミサカだと分かり、倒れているミサカを叩く。が、全く反応がない。

「こんな所で寝てると風邪ひくぞ。おいミサカ…!?」

俺は中々起きないミサカを抱き起こしてやると、ミサカの身体中には壁や地面と同じように穴が開き、血がとめどなく流れていた。

「お、おいミサカ!ミサカ!!返事しろ!!」

揺さぶってもミサカは反応しない。触れているミサカの体温が確実に下がっていくのが分かる。

「くそ!!早く病院に連れて行かないと!!」

「その心配はありません、と、ミサカは貴方を呼び止めます」

「………え?」

俺はあまりの出来事に思考が鈍くなる。

この声はミサカのだ。今まで何回も聞いてきたから分かる。いつもの俺なら生きていたと喜ぶところだろうが、喜ぶどころか逆に寒気がした。

何故なら、聞こえてきた場所が俺の抱き起こしているミサカから、ではなく後ろからだったからだ。

俺はミサカを地面に寝かせ、ゆっくりと、得体の知れないなにかがいる後ろを振り向く。

そこには、半袖の白いブラウス、茶色のサマーセーター、灰色のプリーツスカートに軍用ゴーグルといういつもと変わらぬ常盤台の制服で、ミサカがいつもと変わらぬ無表情で立っていた。

「その個体はもう死んでいます、と、ミサカは貴方に伝えます」

「ど、どういうことだよ…」

「どういうこと、とはどういうことでしょうか?と、ミサカは言い返します」

「なんでミサカが二人いるんだよ!ミサカって実は三つ子なのか!?それともお前かこいつはドッペルゲンガー!?」

「違います。ミサカは三つ子ではありませんしドッペルゲンガーでもありません、と、ミサカは貴方のずれた思考に戸惑いを見せます。それどころか、お姉様に妹は存在しません、と、ミサカは貴方にとって衝撃の事実を明らかにします」

あいつに妹は存在しない…!?

「じ…じゃあお前は…お前とこいつは一体なんなんだよ!!」

「学園都市にいる能力者、その中で超能力者(レベル5)第三位、超電磁砲(レールガン)として知られる御坂美琴、お姉様のクローンで、妹達(シスターズ)と呼ばれています、と、ミサカは淡々と言います」

「く、クローン…」

ついこの間まで一緒に生活して馬鹿して遊んで課題手伝ってもらってたミサカが、クローン?冗談きついぞ…。…ん?

「ちょっと待て。お前さっきの所もう一回言ってみろ」

「ミサカは三つ子ではありませんしドッペルゲンガーでも」

「そこじゃない!もっと後ろだ!」

「御坂美琴のクローンで、妹達と呼ばれています、と、ミサカは淡々と言います」

妹…()

「その顔、察しがいいみたいですね、と、ミサカは資料に書いてあったデータと違う事に少し驚きます」

「おいおい待て待て待て!!もしかしてもしかしなくても!!まだお前達みたいなのが」

「いますよ、と、ミサカはきっぱり言います」

また後ろから同じ声が聞こえた。

カツンカツンと、その音はこちらに歩いてきている。

足音は一つではなく無数にあるのが聞き取れる。

後ろを振り向くなと、振り向いたら最後、お前は後戻りできなくなるぞと本能が警告するが、それを無視して俺は振り向く。

そこには、同じ服装で同じ顔をしたミサカが十何人もいて、こちらをいつもと同じ無感情な目で見ていた。それこそ、寸分違わずに。

「………なぁ」

「なんでしょうか?」

「俺と今まで生活してたミサカは、いつも入れ替わってたのか…?」

「いえ、貴方と生活していたミサカは一個体のみです、と、ミサカは正直に言います」

後方にいたミサカが辺りの銃痕をコンクリートで埋めながら答える。

「そうか…。あと、お前達は何の為に生まれたんだ?」

「実験の為ですよ、と、ミサカは正直に話します」

血をドライヤーで乾かし、薬品で血を取るミサカが答える。

「何の為の実験だよ…」

「絶対能力進化計画です、と、ミサカは計画の名前だけを言います」

死体のミサカを寝袋のような物に詰め込むミサカが答える。

「それ以上のことは自分で調べろってか?」

「端的に言えばそうなりますね、と、ミサカは言います」

俺の目の前に立っているミサカが答える。

「そうかよ…」

俺は立ち上がりズボンに付いた砂を手で払う。

「意外と反応が薄いのですね、と、ミサカは貴方の驚く姿を見れなくて心底がっかりします」

「内心驚きすぎて表に出せないだけだ」

「そうですか。後片付けも済みましたし、ミサカ達は撤退します、と、ミサカは帰る旨を伝えます。それでは、また会うことがあれば」

そう言ってミサカ達は何事も無かったかのように綺麗にした路地を通って帰っていった。

「…ん?」

ミサカ達がいた場所に、紙束が落ちている。

俺はそれに近づき何だろうと眺めると

『絶対能力進化計画の概要と実験場所』と書かれたレポートだった。

「!?」

俺は喰らい付くようにその紙を手に取り、読んでいく。

前半部分には妹達の最初の運用方法、超能力者量産計画について、そしてそれに携わる研究者と研究所の名前がズラリと書いてあったが読み飛ばす。

グラフや訳も分からない数式も読み飛ばし、レポートの六ページ目でようやく絶対能力進化計画について書かれていた。

『学園都市には七人の超能力者が存在するが、まだ見ぬ絶対能力に到達できる可能性を持つ者は樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)を用いた演算の結果、一名のみと判明』

六人の能力者の能力名と演算結果が書いてあったが最後には必ず『しかし絶対能力には至る可能性は低い』と書いてある。

『唯一絶対能力に至れる超能力者を一方通行(アクセラレータ)と呼ぶ』

この一文を読んだ時俺の頭の中が真っ白になった。

「一方…通行…?」

『演算結果によると通常の時間割(カリキュラム )を二百五十年組み込むことで絶対能力に至れるとあるがこれを保留。再演算の結果、超電磁砲を百二十八の戦場で百二十八回殺害する事でも同様の結果が…』

「……」

俺は最後のページに書いてある実験場所が載っている地図を見る。

第10032次実験 八月二十一日 ○○学区の操車場

「俺と過ごしたミサカがどのミサカかわからねぇし、だりぃし、罠かもしれないけどさ」

俺は手に持っていたレポートを握り潰し、他人の事情に首を突っ込む馬鹿を思い出しながら言う。

「だからって助けない理由にはならねぇだろクソッタレ!!」




草木「ん?もしかして俺主人公してる?」
垣根「し…てるようなしてないような…」
姫神「私も。ヒロインしたい」
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