あと一人称?主観?からの戦闘シーンの難しさにもしかしたら全部を一回三人称?客観?からにするかもしれないですはい
軍神。
俺はアレスとはどのような神かと聞かれたらそれぐらいしか知識がない。
いや、アレスに限らず他の神の名前を出された所で詳しい事など分かる筈がない。何せここは科学の街、学園都市だ。そんな事調べてる暇あったら学生の殆ど、例外を除いて脳の開発をするだろう。
そして知らないが故に、アレスという神の力を持った聖人がどれ程すごいのか分からないし、ステイルがそこまで緊張感を持つのか分からない。
「全く、知らないというのは幸せな事だよ」
「おい、それ俺を馬鹿にしてるだろ」
ステイルの横まで避難した俺は避難の目をステイルに向ける。
「さぁ?」
ステイルは文字のような記号の描かれたカードを手に持ち、どこ吹く風と言った感じで返答する。
正直今すぐステイルの方に体を向けて問い詰めたいのだが、鎖を引き千切った時からアレスの足下から赤い煙がアレスを包み込むように噴き出しているという状態で何が起こるかわからないからアレスから目が離せない。
「灰は灰に、塵は塵に」
ステイルが何か言うと、右手に赤い炎剣が、左手には青白い炎剣が出来上がる。
「吸血殺しの紅十字!!」
ステイルはその二本の炎剣をそのまま赤い煙に叩きつけるように放つ。
二本の炎剣は赤い煙にぶつかると同時に爆散し、高さ二、三メートル程の炎柱を作り、操車場に轟音を木霊させる。まるでメラゾー⚪︎のよう…っておいぃぃぃ!?
「お前何やってんの!?例え聖人って奴でもあんな一撃喰らったら肉どころか骨すら残らねぇじゃねぇか!!」
「うん?聖人がこの程度の攻撃でどうこうなるなら僕達は最初にあんな小細工はしないさ。それに、今の爆発は向こう側が故意に起こした物みたいだね。あれを見るといい」
ステイルの指差す先、先程まで赤い煙があった場所。そこには、身長は俺と同じくらいか170あるぐらいの、少し癖のある長い銀髪の女性が立っていた。
髪の毛で顔半分が見えないが、相当可愛いと分かる。
「あれ?アレスは?」
あそこにはアレスが立っていた筈なんだけど。もしかしてこれ魔術ショー?聖人とかなんかそんな話をしたのはそれを悟らせない為…な訳ないか。あの女性が着ているボロボロの服、アレスが着ていた修道服と見た感じ同じみたいだし。
「アレースは、男神の中で1.2を争う程の美貌を持ち、身長二百メートルはあるが、人前に現れる時は人並みの大きさになるって神話ではあるからね。アレスがそれを体現しても不思議じゃない。あぁ、性別という大きな違いが唯一の救いだね」
もし性別まで一致してたらどれ程の力になってたかとステイルは肩を竦めながら言う。
こいつ、意外と余裕あるんじゃね?
「構えろ能力者。油断してると一瞬であの世に直行するぞ」
それが合図だったように、アレスは雄叫びを上げながらこちらに向かって走り出した。一歩歩く毎にそこからヒビが入り、大地が揺れる。あんなに脚力あったら蹴られただけで死にそうだ。
「巨人に苦痛の贈り物を!!」
アレスの足下に向けての一撃。狙いは足止めと目くらましの為か。
しかしそれをアレスは高飛び選手真っ青なジャンプ力で避ける。
「聖人って身体能力も高いのか!?」
「無駄口を叩く暇があるなら援護しろ!」
あー!!詳しい説明もないからどうすりゃいいか分からんが後から聞けばいいか!!
こっちに落下(回転踵落とし)しようとするアレスを空中で停止させる。が、その攻撃は途轍もない威力があるのか、速度を下げる程度にしかならなかった。
「ステイル!こっから今すぐ離れ」
「もう離れてるさ」
「早い!!人を置いていくな!!」
ステイルに警告しようとしたら既に遠くに避難していた。
あの人でなし!!俺を最初から盾にするつもりだったな!?
アレスの踵落としは眼前の地面に着弾。地雷を踏み抜いたような爆発が起きる。
着弾前に腕で顔だけはガードしたが、弾け飛んだ石が腹や足を打ちつける。
痛む間も無く腹に蹴りをもらい数メートル吹っ飛び、コンテナの一つにぶつかる。
気絶しそうでしないという痛みが身体中に広がる。踵落とし着弾からこの間約二秒。
聖人っていうのはやばいほど凄いのはわかった。体感した。これはアレスだが意識はないようだ。なら、少しくらい痛い目に合わせてもいいはずだ。
アレスのラ⚪︎ダーキックのような飛び蹴りを横に転がり回避し、コンテナに突き刺さった足を抜く前にアレスの体にそっと触る。
たったそれだけで、アレスの体はトラックに撥ねられたように飛び、放物線を描いてコンテナの山に落ちる。
「ぜぇ…ぜぇ…げほっ。糞が…」
聖人ってのは相当タフみたいだ。崩れたコンテナから出て来た姿にこれといった傷はなく、何かしたかと言いたいように首をコキコキ鳴らしている。
ステイルはいないしサルバートもいつの間にかいないし、これは詰んだんじゃね?
これからどうやって生き延びようと考えているとアレスの両手両足に囚人が付けるような鉄球付き手錠があった。
「忍法・四肢繋ぎの術。暫くは聖人であろうともまともに身動きはとれないでござる」
いつの間にか居なくなっていたサルバートがいつの間にか俺の後ろに立っていた。
「大丈夫でござるか?今回復魔術を施す故に動かないで欲しいでござる。にんにん」
サルバートは札らしき物を俺の頭に貼り、印のようなものを組んでにんにん言い続ける。
すると俺の体が発光し、身体中の痛みが引いて行く。魔術すげぇ。
「はぁ…はぁ…どこに行ってたとか聞かないが、四肢繋ぎの術ってのはどんくらい保つんだ?」
「あと五分程度でござる」
「短!?」
「聖人、しかもアレース相手なら上々でござる。それより、ステイル殿がまだ草木殿にどうすればいいか説明をしてなかったようなので拙者が代わりに説明するでござる」
「そういやあの似非神父はどこ行った?一発殴らねぇと気が済まねぇんだけど」
人を置いて逃げやがって。本当なら五、六発殴りてぇがベクトルパンチ一発で許してやる。
「それは事が済んでからにして欲しいでござる」
治療が完了したらしく、サルバートは俺の額から札を剥がす。粘着力が地味に強くて痛かった。
「拙者達魔術師は一部除いて接近戦は得意ではないでござるので草木殿にはアレスの足止めをお願いしたいでござる」
「勝利条件は?」
「アレスの意識を断つ、もしくは身動き出来ない状態にするでござる。後者は拙者に出来る限りの事をするでござるが、最初の『祈りの鎖』が破壊された時点で拙者には手段はないでござる」
「つまりアレスの意識を断つしか勝利条件はないのか」
あのバーサーカーの意識を断つとか難易度高過ぎだろ。だって手錠ガシャンガシャンしてるよ?もう言語かどうかすら怪しい叫び声上げてるよ?
ふとアレスが手錠を外そうと手を動かしている背後を見ると、ステイルがコンテナの影にいるのが見えた。
「む、ステイル殿から連絡が来たでござる」
と、サルバートがポケットからさっき治療に使ったお札とは少し違う模様のお札を出し、地面に置く。
『聞こえてるかい』
そのお札からはステイルの声が小さく聞こえる。
「聞こえるでござるよ」
『草木は…どうでもいいか』
ベクトルパンチ一発追加な。
『『フェンリルの鎖』が砕けるまで二分て所かな。こっちに注意を向けるから君達でなんとかしてくれ』
ん?フェンリルの鎖?四肢繋ぎの術って名前じゃなかったけ?
「ちょ、ステイル殿!?あれは四肢繋ぎの術と言ったでござろう!?」
『フェンリルを一時的に封じ込めた二本の鎖の伝承をモチーフにしといてよく言うよ』
おかしいぞ、今は緊迫した場面の筈なのに会話に緊張感のきの字もないぞ。
「仕方ないでござろうが!?拙者はステイル殿のように天才ではないでござるから他にいいモチーフが見つけれなかったでござるよ!!グレイプニールはどの様に再現すればいいかわからなかったでござるし!!あと拙者が忍者に憧れてることは語尾から分かるでござろう!」
「そんなどうでもいい事で言い争うなよ!もうそろそろ五分経つぞ!?」
バキン!と甲高い音が鳴り、手錠が役目を終えた。
もうアレスを止める物は何もない。
「来るぞ!」
「『Fortis931』!『|魔女狩りの王(イノケンティウス)』!!」
アレスを目で捉え、構えを作ると同時にアレスの背後で大爆発が起こる。
いつぞやに現れた炎の巨人が、ステイルの後ろに文字通り爆誕し、悲鳴のような産声を上げていた。それは右手を徐々に変化させ、大きさ二メートル以上の、罪人を磔にするような十字架の形にする。
殺る気満々か!!
「殺せ…!」
ほら殺せとか言っちゃったよ注意を向ける為じゃなくて殺す為にやっちゃってるよこの子!?
作戦通り(殺る気うんぬん抜いて)アレスはこちらに背を向け、ステイルの方向に弾丸の如く駆ける。
ステイルは魔女狩りの王を突進させ、アレスから逃れるように下がる。
あのままじゃ気絶させる前に絶命するだろうが!そう思ったが、俺の予想は大きく裏切られた。
アレスの長い銀髪がうねり、空中に魔法陣のようなものを作り出す。体が光り、そのまま魔女狩りの王にぶつかる。
アレスを内側に抱き込んだ魔女狩りの王は内側から弾け飛び、重油のようにドロドロした芯を辺りに撒き散らす。
アレスは目の前の障害を消し飛ばし、背中を向けて走るステイルに自身の長い足で蹴り切った。
しかし、蹴り切られたステイルは血を流すことなく、まるで蜃気楼のように消えた。
魔女狩りの王はステイルをアレスの視線から外す為のダミー。本物は蜃気楼より二十メートル前を走っていたのだ。
魔女狩りの王の影に隠れた瞬間にステイルが二人になる所が見えた俺は魔女狩りの王が爆散する瞬間に走り出し、アレスがステイルの蜃気楼を蹴り切った時にはアレスの背中めがけてベクトルパンチを叩き込む体制でいた。ベクトルパンチの強さは一般人が受けたら脊椎骨折死亡確定ルートだが、先程アレスを吹き飛ばす時にそれより少し弱いベクトルでアレスは無傷だったためこの強さでも多分大丈夫だろうと思う。
足を振り切ったアレスの無防備な背中に向けてベクトルパンチを振り下ろす。
例え俺の存在に気付いた所で片足の状態で避けれる筈がない。
もらった!そう油断してしまった。ステイルが油断するなと言ったのを忘れて、相手が軍神の聖人であるのを忘れて。
アレスは振り切った足を折り曲げ、後ろにいる俺に馬のように蹴りを入れる。
こちらを見ずにした行動は予め決められていた動きのように無駄がなく、的確に俺の位置に入る一撃だった。
避けるのは不可能と瞬時に判断した俺はベクトルパンチを止め、守りの為の反射の演算をする。
しかし俺の反射はアレスの行動からの後出し、間に合う訳もなく、胸に強烈な蹴りが入る。
「!!?」
メキメキィッ!と骨が数本折れた感覚が来る。余りの痛さに声も上げれない。
数メートルバウンドしながら転がり、俺の体はようやく止まる。
意識が今にも飛びそうな一撃だった。
頭の打ち所が悪かったらしく、視界が頭から流れる血で赤く染まっている。
そういえばステイルとサルバートはどうしたんだ?と鈍い頭を回転させ、辺りを見渡す。
レールの近くでサルバートが倒れているのが見え、ステイルはアレスの攻撃を回避しながら炎で動きを止めようとしていたが、アレスの素早さに追いつかれ、首を掴まれる光景が目に入る。両手でアレスの手を剥がそうとするが力の差がありすぎるようで、剥がせそうな気配がない。やがてアレスの手から手を離し、だらんとした体制になった。
また、俺の前で人が死ぬのか?あの時のように?
駄目だ、駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ!!
もう、俺が見える所で、人が死ぬのはもう嫌だ!!
俺は動かない体に鞭を打ち、制服の裾で赤い視界を拭う。体の中から血液が流れていく感覚を止める為に血流操作をして止める。
自身の体にかかる重力のベクトルの向きを変え、体を軽くする。
足の裏にかかるベクトルの向きを変え、一歩で進む距離を極限に伸ばし、三歩でアレスに近づく。
気配を感じたのか、アレスはステイルを遠くに投げて振り向き様に裏拳を俺に振るう。
身を低く沈め、頭の上を裏拳がブォン!と音を立てて通り過ぎる。
しかし、その先にアレスの右膝が頭を潰す為に迫ってきていた。
反射の演算をしたいが演算が限界に近い為、血流と重力のベクトル操作を打ち切り、十分な演算容量を顔部分の反射に使う。
体がズンと重くなり、じわりと血が滲むのを感じたが、頭が無くなるよりはましだと割り切る。
代わりに強力な脚力で破裂するはずだった俺の頭は無事で済み、アレスの膝から下が曲がらない方向に曲がる。
膝を負傷し、バランスを崩したアレスは右手を地面に着き、左足を槍の様に突き出し、俺の右肩を盛大に粉砕音を鳴らしながら蹴り砕く。
脳に痛みの電気信号が多大に送られ、演算に乱れが生じ、反射は無くなるが、最後に必要な演算だけは問題ない。
超至近距離。体制もままならず、使える四肢は全て使い切り、為す術がないアレスの脇腹に俺のベクトルパンチは突き刺さる。
アレスが地面にめり込み、少し蠢いた後、完全に動かなくなったのを確認した俺は体の痛みと脳の酷使による頭痛で意識を失った。
草木「肋骨辺りの骨折、右肩粉砕、脳の酷使…あのカエル顔の医者でも治せるか…」
垣根「テメエが死んだ場合俺が主人公の『とある科学の未元物質』が始まるから」
草木「何言ってんの!?」
フレンダ「いやいや、結局、草木が死んだらヒロインである私の『とある暗部の超絶美少女』が始まるって訳よ」
草木「後半四文字にして出直して来い!!」