八月三日
午前中は俺はミサカと共に俺の課題を進める。
ミサカは一ページ終えるのに五分とかからないからすごいペースで一冊を完成していく。
課題一冊を終えて、ミサカは傍に置いてあるスポーツタオルで顔を拭く。
「ふぅ、ミサカは少し疲れました。何か冷たい物が飲みたいです」
「ここにコーラが」
「アイスも食べたいです、とミサカは催促します」
「もちろんあります。ミサカ様の大好きな芋アイスです」
「もぐもぐ」
俺はミサカの機嫌を損ねないように即座に要求された物を出す。
これに満足したのか、ミサカは何も言わずに芋アイスを食べ始める。
「あ、ミサカ、いい事閃きました、とミサカはアイスを一旦口から離して頭の上に電球を浮かべながら言います」
そう言ってミサカは人差し指を天井に向けパチッと電気を起こす。
「頭の上に電球とは古風だが、お前の頭の上に出たのは電気だぞ。で、いい事ってなんだよ?」
「ふっふっふ。内容は言えませんが、お金があればここにある三冊の課題を二時間程度で終わらせる事が出来ます、とミサカは貴方にお金をせびります」
「本当に終わるのかよそれ!?ただ遊ぶ金欲しさで言ってる訳じゃないよな!?」
「大丈夫いです。かかるお金は千円程度ですから。あと遊ぶ金は貴方の財布からこっそり…とミサカは口を滑らせる前に口を押さえます」
「さり気なく駄洒落ぶっこんできた上に怖い事言ってきたよこの娘」
「で、どうです?中々いい話だと思いますが、とミサカは手を差し出します」
「………本当に終わるか?」
「はい、とミサカは真っ直ぐな瞳で貴方を見ます」
俺は暫く考えた後、財布から千円を抜き出し、差し出されていたミサカの手の上にそれを置く。
「賢明な判断です。それではミサカは今から課題を終わらせるべく一回外に出ます、とミサカは課題を袋に詰めながら貴方に言います。暇でしたら出掛けていても構いません」
「おう。行ってらっしゃい」
「行ってきます」
ミサカを見送った後、自分がやっていた課題を済ませ、固まった体を解しながら俺はふと、ある疑問を抱いた。
「あれ?出掛けるって言っても、出掛ける場所も一緒に出掛ける友達もいなくね?」
だらだらと、俺の身体中の毛穴から汗が流れる。
上条、土御門、青髪は補修で駄目。吹寄とは何を話してどこに出掛ければいいか皆目検討がつかないため却下。ならば、
「フレンダに電話するしかないだろ」
俺は携帯の連絡先からフレンダの電話番号を探し電話する。何コールか後にガチャッ、と、電話に誰か出る。
『はーい。こちらフレンダ』
まぁフレンダ以外出る訳がないか。
「あ、フレンダ?今ひ」
『結局、今は仕事か学校で忙しい訳よ。ピーっと鳴った後、用件と名前を言ってね。ピー』
「留守電かよ!!しかもピー音自分で言うんかい!!」
最後の希望、フレンダも駄目だった。俺は一体どうすればいいんだ。
チラっと、部屋にかかっている鳩時計を見ると時間は午前九時二十七分。
ついでに外も見ると雲がちらほら見える程度の快晴だった。
「…このまま部屋で腐っているのもなんだし、散歩でもするか」
俺は一応学生服に着替え、半年履き続けた黒をベースとした赤いラインが二本入った愛用のシューズを履いて外に出た。
外に出なければよかった。そう思うほど外は暑かった。
照りつける太陽の光、その太陽光で熱くなった地面、風が全く吹かないの三点の所為で俺の体から汗が尋常じゃないほど出る。汗だけでなくなにか大切な物も出ていきそうで怖い。
空に浮かぶ飛行船で気温を確かめると、現在の気温は三十度で、最高気温は三十四度までいくらしい。
俺はこの灼熱地獄から脱出するため、近くにあったコンビニに入る。
コンビニの自動ドアが開くと同時に中から冷たく、外の空気とは違ってベタつかない、爽やかな空気が俺の体を包む。汗をかいていたため普段より爽やかに感じる。
「ここが
自然とそう言ってしまった。だから店員、そんな白い目をしながら「い、いらっしゃいませ…」とか言うな!虚しくなるだろ!
「うわ、変な奴が来たと思ったらアンタか」
「あぁ?お前は…」
入り口からすぐ左にある漫画コーナーにいたのは手に週刊雑誌を持った、常盤台中学が誇るレベル5第三位、御坂美琴だった。
「また立ち読みかよ」
「なによ。なにか文句ある?」
「お嬢様なんだから雑誌の一冊や二冊買えるだろ」
「嫌よ。持って帰るの面倒だしかさばるし読む所少ししかないし」
「そうですか」
「っと、もうそろそろ時間だし、黒子の所に行かなくちゃ」
そう言って御坂は週刊雑誌を元の位置に戻し、コンビニから出ようと自動ドアの前に立つ。
自動ドアが開き、そこから吹き出す熱風に御坂は顔を歪ませ、一歩下がり自動ドアを閉め、携帯で誰かに電話をかける。
暫くするとなにもなかった空間に少し呆れた顔をした、常盤台の制服を着たツインテールの少女が現れ、御坂と共にどこかに消えていった。
俺はその瞬間を目の当たりにしてぼそっと、呟く。
「暑い中移動したくないからって瞬間移動能力者を使うなよ…」
八月四日
ミサカ様まじ神様。
八月五日
課題も大分減り、テンションの上がった俺は学校で補習に参加している。
参加というか冷やかしと言ったほうがいいか。
補習参加者は上条、土御門、青髪、吹寄、俺、上野の五人だ。
上条、土御門、青髪はテスト等が悪かったため。吹寄、上野は自主的に参加。俺は冷やかしといった感じだ。
今日は小萌先生による自分だけの現実とはなにかという内容だった。
「と言う訳で一人一人能力、強度が違うとされている訳ですー」
小萌先生が椅子に乗って更に背伸びをして一生懸命黒板に書いて説明していたが、そこに土御門が手を上げる。
「はいー。どうしたのですか土御門ちゃん?」
「上やんが先生の話を聞かず窓の外を眺めてましたー!!」
「え!?」
突然の名指しに上条はびくっとなる。
「え…?上条ちゃん、聞いてなかったですか…?」
声を少し震わせ涙目になりながら小萌先生は上条に聞く。
「き、聞いてましたよ?」
そう言って上条は目を泳がせて答える。心なしか、顔一面に汗を流しているように見える。
「それじゃあ能力が発現する際に最も活発し、能力の発現に必要とされるのはどの部位ですか?」
「すみません聞いていませんでした」
上条机に頭を擦り合わせて謝る。
「ふぇ…酷いです上条ちゃん。先生一生懸命説明してたのに…」
「その、ですね先生。ちょっと上条さんはビリビリ中学生に終われてて寝不足気味と言いますかなんと言いますか、その…すみませんでした!!」
「上やーん!小萌先生を泣かすとは重罪やでー!」
「いや青ピ、重罪どころかこれは死罪だにゃー!」
「よっしゃ青髪、土御門!上条殺っちまおうぜ!」
そこに俺も便乗する。
「「おー!」」
「いきなり死罪って重くないでせうか土御門さん!?あと草木もさらっと便乗するな!!」
「うるさいわよ馬鹿四天王!!」
うるさい俺達に我慢の限界がきた吹寄が立ち上がり、一人一人に拳骨をお見舞いする。上条の時だけ鈍器で殴ったような重く鈍い音がしたような気がする。
「ちょ!吹寄さん!?上条さんの時だけ音が違ったような気がしたのですが!?」
気のせいではなかったようだ。
「貴様が一番悪いからよ!」
「どうして俺が悪いんだよ!?」
「貴様が最初から小萌先生の話を聞いていればこんなことにはならなかったんだ!貴様が悪い!」
「うぐ!で、でも」
「でももへちまもない!貴様が悪い!」
「…はい」
吹寄の気迫に負けて上条頭を垂れる。
教えて!フレンダの質問コーナー
フレンダ「結局、垣根は冷蔵庫から元に戻らない訳よ」
ミサカ「それは困りましたね。大晦日は大掃除が鉄板なのに人手が一人いないとは、とミサカは冷蔵庫を蹴りながら言います」
垣根(冷蔵庫)「」
ミサカ「もういっそこの冷蔵庫も捨てますか、とミサカは今すぐ業者を呼べるよう携帯を手にします」
フレンダ「わー!!そんな事したら流石に殺されちゃう訳よ!!」
ミサカ「冗談です。ミサカジョーク、略してミサジョーク、とミサカは言います」
フレンダ「そこまで略せてない…」